こんにちは。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / アレルギー専門医・呼吸器専門医)です。
10月も後半になりましたが、まだハチには注意が必要な季節です。福島県(会津保健福祉事務所)の資料では、スズメバチに刺される被害はおおむね7〜11月で、9月ごろに巣が最も大きくなり、攻撃性が高まるとされています[1]。稲刈りのあとの片づけ、庭仕事、山歩きなど、外での作業が多い時期でもあります。
「ハチに刺されました。腫れているけど、救急車を呼ぶべきですか?」
このように迷う方は少なくありません。
結論から申し上げると、刺されたところが腫れて痛いだけなら、まずは冷やして様子を見られることが多いです。ただし、刺されたところ以外に症状が出たら急いで受診し、息苦しさ・声のかすれ・ぐったりなどがあれば迷わず119番です。
本記事では、ハチに刺されたときのその場の対処と、腫れとアナフィラキシーの見分け方をまず解説します。あわせて「2回目が危ない」の正確な意味、エピペンを使うタイミング、刺されやすい仕事の方の備えと検査を、アレルギー専門医の立場からざっくり整理します。
【結論】ハチに刺されて119番を呼ぶのは?アナフィラキシーのサイン
息苦しさなどの呼吸の症状、顔色・脈・意識の異常、強いおなかの症状が1つでも出たら、119番です。これはアナフィラキシー(急に全身に起こる強いアレルギー反応)のサインで、急速に進んで命にかかわることがあります[2]。次のどれか1つでもあれば、夜間・休日でも119番です。
- 【呼吸】
のどや胸が締めつけられる、声がかすれる、犬が吠えるような咳、強い咳込みが続く、ゼーゼーする、息がしにくい - 【顔色・脈・意識】
唇や爪が青白い、脈が弱い・不規則、意識がもうろうとする、ぐったりしている、尿や便をもらす - 【おなか】
くり返し吐き続ける、がまんできないおなかの痛みが続く
上の症状は、日本小児アレルギー学会が、医療の専門家ではない一般の方向けに「エピペン(アドレナリン自己注射薬)を使うべき症状」として示した13の症状です[3]。日本アレルギー学会のガイドライン(専門の学会がまとめた診療の指針)も、同じ考え方です[2]。全身のじんましんなどに、呼吸の症状、血圧の低下、強いおなかの症状のいずれかが加われば、アナフィラキシーの可能性が高いとしています[2]。
ハチのアナフィラキシーは、とにかく進むのが速いのが特徴です。日本でエピペンが使われた例を集めた調査では、ハチに刺されてから5分以内に症状が出た人もいました[2]。英国で亡くなった例を解析した研究では、ハチに刺されてから呼吸や心臓が止まるまでの時間の中央値(真ん中の値)は15分でした[2]。
国の人口動態統計では、ハチに刺されたアナフィラキシーショックで亡くなった方が、2001〜2020年の20年間で371人、毎年11〜26人いました[2]。「ハチに刺されて具合が悪い」は、様子を見る場面ではなく、すぐ動く場面です。
救急車を待つあいだにすること
- エピペンを処方されている方は、ためらわずに太ももの前外側に打つ(服の上からでOK)
- 急に立ち上がったり、座ったりしない(姿勢を変えたとたんに急に悪くなることがあります)
- 原則は横になる。息が苦しいときは上半身を起こした楽な姿勢、意識がないときは横向きに寝かせる
- ひとりにしない。症状が変わったら、そのつど119番の担当者に伝える
姿勢やエピペンを打つ場所は、日本アレルギー学会のガイドラインの初期対応にもとづいています[2]。
院長蒲生「ハチくらいで救急車なんて」とためらう必要はありません。息苦しさや声のかすれ、ぐったりなどが出たら、それは呼んでいい場面です。
ハチに刺されたらその場で何をする?離れる・針・冷やす・エピペン
まずは落ち着いてその場を離れ、針が残っていれば取り除き、刺されたところを冷やします。119番のサインがないことを確かめながら、次の順番で対処してください。
- 【その場を離れる】
近くに巣があるかもしれません。スズメバチは巣に近づくと集団で攻撃してきます[1]。手で払うと逆に攻撃してくるので、急な動きはせず、静かに離れます[1] - 【針を取る】
針が残っていれば、毒の袋をつぶさないように取り除きます。特にミツバチは、毒針の根元の毒袋をつぶさないよう早めに取ります[1] - 【冷やす】
