こんばんは。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。
朝晩が冷えこみ、のどの溶連菌(ようれんきん)がはやりやすい季節になりました。ニュースで「人食いバクテリア」という言葉を見て、ドキッとした方もおられると思います。
正式には劇症型溶血性レンサ球菌感染症(げきしょうがたようけつせいレンサきゅうきんかんせんしょう)といいます。英語の病名の頭文字から、STSS(エス・ティー・エス・エス:レンサ球菌による毒素性ショック症候群)とも呼ばれます。溶連菌が血液や筋肉に入りこみ、急激にショック状態(血圧が下がり、全身に血液が回らなくなる状態)を起こす病気です。
「人食いバクテリア」は正式な菌の名前ではありません。STSSに伴う組織の壊死(えし:組織が死んでしまうこと)が注目されて使われる通称です[1][2]。
発熱というと、コロナやインフルエンザのPCR検査(ピーシーアールけんさ:ウイルスの遺伝子を増やして見つける検査)を思い浮かべる方が多いかもしれません。でも、熱とあわせて気をつけたいサインは、のどや胸だけでなく手足に出ることもあります。
結論から申し上げると、手足の激しい痛みや腫れが急速に進む、意識がおかしい、息苦しいときは、様子を見ずに119番です。発熱や意識の変化がそろうのを待つ必要はありません。STSSは数時間単位で悪化することがあるので、「明日の朝まで待つ」が通用しません[1][3]。
本記事では、STSSの初期症状と急ぐサイン、いまの発生状況、ふつうの溶連菌との違い、傷や持病などのリスクを解説します。家族が溶連菌になったときに大人が気をつけることも、ざっくりまとめます。
2026年10月4日から、日曜・祝日も発熱外来を行っています
10時〜15時(昼休みなし)。予約は不要で、当日チェックインで受け付けます。PCR検査は当日中に結果をお伝えします。日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。実施日と休診日はカレンダーでご確認ください。日曜・祝日の発熱外来のお知らせ
【結論】STSS(人食いバクテリア)の初期症状は?
厚生労働省によると、STSSは手足の痛みや腫れ、発熱、血圧の低下から始まることが多いとされています[1]。国立国際医療研究センターの診療指針では、のどの痛み、吐き気・下痢、だるさ、筋肉の痛みで始まることもあるとされています[3]。ざっくり、次の4つが目安です。
- 【痛み】
腕や足に、ぶつけた覚えのない強い痛み。見た目のわりに痛みが強く、時間とともに増していく - 【腫れ】
痛む場所が急に腫れる、赤くなる、紫っぽくなる、水ぶくれができる - 【全身】
発熱や寒気、のどの痛み、吐き気・嘔吐(おうと)・下痢、強いだるさ - 【意識・血圧】
ぼんやりして受け答えがおかしい、ふらついて立てない、顔色が悪く冷や汗が出る
注意したいのは、はじめは「痛いのに見た目はなんともない」ことがある点です。この診療指針では、本人が感じる痛みは、皮膚の赤みや腫れに12〜24時間先行するとされています[3]。また、感染の初期には、入口になった傷や皮膚の変化がはっきりしない例が50%程度あるとされています[3]。
つまり、「傷もないし、腫れもまだ小さいから大丈夫」とは言えない病気です。熱があって、説明のつかない強い痛みがあるという組み合わせを、ぜひ覚えておいてください。
院長蒲生ぶつけた覚えもないのに脚がひどく痛くて、しかも熱っぽいという違和感こそ、STSSを疑う大事な手がかりです。
劇症型溶連菌感染症は過去最多?2023〜2024年の状況
2023年と2024年は、2年続けて届出(とどけで:医師が診断した患者を保健所に報告すること)の数が過去最多になりました[4][1]。厚生労働省によると、2023年の届出は941人(速報値)で、1999年に統計を取り始めてから最多でした[4]。
2024年も届出数がさらに増え、再び過去最多を更新しています[1]。同じ時期、のどの溶連菌感染(溶連菌咽頭炎〈いんとうえん〉)も、2023年10月以降、過去10年で最大規模の流行でした[4]。
増えた理由ははっきりしていません。ただ、2023年夏以降にのどの溶連菌が増えたことが、要因の一つである可能性があると考えられています[4]。横浜市でも2025年の検査結果が報告されており、2024年で終わった話ではありません[5]。
死亡する割合と、若い世代の変化
国立健康危機管理研究機構は、STSSを致命率(ちめいりつ:かかった人のうち亡くなる人の割合)が高い病気と説明しています[2]。しかも、重い持病がない人でも突然発症する例が多いとされています[2]。
2024年6月16日までの届出1,060人のうち、A群溶連菌(エーぐんようれんきん:溶連菌の種類の一つで、のどの溶連菌の主な原因)が原因だったのは656人でした[6]。STSS全体に占めるA群の割合は、2018〜2023年の30〜50%から、2024年6月16日まででは62%に上がっています[6]。
A群溶連菌によるSTSSで、50歳未満の方が届出の時点で亡くなっていた割合は、2023年7〜12月に30.9%(68人中21人)でした[6]。2018〜2022年の9.1〜24.1%と比べて高く、若い世代も無関係ではないことが分かります[6]。



数字だけ見ると、怖く感じられると思います。でも、早いサインを知っておけば、ご自身と家族を守る行動がとれます。
ふつうの溶連菌と劇症型溶連菌感染症の違いは?
