お急ぎの方へ
呼びかけへの反応がおかしい、急な息切れや呼吸の苦しさがある場合は119番。詳しい症状の一覧は「119番・受診の目安」をご確認ください。
こんばんは。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。
冬が近づくと、寒い部屋にいるわけでもないのに、急にゾクゾクすることがあります。布団に入っても歯がカチカチ鳴り、体がガタガタふるえると、驚くことと思います。
結論から申し上げると、寒気は熱が上がるサインになることがありますが、強いふるえには細菌感染症が隠れていることがあります。このような強い寒気と、自分で止めにくい体のふるえを、悪寒戦慄(おかんせんりつ)といいます。体温が高くなるまで待たず、呼吸と意識、一緒に出ている症状を確認してください。
本記事では、大人の悪寒戦慄を中心に、すぐ受診すべき組み合わせと家での温め方を解説します。
2026年10月4日から、日曜・祝日も発熱外来を行っています
診療時間は10時〜15時(昼休みなし)です。当日チェックインで受け付けます。PCR(ウイルスなどの遺伝子を調べる検査)は当日中に結果をお伝えします。日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。診療日と休診日はカレンダーをご確認ください。

悪寒戦慄はなぜ起こる?熱が上がるサイン
体が熱をつくろうとして筋肉を細かく動かすと、ふるえが起こります[1]。
感染症などで体が目指す温度が上がると、今の体温でも「寒い」と感じます。手足から熱を逃がしにくくし、筋肉をふるわせて体温を上げようとするためです。ざっくり言えば、体の中の温度設定が上がった状態です。
単にゾクゾクする寒気と、目で見て分かる強いふるえは分けて伝えると役立ちます。悪寒戦慄は感染症の始まりに現れることがあり、測った時点で高熱でなくても注意が必要です[1]。
寒気があるときも、呼びかけへの反応を確認しましょう。寒気とけいれんの見分け方は、後半の「よくある質問」で説明します。
院長蒲生「寒いだけ」なのか「体が勝手にガタガタ動く」のか。この違いを、そのままの言葉で伝えればOKです。
悪寒戦慄があれば細菌感染症なの?
ふるえだけで原因は決まりませんが、強いふるえは細菌感染症を疑う手がかりです[1][3]。
特に注意するのは、菌血症(きんけつしょう:血液の中に細菌がいる状態)です。また、敗血症(はいけつしょう:感染症への体の反応が乱れ、臓器の働きが損なわれる危険な状態)にも注意します[4]。菌血症と敗血症は同じ意味ではありません。
研究では、ふるえがなくても見逃せない
日本の研究チームは、系統的レビュー(けいとうてきレビュー:研究を決まった手順で集めて検討する方法)を行いました。さらに、メタ解析(メタかいせき:複数の研究の数値を統合して分析する方法)で結果をまとめました[3]。
血液培養(けつえきばいよう:血液中の細菌を増やして調べる検査)を受けた成人が対象です[3]。2024年に発表されたこの研究は、菌血症が疑われた人について調べています。日本を含む複数の国の、救急外来や病棟などで行われた研究をまとめています[3]。医療機関で菌血症が疑われた成人の結果であり、日本の一般家庭だけを調べた結果ではありません。
対象は19研究、計14,641人でした[3]。菌血症ありと判定された人のうち、強いふるえがみられた割合は37%でした(95%信頼区間:29〜45%)[3]。95%信頼区間は、本当の値がおそらく入る幅のことです。菌血症なしと判定された人のうち、強いふるえがなかった割合は87%でした(同83〜90%)[3]。
つまり、強いふるえは検査や早い治療を考える材料になります。ただし、ふるえがなくても菌血症は否定できません。「ふるえた人の87%が菌血症」という意味ではありません[3]。
研究ごとに患者の選び方が異なるため、結果の当てはめ方には注意が必要です[3]。これらの割合は研究集団の参考値であり、ご自身が菌血症である確率そのものではありません。強いふるえが出たときの対応は、「119番・受診の目安」にまとめています。