刺されたところを冷たい水で冷やします[1] - 【塗り薬】
虫さされ用の抗ヒスタミン薬(かゆみや腫れを起こす物質をおさえる薬)の塗り薬を使います[1] - 【エピペンを手元に】
エピペンを処方されている方は、すぐ打てるように手元に出しておきます - 【しばらくひとりにならない】
全身の症状は刺されて5分以内に出る人もいます[2]。刺された直後は家族や同僚のそばにいてください
昔から言われる「アンモニアや尿をかける」は効果がなく、かぶれたり、ばい菌が入ったりするので使わないでください[1]。
刺されたのが手や指なら、腫れてくる前に指輪を外しておくと安心です。刺された時刻と、どんなハチだったか(大きさ・色・巣の場所)をメモしておくと、受診のときに役立ちます。



刺された瞬間はびっくりして手で払いたくなりますよね。まずは静かに離れることが、次の一刺しを防ぐことにつながります。
ハチに刺された腫れとアナフィラキシーの違いは?
分かれ目は、症状が「刺されたところ」にとどまるか、「刺されたところ以外」に広がるかです。ハチの毒には、痛み・かゆみ・赤みを起こす成分と、アレルギー反応を起こす成分の両方が入っています[2]。
| 刺されたところの反応(局所の反応) | アナフィラキシー(全身の反応) | |
|---|---|---|
| どこに出るか | 刺されたところとその周り | 刺されたところ以外(全身の皮膚、のど、呼吸、おなか、意識) |
| 主な症状 | 痛み、赤み、腫れ、かゆみ。大きく腫れることもある | 刺されたところ以外のじんましん、まぶたや唇の腫れ。さらに息苦しい、声がかすれる、くり返し吐く、ぐったりする |
| どう動くか | 冷やして様子を見る。腫れや痛みが強いときは数日のうちに外来で相談 | 息苦しさ・声のかすれ・ぐったり・くり返し吐くなどがあれば119番(エピペンがあれば打つ)。刺されたところ以外のじんましんや腫れだけなら、すぐに医療機関を受診(途中で上の症状が出たら119番) |
大きく腫れても、それだけならアナフィラキシーではない
刺されたところが手首から肘まで腫れる、というような大きな腫れ(大きな局所反応)は、見た目は派手でも、それだけならアナフィラキシーではありません。イタリアのアレルギー外来の患者を調べた研究では、このような大きな腫れを2回以上くり返した81人が、合計238回刺されても全身の反応は起きませんでした[4]。
ただし同じ研究では、「大きな腫れが1回だけ」の人は、次に全身の反応が出る可能性を否定できないとしています[4]。それまでの研究では、大きな腫れの後に全身の反応が出る割合は0〜7%と報告されています[4]。
「腫れ」と「じんましん」を見分けるコツ
刺されたところから離れた場所(おなか、背中、顔など)に、かゆい赤いふくらみが出てきたら、それはじんましんで、体全体の反応が始まっているサインです。日本アレルギー学会の重症度の目安でも、皮膚の症状だけでなく、呼吸や血圧、消化器の症状を合わせて重さを判断します[2]。服をめくって、刺されていない場所の皮膚も確かめてください。そのようなじんましんがあれば、息苦しさなどがなくても、すぐに医療機関を受診してください。



腫れの大きさにはびっくりすると思いますが、見るべきなのは「刺されたところ以外」です。服をめくって、全身の皮膚を確かめてみてください。
ハチに刺されたら受診はいつ?119番とアナフィラキシーの線引き
目安は3段階です。アナフィラキシーのサインがあれば119番、それ以外は、すぐに医療機関を受診か、数日のうちに外来で相談、で考えます。
| あてはまる症状 | どうするか |
|---|---|
| 息苦しい・ゼーゼー、のどの締めつけ・声のかすれ、ぐったり・意識がもうろう、唇が青白い、くり返し吐く・強い腹痛が続く | すぐ119番(夜間・休日でも)。エピペンがあれば打つ |
| エピペンを打った(症状が良くなっても) | 119番して医療機関を受診 |
| 刺されたところ以外にじんましんやかゆみが広がる、まぶたや唇が腫れる(息苦しさやのどの症状はない) | すぐに医療機関を受診(夜間・休日は救急外来のある医療機関へ電話で相談)。自分で運転しない |
| 何か所も刺された、口の中やのどの近くを刺された | すぐに医療機関を受診 |