のどの溶連菌とSTSSとでは、菌がいる場所と、全身への影響が大きく違います。のどの溶連菌は、のどの表面で増える病気で、小さなお子さんがよくかかります。
一方、STSSは、本来は菌がいないはずの血液や筋肉などに、毒素(どくそ:菌が出す有害な物質)を出すタイプの菌が入りこんで起こります[2]。国立健康危機管理研究機構も、子どもに多い溶連菌の咽頭炎とは区別される病気としています[2]。
| 比べるところ | ふつうの溶連菌(のど) | STSS(劇症型) |
|---|---|---|
| 多い年齢 | 小さなお子さん | 子どもから大人まで。高齢の方に多い |
| 菌がいる場所 | のどの表面 | 血液、筋肉、筋膜(きんまく:筋肉を包む膜)など |
| 主な症状 | のどの痛み、発熱、のどや舌の赤み | 手足の強い痛み・腫れ、発熱、血圧の低下、意識の変化 |
| 進み方 | 数日かけて経過する | 数時間〜数十時間で全身状態が悪化することがある |
| 治療 | 抗菌薬(こうきんやく:細菌をやっつける薬)の飲み薬を、決められた日数きちんと飲み切る | 抗菌薬、必要に応じて緊急手術、集中治療 |
※表の「STSS」欄は、厚生労働省と国立健康危機管理研究機構の資料、国立国際医療研究センターの診療指針、日本の届出データの報告をもとにまとめています[1][2][3][6]。
同じ菌が、なぜ重症化するのか
STSSの原因として代表的なのはA群溶連菌です。ほかにB群・C群・G群のレンサ球菌も原因になります[2]。菌が血液や筋肉に入ると、菌の出す毒素が引き金となって、ショックや多臓器不全(たぞうきふぜん:腎臓・肝臓・肺など複数の臓器が働かなくなること)に進むことがあります[2][3]。
最近注目されているのが、M1UK系統(エムワン・ユーケーけいとう)と呼ばれるA群溶連菌の型です。毒素を多く作り、人から人へうつりやすいとされ、2023年以降、関東を中心に日本でも検出が増えています[6]。
ただし、重症化(じゅうしょうか:病気が重くなること)するしくみは、まだ完全には解明されていません[1]。溶連菌がSTSSを起こすのは、まれなことです[1]。のどの溶連菌は、抗菌薬をしっかり飲み切れば治せる病気です(溶連菌の記事)。



同じ溶連菌でも、のどの症状だけのときと全身の具合が急に悪くなるときでは、急ぐ度合いが違います。
劇症型溶連菌感染症のリスクは?傷・水虫・打撲・持病
「菌の入口」と「重くなりやすい体の状態」の2つに分けると、ざっくり整理できます。厚生労働省によると、STSSは感染経路が分からない例が多いとされています[1]。推定される経路としては、接触感染(せっしょくかんせん:菌のついた手や物にふれてうつること)と傷からの感染が多く報告されています[1]。
同じ診療指針が挙げているリスクは、次のとおりです[3]。
- 高齢の方、生まれて間もない赤ちゃん
- 糖尿病、免疫の働きが落ちる病気や治療(免疫不全〈めんえきふぜん〉)
- アルコール依存
- けが(刺し傷・切り傷だけでなく、打撲などの鈍いけがも)、手術のあと
- 水ぼうそう(水痘〈すいとう〉)にかかっているとき
- 妊娠中、出産前後の方
- タンポンの使用
- 痛み止めの一部(NSAIDs〈エヌセイズ〉:ロキソプロフェンやイブプロフェンなど)の使用
同じ指針は、まれな病気ではあるものの、誰にでも起こりうることに注意が必要としています[3]。痛み止めの使用と病気の関連は、薬が原因だと証明されたという意味ではありません。処方薬は自己判断でやめず、気になるときは処方した医師に相談してください。
水虫は菌の入口に、打撲した場所も要注意
実は、皮膚に傷がなくても安心はできません。打撲で傷んだ筋肉や筋膜に感染が起こることがあります[3]。「ぶつけた所が、日に日にではなく時間単位で痛くなる」「熱も出てきた」というときは、ただの打ち身と思いこまないでください。
