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【インフルエンザ脳症】けいれん・意識障害は危険サイン【119番】

【インフルエンザ脳症】けいれん・意識障害は危険サイン【119番】

お急ぎの方へ

  • インフルエンザ脳症は、意識障害・けいれん・異常な言動で始まるので、この3つを見る
  • 意識がおかしい、けいれんしている、けいれんの後に意識が戻らない、息が苦しそうなときは119番
  • 抗ウイルス薬の有無にかかわらず、発熱から2日間は異常行動による事故を防ぐ

おはようございます。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。

夜中に子どもが急に熱を出し、体をびくっと震わせた。そのあと、呼びかけても反応が鈍く、ぼんやりしている——。そんなとき、保護者の方はどうすればよいのか迷われると思います。

結論から申し上げると、インフルエンザ脳症(インフルエンザ関連脳症)は、意識障害・けいれん・異常な言動の3つで始まることが多く、とくにけいれんの後に意識が戻らないときは急いで対応します。

本記事では、インフルエンザ脳症の危険サイン、熱性けいれんとの違い、抗インフルエンザ薬による異常行動との違い、ワクチンと早めの受診の意味を、呼吸器専門医の立場から解説します。

その前に、日曜・祝日の発熱外来のご案内です。インフルエンザやコロナのPCR検査(ピーシーアール検査:ウイルスの遺伝子を増やして見つける検査)は、当日中に結果が分かります。

2026年10月4日から、日曜・祝日も発熱外来を行っています
10時〜15時(昼休みなし)。予約は不要で、当日チェックインで受け付けます。PCR検査は当日中に結果をお伝えします。日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。10月25日(日)は休診で、11月からは原則として毎週日曜日と祝日です。日曜・祝日の発熱外来のお知らせ

文責(この記事を書いた人)

蒲生 俊一(がもう しゅんいち)
仙台空港北クリニック 院長

地元、名取市立閖上小・中学校出身。東北大学医学部医学科を卒業後、仙台オープン病院、気仙沼市立病院、東北大学病院を経て、コロナ禍ただ中の2021年4月に仙台空港北クリニックを開院。「絶対に断らない発熱外来」をつらぬき通し、コロナ5類化までの2年間で2万名を優に超える発熱患者の診療にたずさわる。

所属学会・認定資格
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本呼吸器学会呼吸器専門医
日本アレルギー学会アレルギー専門医
日本抗加齢医学会専門医
医学博士(東北大学)

目次

【結論】インフルエンザ脳症で見るべきサインは何か

インフルエンザ脳症の主な初発神経症状は、意識障害、けいれん、異常言動・行動の3つです[1]。この3つを、次のように見てください。

  • 【意識障害】
    呼びかけへの返事がおかしい、もうろうとしている、反応が鈍い。脳症の神経症状のなかで最も重要なサインです[1]
  • 【けいれん】
    体がふるえる、手足をつっぱる。とくに注意したいのは、けいれんがおさまった後の意識です[1]
  • 【異常な言動】
    いない人がいると言う、よく知っている人を間違える、意味不明なことを言う、急に怒り出す・泣き出すなど[1]

3つのうちどれか1つでも、はっきりと「いつもと違う」と感じたら、その日のうちに受診してください。意識がおかしい、けいれんしているときは、迷わず119番です。

インフルエンザ脳症の初発症状「意識障害・けいれん・異常言動」とは?

インフルエンザ脳症は、急性に始まり、意識障害を主な症状とする症候群です[1]。その意識障害は、多くの場合、傾眠(けいみん:うとうとして呼びかけへの反応が鈍い状態)ないしせん妄(わけのわからないことを言う状態)以上の重さで、12〜24時間以上続きます[1]。これは診断のための定義で、様子を見てよい時間ではありません。

前駆症状(ぜんくしょうじょう:本格的に始まる前の症状)としての異常な言動には、次のようなものがあります[1]。

  • 両親がわからない、いない人がいると言う
  • 自分の手を噛むなど、食べ物と食べ物でないものを区別できない
  • アニメのキャラクターや象・ライオンが見えるなど、幻視・幻覚を訴える
  • 意味不明な言葉を発する、ろれつがまわらない
  • 急に怒り出す、泣き出す、大声で歌い出す

