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【喘息と痛み止め】解熱薬・鎮痛薬は飲める?【NSAIDsとアスピリン喘息】

喘息があるときの 痛み止め・解熱薬は?

こんばんは。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。

喘息があると、市販や処方の痛み止め・解熱薬が体に合うか不安になりますよね。本記事では、NSAIDs(エヌセイズ、非ステロイド性消炎鎮痛剤の略称で、痛みと熱を抑える薬の仲間)とアスピリン喘息の関係を解説します。どの薬について医師や薬剤師に何を確認し、受診時に何を伝えればよいかを判断できるようになります。

文責(この記事を書いた人)

蒲生 俊一(がもう しゅんいち)
仙台空港北クリニック 院長

地元、名取市立閖上小・中学校出身。東北大学医学部医学科を卒業後、仙台オープン病院、気仙沼市立病院、東北大学病院を経て、コロナ禍ただ中の2021年4月に仙台空港北クリニックを開院。「絶対に断らない発熱外来」をつらぬき通し、コロナ5類化までの2年間で2万名を優に超える発熱患者の診療にたずさわる。

所属学会・認定資格
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本呼吸器学会呼吸器専門医
日本アレルギー学会アレルギー専門医
日本抗加齢医学会専門医
医学博士(東北大学)

目次

喘息があるとNSAIDsは使えないの?使えるの?

アスピリンなどのNSAIDsは、体質によっては喘息の症状や発作を誘発することがあります[1]。そのため、痛み止め・解熱薬を使うかどうかは自己判断せず、医師・薬剤師と決めることが大切です。

アスピリン喘息と診断された人や疑われる人は、NSAIDs全般を避けるよう勧められています[1]。

アスピリン喘息でない喘息の人でも、セレコキシブやソランタールの添付文書(薬ごとに作成される公式の説明書)には発作を誘発するおそれがあると記載されています[2][3]。

過去にロキソプロフェン(ロキソニンなど)を飲んで問題がなかった履歴は参考になります。ただし、それで現在や将来の安全が保証されるわけではありません。自己判断で新たに試すことは避けましょう。

国際的な喘息指針(GINA 2026年、世界中の喘息の専門家が合意して作成した治療の基準)があります。この指針では、NSAIDsを処方する前に、過去に飲んだときの反応を必ず確認するよう求めています[1]。NSAIDsを飲んだ後に、喘息の悪化、じんましん、まぶたや唇の腫れなどの反応が出る体質を、NSAIDs過敏と呼びます[4]。過去にこうした反応が出たことがあるかどうかで、受診時に伝える内容が変わります(下の確認リスト参照)。

院長蒲生

「昔飲んで大丈夫だったから平気」と思わずに、新しい薬を出されるときは喘息のことを一言伝えてみてください。

まずは、自分が喘息であることを薬を出してもらうすべての場面で伝えることを習慣にしてください。

アスピリン喘息とはどんな病気?見分け方のポイント

アスピリン喘息とは、アスピリンや他のNSAIDsを飲んだ後に喘息が悪化する病気です[1]。アスピリン増悪呼吸器疾患(AERD、アスピリンなどで喘息や鼻の症状が悪化する病気)とも呼ばれます[4]。服用後に喘息が悪化した履歴があれば、アスピリン喘息が強く疑われます[1]。この病気の人は重症の喘息や鼻茸(はなたけ、鼻の奥にできるポリープ、いぼのようなできもの)を合併しやすいことが知られています[1]。

慢性副鼻腔炎(ちくのう症、副鼻腔に炎症が長く続く病気)、特に鼻茸を伴う場合は、重症の喘息と関係が深いとされています[1]。アスピリン喘息を確かめる負荷試験(薬を少量から飲んで反応を確かめる検査)は、蘇生設備のある専門施設でのみ行うとされています[1]。そのため、自宅で痛み止めを飲み直して確かめることはしないでください。

院長蒲生

鼻の症状が長く続いているなら、それも喘息と一緒に伝えておくと話がスムーズですよ。

鼻茸や慢性副鼻腔炎の有無、そして過去に痛み止めを飲んだ後の体の反応を、次の受診時に整理して伝えてください。

痛み止め・解熱薬の一覧と喘息での注意点は?

