こんばんは。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。
薬を続けていると、症状がなくなっても「血液検査をしましょう」と言われることがあります。本記事では、血液検査が何を確かめるためのものか、受診時に何を伝え、どんなときは予定を待たず相談すべきかを解説します。薬には「効いているか」を確かめる指標と、「体への負担が出ていないか」を確かめる指標の二つがあり、それぞれ確認の意味が違います。
薬を続けるのに血液検査は必要か?その理由とは
血液検査が必要かどうかは薬の種類や体の状態によって変わりますが、理由は大きく二つあります。一つは薬がきちんと効いているかを確かめるため、もう一つは薬による体への負担(副作用)が出ていないかを確かめるためです。症状がなくなったからといって、この二つの確認が不要になるわけではありません。
たとえば血圧の薬なら、血圧を測ることが「効果の確認」にあたります。一方、腎機能や電解質(ナトリウムやカリウムなど血液中のミネラル)の血液検査は「安全性の確認」にあたり、効果の確認とは別の目的です。安全性の確認は、将来の安全を保証する検査ではなく、腎臓や肝臓への負担、電解質の乱れなどの異常を早めに見つけて対処するための確認です。検査の結果が正常でも、それはその時点での確認であって、これから先ずっと安全が保証されたわけではない点にも注意が必要です。
院長蒲生症状がよくなったのに検査を勧められると戸惑いますよね。「効き具合」と「負担の有無」は別物と考えると納得しやすいですよ。
なお、すべての薬・すべての人に毎月採血が必要というわけではありません。薬を始めたときや増量したとき、腎臓や肝臓の状態、年齢、ほかに飲んでいる薬、脱水(体内の水分が不足した状態)、体調の変化などによって、確認すべき項目や間隔が変わります。まずは自分が飲んでいる薬で、何を・どのくらいの間隔で確認しているのか、お薬手帳を見返してみてください。
血液検査で見る「効果」と「安全性」の見分け方は?
血液検査で効果と安全性を見分けるには、「その検査が薬の効き具合を見ているのか、副作用を見ているのか」を考えます。効果の確認は、血圧や血糖値のように病気の状態そのものを測ることが多いです。安全性の確認は、腎機能・電解質・肝機能など、薬が負担をかけやすい臓器の数値を見ます。
| 確認の種類 | 例 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 効果の確認 | 血圧測定 | 薬で血圧が下がっているか |
| 安全性の確認 | 腎機能・電解質・肝機能の血液検査 | 薬による体への負担が出ていないか |
| 診察と血液検査の組み合わせ | 診察+血液検査 | 効き具合と負担を同時に見直す |



効果と安全性を分けて考えると、検査のたびに「今回は何を見る検査か」を聞きやすくなりますよ。
次の採血で「今回は効果と負担のどちらを見る検査か」を尋ねましょう。
血液検査の間隔はいつ・どう決まる?


血液検査の間隔は一律ではなく、薬の種類や体の状態で決まります。薬を始めた直後や増量した直後は確認が多めになることがあります。安定すると間隔が変わることがあります。腎臓や肝臓に元々の負担がある方、高齢の方、複数の薬を併用している方は、確認のタイミングが早めに設定されることがあります。脱水や体調の変化があった方も同様です。
2013年に、降圧薬の副作用モニタリング(薬を使っている間に、検査などで体の状態を定期的に確かめること)についての研究が発表されました。これは系統的レビュー(同じテーマの研究や指針を決まった方法で集めて整理した研究)です。ガイドライン(専門家が決めた治療の指針)の推奨内容が食い違ったり不完全だったりすることが指摘されています[1]。英国の研究者が海外の指針を集めて整理したもので、国や医療機関によって方針が異なります。具体的な間隔は処方医が腎機能・年齢・併用薬を考慮して決めます。



間隔は薬や体の状態で変わります。前回の検査日を手帳にメモしておくと便利です。
次回受診の際は、前回の検査日と今回の予定を確認し、次の検査までの間隔を自分でも把握しておきましょう。
カロナールを続けるとき血液検査は必要?
カロナール(アセトアミノフェン)を長く続ける場合は、量が多くなくても定期的な肝機能の確認が望ましいとされています[2]。カロナールは熱や痛みを抑える解熱鎮痛剤で、長期に続けると肝臓への負担が問題になります。添付文書(薬の効果・副作用をまとめた公式の説明書)では、2026年8月改訂版で次のような注意が示されています。1日総量1500mgを超える高用量で長期投与する場合は、定期的に肝機能を確認するなど慎重な投与が求められます[2]。
特に気をつけたいのは、アセトアミノフェンを含む市販の総合感冒剤や解熱鎮痛剤との重複です。同じ成分が複数の薬に入っていると、気づかないうちに飲みすぎになるおそれがあります。重い肝障害につながることがあります[2]。市販薬を買うときは、成分表示にアセトアミノフェンが含まれていないかを必ず確認してください。
すでに重複や過量服用の疑いがある場合は、症状がなくても予定の診察や検査を待たず、夜間・休日でも医療機関へ電話で相談してください。



