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【BCGワクチン】結核を防ぐ時期と副反応【1歳まで】

結核を防ぐBCG、時期と副反応

お急ぎの方へ

  • BCGは1歳までに受ける定期接種で、標準は生後5〜8か月。重い小児結核を防ぐ
  • けいれんしている、意識がない、急に息が苦しい、アナフィラキシーを疑うときは119番
  • 接種部位がふつうより早く強く反応する(コッホ現象)ときは、2〜3日以内に接種した医療機関へ相談

こんばんは。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。

赤ちゃんのBCG接種のあと、腕が赤く腫れたり膿んだりして、「このままで大丈夫だろうか」とご相談いただくことがあります。

結論から申し上げると、接種部位の発赤や化膿は多くの場合ふつうの経過で、時期と見方を知っていれば落ち着いて対応できます。ただし、ふつうより早く強く出るコッホ現象など気になる変化があれば、接種した医療機関に相談してください。

本記事では、BCGをいつ受けるのか、接種部位がどう変化するのか、コッホ現象や脇の下のリンパ節の腫れ、受診を急ぐサインを、呼吸器専門医の立場から解説します。

その前に、日曜・祝日の発熱外来のご案内です。インフルエンザやコロナのPCR検査(ピーシーアール検査:ウイルスの遺伝子を増やして見つける検査)は、当日中に結果が分かります。

2026年10月4日から、日曜・祝日も発熱外来を行っています
10時〜15時(昼休みなし)。当日チェックインで受け付けます。PCR検査は当日中に結果をお伝えします。日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。診療日と休診日はカレンダーをご確認ください。日曜・祝日の発熱外来のお知らせ

文責(この記事を書いた人)

蒲生 俊一(がもう しゅんいち)
仙台空港北クリニック 院長

地元、名取市立閖上小・中学校出身。東北大学医学部医学科を卒業後、仙台オープン病院、気仙沼市立病院、東北大学病院を経て、コロナ禍ただ中の2021年4月に仙台空港北クリニックを開院。「絶対に断らない発熱外来」をつらぬき通し、コロナ5類化までの2年間で2万名を優に超える発熱患者の診療にたずさわる。

所属学会・認定資格
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本呼吸器学会呼吸器専門医
日本アレルギー学会アレルギー専門医
日本抗加齢医学会専門医
医学博士(東北大学)

目次

結核は今も日本にある?子どもの患者数はどのくらい?

結核は今も日本にある感染症で、2025年には新たに9,899人が結核患者として登録されています[1]。

同じ年の結核罹患率(りかんりつ:人口10万人あたりの患者数)は8.0で、結核低まん延国の水準である10.0以下が続いています[1]。0〜14歳の小児結核は31人で、2025年は粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)や結核性髄膜炎のような重症の小児結核は0でした[1]。

小児結核は年間100人未満とされ、多くは大人の接触者健診で見つかります[2]。結核は高齢の患者さんが多いですが、大人から子どもへうつることも少なくありません[3]。

赤ちゃんは結核への抵抗力が弱く、全身性の結核や結核性髄膜炎になって重い後遺症を残す可能性があります[3]。そのため、乳幼児期にBCGを接種して、重い結核を防ぐことが大切です。

院長蒲生

「結核は昔の病気」と思われがちですが、今も年間約1万人が新たに登録されています[1]。赤ちゃんを守る接種には、きちんと意味があります。

BCGはいつ受ける?定期接種のスケジュールは?

BCGは、結核の定期接種として、1歳に至るまでの間にある人が対象です[4]。

標準的な接種時期は、生後5か月から8か月の間とされています[5]。

地域の実情によっては、もっと早い時期(生後3か月〜)に接種することがあります[3]。くわしい日程は、お住まいの市町村の予防接種担当課の案内に従ってください[5]。

院長蒲生

日程は地域によって違うので、お住まいの市町村の案内を確かめておくと安心です。

項目内容
法律上の対象1歳に至るまでの間にある者[4]
標準的な接種時期生後5〜8か月[5]
地域によっては生後3か月からなど、早い時期に接種することがある[3]
長期療養などで遅れた場合事情がなくなった日から2年以内、4歳に達するまで[3][6]

定期の予防接種は各市町村が実施主体です[5]。当院は内科・呼吸器を中心としたクリニックで、BCGの接種は行っていません。接種の日程や会場は、お住まいの市町村の予防接種担当課にお問い合わせください[5]。

BCGの効果はどのくらいある?

