お急ぎの方へ
- お子さんの熱が続き、せきや鼻水など原因がはっきりしないときは、尿路感染症(おしっこの通り道の細菌感染)を考えて尿を調べる
- 呼びかけに反応しない、けいれん、息が苦しそうなときは119番。生後3か月未満の発熱や、吐いて飲めないときは、夜間でも救急外来へ
- 診断がついたら抗菌薬を早めに始めて、出された分は最後まで飲み切る。初回のあとは超音波検査などを医師と相談する
こんばんは。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。
お子さんに熱が出て、せきも鼻水もなく、のども赤くない。それなのに熱だけが続くと、とても心配になりますよね。そのとき、よく耳にするのが
「熱以外に、これといった症状がないんです。原因が分からなくて不安です」
という保護者の方の言葉です。実は、この「熱だけ」の状態は、尿路感染症(にょうろかんせんしょう:尿の通り道に細菌が入る病気)を考えるきっかけになります。
結論から申し上げると、小児の原因がはっきりしない発熱では、尿路感染症が隠れていることがあり、尿の検査で調べます。小さな子は「おしっこのとき痛い」と言えないため、熱だけで見つかることがあるからです。
本記事では、頻度、尿の取り方と検査、治療、初めての熱のあとの画像検査、119番と救急外来の線引き、再発のときに見ることを、呼吸器専門医の立場から解説します。
その前に、日曜・祝日の発熱外来のご案内です。インフルエンザやコロナのPCR検査(ピーシーアール検査:ウイルスの遺伝子を増やして見つける検査)は、当日中に結果が分かります。
2026年10月4日から、日曜・祝日も発熱外来を行っています
10時〜15時(昼休みなし)。当日チェックインで受け付けます。PCR検査は当日中に結果をお伝えします。日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。診療日と休診日はカレンダーをご確認ください。日曜・祝日の発熱外来のお知らせ

【結論】小児の原因不明の発熱は、尿路感染症も考えて「尿の検査」で調べる
お子さんの熱が続くとき、まず次の3つを確かめてください。
- 【熱の経過】
せき・鼻水・下痢など、熱以外の症状があるか。熱だけが続いていないか - 【おしっこ】
回数、におい、色、おしっこのときに痛がったり泣いたりしないか - 【全身の様子】
水分がとれているか、呼びかけに反応するか、ぐったりしていないか
3つめの全身の様子が明らかにおかしいときは、熱の高さにかかわらず急ぎます。くわしい線引きは、下の「受診を急ぐサイン」の章にまとめました。
つらそうなときは、アセトアミノフェン(カロナールなど)で熱を下げることができます。使い方は医師の指示どおりにしてください。熱が下がっても原因は残るので、ぜひ受診してご相談ください。
院長蒲生解熱剤で楽になっても、熱の原因はまだ残っています。そこを確かめるのが大事なんですね。
熱のある乳児で、尿路感染症はどのくらいあるの?
発熱のある乳児を集めた研究をまとめると、約7%(100人に7人ほど)に尿路感染症がみつかっています[1]。
尿路感染症は、腎臓・尿管・膀胱(ぼうこう)・尿道という尿の通り道に、細菌が入って起こります。欧州の泌尿器科の学会によるガイドラインの要約では、子どもで最も多い細菌感染症とされています[2]。
米国小児科学会(AAP)は2011年に、熱のある生後2〜24か月の子の最初の尿路感染症について、診断と管理のガイドライン(診療の手引き)を公表しました[3]。
年齢と性別で、割合は大きく変わる
同じ研究のまとめでは、発熱のある乳児の尿路感染症の割合は、年齢と性別で次のように違いました[1]。
| 発熱のある乳児 | 尿路感染症の割合 |
|---|---|
| 女児 生後0〜3か月 | 7.5% |
| 女児 生後3〜6か月 | 5.7% |
| 女児 生後6〜12か月 | 8.3% |
| 女児 12か月より上 | 2.1% |
| 男児 生後3か月未満(包皮を切除していない) | 20.1% |
| 男児 生後3か月未満(包皮を切除している) | 2.4% |
海外の研究をまとめた数字で、研究全体の平均です。日本のお子さん一人ひとりの確率ではありません[1]。それでも、小さな乳児ほど注意が必要なことは分かります。
尿路感染症のうち、腎臓まで細菌が及んだものを腎盂腎炎(じんうじんえん)といいます。おとなの場合は、大人の腎盂腎炎(発熱と背中・腰の痛み)で解説しています。