事故につながる行動としては、「靴をはいて外に出ていた」「高いところから飛び降りようとした」といった例が知られています[1]。

こうした症状が出る病気が、どのくらいあるのかを見てみます。全国調査では、2007〜2010年の3年間に急性脳症と報告された983例のうち、先行する感染症として最も多かったのはインフルエンザウイルスでした[2]。2014〜2017年の調査でも、急性脳症は267施設から1115例が報告されています[3]。ただし、インフルエンザにかかった子どものうち何人が脳症になるかという割合は、これらの報告には示されておらず、脳症はまれな合併症です。

命に関わる場合や後障害が残る場合がある一方で、軽い経過で回復する型もあるなど、経過はさまざまです[2]。だからこそ、早く気づいて早く受診することが大切になります。

院長蒲生

ふだん元気な子が「いない人がいると言う」。それだけで受診の理由になります。説明できなくても、いつもと違うと感じたら来てください。

熱性けいれんとインフルエンザ脳症はどう違う?

熱性けいれんのうち、単純型は、①15分以内におさまる、②繰り返さない、③左右対称、の3つを満たすものです[1]。これに対し、インフルエンザ脳症に伴うけいれんは、本質的に熱性けいれんとは異なります[1]。

最も注意したいのは、けいれんがおさまった後の意識障害です[1]。けいれんが短くても、その後に意識が戻らない、ぼんやりしているときは急いでください。

見るポイント単純型の熱性けいれん複雑型・脳症が疑われるとき
持続時間15分以内[1]長い、止まらない
繰り返し繰り返さない[1]繰り返す
左右差左右対称[1]左右非対称
けいれん後の意識比較的早く戻る戻らない・悪化する[1]

単純型であっても、異常な言動をともなうときは、医療機関への紹介が勧められます[1]。また、複雑型のけいれんでは、脳症との区別が難しいことがあるため、意識障害の有無にかかわらず受診が必要とされています[1]。なお、インフルエンザにかかると年長児でも熱性けいれんを起こしやすいため、年齢は判断の基準にしない、とされています[1]。

熱性けいれん自体の家庭での対応は、関連記事【熱性けいれん】子どもが熱でけいれんしたら【5分・119番・その後の受診】にまとめています。

抗インフルエンザ薬の異常行動と、脳症の異常行動はどう違う?

厚生労働省は、抗インフルエンザウイルス薬の服用後に異常行動が報告されている一方で、薬の服用と異常行動との因果関係は不明としています[4]。薬を服用していない場合でも同様の異常行動が現れること、服用した薬の種類に関係なく現れることが報告されています[4]。

タミフル(オセルタミビル)の添付文書にも、「服用の有無又は種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には、異常行動を発現した例が報告されている」と書かれています[5]。添付文書では、精神・神経症状や異常行動が、頻度不明の重大な副作用として挙げられています[5]。

つまり、異常行動は「薬のせいか、脳症のせいか」を家庭で見分けることはできません。薬によるものか、熱せん妄(ねつせんもう:熱のせいで意識がぼんやりし、つじつまの合わないことを言う状態)か、脳症へ進むものかは、医師が経過を見て判断します[1]。

家庭でできることは、事故を防ぐことです。抗ウイルス薬の有無や種類にかかわらず、少なくとも発熱から2日間は、保護者が転落など事故の防止策をとるよう求められています[4][5]。窓や玄関の施錠、できるだけ1階で寝かせる、一人にしない、などの対策が示されています[4]。

インフルエンザの異常行動とタミフルについては、関連記事【子どものインフルエンザ】異常行動とタミフル【窓の施錠・2日間・119番】で詳しく説明しています。

院長蒲生

「薬のせいかも」と考える前に、まず事故を防いでください。そのうえで、異常な言動が続く・反応が鈍いときは受診です。

受診を急ぐサインは?119番・救急外来・その日のうちに

すぐ119番

次のどれか1つでもあれば、熱の高さにかかわらず、迷わず119番に電話してください。夜間・休日でも同じです。

  • 呼びかけに返事がない、もうろうとしている(意識がおかしい)
  • けいれんしている、またはけいれんの後に意識が戻らない
  • 呼吸が苦しそう、肩で息をしている、唇が紫っぽい

