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【ヒブと肺炎球菌】乳児の髄膜炎を防ぐワクチン【生後2か月から】

ヒブと肺炎球菌、生後2か月から

お急ぎの方へ

  • ヒブと肺炎球菌ワクチンは生後2か月から始める3回+追加1回で、乳幼児の重症の髄膜炎などを大きく減らしてきた[1][2]
  • けいれんしている、呼びかけに反応しない、急に息が苦しそうなときは119番
  • 同時接種は医師が必要と認めたときに行うことができ、他のワクチンとの接種間隔に日数制限はない[2][3]

こんばんは。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。

生後2か月が近づき、母子健康手帳の予防接種のページを見て、こんな不安を感じたことはありませんか。

「ヒブと肺炎球菌ワクチンって、何を防ぐの?」

「一度に何本も受けて、赤ちゃんの体は大丈夫だろうか」と心配になる方も多いです。

結論から申し上げると、ヒブと肺炎球菌のワクチンは、生後2か月から始める「3回+追加1回」のスケジュールで、乳幼児の重症の髄膜炎などを大きく減らしてきたワクチンです[1][2]。

本記事では、定期接種のスケジュール、2024年に変わった肺炎球菌ワクチンの種類、日本で重症感染症がどれくらい減ったか、副反応、同時接種、受診を急ぐサインを、医師の立場から解説します。

その前に、日曜・祝日の発熱外来のご案内です。インフルエンザやコロナのPCR検査(ピーシーアール検査:ウイルスの遺伝子を増やして見つける検査)は、当日中に結果が分かります。

2026年10月4日から、日曜・祝日も発熱外来を行っています
10時〜15時(昼休みなし)。当日チェックインで受け付けます。PCR検査は当日中に結果をお伝えします。日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。診療日と休診日はカレンダーをご確認ください。日曜・祝日の発熱外来のお知らせ

文責(この記事を書いた人)

蒲生 俊一(がもう しゅんいち)
仙台空港北クリニック 院長

地元、名取市立閖上小・中学校出身。東北大学医学部医学科を卒業後、仙台オープン病院、気仙沼市立病院、東北大学病院を経て、コロナ禍ただ中の2021年4月に仙台空港北クリニックを開院。「絶対に断らない発熱外来」をつらぬき通し、コロナ5類化までの2年間で2万名を優に超える発熱患者の診療にたずさわる。

所属学会・認定資格
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本呼吸器学会呼吸器専門医
日本アレルギー学会アレルギー専門医
日本抗加齢医学会専門医
医学博士(東北大学)

目次

ヒブと肺炎球菌ワクチンは、いつから始めるの?

ヒブと肺炎球菌のワクチンは、生後2か月から始める「3回+追加1回」が標準です[1][2]。

厚生労働省は、肺炎球菌ワクチンについて「生後2か月から初回の接種を行い、一定期間を経て追加の接種を行います」と説明しています[1]。

ヒブは、2024年度以降は主に5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib:百日せき・ジフテリア・破傷風・ポリオ・Hibをまとめたワクチン)として接種します[2]。初回は生後2~7か月に20日以上(標準は20~56日)の間隔で3回、追加は初回終了後6か月以上(標準6~18か月)の間隔で1回です[2]。

肺炎球菌ワクチンの場合は、初回を生後2か月からおよそ1か月おきに3回、最後の接種から60日以上あけて、生後12か月以降に追加を1回接種します[1]。

ワクチン初回追加
5種混合(Hibを含む)生後2~7か月に20日以上(標準20~56日)の間隔で3回[2]初回終了後6か月以上(標準6~18か月)の間隔で1回[2]
肺炎球菌(PCV)生後2か月からおよそ1か月おきに3回[1]最後の接種から60日以上あけて、生後12か月以降に1回[1]

初回を始める月齢によって回数が変わることなど、細かいルールは母子健康手帳・自治体・接種を受ける医療機関で確認してください[1][2]。

院長蒲生

2か月になったら、まず母子健康手帳と自治体の案内を確認して、早めにスタートしましょう。

今の肺炎球菌ワクチンは何?【2024年に変わった】

2024年10月以降は、原則として20価のPCV20を使います。15価のPCV15も使えます[1]。

厚生労働省は「2024年10月以降、原則として、沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20)を使用します。沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)も使用可能です」としています[1]。