ウイルス感染で熱だけが先に出る病気もたくさんあります。「熱だけ」のときに尿を調べるのは、見落としたくない原因の一つを確かめるためです。
尿路感染症は、どうやって調べるの?尿の取り方で結果が変わる
診断には、尿の検査(尿検査と尿培養)が欠かせません。AAPのガイドライン(生後2〜24か月の発熱した子どもが対象)では、膿尿(のうにょう:尿に白血球が増えた状態)と、正しく採った尿で1種類の菌が1mLあたり5万個以上の両方がそろうことで診断するとされています[3]。
欧州のガイドラインの要約では、試験紙(ディップスティック)で陽性だったときは、顕微鏡での尿検査をすることが勧められています[2]。
尿の取り方は4種類
尿の取り方には、採尿バッグ、清潔採尿、カテーテル、恥骨上穿刺(ちこつじょうせんし)があり、それぞれ長所と短所があります[2]。
2歳未満の子の尿培養を調べた病院の研究では、皮膚などの菌が混ざる「汚染」は、清潔採尿で26%、カテーテルで12%、恥骨上穿刺で1%でした[4]。この研究では、袋で採った尿は全体の2%と少なく、袋で採った尿の汚染率は示されていません[4]。
| 方法 | やり方 | 分かっていること |
|---|---|---|
| 採尿バッグ | 性器のまわりに袋を貼り、おしっこをためる | 菌が混ざる確率が高い方法です。管や針を使わない採尿では、子どもに袋やおむつでの採尿は勧められないと、レビュー(研究のまとめ)は述べています[5] |
| 清潔採尿(中間尿) | 性器のまわりをふき、出ている途中の尿を受ける | レビューでは、洗浄したうえでの中間尿は、袋やおむつより汚染が少ないとされました[5]。ただ、病院の調査では汚染が26%あり、やり方の工夫が必要です[4] |
| カテーテル | 細い管を尿道から入れ、膀胱の尿をとる | 汚染は12%で、清潔採尿より少なくなっていました[4] |
| 恥骨上穿刺 | おなかの皮膚から細い針で、膀胱の尿をとる | 汚染は1%でした。この研究の著者らは、理想的には恥骨上穿刺を使うべきと述べています[4] |
どの方法にするかは、お子さんの年齢や状態をみて医師が決めます。袋で採った尿は混ざりやすいので、結果の読み方に注意が必要です[5]。



尿をとるのは、お子さんにも保護者の方にも負担です。でも、正しい方法で採った尿が、診断のいちばんの手がかりになります。
尿検査と尿培養は、役割がちがう
- 【尿検査】
白血球など尿の中の成分を、試験紙や顕微鏡で調べます。試験紙で陽性だったときは、顕微鏡での検査が勧められています[2] - 【尿培養(にょうばいよう)】
尿の中の菌をふやして、菌の種類と、どの抗菌薬(細菌をおさえる薬)が合うかを調べます。結果が出るまでに日数がかかります - 【薬の見直し】
抗菌薬は、地域の薬の効きやすさをもとに選び、培養の結果にあわせて調整します[2]
治療は?抗菌薬は早めに始めて、最後まで飲み切る
治療の中心は抗菌薬で、診断がついたら早めに始めます[2]。出された分は、最後まで飲み切ってください。