夜間・休日でも、その日のうちに救急外来へ

次のようなときは朝まで待たず、夜間・休日でも救急外来を受診してください。苦しそうで動かせないときは119番です。

  • けいれんはおさまったが、反応が鈍い・ぼんやりしている[1]
  • 異常な言動が続いている、または繰り返している[1]
  • 水分がほとんどとれない、半日以上おしっこが出ていない

迷ったら#8000(小児救急電話相談)

「119番を呼ぶほどなのか、判断がつかない」ときは、小児救急電話相談(#8000)に電話できます。お住まいの地域の窓口につながります。ただし、明らかに危ないサインがあるときは、相談をはさまず119番です。

その日のうち(夜なら翌朝)に、発熱外来などを受診

意識と呼吸は保たれているけれど、次のようなときは様子を見すぎず受診してください。

  • 発熱にともなって、いつもと違う言動があった
  • けいれんが1回あった(とくに長い、繰り返した)[1]
  • ぐったりして元気がない、水分がとりにくい
  • 発熱してまもなく、けいれんや異常な言動が出た

夜のあいだに様子が変わったら、その時点で上の「119番」「救急外来」の目安にもどって判断し直してください。

インフルエンザワクチンは脳症を防げる?

インフルエンザワクチンは、脳症そのものに対する直接の予防効果や、重症化を防ぐ効果は証明されていません[1]。ただし、感染源を減らしてインフルエンザにかかる人を減らし、ひいては脳症の人を減らすと考えられており、現時点では最も効率のよい予防手段とされています[1]。

厚生労働省も、ワクチンには発病を抑える効果が一定程度あり、発病後の重症化を予防する効果も期待されている、としています[4]。6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対する有効率は60%と報告されています[4]。インフルエンザでは、肺炎や脳症などの重い合併症が現れ、入院や死亡につながることがあるため、予防が大切です[4]。

院長蒲生

ワクチンは脳症を直接防ぐと証明されたものではありませんが、かかる人を減らすことで、結果として脳症を減らすと考えられています。

自宅でできる看病と、早めに受診する意味は?

熱が高くてつらそうなときは、解熱薬で熱を下げることができます。解熱薬にはアセトアミノフェン(カロナールなど)が通常使われます[1]。ただし、原因や年齢によって適切な薬は異なるため、医師の指示どおりに使い、市販薬を自己判断で使うのは避けてください。40℃を超える体温は予後不良因子とされ、医療機関では積極的に解熱が図られます[1]。診療戦略ではアスピリン、ジクロフェナク、メフェナム酸は禁忌とされているため、以前の処方薬や市販薬を自己判断で使わないでください[1]。

解熱薬の選び方については、過去の全国調査で、当時使われていた一部の解熱薬(ジクロフェナク)の使用が、死亡に関連する因子のひとつとして報告されています[6]。これは昔の患者さんのデータを振り返った報告で、因果関係を示すものではありませんが、解熱薬は医師・薬剤師に確認して使うのが安全です。

早く受診する意味は、早期の診断と集中治療にあります[1]。脳症を疑ったときは、医療機関で画像検査や脳波検査などを行い、状態に応じた治療が検討されます[1]。発症後24時間以内にステロイドを投与した場合に予後が良好だったとの報告もあり、早い段階での対応が重視されています[1]。

看病では、水分をこまめにとらせる、薄着にして暑がらせない、安静を保つ、を心がけてください。そして、意識・けいれん・言動の変化をメモしておくと、受診のときの大きな手がかりになります。

よくある質問(FAQ)

熱が出てけいれんしました。熱性けいれんか脳症か、家庭で見分けられますか?

家庭での見分けは難しいです。単純型の熱性けいれんは15分以内・繰り返さない・左右対称ですが[1]、脳症ではけいれんの後の意識障害が最も注意すべき点です[1]。けいれんしている、止まっても意識が戻らない・ぼんやりしているときは119番、短くても繰り返す・異常な言動があるときは受診してください。

タミフルを飲んでから様子がおかしいです。薬をやめるべきですか?

