お急ぎの方へ
- 症状だけではインフルエンザとコロナは確実には見分けられないので、検査で確かめる
- 意識がおかしい、急に息が苦しい、けいれんが止まらないときは、夜間・休日でも119番
- 高齢の方・持病のある方・妊娠中の方・小学生以下のお子さんは、治療薬を始める時期があるので、早めに受診する
こんにちは。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。
冬が近づくと、「熱とのどの痛みがあるけれど、インフルエンザなのか、コロナなのか分からない」というご相談が増えます。
家族に移したくない、仕事や学校を休む日数も気になる、薬はいつまでに飲み始めればいいのか。迷うことが多いと思います。
結論から申し上げると、インフルエンザとコロナは、症状だけでは医師でも確実には見分けられません。確かめるには、検査と、流行状況や周りの感染者の情報をあわせて判断します。
本記事では、症状の重なり、同時に調べる抗原検査の意味、治療薬の違い、早めに受診してほしい方と119番の目安を、呼吸器専門医の立場から解説します。
その前に、日曜・祝日の発熱外来のご案内です。インフルエンザやコロナのPCR検査(ピーシーアール検査:ウイルスの遺伝子を増やして見つける検査)は、当日中に結果が分かります。
2026年10月4日から、日曜・祝日も発熱外来を行っています
10時〜15時(昼休みなし)。予約は不要で、当日チェックインで受け付けます。PCR検査は当日中に結果をお伝えします。日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。10月25日(日)は休診で、11月からは原則として毎週日曜日と祝日です。日曜・祝日の発熱外来のお知らせ
【結論】インフルエンザとコロナは、症状だけで見分けられますか?
見分けられません。症状だけで判断すると、間違える可能性が高くなります。
インフルエンザの診断精度を調べた67件の研究をまとめた総説(そうせつ:これまでの研究をまとめた論文)があります[1]。この総説は、症状や症状の組み合わせでは、インフルエンザの診断精度は「非常に限られる」と結論しています[1]。
コロナも同じです。42件の前向き研究(5万2,608人)をまとめたコクラン(国際的な医学レビュー組織)の総説は、症状の有無だけでは、コロナを確定することも除外することもできないとしています[2]。
日本感染症学会の提言には、診察時の症状から「インフルエンザ様疾患」と臨床診断した例のうち、検査などでインフルエンザと確認できたのは60%弱だった研究が紹介されています[3]。
つまり、「いつもの風邪とは違う」と感じたら、症状で決めつけず、検査で確かめるのが基本です。
- 【症状では決められない】
熱、のどの痛み、せき、だるさ、頭痛は、どちらの病気でも、ほかの感染症でも起こります[3] - 【検査で確かめる】
インフルエンザとコロナを同時に調べる検査があります(くわしくは下の章で解説します) - 【時期と持病で急ぐ】
治療薬には始める時期があるため、高齢の方や持病のある方は早めの受診がおすすめです
症状は、どこが似ていて、どこが違うのですか?
どちらも、発熱、せき、のどの痛み、だるさが中心で、重なる部分がとても多いです。ただし、傾向の違いはあります。
インフルエンザと新型コロナを比べた100本の論文を、メタアナリシス(複数の研究をまとめて分析する方法)で解析した報告があります。のどや鼻などの上気道(じょうきどう)の症状は、インフルエンザの方が目立ちました[4]。この研究には、コロナ22万6,913人とインフルエンザ20万1,617人が含まれています[4]。
| 見るポイント | インフルエンザ | コロナ | 見分けに使えるか |
|---|---|---|---|
| 症状の出方 | 38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、だるさが比較的急に現れる[5] | 研究によって症状の出方に大きなばらつきがある[2] | 出方に違いはあるが、決め手にはならない[1][2] |
| のどや鼻の症状 | 上気道の症状が目立つ傾向[4] | のどの痛みがあることは、コロナの可能性を高めない[2] | 傾向のみ。単独では判断できない |
| においや味の異常 | — | においや味の異常があれば、コロナの手がかりになる。ただし、ない人も多い[2] | あれば参考。なくてもコロナを否定できない |
においや味の異常は、コロナを疑う手がかりになります。この総説では、においや味の異常の特異度(病気でない人を正しく除外できる割合)は92.1%でした[2]。一方、感度(病気の人を見つけられる割合)は39.2%にとどまります[2]。
そのため、においや味の異常がないからといって、コロナではないとは言えません。なお、この総説の対象は2021年6月までの研究で、その後のウイルスの変化で症状の頻度は変わる可能性があります[2]。
院長蒲生「急に高い熱が出て、体中が痛い」はインフルエンザらしい経過ですが、あくまで目安です。迷ったら、まず受診してご相談ください。
同時流行のとき、検査はどう選べばよいですか?