熱が下がると薬をやめたくなりますが、出された分は最後まで飲み切ってくださいね。
投与の方法(飲み薬か、点滴など)は、お子さんの状態をみて決められます[2]。
6歳未満の482人を2年間みた研究では、抗菌薬を始めるまでの発熱の期間が長いほど、腎臓に新しい傷あと(腎瘢痕:じんはんこん)がみられる傾向がありました[6]。抗菌薬を始めるまでの発熱の長さ(中央値)は、傷あとができた子で72時間、できなかった子で48時間でした[6]。
これは「関連」をみた研究で、遅れが傷あとの原因と決まったわけではありません。ただ、研究者らは、熱のある子の尿路感染症の検査を遅らせないよう述べています[6]。
- 途中で熱が下がっても、自己判断でやめずに、出された分は最後まで飲み切る
- 飲み薬を吐いてしまったり、飲ませにくかったりしたら、医師に連絡する
- 以前の余った薬を、次の熱に使わない
- 熱でつらそうなときは、アセトアミノフェン(カロナールなど)を、医師の指示どおりに使う
初めての熱を伴う尿路感染症のあと、画像検査は必要?
初めて熱を伴う尿路感染症にかかったあとは、腎臓と膀胱の超音波検査(音波で形を見る検査)が、一般に勧められています[3][2]。
尿の通り道に、生まれつきの形の異常がないかを調べるためです[3]。初めての熱を伴う尿路感染症の子を調べた29の研究(計9,170人)では、約5人に1人(22.1%)で、超音波検査で何らかの異常がみつかりました[7]。
治療方針が変わる異常は3.1%(32人に1人ほど)でした[7]。いちばん多かったのは、水腎症(すいじんしょう:尿の流れが悪く、腎臓が腫れること)などです[7]。研究ごとのばらつきが大きく、研究者らは、検査の有用性を確かめる研究が必要としています[7]。
さらに詳しい検査を考えるのはどんなとき?
追加の検査は、お子さんの特徴や感染の様子をみて考えます[2]。AAPのガイドラインでは、排尿時膀胱尿道造影(はいにょうじぼうこうにょうどうぞうえい)は、初回のあとに全員には行わないとされています[3]。
| 検査 | 分かること | 考えるとき |
|---|---|---|
| 腎臓・膀胱の超音波 | 形の異常、水腎症など | 初めての熱を伴う尿路感染症のあとに、一般に勧められます[3][2] |
| 排尿時膀胱尿道造影 | おしっこが膀胱から腎臓のほうへ逆戻りする「逆流」など | 超音波で水腎症や傷あとなどがみつかったとき、非典型的・複雑な経過のとき、熱を伴う尿路感染症が再発したとき[3] |
| 腎シンチグラフィ(DMSAスキャン) | 腎臓の傷あと | 研究では、傷あとの確認に使われています[6] |
どこで、どの検査をするかは、お子さんの状態に合わせて医師が相談して決めます。



どの検査が必要かは、お子さんごとに違います。分からないことは、遠慮なく医師に聞いてくださいね。
【受診を急ぐサイン】119番・救急外来・その日のうちに
すぐ119番
次のどれか1つでもあれば、熱の高さにかかわらず、迷わず119番に電話してください。夜間・休日でも同じです。
- 呼びかけに反応しない、ぐったりして目が合わない(意識がおかしい)
- けいれんが起きた(熱性けいれんについては、熱性けいれんの記事もご覧ください)
- 息が苦しそう、肩で息をしている、唇が紫っぽい


夜間・休日でも、その日のうちに救急外来へ
次のようなときは、朝まで待たず、夜間・休日でも救急外来を受診してください。苦しそうで動かせないときは119番です。
- 生後3か月未満の赤ちゃんの発熱
- 吐いてしまい、水分がとれない
- おしっこがほとんど出ていない
- 顔色が悪い、手足が冷たい、あやしても機嫌が戻らない
迷ったら#8000に相談
「救急外来に行くほどなのか、判断がつかない」ときは、宮城県のこども夜間安心コール(#8000)に電話できます。毎日午後7時から翌朝午前8時まで、看護師が受診の目安などを助言します[8]。#8000が使えない固定電話からは、022-212-9390です[8]。
相談は助言のみで、診療は行いません[8]。明らかに危ないサインがあるときは、相談をはさまず119番です。
その日のうち(夜なら翌朝)に受診
元気があり、水分がとれているけれど、次のようなときは、様子を見すぎず受診してください。
- 熱が続いているのに、せきや鼻水など、はっきりした原因の症状がない
- おしっこのときに痛がる、泣く。においが強い、回数が多い
- 背中・わき腹やおなかを痛がる
- 以前、尿路感染症と言われたことがある
- 一度下がった熱が、また上がった
夜のあいだに様子が変わったら、その時点で上の「119番」「救急外来」の目安にもどって判断し直してください。夜間・休日の見分け方は、子どもの発熱、朝まで待てる?すぐ受診?でも解説しています。