ふるえの有無だけでなく、一緒に出た症状も判断の手がかりになります。
悪寒戦慄と腰・背中の痛みは腎盂腎炎?
強いふるえに腰・背中・脇腹の痛みが重なるときは、腎臓の感染症を疑い、早急に受診してください[1][5]。
腎盂腎炎(じんうじんえん:細菌が腎臓に感染して炎症を起こす病気)は、尿の通り道の感染症です。膀胱(ぼうこう:尿をためる袋)から細菌がさかのぼって起こることがあります[5]。
- 寒気や発熱に加えて、腰・背中・脇腹が痛い
- 尿を出すと痛い、何度もトイレに行く、出し切れない感じがする
- 吐き気や嘔吐(おうと:吐くこと)があり、水分がとりにくい
尿の症状を自覚しない場合もあるため、「排尿痛がないから大丈夫」とは判断できません[5]。尿路結石(にょうろけっせき:尿の通り道にできる石)や糖尿病がある方は、そのことも伝えてください。
この組み合わせでは、泌尿器科または内科へ今すぐ連絡し、早急に受診してください。夜間は救急外来を利用し、翌朝まで待たないでください。ただし、119番のサインがあれば救急要請を優先してください[2]。
男性では、尿の症状と発熱から前立腺炎(ぜんりつせんえん:前立腺に炎症が起こる病気)を考えることもあります。性別で自己判断せず、排尿の変化を診察で伝えましょう[5]。



背中の痛みを「寝違えたのかな」で片づけず、寒気や尿の変化とセットで覚えておきましょう。
悪寒戦慄と腹痛・黄疸は胆管炎?
右上のおなかの痛みや、白目・皮膚の黄色い変化を伴うときは、早急に受診してください[6][7]。
黄疸(おうだん)は、白目や皮膚が黄色くなる状態です。胆管炎(たんかんえん)は、肝臓でつくられる胆汁(たんじゅう:消化を助ける液)の通り道に感染が起きる病気です。石などで胆汁の流れが悪くなると、細菌感染が起こることがあります[6]。
発熱、右上のおなかの痛み、黄疸が手がかりになります。ただし、症状が全部そろうまで待つ必要はありません。胆石や胆管の治療歴も、診断の手がかりになります[7]。受診時には、過去の治療についても伝えてください。
腹痛や黄疸を伴う場合は、消化器内科のある病院などへ早急に受診してください。夜間は救急外来へ向かってください。ただし、119番のサインがあれば救急要請を優先してください[2]。
胆管炎は抗菌薬(こうきんやく:細菌を退治する薬)のほかに、詰まった胆汁を流す処置が必要になることがあります。解熱薬で熱が下がっても、腹痛や黄疸があれば早急に受診してください。



白目の色やおなかの痛み、過去の胆石の治療も手がかりです。寒気とは別の話に見えても、つながることがあります。
悪寒戦慄で119番?すぐ受診?組み合わせで判断
次のいずれかがある場合は、119番へ連絡してください[2]。
- 呼びかけへの反応がおかしい、意識がはっきりしない
- 急な息切れ、呼吸が苦しい、顔色が明らかに悪い
- 支えなしで立てないぐらい急にふらつく
- 突然の激しい腹痛、激しい腹痛が続く、突然の激しい胸・背中の痛み
- けいれんが止まらない、止まっても意識が戻らない
これらは厚生労働省の救急要請の案内に沿った目安です[2]。胸の痛みは肺の感染症だけでなく、心臓や血管の病気でも起こります。
次の表は、受診先を考えるための一般的な目安です。上の119番のサインがある場合は、表の受診先より救急要請を優先してください。
| 一緒にある症状・状況 | 受診先とタイミング |
|---|---|
| 腰・背中・脇腹の痛み、尿を出すと痛い | 泌尿器科・内科へ早急に受診。夜間は救急外来へ |
| 右上のおなかの痛み、白目や皮膚が黄色い | 消化器内科のある病院などへ早急に受診。夜間は救急外来へ |
| 吐いて飲めない、尿が著しく減った | 医療機関へ早急に受診。夜間は救急外来へ |
| 強いふるえが出たが、上記の症状はなく会話・呼吸は普段どおり | 治まっても早めに医療機関へ連絡し、受診の必要性と時機を相談する。強いふるえがあったことも伝える |
重い症状があれば、解熱薬の効果や診療開始時刻を待たないでください。安全に運転できない体調のときは、自分で運転しないでください。
妊娠中、高齢の方、免疫の働きが弱っている方は、敗血症の危険が高いとされています[4]。米国の患者向け情報では、抗がん剤治療や免疫を抑える治療を受けている方の発熱は、医療機関へ連絡する目安です[8]。国や医療機関によって方針が異なります。こうした方は、寒気などの体調変化を早めに治療先へ相談してください。治療中の病院から連絡の基準を渡されている場合は、その指示を優先してください。