喘息があるときの痛み止め:使う前に確認

喘息の人が注意すべき痛み止め・解熱薬には、アスピリンなどのNSAIDs[1]があります。セレコキシブ[2]、ソランタール[3]、アセトアミノフェン[5]の日本の添付文書にも、喘息に関する注意が記載されています。添付文書の「気管支喘息」は、喘息の正式な病名です。下の表で「禁忌」は使ってはいけないこと、「既往」は過去にその病気や反応があったこと、「頻度不明」は起こる割合が分かっていないことを指します。

薬の種類代表的な薬喘息の人への注意
NSAIDs(一般的な痛み止め)アスピリン、ロキソプロフェン(ロキソニンなど)、イブプロフェンなど体質によって喘息症状や発作を誘発しうる。アスピリン喘息が疑われる人はNSAIDs全般を避けるよう勧められている[1][5]
NSAIDs(COX-2選択的阻害剤、COX-2という酵素を主に抑える種類)セレコキシブ(セレコックス)アスピリン喘息またはその既往は禁忌。アスピリン喘息以外の気管支喘息でも発作を誘発するおそれあり(2025年7月改訂)[2]
NSAIDs(その他の消炎鎮痛薬)チアラミド塩酸塩(ソランタール)アスピリン喘息またはその既往は禁忌。アスピリン喘息以外の気管支喘息でも発作を誘発するおそれあり(2026年9月改訂)[3]
解熱鎮痛薬(熱を下げ、痛みも抑える薬)アセトアミノフェン(カロナール)禁忌ではないが、喘息発作の誘発が重大な副作用として記載(頻度不明、2026年8月改訂)[5]。気管支喘息では症状悪化のおそれがあり、アスピリン喘息では1回300mg以下という用量制限あり[5]
院長蒲生

箱の商品名ではなく、成分名で見比べるのがコツです。手持ちの薬の名前をメモして持っていくのがおすすめです。

家にある痛み止めや風邪薬の箱を集め、成分名を表の「代表的な薬」と照らし合わせて書き出してください。表にない成分名は、喘息があることを伝えて薬剤師に確認してください。

セレコキシブやソランタールは喘息でも安全な代替薬になる?

セレコキシブ(セレコックス)もソランタールも、日本の添付文書ではアスピリン喘息またはその既往のある人には禁忌とされています(上の表参照)[2][3]。そのため、これらをアスピリン喘息の人への「安全な代替」として勧めることはできません。また、アスピリン喘息でない気管支喘息の人でも、発作を誘発するおそれがあると注意されています[2][3]。

COX-2選択的阻害剤とは、セレコキシブなど、COX-2という酵素を主に抑える種類の薬です。ソランタールはCOX-2選択的阻害剤ではなく、別の種類の消炎鎮痛薬です。

海外の知見として、米国の研究者による2019年の系統的レビュー(一定の基準で複数の研究を集めて検討した研究)が発表されています[4]。このレビューでは、NSAIDsで呼吸器反応が出たことのある人に行われた、COX-2選択的阻害剤(セレコキシブなど複数の薬)の負荷試験を分けて集計しています[4]。753回の負荷試験のうち、反応は1回のみでした[4]。

ただし、症例報告(1人の患者の経過を報告した論文)では、セレコキシブで強い気管支の狭まりを起こした例があります[4]。対象は、コントロール不良(治療をしても症状が十分に抑えられていない状態)の喘息とアスピリン喘息を併せ持つ人でした[4]。この研究の著者ら(米国)は、重症やコントロール不良の喘息では初回投与を遅らせる提案をしています[4]。それでも日本では、添付文書上アスピリン喘息の人へのセレコキシブは禁忌のままです[2]。

院長蒲生

「海外では大丈夫」という話を聞いても、日本での承認内容は別と考えるのが安心です。

セレコキシブやソランタールを出されるときは喘息とアスピリン喘息の既往を必ず伝え、既往があれば飲まずに禁忌に当たらない薬を医師・薬剤師と選んでください。

アセトアミノフェンは喘息の人に使える?注意点は?