夜のあいだに様子が変わったら、何度でも判断し直して大丈夫ですよ。
再発は?治ったあとに保護者が見ておくこと
治療で熱が下がったあとも、同じような熱がまた出たら、尿路感染症の再発を考えて、早めに受診してください。
AAPのガイドラインは、治療のあとも注意深く経過をみて、再発をすぐに診断して治療できるようにすることを求めています[3]。熱を伴う尿路感染症が再発したときは、排尿時膀胱尿道造影も行うとされています[3]。
- 原因のはっきりしない熱が、再びあがった
- おしっこのときに痛がる、泣く。回数が増えた
- トイレに行けていた子が、おもらしをするようになった
- においの強いおしっこが続く、哺乳量が落ちた、機嫌が悪い
- 背中・わき腹やおなかを痛がる
再発を減らす方法として、欧州のガイドラインの要約は、予防のための薬、薬以外の予防法、包茎(ほうけい)や、膀胱・腸の機能の問題の治療などを挙げています[2]。予防の薬を使うかどうかは、検査の結果をみて医師が決めます。
排尿・排便の問題(膀胱・腸の機能異常)がある子では、新しい腎臓の傷あとがみつかることとも関連していました[6]。便秘や、おしっこを我慢するくせがあれば、受診のときに伝えてください。
熱が出たら、そのたびに「以前、尿路感染症にかかった」と伝えてください。母子手帳などに、診断名と日付をメモしておくと便利です。



診断名と日付が母子手帳にあれば、慌てているときでも伝え忘れずにすみますよ。
よくある質問(FAQ)
- 熱だけで、せきも鼻水もありません。尿の検査を受けたほうがいいですか?
-
熱が続いて原因がはっきりしないときは、尿の検査が手がかりになります。発熱のある乳児の約7%に尿路感染症がみつかった、という研究のまとめがあります[1]。受診してご相談ください。生後3か月未満の発熱は、夜間・休日でも救急外来です。
- 袋でとった尿の結果だけで、診断できますか?
-
袋で採った尿は、菌が混ざる確率が高いとされています[5]。診断は、尿検査と尿培養の結果を合わせて、医師が判断します[3]。
- 抗菌薬を飲んで熱が下がりました。もう薬をやめてもいいですか?
-
熱が下がっても、出された分は最後まで飲み切ってください。残った薬は、次の病気に使わないでください。飲ませにくいときや、吐いてしまったときは、医師に連絡してください。
- 初めての尿路感染症のあとは、必ず超音波検査をしますか?
-
腎臓と膀胱の超音波検査は、一般に勧められています[3][2]。さらに詳しい検査は、超音波の結果や、感染の経過をみて考えます[3]。
- 夜に熱が出て、ぐったりはしていませんが心配です。どうすれば?
-
呼びかけに反応しない、けいれん、息が苦しそうなときは119番です。生後3か月未満の赤ちゃんや、吐いて水分がとれないときは、救急外来へ。迷ったら#8000に相談できます[8]。
まとめ【熱だけが続くときは、尿の検査で調べる】
- お子さんの熱が続き、せきや鼻水など原因がはっきりしないときは、尿路感染症(おしっこの通り道の細菌感染)を考えて尿を調べる
- 呼びかけに反応しない、けいれん、息が苦しそうなときは119番。生後3か月未満の発熱や、吐いて飲めないときは、夜間でも救急外来へ
- 診断がついたら抗菌薬を早めに始めて、出された分は最後まで飲み切る。初回のあとは超音波検査などを医師と相談する
- 初回の熱を伴う尿路感染症のあとは、腎臓と膀胱の超音波検査が一般に勧められ、追加の検査は結果をみて決める
- 治ったあとに同じ熱がまた出たら、再発を考えて早めに受診し、前回の診断を伝える
お子さんの「熱だけ」が続くとき、いちばん早く気づけるのは、いつもそばにいる保護者の方です。その気づきを、どうぞそのまま私達に伝えてください。医療は私達におまかせください。
以上
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
参考文献
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- Subcommittee on Urinary Tract Infection, Steering Committee on Quality Improvement and Management, Roberts KB. Urinary tract infection: clinical practice guideline for the diagnosis and management of the initial UTI in febrile infants and children 2 to 24 months. Pediatrics. 2011 Sep;128(3):595-610. doi:10.1542/peds.2011-1330 PMID: 21873693
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- 宮城県. 宮城県こども夜間安心コール事業(#8000). 宮城県ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/iryou/shouni04.html
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