インフルエンザとコロナを同時に調べる抗原検査(ウイルスのたんぱく質を見つける検査)を使うのが、有力な方法です。日本感染症学会の提言も、医療機関では同時簡易抗原検査(コンボキット)を有効に活用するよう求めています[3]。
1回の検査で両方を調べられるので、「どちらの薬が必要か」を早く決められます。判定が難しいときに備えて、コロナの遺伝子検査も実施できるようにしておく、とも書かれています[3]。
同時に調べる意味は、ほかにもあります。インフルエンザの診断精度を調べた総説は、症状だけに頼らず、現場で行える検査(point-of-care testing)をもっと使うことが必要だと述べています[1]。
両方が陽性になることもあり、日本感染症学会の提言には、両方陽性の場合の流れも示されています[3]。症状が似ているので、片方が見つかっても、もう片方を確かめる意味があります。
検査は、症状が出てすぐだと、感染していても陽性にならないことがあります。陰性でも症状が強い場合や、持病がある場合は、医師が症状や流行状況とあわせて判断します。
- 検査の結果だけでなく、発症の時間、周りの感染者、持病や飲んでいる薬をあわせて伝える
- 市販の検査が陰性でも、症状が強い、あるいは息苦しいときは、検査結果にかかわらず受診する
- 解熱剤(アセトアミノフェン:カロナールなど)を飲んだ場合は、その時刻も伝える
日本感染症学会の提言では、コロナ陰性でも症状があるなら、インフルエンザやその他の病気も考えるとされています[3]。ご家庭の検査結果は、受診のときにお見せください。
治療薬は、インフルエンザとコロナでどう違いますか?
インフルエンザは「発症から48時間以内」、コロナは「重症化リスクのある方に、早めに」薬を始めるのが大きな違いです[5][6]。
インフルエンザの抗ウイルス薬(ウイルスが増えるのを抑える薬)を発症から48時間以内に始めると、発熱の期間は通常1〜2日間短くなります[5]。ウイルスの排出も減ると、厚生労働省は説明しています[5]。48時間をすぎてから始めた場合は、十分な効果が期待しにくくなります[5]。だからこそ、早めのご相談をおすすめします。
コロナは、診療の手引きに、重症化リスクの高い方に早期に抗ウイルス薬を投与すると、入院や死亡を減らすことが期待される、と書かれています[6]。
| インフルエンザ | コロナ | |
|---|---|---|
| 薬を始める時期の目安 | 発症から48時間以内[5] | 発症から5日以内で、重症化リスクのある方(飲み薬など)[6] |
| 主な薬 | オセルタミビル(タミフル等)、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、バロキサビル(ゾフルーザ)[5] | ニルマトレルビル/リトナビル、モルヌピラビル、レムデシビル(点滴)[6] |
| 薬を使うかどうか | すべての方に必須ではなく、医師が判断する[5] | リスクがなくても、発症から3日以内で症状が強ければ、エンシトレルビルが考慮される[6] |
| 熱やつらさへの対応 | 解熱剤(アセトアミノフェン:カロナールなど)で熱を下げる。水分と休養をとる[5] | 同じく、解熱鎮痛薬などの対症療法を必要に応じて行う[6] |
コロナの薬は、飲み合わせ(併用禁忌)や腎臓の働きの確認が必要です[6]。お薬手帳を必ずお持ちください。
インフルエンザのお子さんや未成年の方では、薬を飲んだかどうかにかかわらず、急に走り出すなどの異常行動が起こることがあります[5]。診断と治療の開始後、少なくとも2日間は、一人にしないでください[5]。



熱がつらいときは、解熱剤で下げられます。薬の使い分けは医師が決めますので、遠慮せず受診してください。
【受診を急ぐサイン】早めに受診する人と、119番の目安は?