足の水虫(足白癬〈あしはくせん〉)も見逃せません。日本皮膚科学会は、足の指の間の水虫でできた亀裂やただれから細菌が入り、蜂窩織炎(ほうかしきえん:皮膚の下の細菌感染)を起こすことがあると説明しています[8]。さらに壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん:筋膜に沿って組織が急速に壊れる感染症)に発展すると、死に至ることがあるとしています[8]。特に糖尿病の方は重症化しやすいので、ふだんから水虫を治療しておくことが大切です[8]。
海外の研究で分かった「かかりやすさ」
地域在住の大人を対象とした、海外の研究があります[7]。侵襲性(しんしゅうせい)A群溶連菌感染症(菌が血液など本来いない場所に入る感染症)の大人を、地域の住民と比較して調べました[7]。STSSだけを調べた研究ではなく、侵襲性感染症全体が対象です。
45歳をこえる方では、糖尿病がある人のかかりやすさは、ない人の2.27倍(リスク比〈RR〉:ある条件を持つ人の発症しやすさが、持たない人の何倍かを表す数値)でした[7]。18〜44歳では、のどの痛い子どもと接していた人のかかりやすさが4.93倍でした[7]。
国も医療体制も違う研究ですが、持病がある方や、のどの痛い子どもの身近にいる大人は、少し気にかけておくとよいでしょう。
ふだんからできる予防
STSSを防ぐワクチンは、現在のところ承認されたものがありません[4]。そのため、厚生労働省は、手洗い・咳エチケット・傷口の清潔な処置といった基本の対策をすすめています[1]。
- 小さな傷でも、流水でよく洗って清潔に保ち、絆創膏などで覆う
- 足の水虫や、ひび割れ・あかぎれは放置せず治療する
- 糖尿病の方は、血糖を整え、足の傷や変化をこまめに確認する
- のどの痛い家族がいるときは、手洗いをこまめにし、タオルを共有しない



足の指の間の小さなひび割れも、菌にとっては入口になります。お風呂上がりにちょっと確かめる習慣をつけておくと安心です。
119番の判断は?劇症型溶連菌で「様子見」が危険な理由
次のどれか1つでもあてはまれば、夜間・休日でも迷わず119番してください。STSSは、手術や集中治療ができる病院で、すぐに治療を始める必要がある病気です[1][3]。
- 手足などの痛みが強く、見ている間にもどんどん強くなる。見た目のわりに痛みが強すぎる
- 腫れや赤みが時間単位で広がる。皮膚が紫色・黒っぽくなる、水ぶくれができる
- 意識がぼんやりする、受け答えがおかしい、呼びかけへの反応が鈍い
- ふらついて立てない、顔色が青白い、冷や汗、手足が冷たい(血圧が下がっているサイン)
- 息が苦しい、呼吸がとても速い
これらのサインがなくても、傷やけがのまわりの赤み・腫れ・痛みに発熱が加わったときは、その日のうちに医療機関を受診してください。夜間でも救急外来へ連絡して受診し、翌朝まで待たないでください。熱があって尿が明らかに減っているときも、急いで受診してください[3]。
意識がおかしい、急な息苦しさ、支えなしで立てないほどのふらつきは、国の救急案内でも119番の目安です[9]。上の一覧はSTSSの診療指針にある急速な進行も踏まえた受診の目安で、家庭で診断するための基準ではありません[3]。自分で運転せず、救急隊には今いる場所と症状を伝えてください。
「様子見」が危険な3つの理由
- 【進むのが速い】
場合によっては数時間で全身状態が悪化します[1]。発症後数十時間以内に組織の壊死や多臓器不全に進むことがあります[2] - 【見た目が遅れてついてくる】
痛みが皮膚の変化に12〜24時間先行するとされ、最初は「なんともない」ように見えることがあります[3] - 【治療は時間との勝負】
抗菌薬の点滴をすぐに始めるのに加えて、壊死した部分を取り除く緊急手術や集中治療が必要になることが多い病気です[4]
一度受診して「様子を見ましょう」と言われたあとでも、痛みが強くなる・ぼんやりしてくるときは、ためらわず119番してください。痛み止めで痛みをおさえて、朝まで我慢するのはやめましょう。
救急隊・病院に伝えること
- いつから、どこが痛いか。痛みや腫れが広がる速さ
- けが・打撲・虫刺され・水虫・手術などの心当たり
- 体温と、飲んだ薬(痛み止め・解熱剤)、最後に飲んだ時刻
- 糖尿病などの持病、妊娠中かどうか
- 家族や身近な人に、最近の溶連菌の人がいるか