PCV15は2024年4月から定期接種で使われていました[1][4]。肺炎球菌には90以上の種類があり、PCV15は15種類、PCV20は20種類を防ぎます[1]。

PCV15で接種を開始したお子さんは、原則としてPCV15で全ての接種を完了します[1][4]。日本小児科学会も、PCV13からPCV20への切り替えは可能とする一方、PCV15からPCV20への切り替えはデータが確立していないため、原則PCV15で完遂するよう求めています[4]。

肺炎球菌ワクチン定期接種での使用
PCV132013年11月から。現在は2024年10月にPCV20へ置き換え[1][4]
PCV152024年4月から使用可能[1][4]
PCV202024年10月から使用可能。原則としてこれを使う[1]

手に入るワクチンで標準的なスケジュールを進めることが重要で、新しいワクチンを待つ必要はないとされています[1]。

院長蒲生

新しいワクチンを待たずに、手に入るワクチンで予定どおり進めて大丈夫です。

ヒブワクチンは今どうなっている?(5種混合)

2024年度以降、Hibは主に5種混合ワクチンとして接種します。単味(たんみ:Hibだけ)のワクチンも使用できます[2][3]。

院長蒲生

単独のヒブワクチンも使えますが、今は5種混合で受けるのが中心です。

5種混合ワクチンは、百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオとHibを混合したワクチンで、2024年4月から定期接種で使用できるようになりました[3]。

Hib感染症は、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型という細菌で起こり、そのほとんどが5歳未満、特に乳幼児で注意が必要です[2]。症状がないまま菌を保有している子どもも多くいます[2]。

ワクチンで、日本の重症感染症は減ったの?

はい。日本のデータでは、Hibによる髄膜炎は定期接種後にはほとんど見られなくなり、侵襲性肺炎球菌感染症も大きく減っています[1][2]。

厚生労働省によると、インフルエンザ菌髄膜炎の5歳未満人口10万人あたり罹患率は、2008-2010年の7.7から、Hibワクチン定期接種化後の2014年には0.0へと100%減少しました[2]。髄膜炎以外の侵襲性インフルエンザ菌感染症も、5.1から0.5へ90%減少しました[2]。

別のまとめ(JIHS)では、2008-2010年にHib髄膜炎の頻度は10万人あたり7.5〜8.2人と報告され、定期接種後の2014年にはHib罹患はほとんど認められなくなったとされています[5]。報告元や年で数字が少し違うため、出典と期間ごとに見ることが大切です。

肺炎球菌では、侵襲性肺炎球菌感染症が、2008-2010年の5歳未満10万人あたり約24-26人から、2022年には約4.8人へと、約8割減りました[1]。

Sugaらの全国サーベイランス(10県、人口の約23%をカバー)では、5歳未満の侵襲性インフルエンザ菌感染症は、2013-2017年に2008-2012年と比べて93%減少しました(IRR 0.07、95%CI 0.05-0.10、p<0.001)。2014年以降、侵襲性感染症からHib株は分離されていません[6]。

Shinjohらの全国調査では、細菌性髄膜炎による入院は、入院1000件あたり1.19(2009-2010年)から0.37(2013-2015年)へ減りました。H. influenzaeは0.66から0.01、S. pneumoniaeは0.30から0.09へ減少しています[7]。

Takeuchiらは、PCV13導入前の2011-2013年と比べて、2014-2019年の5歳未満の侵襲性肺炎球菌感染症が21.3%減少したと報告しています[8]。

ただし、ワクチンに含まれない種類の肺炎球菌もあり、ワクチンを接種しても肺炎球菌感染症を発症することはあります[1]。Hibワクチンが普及した今も、無莢膜株(むきょうまくかぶ)などのインフルエンザ菌は残っています[5]。

院長蒲生

数字は「減った」ことを示しますが、ゼロではありません。だからこそ、熱が続くときや様子がおかしいときは、ワクチンを受けていても油断できません。

髄膜炎はどんな病気?後遺症は?