異常行動は、抗ウイルス薬の服用の有無や種類にかかわらず報告されており、因果関係は不明とされています[4][5]。自己判断で薬を中止せず、まず事故を防いで(施錠・一人にしないなど)[4]、異常な言動が続く・反応が鈍いときは受診してください。緊急時は119番です。

熱が下がったのに、ぼんやりしています。受診したほうがいいですか?

はい。脳症は発症後早期の意識障害が一度軽くなっても、後に悪化することがあるとされています[1]。熱が下がっていても、呼びかけへの反応がおかしい、もうろうとしているときは、その日のうちに受診し、119番のサインがあれば迷わず119番です。

ワクチンを打っていれば、インフルエンザ脳症は防げますか?

脳症への直接の予防効果は証明されていません[1]。ただし、ワクチンは感染する人を減らし、ひいては脳症を減らすと考えられ、現時点で最も効率のよい予防手段とされています[1]。厚生労働省は、発病を抑える効果と重症化を防ぐ効果が期待されるとしています[4]。

夜中に異常な言動が出ました。朝まで待ってもいいですか?

意識がおかしい、けいれんしている、けいれんの後に意識が戻らないときは、朝を待たず119番です。それほどでなくても、異常な言動が続く・繰り返すときは、夜間・休日でも救急外来を受診してください。判断に迷うときは小児救急電話相談(#8000)も利用できます。

日曜・祝日でも、子どもの発熱を診てもらえますか?

はい。日曜・祝日も10時〜15時(昼休みなし)に発熱外来を行っています。予約は不要で、発熱外来入口のQRコードから当日チェックインして受け付けます。10月25日(日)は休診です。日曜・祝日は一般外来と点滴は行っていません。

まとめ【意識・けいれん・言動の変化を見る】

  • インフルエンザ脳症は、意識障害・けいれん・異常な言動で始まるので、この3つを見る
  • 意識がおかしい、けいれんしている、けいれんの後に意識が戻らない、息が苦しそうなときは119番
  • 抗ウイルス薬の有無にかかわらず、発熱から2日間は異常行動による事故を防ぐ
  • 異常な言動が続く・繰り返すときは、夜間・休日でも救急外来へ。迷えば#8000
  • ワクチンは脳症を直接防ぐとは証明されていないが、感染を減らす最も効率のよい予防手段

インフルエンザにかかった子どもの「いつもと違う」に、最初に気づけるのは、いちばん近くにいる保護者の方です。その気づきを、どうぞそのまま私達に伝えてください。医療は私達におまかせください。

以上

免責事項

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

参考文献

  1. 日本医療研究開発機構研究費「新型インフルエンザ等への対応に関する研究」班. インフルエンザ脳症の診療戦略. 日本小児神経学会ウェブサイト. 2018年2月. 参照 2026年10月. https://www.childneuro.jp/uploads/files/about/influenzaencephalopathy2018.pdf
  2. Hoshino A, Saitoh M, Oka A, Okumura A, Kubota M, Saito Y, et al. Epidemiology of acute encephalopathy in Japan, with emphasis on the association of viruses and syndromes. Brain Dev. 2012 May;34(5):337-43. doi:10.1016/j.braindev.2011.07.012 PMID: 21924570
  3. Kasai M, Shibata A, Hoshino A, Maegaki Y, Yamanouchi H, Takanashi JI, et al. Epidemiological changes of acute encephalopathy in Japan based on national surveillance for 2014-2017. Brain Dev. 2020 Aug;42(7):508-514. doi:10.1016/j.braindev.2020.04.006 PMID: 32360071
  4. 厚生労働省. 令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A. 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2026.html
  5. 中外製薬. タミフルカプセル75 添付文書(2024年10月改訂 第2版). 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA) 医療用医薬品 添付文書情報. 参照 2026年10月. https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/450045_6250021M1027_1_40
  6. Nagao T, Morishima T, Kimura H, Yokota S, Yamashita N, Ichiyama T, et al. Prognostic factors in influenza-associated encephalopathy. Pediatr Infect Dis J. 2008 May;27(5):384-9. doi:10.1097/INF.0b013e318162a13b PMID: 18398388

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