高齢の方、持病のある方、妊娠中の方、小学生以下のお子さんは、発熱したら早めに受診してください。日本感染症学会の提言も、医療機関の受診は、これらの重症化リスクの高い方を優先するとしています[3]。
早めに受診してほしい人
診療の手引きでは、高齢は最も重要な重症化のリスク因子であり、特に高齢で基礎疾患のある方はリスクが大きいとされています[6]。リスクの高い方は、診断時に軽症でも、発症後数日から2週目までに悪化することがあります[6]。
- 高齢の方
- 糖尿病、心不全、虚血性心疾患(心臓の血管の病気)、慢性腎臓病、肥満(BMI 30以上)などがある方[6]
- 気管支ぜんそく、COPD(慢性閉塞性肺疾患:たばこなどで起こる肺の病気)など、肺の病気がある方[6]
- 妊娠中の方、小学生以下のお子さん[3]
インフルエンザでも、お子さんでは急性脳症(きゅうせいのうしょう)、高齢の方や免疫力が低い方では細菌による肺炎を合併して重症になることがあります[5]。
すぐ119番
次のどれか1つでもあれば、熱の高さにかかわらず、迷わず119番に電話してください[7]。夜間・休日でも同じです。
- 呼びかけに返事がない、またはもうろうとしている(意識がおかしい)
- 急に息が苦しくなった、肩で息をしている、唇が紫っぽい
- けいれんが止まらない
- 食べ物などをのどにつまらせた
消防庁の資料は、119番に迷ったときの相談先として、救急相談窓口(#7119など)を案内しています[7]。ただし、上のサインがあるときは、相談をはさまず119番です。
夜間・休日でも、その日のうちに救急外来へ
厚生労働省は、高熱が続く、呼吸が苦しい、意識状態がおかしいなど具合が悪ければ、早めに医療機関を受診するよう案内しています[5]。次のときは、朝を待たず救急外来を受診してください。苦しそうで動かせないときは119番です。
- 安静にしていても、呼吸がいつもより明らかに速い、苦しそう
- パルスオキシメーターで、SpO2が93%以下の状態が続く(酸素投与が必要な目安:ふだんから低めの方は、ふだんの値より明らかに低いとき)[6]
- 水分がほとんどとれない、半日以上おしっこが出ていない
- ぐったりして、顔色が青白い・土気色(つちけいろ)である
SpO2が93%以下という目安は、診療の手引きで、酸素投与が必要な状態(中等症II)に当たります[6]。また、低酸素の状態でも息苦しさを訴えないことがあるため、数値と様子の両方を見てください[6]。
その日のうち(夜なら翌朝)に受診
呼吸・意識・水分が保たれていても、高熱が続くとき、または家族や周りで流行しているときは、様子を見すぎずに受診してください。
関連して、インフルエンザで熱が出たら何を伝えるかも参考にしてください。コロナの陽性が分かったあとの過ごし方は仕事はいつから、インフルエンザは学校・保育園はいつからで解説しています。
よくある質問(FAQ)
- 熱とのどの痛みがあります。家でインフルエンザかコロナか見分けられますか?
-
症状だけでは、医師でも確実には見分けられません[1][2]。「急に高熱が出て、体中が痛い」はインフルエンザらしい経過ですが、あくまで目安です。検査で確かめるため、受診をおすすめします。呼びかけに返事がない、息が苦しいときは、119番です。
- 検査は、インフルエンザとコロナを別々に受ける必要がありますか?