髄膜炎は、髄液(ずいえき:脳と脊髄を包んでいる液)に細菌が入って起こる重症の感染症で、抗菌薬による治療が行われます[5]。

肺炎球菌による髄膜炎では、2%の子どもが亡くなり、10%に難聴、精神の発達の遅れ、四肢の麻痺、てんかんなどの後遺症が残るといわれています[1]。特に0歳児でのリスクが高いとされています[1]。

Hib感染症を起こした子どもの3~6%が亡くなり、髄膜炎の場合は、生存した子どもの20%に難聴などの後遺症が残るといわれています[2]。

髄膜炎では、頭痛、発熱、首の硬直、けいれん、意識障害などがみられます[5]。Hib髄膜炎は発熱で始まり、けいれん、意識障害へと進むことがあります[2]。早期の受診が大切です。

院長蒲生

熱から始まって、けいれんや意識の変化へ進むことがあります。様子の変化をよく見てあげてください。

髄膜炎のくわしい内容は、あわせてこちらの記事もご覧ください。

副反応はあるの?

最も多いのは、接種部位の赤み・腫れ・しこりと、発熱です。重い副反応は稀です[1][2]。

厚生労働省が示す5種混合ワクチンの臨床試験では、阪大微研製を皮下注射した場合、発熱(37.5℃以上)が57.9%、接種部位の紅斑が78.9%、硬結が46.6%、腫脹が30.1%でした[2]。KMバイオロジクス製では、接種6日後までに発熱が65.2%、紅斑が75.7%、硬結が51.0%、腫脹が38.1%でした[2]。

厚生労働省は、5種混合ワクチンの発熱の頻度が他のワクチンより高いことについて、他のワクチンとの同時接種の影響があり得る等の指摘はあるものの、安全性について大きな懸念は指摘されていないとしています[2]。

肺炎球菌ワクチンでは、稀に報告される重い副反応として、ショック、アナフィラキシー、けいれん、血小板減少性紫斑病(けっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)があります[1]。

発熱しているときや重い急性疾患にかかっているときは、治ってから接種します[1][2]。

院長蒲生

接種後に熱が出ても、必ずしもワクチンのせいとは限りません。元気がない、水分がとれないといった様子のほうを大切に見てください。

同時接種はしてもいいの?

同時接種は、医師が必要と認めた場合に行うことができ、他のワクチンとの接種間隔に日数制限は設けられていません[2][3]。

厚生労働省は、他のワクチンとの同時接種について「医師が必要と認めた場合に限り行うことができます」としています[2][3]。

ただし、Hibワクチンを他のワクチンと混ぜて1本の注射器で接種することはできません[2][3]。

日本小児科学会も、接種間隔の定めは置かず、同時接種は医師が特に必要と認めた場合に行うことができるとしています[4]。

院長蒲生

どのワクチンを同時に受けるかは、その日の体調も見ながら、接種する医師と相談して決めましょう。

受診を急ぐサインは?【119番・救急外来】

けいれんしている、呼びかけに反応しない、急に息が苦しそうなときは、迷わず119番に電話してください。夜間・休日でも同じです。

すぐ119番

  • けいれんしている
  • 呼びかけに返事がない、もうろうとしている(意識がおかしい)
  • 急に息が苦しそう、肩で息をしている、唇が紫っぽい
  • アナフィラキシーを疑う症状(じんましん、のどの腫れ、ぐったり、呼吸の苦しさ)

夜間・休日でも、その日のうちに救急外来へ

次のようなときは、朝まで待たず、夜間・休日でも救急外来を受診してください。

  • 水分がほとんどとれない、半日以上おしっこが出ない
  • ぐったりして元気がない、顔色が青白い
  • 発熱が続き、首が硬い、何度も吐く、ぼんやりする

細菌性髄膜炎の全国調査では、意識障害やけいれんが、死亡や後遺症のリスク因子として報告されています[7]。これらのサインがあるときは、ためらわず119番や救急受診を選んでください。

迷ったら電話相談

夜間・休日で判断に迷うときは、お住まいの自治体の小児救急電話相談(#8000)や救急安心センター(#7119)も利用できます。ただし、明らかに危ないサインがあるときは、相談をはさまず119番です。

院長蒲生

#8000や#7119の番号は、すぐ見られる所に控えておくと安心ですよ。

よくある質問(FAQ)

生後2か月から、一度に何本も接種して大丈夫ですか?

同時接種は医師が必要と認めた場合に行うことができ、接種間隔の日数制限はありません[2][3]。5種混合ワクチンは発熱の頻度が他のワクチンより高いものの、同時接種の影響があり得る等の指摘があり、安全性に大きな懸念は指摘されていません[2]。その日の体調を見ながら、医師と相談して決めましょう。

肺炎球菌ワクチンはPCV13だと聞きました。今は違うのですか?