風邪薬と処方薬の重複は見落としがちです。市販薬を買ったら、お薬手帳に一緒に記録しておきましょう。
次の受診時に手持ちの市販薬の箱を持参し、成分の重なりを医師や薬剤師に見てもらいましょう。
セレコックスと血液検査:腎機能の確認は必要か?
セレコキシブ(セレコックス)では、腎機能と肝機能を定期的に確認することが添付文書に示されています[3]。急性腎障害や間質性腎炎などの重篤な腎障害が報告されているためです。間質性腎炎は腎臓の組織に炎症が起きる病気で、放置すると腎機能が低下するおそれがあります。さらに、関節リウマチなどの慢性疾患に対して使う場合は、尿検査や血液検査などの臨床検査を定期的または必要に応じて行うこととされています[3]。
| 薬の種類 | 主に見る検査 | 理由 |
|---|---|---|
| アセトアミノフェン(長期投与) | 肝機能 | 高用量長期では確認が必要、高用量でなくても長期では定期検査が望ましい[2] |
| セレコキシブ | 腎機能・肝機能 | 腎障害・肝障害の報告[3] |
| 降圧薬 | 腎機能・電解質など | 副作用を早めに捉える手がかり。測る時期の推奨は指針によって異なる[1] |



セレコックスは腎臓と肝臓の両方を確認していく薬です。薬の名前を把握して診察で尋ねてみましょう。
なお、ある薬で必要な検査が、別の薬にもそのまま当てはまるとは限りません。薬によって負担がかかりやすい臓器が違うため、確認する項目も変わります。自分が飲んでいる消炎鎮痛剤の名前を把握し、診察で「腎機能や肝機能の確認はどのくらいの間隔がよいか」を尋ねてみてください。
血液検査が正常なら安心してよい?
血液検査が正常でも、それは「その時点で大きな問題が見つからなかった」という意味です。定期的な検査を続けることで、変化を早めに捉える手がかりになります。カロナール(アセトアミノフェン)を長く飲む場合の肝機能検査のように、定期的な確認が望ましいとされています[2]。検査と検査の間に、家庭で気をつけたいこともあります。特に高熱のある高齢の方や子どもでは、アセトアミノフェン服用後に体温が下がりすぎてぐったりする(虚脱)、手足が冷たくなる(四肢冷却)ことがあります[2]。
意識がおかしい、呼吸が苦しい、顔や唇の腫れ、吐血があれば119番へ連絡してください。解熱薬の後にぐったりして手足が冷たい場合(虚脱・四肢冷却)や、黄疸、黒い便、重複・過量服用の疑いは、夜間・休日でも医療機関へ電話で相談してください。黄疸とは皮膚や白目が黄色くなることです。それ以外の新しい症状や体調の変化は、次回の採血日を待たず処方医へ相談してください。副作用を疑う症状がないときは、処方された飲み方(毎日飲むか、必要なときだけ飲むか)を自己判断で変えないでください。続け方を変えたいときは、症状の様子・市販薬の使用・実際の飲み方をメモして処方医に伝えましょう。自分で飲み方を変えると、医師が効果と負担の両方を正しく評価できなくなります。



「正常でした」で終わらせず、次の確認までに気をつけることを一つ決めて帰るのがおすすめです。
検査結果を受け取ったら、数値だけでなく「次にいつ・何を確認するか」を聞き、ご自身の予定として記録しておいてください。
血液検査の受診時に何を伝えればよい?
血液検査の受診時に伝えるとよいのは、現在飲んでいる薬の一覧です。市販薬やサプリメントも含めます。飲み忘れや重複の有無、新しく出た症状も伝えます。脱水や体調の変化も重要です。これらは検査の項目や間隔を決める材料になります。お薬手帳があれば、それを持参するのが最も確実です。アセトアミノフェンを含む他の薬剤との併用では、過量投与による重篤な肝障害のおそれがあるため、市販薬の情報は特に大切です[2]。
| タイミング | 家庭で記録すること | 受診で伝えること |
|---|---|---|
| 薬を始めた・増えたとき | 飲み方のメモ | すべての薬とサプリメントの一覧 |
| 体調が変わったとき | 症状の出始めと経過 | 症状の内容と開始時期 |
| 市販薬を追加したとき | 成分表示の確認 | 併用している市販薬の名前 |