| 刺されたところの腫れや痛みが強く、日常生活に困る。以前にハチで具合が悪くなったことがある | 数日のうちに外来で相談 |
何か所も刺されたときは、アレルギーがなくても毒そのものの量が多くなります。ハチの毒には、血液を壊す成分や神経に働く成分も含まれています[2]。口の中やのどの近くは、腫れると息の通り道がせまくなるおそれがあるので、早めに診てもらうと安心です。
すぐに受診する途中でも、表の上の段の症状が出てきたら、その時点で119番に切り替えてください。



慌てていると、判断に迷いますよね。119番のサインがあるか迷ったら、119番で大丈夫です。じんましんだけのときも、すぐに医療機関へ向かってください。
ハチは「2回目が危ない」って本当?アナフィラキシーが起こる仕組み
そう言われるのは、前に刺されたことで体がハチの毒に反応する準備をし、次にアナフィラキシーを起こす人がいるためです。ただし、正確には「2回目」という回数で決まるわけではありません。
1回目で「準備」ができ、次に刺されたときに反応する
ハチに刺されると、人によっては、ハチの毒に対するIgE抗体(アイジーイーこうたい:アレルギー反応の引き金になるたんぱく質)が体の中でつくられます。これを感作(かんさ)といいます。感作された人が次に刺されると、毒にIgE抗体が反応して、アナフィラキシーが起こることがあります[2]。福島県の資料でも、刺された経験のある人は抗体ができている場合があるとして注意をよびかけています[1]。
イタリアの病院で、初めてハチで全身の反応を起こした120人を調べた研究では、71人が、その前の2か月以内に刺されて何ともなかった人でした[5]。健康な100人では、2か月以内に続けて刺された人は4人だけでした[5]。「前回は何ともなかった」は、次も大丈夫という意味ではないということです。
いちばん注意が必要なのは「前に全身の症状が出た人」
米国で、ハチなどに刺されてアレルギー反応が出たと診断された子ども1,033人のうち、回答した512人を平均18年後に調べた研究があります[6]。中等症〜重症の反応を起こしたことがあり、ハチ毒の免疫療法(めんえきりょうほう:毒を少量ずつ注射して体を慣らす治療)を受けなかった人がいました[6]。その人たちでは、再び刺されたとき22人中7人(32%)に全身の反応が出ました[6]。同じく中等症〜重症の反応を起こしたことがあり、免疫療法を受けた人では、43人中2人(5%)でした[6]。これらの研究の対象は、アレルギー外来を受診した人や子どもです。日本の大人にそのまま当てはまるとは限りません。
つまり、正確には次のように覚えておくのがおすすめです。
- 1回目でも、前回何ともなかった人でも、全身の反応は起こりうる
- 前に全身の症状(じんましんが全身に出た、息苦しくなった等)が出た人は、次に刺されたときのリスクが高い
- 刺されたところの大きな腫れだけをくり返している人は、全身の反応は起きにくい[4]



「2回目」という回数より、「前に刺されたとき、刺されたところ以外に症状が出たか」を思い出してみてください。
エピペン(アドレナリン自己注射薬)とは?ハチアレルギーでの位置づけ
アナフィラキシーが起きたとき、救急車が来るまでのあいだに自分や家族が太ももに打つ薬がエピペンです[7]。アドレナリンは、血圧を上げ、気管支を広げて呼吸を楽にする薬で、アナフィラキシーの治療の第一選択(最初に使う薬)です[2]。
- 【対象】
ハチの毒、食べもの、薬などでアナフィラキシーを起こしたことがある人、または起こす危険性が高い人に処方されます[7] - 【量】
大人は通常0.3mg、子どもは体重に応じて0.15mgか0.3mgを使います[7] - 【打つ場所】
太ももの前外側だけに打ちます。緊急時は服の上からでも打てます[2,7] - 【1本1回】
一度打つと、同じ1本では二度目は打てない構造です[7] - 【打った後】
医療機関での治療に代わるものではないので、打ったら必ず119番して受診します[7]
日本アレルギー学会のガイドラインには、エピペンを使った人の調査で、82.2%で症状が改善したというデータがのっています[2]。副作用などの有害事象は3.7%で、アドレナリンによる副作用が出た人も、全員が回復していました[2]。一方で、アドレナリンの使用が遅れると、死亡のリスクが高まるとされています[2]。
エピペンを使うタイミングは?