-
医療機関では、両方を同時に調べる抗原検査(コンボキット)を使えます[3]。1回の検査で両方の結果が分かるので、薬の判断が早くなります。判定が難しいときは、遺伝子検査も考えます[3]。
- インフルエンザの薬は、いつまでに飲み始めればいいですか?
-
発症から48時間以内が目安です[5]。発症から時間がたってからの開始は、十分な効果が期待しにくくなるため、熱が出たら早めに受診してください[5]。薬を使うかどうかは、医師が判断します[5]。
- コロナの薬は、誰でも飲めますか?
-
診療の手引きでは、発症から5日以内で重症化リスクのある方に、飲み薬の投与が考慮されます[6]。リスクのない方でも、発症3日以内で症状が強い場合は、エンシトレルビルが考慮されます[6]。ほかの薬との飲み合わせがあるため、お薬手帳をお持ちください[6]。
- 熱が高くてつらいです。解熱剤は使えますか?
-
使えます。アセトアミノフェン(カロナールなど)で、熱を下げられます。診療の手引きでも、解熱鎮痛薬などの対症療法を必要に応じて行うとされています[6]。飲んだ時刻は、受診のときにお伝えください。
まとめ【症状で決めず、検査と早めの受診を】
- 症状だけではインフルエンザとコロナは確実には見分けられないので、検査で確かめる
- 意識がおかしい、急に息が苦しい、けいれんが止まらないときは、夜間・休日でも119番
- 高齢の方・持病のある方・妊娠中の方・小学生以下のお子さんは、治療薬を始める時期があるので、早めに受診する
- 同時流行の時期は、インフルエンザとコロナを同時に調べる抗原検査が役に立つ
- インフルエンザの薬は発症から48時間以内、コロナの薬はリスクのある方に早めに始める
- 熱がつらいときは、アセトアミノフェン(カロナールなど)で熱を下げられるので、遠慮なく受診する
「インフルエンザかコロナか」の見分けは、私達の仕事です。迷う時間があれば、先に相談してください。医療は私達におまかせください。
以上
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
参考文献
- Ebell MH, Rahmatullah I, Hulme C, Buhr M, Kotnik JH, Geyer R, et al. Accuracy of individual signs and symptoms and case definitions for the diagnosis of influenza in different age groups: a systematic review with meta-analysis. BMJ Open. 2025 Mar;15(3):e067574. doi:10.1136/bmjopen-2022-067574 PMID: 40032401
- Struyf T, Deeks JJ, Dinnes J, Takwoingi Y, Davenport C, Leeflang MM, et al. Signs and symptoms to determine if a patient presenting in primary care or hospital outpatient settings has COVID-19. Cochrane Database Syst Rev. 2022 May;5(5):CD013665. doi:10.1002/14651858.CD013665.pub3 PMID: 35593186
- 日本感染症学会. COVID-19,インフルエンザ同時流行となった場合の外来診療フローチャート. 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001002376.pdf
- Han Y, Guo J, Li X, Zhong Z. Differences in clinical characteristics between coronavirus disease 2019 (COVID-19) and influenza: a systematic review and meta-analysis. NPJ Prim Care Respir Med. 2025 Jan;35(1):8. doi:10.1038/s41533-025-00414-0 PMID: 39875405
- 厚生労働省. インフルエンザQ&A. 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2024.html
- 診療の手引き編集委員会(厚生労働行政推進調査事業 研究班). 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第10.1版. 厚生労働省ウェブサイト. 2024. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/content/001248424.pdf
- 総務省消防庁. 救急車利用リーフレット(高齢者版). 総務省消防庁ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.fdma.go.jp/publication/portal/items/portal009_kourei.pdf
▶ この分野のまとめ: 日曜・祝日の発熱外来(2026年10月4日から・10時〜15時)
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