2024年10月以降は、原則としてPCV20を使用します。PCV15も使用可能です[1]。PCV15で接種を開始した場合は、原則としてPCV15で全ての接種を完了します[1][4]。

ワクチンを打てば、髄膜炎にはならないのですか?

ワクチンで大きく減っていますが、ワクチンに含まれない種類の肺炎球菌もあり、接種しても発症することがあります[1]。Hibワクチン普及後は無莢膜株などが残っています[5]。発熱が続く、首が硬いときは早めに受診してください。けいれんしているときは119番です。

熱が出たときは、接種できますか?

発熱しているときや重い急性疾患にかかっているときは、治ってから接種します[1][2]。かぜ程度で迷うときは、接種する医療機関に相談してください。

接種後に赤ちゃんの熱が出ました。どうすればいいですか?

ワクチン後の発熱はよくある反応ですが、ワクチンのせいと決めつけず、元気がない、水分がとれないときは受診してください。けいれんしている、呼びかけに反応しない、急に息が苦しそうなときは119番です。熱は、アセトアミノフェン(カロナールなど)などの解熱剤で下げられることがあります。使い方は医師の指示どおりに。迷ったら受診してください。

まとめ【ヒブと肺炎球菌ワクチンは生後2か月から】

  • ヒブと肺炎球菌ワクチンは生後2か月から始める3回+追加1回で、乳幼児の重症の髄膜炎などを大きく減らしてきた[1][2]
  • けいれんしている、呼びかけに反応しない、急に息が苦しそうなときは119番
  • 同時接種は医師が必要と認めたときに行うことができ、他のワクチンとの接種間隔に日数制限はない[2][3]
  • 2024年10月以降、肺炎球菌は原則PCV20、Hibは主に5種混合を使う[1][2]
  • 接種後の発熱はよくある反応。元気がなければ早めに受診し、危険なサインは119番

赤ちゃんの重症感染症を防ぐワクチンは、生後2か月から始まります。スケジュールや同時接種で迷ったら、母子健康手帳を手に、早めにご相談ください。医療は私達におまかせください。

以上

免責事項

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

参考文献

  1. 厚生労働省. 子どもの肺炎球菌ワクチン. 厚生労働省ウェブサイト(予防接種・ワクチン情報; Q&A 2026年3月10日版). 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/pneumococcus-child/index.html
  2. 厚生労働省. 5種混合ワクチン. 厚生労働省ウェブサイト(予防接種・ワクチン情報; Hib Q&A 2026年3月10日版). 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/dpt-ipv-hib/index.html
  3. 厚生労働省. ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンQ&A (2024年3月29日更新) [PDF]. 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001237337.pdf
  4. 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会. 小児における肺炎球菌結合型ワクチンの定期接種に関する考え方. 日本小児科学会ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.jpeds.or.jp/society-activities/pediatric-medical-care/vaccination/opinion/20622.html
  5. 国立健康危機管理研究機構(JIHS). 侵襲性インフルエンザ菌感染症. 感染症情報提供サイト. 参照 2026年10月. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/invasive-haemophilus-influenzae-disease/index.html
  6. Suga S, Ishiwada N, Sasaki Y, Akeda H, Nishi J, Okada K, et al. A nationwide population-based surveillance of invasive Haemophilus influenzae diseases in children after the introduction of the Haemophilus influenzae type b vaccine in Japan. Vaccine. 2018 Sep;36(38):5678-5684. doi:10.1016/j.vaccine.2018.08.029 PMID: 30122645
  7. Shinjoh M, Yamaguchi Y, Iwata S. Pediatric bacterial meningitis in Japan, 2013-2015 – 3-5 years after the wide use of Haemophilus influenzae type b and Streptococcus pneumoniae conjugated vaccines. J Infect Chemother. 2017 Jul;23(7):427-438. doi:10.1016/j.jiac.2017.02.014 PMID: 28456490
  8. Takeuchi N, Chang B, Ishiwada N, Cho Y, Nishi J, Okada K, et al. Nationwide population-based surveillance of invasive pneumococcal disease in children in Japan (2014-2022): impact of 13-valent pneumococcal conjugate vaccine and COVID-19 pandemic. Vaccine. 2025 Apr;54:127138. doi:10.1016/j.vaccine.2025.127138 PMID: 40252365

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