アセトアミノフェン(カロナールなど)は、日本の添付文書で喘息は禁忌ではありませんが、注意が必要な解熱鎮痛薬です[5]。喘息の人に向けた注意点が3つあります(2026年8月改訂)[5]。

  • 喘息発作の誘発が、重大な副作用として記載されていること(頻度不明)[5]。
  • 気管支喘息のある人では症状が悪化するおそれ、アスピリン喘息やその既往のある人では悪化や再発を促すおそれがあること[5]。
  • アスピリン喘息やその既往のある人では、1回の最大用量が300mg以下とされていること[5]。

総合感冒剤(いわゆる総合かぜ薬)や、複数の成分を一つにまとめた薬には、アセトアミノフェンが含まれていることがあります。アセトアミノフェンを含むものと併用するとアセトアミノフェンの過量投与(飲みすぎ)となり、重篤な肝障害のおそれがあるため、併用は避けてください[5]。飲む量と回数は、喘息やアスピリン喘息の既往を伝えたうえで医師・薬剤師に確認してください。

院長蒲生

風邪薬と解熱薬の両方を飲むときは、成分の重複がないか一度立ち止まって確認しましょう。

市販薬を買うときは成分表示でアセトアミノフェンの重複を確認し、飲み方に迷ったら薬剤師に尋ねてください。

喘息の人が痛み止めを相談するときに伝えることは?

喘息の人が痛み止めを相談するときは、喘息であること、服薬後の反応、鼻の症状、飲んでいる薬を伝えると安心です。喘息の人(過敏の既往なし)と、NSAIDs過敏・アスピリン喘息の既往がある人とでは、確認するポイントが変わります。次の表を参考に、受診前の準備に使ってください。

確認項目喘息の人(過敏の既往なし)NSAIDs過敏・アスピリン喘息の既往がある人
喘息の診断名必ず伝える必ず伝える
服薬後の反応の履歴あれば伝えるどの薬でどんな症状が出たか具体的に伝える
鼻茸・慢性副鼻腔炎あれば伝える必ず伝える
飲んでいる他の薬・複数の成分をまとめた薬一覧で伝える一覧で伝える
薬の選択医師・薬剤師に相談アスピリン喘息が疑われる人はNSAIDs全般を避けるようGINAが勧めており[1]、使える薬は医師・薬剤師と決める
院長蒲生

「いつ・どの薬で・何が起こったか」を3点セットでメモしておくと、診察で伝え忘れがなくなります。

次の受診や薬局での相談の前に、この表の項目を自分の言葉で書き出して持参してください。

喘息の薬と痛み止めの併用で気をつけることは?

喘息の治療薬そのものを、痛み止めのために自己判断で中止したり減らしたりしないことが大切です。国際的な喘息指針では、吸入ステロイド薬を含む治療を続けることが発作のリスクを下げる基本とされています[1]。

複数の医療機関や市販薬をまたいで痛み止めを使うと、同じ成分の重複が起こりやすくなります。特にアセトアミノフェンの重複は過量投与による重篤な肝障害の原因になり[5]、NSAIDs同士の併用は避けることが望ましいとされています[2][3]。薬局でお薬手帳を見せて、成分の重複がないか確認してもらってください。

喘息の人が新しい薬を飲んだ後にゼーゼーする・息苦しいなどの症状が出たら、服用をやめてすぐに医療機関に連絡・受診してください。主治医から発作時の吸入薬の使い方を書面で指示されていれば、それに従いながら連絡してください[1]。じんましんや、まぶた・唇の腫れが出たときも、服用をやめて夜間でも医療機関に連絡してください。話せない・水が飲めない・横になれない、唇が紫色、意識がぼんやりする場合は、119番通報が必要なサインです[1]。

タイミング家庭で見ること次にすること
新しい薬を飲む前成分名・喘息の有無を確認医師・薬剤師に相談
飲んだ後に呼吸の症状ゼーゼー・息苦しさの程度服用をやめて夜間でも医療機関に連絡・受診。話せない・水が飲めない・横になれない、唇が紫色、意識がぼんやりする場合は119番通報。
複数の薬を併用するとき成分の重複の有無薬局で確認してから飲む
院長蒲生