受診先を考える前に、まず会話と呼吸を確認しましょう。体温の数字だけを見ていると、ほかの変化を見落としがちです。
寒気がするときは温める?冷やす?
薄い掛け物で寒さを楽にし、暑くなったら外して、温めすぎないことが大切です[8]。
米国国立医学図書館の患者向け情報でも、厚着を避け、軽い衣服や薄い毛布で調整するよう案内しています[8]。家でのケアはつらさを和らげる方法です。受診が必要なサインがある場合は、準備と並行して行ってください。
- 寒くてふるえる間:薄い毛布などを軽く掛け、室温を心地よく調整する
- 暑くなったら:余分な掛け物や上着を外し、汗でぬれた衣服を着替える
- 水分:意識がはっきりして飲み込めるなら、水などを少しずつ飲む
- 避けること:厚い布団を重ねて汗を出そうとする、氷水で体を冷やす
「汗をかけば治る」と無理に温め続ける必要はありません。冷たい水で無理に冷やすと、かえってふるえが強くなることがあります[1][8]。
生活上の工夫として、飲み物は無理なく持てる容器に用意しましょう。手がふるえて持ちにくいときは、周りの人に手伝ってもらってください。
解熱薬は、処方時の指示や市販薬の表示に沿って使用してください。薬で熱が下がったことだけを理由に、必要な受診を取りやめないでください。



温める目的は、汗を絞り出すことではなく寒さを楽にすることです。暑くなったら掛け物を減らしましょう。
悪寒戦慄の受診で何を伝える?検査と治療
始まった時刻、ふるえの強さ、痛む場所、飲んだ薬を伝えると役立ちます。
- いつ始まり、どれくらい続いたか。何度も繰り返すか
- 寒く感じるだけか、歯が鳴る・体がガタガタ動くほどか
- 測った体温と時刻。解熱薬を飲んだ時刻と薬の名前
- 腰・背中・おなかの痛み、尿の変化、咳、息苦しさの有無
- 水分が飲めるか、尿が普段どおり出ているか
- 持病、妊娠、使用中の薬、尿路結石や胆管の治療歴
医療機関では診察に加え、症状に応じて尿や血液の検査、画像検査などで感染の場所を調べます[1][5][7]。血液培養を行い、原因の細菌を確かめることもあります[1][3]。
医師が必要と判断した抗菌薬は、出された分を守って飲み切ってください。家に残っている抗菌薬を自己判断で飲むことは避けましょう。腎盂腎炎で食欲不振、脱水、全身のだるさなどが強い場合は、入院・点滴治療が必要になることがあります[5]。



診察のときにふるえが止まっていても、起きたときの様子は大事です。覚えている範囲を言葉で伝えれば十分役立ちます。
寒気・発熱で当院を受診するには?
事前問診は任意です。来院時は、発熱外来入口のQRコードで当日チェックインをしてください。
当院は、発熱外来の受診をお断りしない方針です。
| 曜日 | 時間 |
|---|---|
| 月・火・水・金・土 | 9:00〜12:00/14:00〜18:00 |
| 日曜・祝日(2026年10月4日から) | 10:00〜15:00(昼休みなし・発熱外来のみ) |
| 木曜 | 休診 |
受診の手順は発熱外来の事前問診・当日チェックインをご確認ください。日曜・祝日の診療日と休診日は、カレンダーをご確認ください。