アナフィラキシーを疑い、さきほどの119番のサイン(呼吸・顔色や脈や意識・おなか)が1つでもあれば、ためらわず打ちます[3]。PMDA(医薬品医療機器総合機構:薬の安全性を審査・監視する国の機関)の患者向けの説明書でも、医師から説明された症状を感じたら、すみやかに使うようにとされています[7]。
日本小児アレルギー学会は、一般の方向けに「この症状が1つでもあれば使用すべき」と示しています[3]。「もう少し様子を見てから」と待つための目安ではありません。打ったら、すぐ119番です。
打ったあとも、病院へ行く理由
いったん良くなっても、数時間後にもう一度症状が出ることがあります。これを二相性反応(にそうせいはんのう)といい、大人のアナフィラキシーの最大23%で起こり、その約半数は6〜12時間以内に出ます[2]。エピペンで楽になっても、必ず医療機関で経過を見てもらってください。



エピペンは「打つべきか」と迷っているうちに時間がたってしまいがちです。打つ症状を、ふだんから家族と一緒に確認しておくと安心です。
林業・農業・養蜂などハチに刺されやすい方のエピペンと備えは?
ハチに刺されやすい仕事では、刺されない工夫と、いざというときにすぐ動ける準備の両方が大切です。日本アレルギー学会のガイドラインでは、ハチ毒アレルギーは、仕事が原因で起こるアナフィラキシーの代表とされています[2]。
- スズメバチ・アシナガバチ:林業・農業、ゴルフ場、建設業、造園業などで多い[2]
- ミツバチ:イチゴ農家、養蜂業者に多い[2]
日本の林業で働く999人と、比べるために同じ地域の事務職365人などを対象に、2009年にアンケートと血液検査を行った研究があります[8]。ハチで全身の反応を経験した人は、林業では21.0%で、事務職の10.7%より多い結果でした[8]。スズメバチの毒に対するIgE抗体を持っている人も、林業では42.4%、事務職では15.1%でした[8]。
刺されない工夫
- 黒っぽい服を避け、白っぽい服を選ぶ。帽子で髪をおおう[1]
- 香水、ヘアスプレーなど香りの強いものは避ける[1]
- ハチが近づいても、手で払わず、急な動きをしない[1]
- 巣を見つけても近づかない。駆除は専門の業者に頼む[1]
刺されたときに動ける準備
- エピペンを処方されている方は、作業中も必ず身につけておく
- エピペンは15〜30℃で保管します。夏の車の中など、高温や日光の当たる場所に置きっぱなしにしない[7]
- 使用期限を確認し、期限が切れる前に新しいものを処方してもらう[7]
- 一緒に働く人に、エピペンの場所と打ち方、119番のサインを伝えておく
- 携帯電話を持って作業する[2]。できるだけひとりで作業しない
血圧の薬(β遮断薬〈ベータしゃだんやく〉、ACE阻害薬〈エースそがいやく〉)や痛み止めの一部は、アナフィラキシーを重くする要因として挙げられています[2]。これらを飲んでいる方は、自己判断でやめず、処方している医師に「ハチに刺されやすい仕事をしている」と伝えてください。また、仕事中のハチ刺されによるアナフィラキシーは、労災の対象になることがあります[2]。



作業着のポケットなど、エピペンを入れる場所を決めておくと、持ち忘れを防げます。一緒に働く人にも場所を伝えておきましょう。
ハチアレルギーの検査は?アナフィラキシーの原因を血液検査で
アナフィラキシーの原因を調べるときは、症状の経過を確認したうえで、血液検査でハチの毒に対するIgE抗体(特異的IgE抗体)を調べます[2]。日本アレルギー学会のガイドラインでは、原因を確かめる方法として、アレルギー専門医の受診、血液検査、皮膚テスト(ひふテスト:皮膚で反応を見る検査)を挙げています[2]。
- スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチなど、ハチの種類ごとに調べられる
- 上の林業の研究で比べた事務職の人でも、スズメバチの毒への抗体が15.1%で陽性だった[8]
- 抗体が陽性でも、それだけで全身の反応が起きるとは限らない。そのため、結果は「前に刺されたときどんな症状が出たか」と合わせて判断する
福島県の資料でも、ハチに接する機会の多い方は、抗体の検査や救急処置について医師に相談しておくようすすめています[1]。
ハチ毒の免疫療法は?