BCGは、結核の発症を約50%、重い髄膜炎や全身性の結核を64〜78%程度防ぐと報告されています[5]。

海外のランダム化比較試験のまとめでは、乳児の結核性髄膜炎・粟粒結核の発症リスクは、接種していない乳児に比べて発症率比0.1(95%信頼区間0.01〜0.77)と報告されています[7]。

別のまとめでは、結核に曝露(ばくろ:接触して感染の機会があったこと)されたあと、接種した子どもは感染リスクが19%低く(リスク比0.81、95%信頼区間0.71〜0.92)、6研究に限ると活動性結核が71%低く(リスク比0.29、95%信頼区間0.15〜0.58)なっていました[8]。感染から発病への進行も58%低くなっています[8]。

これらは調べている目的(感染か発病か)が違うため、数字を単純に比べることはできません。いずれも、BCGが結核と、とくに重い結核から乳幼児を守ることを示しています。

院長蒲生

数字は調べている目的が違うので、単純には比べられないんですね。

接種後、針痕はどう変化する?ふつうの反応の経過

BCGの接種部位は、多くの場合ふつうの反応として赤く腫れ、膿を経てかさぶたになります[3][5]。

厚生労働省は、接種してから2週間くらいで針の痕に発赤や硬結(こうけつ:しこり)が生じ、その後化膿してかさぶたを作り、接種後5〜6週頃に最も強く現れるとしています[5]。

日本ビーシージー製造のリーフレット(結核予防会監修)では、接種後10日頃に赤いポツポツができ、一部に小さい膿が出て、4〜6週頃に最も強くなり、3〜4か月頃には治って小さな傷痕が残るとされています[3]。

時期接種部位の変化
接種後10日頃赤いポツポツができ、一部に小さい膿が出ることがある[3]
2週間くらい発赤・硬結が出て、その後化膿してかさぶたになる[5]
4〜6週頃反応が最も強くなる[3][5]
3〜4か月頃かさぶたがとれて、小さな傷痕になる[3]

この反応は、BCGで抵抗力(免疫)がついたしるしです[3]。手入れは、直射日光を避けて乾燥させ、接種部位をこすったりひっかいたりしないようにしてください[3]。

同リーフレットでは、包帯をしたり、絆創膏を貼ったりしないで、そのまま清潔に保つことが勧められています[3]。

院長蒲生

「化膿した=失敗」ではありません。膿は免疫が働いているしるしで、多くの子が通る道です。だからこそ、こすらず、清潔に保ってください。

コッホ現象とは?早く強く出たらどうする?

接種部位の反応が、ふつうより早く、そして強く出ることをコッホ現象といいます[5]。

ふつうは5〜6週頃に最も強くなる反応が、コッホ現象では接種後1週間〜10日以内(多くの場合は3日以内)に出ます[5]。同リーフレットでは、接種後1〜5日とされています[3]。

結核に似た菌(非結核性抗酸菌)に感染した場合でも起こるため、コッホ現象が出たからといって、結核に感染しているとは限りません[5]。

院長蒲生

コッホ現象が出ても、すぐに結核と決まるわけではありません。確かめることが大切です。

ただし、本当に結核に感染しているかを調べて確かめる必要があります。気づいたら2〜3日以内に、接種した医療機関へ相談してください[3][5]。

結核の感染を調べる血液検査(IGRA:インターフェロンγ遊離試験)が行われます。2013〜2019年にコッホ現象様の反応でIGRAの結果が報告された790人の乳児では、IGRA陽性が81人(10.3%)、陰性が709人(89.7%)でした[9]。陽性の子は2〜3年間の経過観察が勧められます[9]。

コッホ現象かもしれないと思ったら、様子を見すぎずに、必ず接種した医師に相談してください[3]。

  • 変化に気づいたら、2〜3日以内に接種した医療機関へ相談する[3]
  • 集団接種で主治医と連絡が取れないときは、市区町村の予防接種担当課に相談する[3]
  • けいれんしている、意識がない、急に息が苦しいときは119番

脇の下のリンパ節が腫れたらどうする?