今すぐの受診が必要な症状では、当院が開くまで待たず、救急外来などをご利用ください。119番のサインがある場合は、チェックインより救急要請を優先してください。
悪寒戦慄・寒気のよくある質問
- まだ熱が高くありません。ふるえだけなら待ってよいですか?
-
熱が上がる途中では、強いふるえが先に出ることがあります。高熱になるまで待たず、「119番・受診の目安」に沿って対応してください。
- 悪寒戦慄が治まれば、細菌感染症の心配はなくなりますか?
-
ふるえが治まったことだけでは、原因の感染症まで治ったとは判断できません。診察時にふるえていなくても、強さや続いた時間を伝えてください。腰の痛みや尿の変化、腹痛、黄疸があれば、その情報も大切です。
- 尿を出すときに痛くなければ、腎盂腎炎ではありませんか?
-
腎盂腎炎では、尿を出すときの痛みや、何度もトイレに行く症状がないこともあります。寒気や発熱とともに腰・背中・脇腹が痛む場合は、尿の症状がなくても早急に受診してください。夜間は救急外来を利用してください。吐き気や水分のとれ方も伝えましょう[5]。
- 寒気があるとき、布団を重ねて汗を出すほうがよいですか?
-
汗を出すことを目標にする必要はありません。薄い掛け物で寒さを和らげ、暑くなったら余分な掛け物を外しましょう。厚着や強い冷却を避けることが大切です。温め方の調整と、必要な受診の準備を並行してください[8]。
- 悪寒戦慄とけいれんは、家で区別できますか?
-
寒気でふるえていても、呼びかけに普通に答えられることはあります。ただし、見た目だけで確実に区別しようとしないでください。反応がおかしい、けいれんが止まらない、意識が戻らない場合は119番です[2]。
まとめ【悪寒戦慄は熱以外の症状も確認】
悪寒戦慄は、熱が上がるサインと、感染症を調べる手がかりの両方になります。
- 119番のサインがあれば、診療開始や解熱薬の効果を待たず救急要請を優先する
- 腰・背中・脇腹の痛み、尿の変化、腹痛・黄疸を伴う場合は早急に受診。夜間は救急外来へ。
- 強いふるえが治まっても、早めに医療機関へ相談する。
- 薄い掛け物で寒さを和らげ、暑くなったら調整。厚着で汗を出そうとしない
- ふるえの始まった時刻・強さと、一緒に出た症状を伝える
体温の数字だけでなく、いつもと違う様子を見つけることが早い治療につながります。
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
以上
参考文献
- 米国国立医学図書館 MedlinePlus. Chills. Medical Encyclopedia. 参照2026年10月28日. https://medlineplus.gov/ency/article/003091.htm
- 厚生労働省. こんな時は迷わず119へ. 上手な医療のかかり方. 参照2026年10月28日. https://kakarikata.mhlw.go.jp/kakaritsuke/urgency.html
- Aita T, Nakagawa H, Takahashi S, et al. Utility of shaking chills as a diagnostic sign for bacteremia in adults: a systematic review and meta-analysis. BMC medicine. 2024. doi:10.1186/s12916-024-03467-z PMID: 38863066
- 米国国立医学図書館 MedlinePlus. Sepsis. Health Topics. 参照2026年10月28日. https://medlineplus.gov/sepsis.html
- 日本泌尿器科学会. 排尿症状を伴う発熱がある. 一般のみなさま向け情報. 参照2026年10月28日. https://www.urol.or.jp/public/symptom/22.html
- 日本大学医学部附属板橋病院. 胆管炎. 医療情報検索. 参照2026年10月28日. https://www.itabashi.med.nihon-u.ac.jp/search/term/202
- 日本肝胆膵外科学会掲載資料. 3. 急性胆管炎フローチャート. TG18関連資料. 参照2026年10月28日. https://www.jshbps.jp/uploads/files/en/tg18/wm3.pdf
- 米国国立医学図書館 MedlinePlus. Fever. Medical Encyclopedia. 参照2026年10月28日. https://medlineplus.gov/ency/article/003090.htm
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