ハチ毒の免疫療法は、有効性が高く、国際的には標準的な治療とされています[2]。ただし、国や医療機関によって方針は異なります。米国の研究でも、免疫療法を受けた子どもは、治療を終えて10〜20年たっても全身の反応が少ない結果でした[6]。なお、ガイドライン2022では、日本ではハチ毒の免疫療法に保険が適用されていないとされています[2]。
日本で備えの中心になるのは、刺されない工夫と、エピペンの準備です。



検査の結果は、前に刺されたときの症状と合わせて見ます。そのときの様子を、思い出せる範囲で書き留めておくと役立ちます。
ハチに刺されたときの相談先と当院の診療時間
症状の重さで、相談先は変わります。119番のサインがあれば119番、刺されたところ以外の症状があればすぐ医療機関へ。腫れだけで迷うときや、次の備えの相談は外来で受けられます。
当院のアレルギー科では、ハチアレルギーの診療と、エピペンの処方・使い方の指導を行っています。当院の診療時間は、下の表のとおりです。
| 曜日 | 時間 |
|---|---|
| 月・火・水・金・土 | 9:00〜12:00/14:00〜18:00 |
| 日曜・祝日(2026年10月4日から) | 10:00〜15:00(昼休みなし・発熱外来のみ) |
| 木曜 | 休診 |
木曜は休診です。日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。日曜・祝日の発熱外来については、日曜・祝日の発熱外来のお知らせをご覧ください。
なお、119番のサイン(息苦しさ、声のかすれ、ぐったりなど)があるときは、来院を待たずに119番を呼んでください。
受診のときに伝えること・持ち物
- いつ、体のどこを、何回刺されたか
- どんなハチだったか(大きさ・色・巣の場所。写真があれば)
- 刺されたあとに出た症状と、その時刻(腫れていたときの写真も)
- 前にもハチに刺されたことがあるか、そのときどんな症状が出たか
- お仕事の内容(林業・農業・養蜂など)
- マイナ保険証または資格確認書、お薬手帳(ふだん飲んでいる薬が分かるもの)



「前にハチに刺されたとき、どこに、どんな症状が出たか」は、大事な手がかりです。思い出せる範囲でメモしておくと役立ちます。
よくある質問(FAQ)
- ハチに刺された翌日、腕がパンパンに腫れました。アナフィラキシーですか?
-
刺されたところとその周りが大きく腫れているだけなら、アナフィラキシーとは考えにくいです。息苦しさやのどの症状、全身のじんましん、ぐったりなどがなければ、大きな局所反応と考えられます。冷やして様子を見て、腫れや痛みで日常生活に困るときは、数日のうちに外来でご相談ください。ただし、刺されたところ以外にじんましんが出たときは、息苦しさがなくても、すぐに医療機関を受診してください。
- 前にハチに刺されたときは何ともありませんでした。次も大丈夫ですか?