BCGを接種した側の脇の下のリンパ節が、まれに腫れることがあります[3]。

厚生労働省は、接種後にリンパ節の腫脹(しゅちょう:はれ)がみられるのは1%以下の割合と報告しています[5]。

平成25年度には、約90万人が接種され、副反応報告174件のうちリンパ節の腫れが74件で最も多かったと報告されています[10]。

化膿性リンパ節炎は、接種後4か月間が副反応として報告の対象となる期間です[6]。

普通はそのまま様子を見てよいとされていますが、大きく腫れたり、化膿して自然に破れて膿が出たり、体調に変化があったりするときは相談してください[3]。

院長蒲生

脇の下が腫れていると驚きますが、ふつうはそのまま様子を見てよいとされています。

  • そのまま様子を見てよい
    ふつうは、そのまま様子を見るだけでかまいません[3]
  • 早めに相談
    大きく腫れる、化膿して自然に破れて膿が出る[3]
  • 体調の変化があれば受診
    体調に変化が現れたときは、接種した医療機関に相談してください[3]。発熱や食欲低下など、いつもと違う様子が目安です

まれに起こる重い副反応にはどんなものがある?

BCGでは、アナフィラキシー、全身播種性BCG感染症、骨炎・骨髄炎、皮膚結核様病変などの重い副反応が報告されていますが、いずれも稀です[5]。

リンパ節の腫れや局所・全身の皮膚症状といった比較的軽い反応は一定の頻度でみられますが、重大な副反応の報告は稀です[5]。

BCGの骨炎は、大腿や上腕の骨に多く、局所の痛みや腫れ、歩行への影響で気づかれることが多いです[5]。

副反応報告の対象期間[6]
アナフィラキシー4時間
化膿性リンパ節炎4か月
髄膜炎(BCGによるもの)予防接種との関連性が高いと医師が認める期間
全身播種性BCG感染症1年
BCG骨炎(骨髄炎・骨膜炎)2年
皮膚結核様病変3か月

この表は、副反応を報告する対象の期間であって、頻度を示すものではありません[6]。重い副反応は稀ですが、気になる症状があれば早めに接種した医療機関へ相談してください。

受診を急ぐサインは?119番のときは?

ワクチン接種後に限らず、次のようなときは迷わず119番に電話してください。夜間・休日でも同じです。

  • けいれんしている
  • 呼びかけに反応しない、意識がない、もうろうとしている
  • 急に息が苦しい、肩で息をしている、唇が紫っぽい
  • アナフィラキシーを疑うサイン(じんましん、顔やのどの腫れ、息苦しさ、ぐったりしている)

ここに挙げた119番の判断は、ワクチンにかかわらず役立つ一般的な安全の目安です。夜間に判断に迷うときは、お住まいの地域の小児救急電話相談(#8000)や救急外来を利用できます。

接種部位のことで迷ったときは、接種した医療機関が確実です。集団接種のときは、市区町村の予防接種担当課に相談してください[3]。

院長蒲生

針のあとのことで迷ったら、まず接種した医療機関に聞いてみてくださいね。

よくある質問(FAQ)

BCGはいつごろ受けるのが標準ですか?

1歳に至るまでの間が対象で、標準は生後5〜8か月です[4][5]。地域によっては生後3か月からなど、早い時期に接種することがあります[3]。お住まいの自治体の案内に従ってください[5]。

接種部位が赤く腫れて膿んできました。受診すべきですか?

多くの場合ふつうの経過です[5]。気になるときは接種した医療機関に相談してください。こすらず清潔に保ち、直射日光を避けて乾燥させてください[3]。数か月ジクジクする、針痕が癒合して大きな潰瘍になる、脇の下が大きく腫れる・化膿するときは受診してください[3][5]。

接種後3日で強く赤く腫れました。コッホ現象でしょうか?