事前にメモしておくと、伝え忘れを防げます。お薬手帳と市販薬の箱を一か所にまとめておくのが第一歩です。
お薬手帳と市販薬の箱を持参し、今の処方で次にいつ・何の検査をするかを処方医に尋ねましょう。
まとめ
薬を続ける間の血液検査には、効果の確認と安全性の確認という二つの目的があります。効果の確認は血圧などの状態を見ます。安全性の確認は腎機能・電解質・肝機能などの負担を見るもので、意味が異なります。検査が正常でも、それはその時点の確認にすぎません。間隔は薬の種類や開始時期、腎臓や肝臓の状態、年齢、併用薬、体調によって変わります。アセトアミノフェンでは、高用量長期投与で肝機能の確認が求められ、高用量でなくても長期投与では定期検査が望ましいとされています[2]。セレコキシブでは、腎機能検査と肝機能検査を定期的に行うことが添付文書で示されています[3]。降圧薬のモニタリングは、ガイドライン間で推奨が異なることが系統的レビューで指摘されています[1]。意識や呼吸の異常、顔や唇の腫れ、吐血は119番へ連絡してください。解熱薬の後にぐったりして手足が冷たいとき、黄疸、黒い便、重複・過量服用の疑いは夜間・休日でも医療機関へ電話で相談してください。それ以外の気になる変化は次回の検査日を待たず医師に相談してください。症状がないときも処方された飲み方を自分で変えず、飲んでいる薬の全体像を持参して処方医に尋ねましょう。
よくある質問
- 症状がなくなったのに血液検査を勧められるのはなぜですか?
症状がよくなっても、薬による負担が出ていないかは症状だけでは分からないためです。効き具合と負担の有無は別の検査で確認します。正常な結果はその時点での安全確認であり、将来を保証するものではありません。
- 市販の風邪薬とカロナールの併用で気をつけることはありますか?
総合感冒剤や解熱鎮痛剤にはアセトアミノフェンが含まれていることがあります。重複すると過量投与による重篤な肝障害のおそれがあります[2]。成分表示を確認し、含まれていれば一緒に飲まず医師や薬剤師に相談してください。すでに重ねて飲んだ疑いがあるときは、症状がなくても予定の診察を待たず、夜間・休日でも医療機関へ電話で相談してください。
- 血液検査の間隔はどのくらい空けてもよいですか?
間隔は薬の種類や開始時期、腎臓や肝臓の状態、年齢、併用薬、体調によって変わります。脱水も影響します。降圧薬のモニタリングでは、ガイドラインごとに推奨が異なることが系統的レビューで示されています[1]。次回の検査予定日を医師に確認し、お薬手帳に書き留めておきましょう。
- 血液検査の結果が正常なら薬は安心して続けられますか?
正常値はその時点での確認にすぎず、副作用が今後出ない保証にはなりません。意識や呼吸の異常、顔や唇の腫れ、吐血は119番へ連絡してください。解熱薬の後にぐったりして手足が冷たいとき、黄疸、黒い便、重複・過量服用の疑いは夜間・休日でも医療機関へ電話で相談してください。それ以外の気になる症状は次回の検査日を待たず医師に相談し、症状がないときは処方された飲み方を自己判断で変えないでください。
【免責事項】
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、個々の患者さまの病態や背景によって適切な対応は異なります。
症状にご不安がある場合は、かかりつけ医や専門の医療機関にご相談ください。
参考文献
- McDowell SE, Thomas SK, Coleman JJ, et al. “A practical guide to monitoring for adverse drug reactions during antihypertensive drug therapy.” Journal of the Royal Society of Medicine, 2013. DOI: 10.1258/jrsm.2012.120137 PMID: 23481430
- PMDA 添付文書. “カロナール錠 添付文書.” 2026. https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/172190_1141007F1063_5_07
- PMDA 添付文書. “セレコックス錠 添付文書.” 2025. https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/671450_1149037F1020_2_05