息苦しさやゼーゼーが出たら様子を見ずに連絡を。薬の名前と時刻は、分かる範囲でメモして持っていけば十分です。

緊急時に慌てないよう、喘息の治療薬と痛み止めをお薬手帳に一緒に記録し、新しい薬をもらうたびに見せてください。

まとめ

  • アスピリンなどのNSAIDsを飲んだ後に喘息が悪化した履歴が、アスピリン喘息を強く疑う手がかりになる[1]。
  • アスピリン喘息はアスピリンに限らずNSAIDsで喘息が悪化する病気で、重症の喘息や鼻茸を合併しやすい[1]。
  • セレコキシブもソランタールも、日本の添付文書ではアスピリン喘息またはその既往に禁忌であり、アスピリン喘息以外の気管支喘息でも発作を誘発するおそれがある[2][3]。海外では反応が少なかったという報告もあるが[4]、国内では禁忌であり[2][3]、安全な代替として扱わない。
  • 新しい痛み止めを飲んだ後にゼーゼー・息苦しさが出たら、服用をやめて夜間でも医療機関に連絡・受診する。話せない・水が飲めない・横になれない、唇が紫色、意識がぼんやりする場合は119番通報。
  • アスピリン喘息が疑われる人はNSAIDs全般を避けるようGINAが勧めており[1]、使える薬は医師・薬剤師と決める。受診時には、喘息の有無、服薬後の反応の履歴、鼻の症状、飲んでいる薬の一覧を伝える。
  • アセトアミノフェンは喘息が禁忌に挙げられていないが、喘息発作の誘発(頻度不明)や症状悪化のおそれがあり、アスピリン喘息では1回300mg以下とされる[5]。アスピリン喘息の既往を伝え、用量と複数の成分をまとめた薬の重複を医師や薬剤師に確認してもらう。

よくある質問

喘息ですが、ロキソプロフェンを昔飲んで大丈夫でした。今後も飲んでよいですか?

過去に問題なく飲めたことは医師が判断する材料の一つになりますが、現在や将来の安全を保証するものではありません。喘息の状態は変化することがあるため、新たに使う前に医師や薬剤師に喘息のことを伝えて相談してください。相談するまでは、自己判断で新たに飲み始めないでください。

アスピリン喘息の人は、セレコキシブなら飲めますか?

日本の添付文書では、セレコキシブもソランタールも、アスピリン喘息またはその既往のある人には禁忌です[2][3]。海外の研究では、NSAIDs過敏の人へのCOX-2選択的阻害剤(COX-2という酵素を主に抑える種類)の負荷試験で反応が少なかったと報告されています[4]。ただし国内では禁忌が定められているため、受診時にアスピリン喘息の既往を必ず伝え、禁忌に当たらない薬を医師・薬剤師と選んでください。

市販の風邪薬と解熱薬を同時に飲んでもよいですか?

総合感冒剤や複数の成分をまとめた薬にはアセトアミノフェンが含まれていることがあります。アセトアミノフェンを含む解熱鎮痛薬と併用すると、アセトアミノフェンの過量投与(飲みすぎ)で重篤な肝障害のおそれがあります[5]。併用する前に成分表示を確認し、含まれている場合は併用を避けてください。喘息があることを伝えたうえで、薬局の薬剤師に成分を確認してもらいましょう。

痛み止めを飲んだ後に息苦しくなったら、どうすればよいですか?

服用をやめて夜間でも医療機関に連絡・受診してください。話せない・水が飲めない・横になれない、唇が紫色、意識がぼんやりする場合は、ためらわず119番通報してください。主治医から発作時の吸入薬の使い方を書面で指示されていれば、それに従いながら連絡してください[1]。自分で再服用して確かめず、どの薬を・いつ・どれだけ飲んだかのメモを持って受診してください。

【免責事項】

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、個々の患者さまの病態や背景によって適切な対応は異なります。

症状にご不安がある場合は、かかりつけ医や専門の医療機関にご相談ください。

参考文献

  1. Global Initiative for Asthma. “2026 Summary Guide for Asthma Management and Prevention.” 2026. https://ginasthma.org/wp-content/uploads/2026/07/GINA-Summary-Guide-2026-WEB-WMS.pdf
  2. PMDA 添付文書. “セレコックス錠 添付文書.” 2025. https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/671450_1149037F1020_2_05
  3. PMDA 添付文書. “ソランタール錠 添付文書.” 2026. https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/171911_1148001F1059_3_09
  4. Li L, Laidlaw T. “Cross-reactivity and tolerability of celecoxib in adult patients with NSAID hypersensitivity.” The journal of allergy and clinical immunology. In practice, 2019. DOI: 10.1016/j.jaip.2019.04.042 PMID: 31100553
  5. PMDA 添付文書. “カロナール錠 添付文書.” 2026. https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/172190_1141007F1063_5_07
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