ふつうより早く強く出るのはコッホ現象の可能性があります[5]。結核とは限りませんが確かめる必要があるので、2〜3日以内に接種した医療機関へ相談してください[3][5]。

脇の下のリンパ節が腫れています。どうすればいいですか?

まれにある反応で、普通はそのまま様子を見てよいとされています[3]。大きく腫れる、化膿して自然に破れる、体調に変化があるときは相談してください[3]。

このクリニックでBCGを接種できますか?

BCGは市町村が実施主体の定期接種です[5]。当院では接種を行っていません。日程や会場は、お住まいの市町村の予防接種担当課にお問い合わせください[5]。

接種後にけいれんや息苦しさが出たらどうしますか?

けいれんしている、意識がない、急に息が苦しいときは119番に電話してください。夜間・休日でも同じです。

まとめ【BCGの時期と反応、迷ったら接種医へ】

  • BCGは1歳までに受ける定期接種で、標準は生後5〜8か月。重い小児結核を防ぐ
  • けいれんしている、意識がない、急に息が苦しい、アナフィラキシーを疑うときは119番
  • 接種部位がふつうより早く強く反応する(コッホ現象)ときは、2〜3日以内に接種した医療機関へ相談
  • 接種部位が数か月ジクジクする、大きな潰瘍になる、脇の下が大きく腫れる・化膿するときは、早めに受診する
  • BCGは市町村が実施主体。お住まいの自治体の案内に沿って、確実に受ける

接種部位の反応は、多くの子が通るふつうの経過です。ただし、早く強く出るコッホ現象や、リンパ節の大きな腫れは見逃さないでください。迷ったら、接種した医療機関やお住まいの自治体に相談してください。医療は私達におまかせください。

以上

免責事項

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

参考文献

  1. 厚生労働省. 2025年 結核登録者情報調査年報集計結果について. 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000175095_00018.html
  2. Horikoshi Y, Toizumi M. Pediatric tuberculosis and BCG vaccine in Japan. Vaccine. 2025 Aug;62:127564. doi:10.1016/j.vaccine.2025.127564 PMID: 40780094
  3. 日本ビーシージー製造株式会社(監修:結核予防会結核研究所). BCGワクチンは結核予防ワクチンです(BCGワクチン接種を受けるお子さんの保護者の方へ). 結核予防会ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://jata.or.jp/wp-content/themes/jata/pdf/data/bcg/BCG_leaflet_Japanese_202602.pdf
  4. 厚生労働省. 予防接種法施行令(昭和二十三年政令第百九十七号). e-Gov法令検索. 参照 2026年10月. https://laws.e-gov.go.jp/law/323CO0000000197
  5. 厚生労働省. BCGワクチン. 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/bcg/index.html
  6. 厚生労働省. 予防接種法施行規則(昭和二十三年厚生省令第三十六号). e-Gov法令検索. 参照 2026年10月. https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100036
  7. Mangtani P, Abubakar I, Ariti C, Beynon R, Pimpin L, Fine PE, et al. Protection by BCG vaccine against tuberculosis: a systematic review of randomized controlled trials. Clin Infect Dis. 2014 Feb;58(4):470-80. doi:10.1093/cid/cit790 PMID: 24336911
  8. Roy A, Eisenhut M, Harris RJ, Rodrigues LC, Sridhar S, Habermann S, et al. Effect of BCG vaccination against Mycobacterium tuberculosis infection in children: systematic review and meta-analysis. BMJ. 2014 Aug;349:g4643. doi:10.1136/bmj.g4643 PMID: 25097193
  9. Ota M, Furuichi Y, Hirao S. Epidemiology of the Koch phenomenon of infants after bacillus Calmette-Guerin vaccination by interferon-γ release assay status, Japan, 2013-2019. Int J Mycobacteriol. 2023 Jan-Mar;12(1):43-48. doi:10.4103/ijmy.ijmy_203_22 PMID: 36926762
  10. 厚生労働省. 結核とBCGワクチンに関するQ&A. 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/bcg/index.html

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