-
「前回は何ともなかった」は、次も大丈夫という意味ではありません。イタリアの研究では、初めて全身の反応を起こした人の多くが、直前の2か月以内に刺されて何ともなかった人でした[5]。刺されたら、刺されたところ以外の症状が出ないか、しばらく注意してください。
- エピペンを打って楽になりました。それでも救急車を呼ぶ必要がありますか?
-
はい、必ず119番して受診してください。エピペンは医療機関での治療に代わるものではありません[7]。数時間後にもう一度症状が出る二相性反応が、大人のアナフィラキシーの最大23%で起こるとされています[2]。
- 子どもがハチに刺されたときも、119番のサインは同じですか?
-
はい、同じです。のどや胸の締めつけ、声のかすれ、ゼーゼーする、くり返し吐く、ぐったりするなどが1つでもあれば119番です[3]。エピペンは、子どもには体重に応じて0.15mgか0.3mgが処方されます[7]。
- 家にハチの巣がありました。自分で取ってもいいですか?
-
スズメバチは巣に近づくと集団で攻撃してくるので、自分で駆除するのはとても危険です[1]。むやみに近づかず、専門の業者に依頼してください[1]。特に、前にハチで具合が悪くなったことのある方は、決して近づかないでください。
まとめ【ハチに刺されたら「刺されたところ以外」を見る】
- 刺されたら、静かに離れる・針を取る・冷やす。アンモニアや尿はかけない
- 刺されたところが大きく腫れても、それだけならアナフィラキシーではありません
- 刺されたところ以外にじんましんが出たら、息苦しさがなくても、すぐに医療機関を受診
- 息苦しさ、声のかすれ、ぐったり、くり返し吐くなどが1つでもあれば、すぐ119番
- 「2回目が危ない」は回数ではなく、感作された人が次に刺されたときに起こりうるという意味
- エピペンは、119番のサインが1つでもあれば打ち、打ったら必ず119番して受診
- ハチに刺されやすい仕事の方は、刺されない工夫とエピペンの準備、血液検査の相談を
ハチに刺されると、痛みと腫れでまず驚いてしまいます。それでも、見るべきは「刺されたところ以外」に症状が出ていないか、です。そこだけしっかり押さえて、あとの治療は私達におまかせください。
以上
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
参考文献
- 福島県 会津保健福祉事務所. ハチによる刺傷防止のお知らせ(2018年7月17日更新). 福島県ホームページ. 参照 2026年10月. https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21140a/hachi.html
- 日本アレルギー学会 Anaphylaxis対策委員会. アナフィラキシーガイドライン2022. 日本アレルギー学会. 2022. https://www.jsaweb.jp/uploads/files/Web_AnaGL_2023_0301.pdf
- 日本小児アレルギー学会 アナフィラキシー対応ワーキンググループ. 一般向けエピペン®の適応. 日本小児アレルギー学会. 2013. https://www.jspaci.jp/gcontents/epipen/
- Pucci S, D’Alò S, De Pasquale T, et al. Risk of anaphylaxis in patients with large local reactions to hymenoptera stings: a retrospective and prospective study. Clinical and Molecular Allergy. 2015. doi:10.1186/s12948-015-0030-z PMID: 26557045
- Pucci S, Antonicelli L, Bilò MB, et al. Shortness of interval between two stings as risk factor for developing Hymenoptera venom allergy. Allergy. 1994. doi:10.1111/j.1398-9995.1994.tb00796.x PMID: 7710003
- Golden DB, Kagey-Sobotka A, Norman PS, et al. Outcomes of allergy to insect stings in children, with and without venom immunotherapy. The New England Journal of Medicine. 2004. doi:10.1056/NEJMoa022952 PMID: 15306668
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA). 患者向医薬品ガイド エピペン注射液0.15mg/エピペン注射液0.3mg(2024年7月更新). PMDA. 2024. https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/671450_2451402G2020_4_00G.pdf
- Hayashi Y, Hirata H, Watanabe M, et al. Epidemiologic investigation of hornet and paper wasp stings in forest workers and electrical facility field workers in Japan. Allergology International. 2014. doi:10.2332/allergolint.13-OA-0556 PMID: 24270224
ハチ刺され・アレルギーのときにあわせて読みたい記事