「大げさだったらどうしよう」と迷う気持ちは分かります。でもこの病気では、迷っている時間がいちばんの敵です。
家族が溶連菌になったら?大人が気をつけること
同居家族としてできるのは、うつらない工夫と、自分の体の「いつもと違う」を見逃さないことの2つです。のどの溶連菌がSTSSにつながるのはまれですが、家族内でリスクが上がることを示した研究があります。
英国(イングランド)で2011〜2016年の猩紅熱(しょうこうねつ:溶連菌による発疹をともなう病気)を調べた研究があります[10]。届けられた猩紅熱患者の同居家族は、推計で18万9,684人でした[10]。60日以内に侵襲性A群溶連菌感染症になった家族は11人で、発症率(一定の人数と期間あたりに発症する頻度)は一般集団の12.2倍でした[10]。
ただ、実際に発症した人の割合(絶対的なリスク)は低いと報告されています[10]。なお、STSSだけの発症率でも、日本の一般的な溶連菌咽頭炎の家族を調べた結果でもありません。この研究では、赤ちゃんと75歳を超える方が、特にリスクが高い家族でした[10]。必要以上に怖がらず、「サインが出たらすぐ動く」と決めておくのが現実的です。
- お子さんの抗菌薬は、症状がよくなっても、処方された日数をきちんと飲み切らせる
- 手洗いをこまめにし、タオル・コップ・食器を共有しない
- 看病する大人の手や足の傷は、洗って覆っておく
- 同居の高齢の方、妊娠中の方、糖尿病の方の体調に気を配る
- 大人ものどの痛みや発熱が出たら受診し、「家族が溶連菌でした」と伝える
- 手足の激しい痛み・腫れが急速に進む、意識がおかしい、息苦しいときは119番
家族がSTSSと診断されたとき
発症したのが同居の家族である場合には、事情が少し違います。診療指針では、高齢・糖尿病・妊娠中など重症化しやすい条件をもつ同居家族には、抗菌薬の予防投与(よぼうとうよ:症状が出る前に薬を飲んでおくこと)を考慮するとしています[3]。この予防投与は保険適用外とされています[3]。治療を受けている病院の主治医や保健所の案内に従い、ご自身の持病も伝えて相談してください。
猩紅熱の発疹については猩紅熱の記事、皮膚の溶連菌・ブドウ球菌感染についてはとびひの記事も参考にしてください。



お子さんの看病で疲れているときほど、ご自身の体の変化は後回しになりがちです。ご自身の手足の痛みや腫れ、体調の変化にも気を配ってください。
当院の発熱外来の受診案内
当院の発熱外来は、STSSが疑われるときの最初の受診先ではありません。救急受診が優先です。上の119番のサインがあるときは、クリニックを経由せず、そのまま119番してください。
一方、のどの痛みや発熱があって溶連菌が心配、家族が溶連菌で自分も熱が出てきた、というときは当院の発熱外来をご利用ください。当院は、発熱外来の受診をお断りしない方針です。
| 曜日 | 時間 |
|---|---|
| 月・火・水・金・土 | 9:00〜12:00/14:00〜18:00 |
| 日曜・祝日(2026年10月4日から) | 10:00〜15:00(昼休みなし・発熱外来のみ) |
| 木曜 | 休診 |
日曜・祝日の実施日と休診日は、カレンダーと日曜・祝日の発熱外来のお知らせをご覧ください。
受診の流れ(予約は不要です)
チェックインは、発熱外来入口に掲示したQRコード(キューアールコード:スマホのカメラで読み取る四角い模様)から行います。順番が近づいたら、SMS(エスエムエス:携帯電話番号あてに届く短いメッセージ)かお電話でお知らせします。
- 来院前に事前問診を入力します(任意です。入口でチェックインするときに入力してもOKです)
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- 順番が近づいたら、SMSまたはお電話でお呼び出しします。発熱外来入口のインターホンを押して、お名前をおっしゃってください
診察は原則チェックイン順ですが、症状の重さなどで前後することがあります。くわしい手順は発熱外来の事前問診・当日チェックインについてをご覧ください。日曜・祝日は点滴ができません。木曜日は休診です。
よくある質問(FAQ)
- 「人食いバクテリア」は、どんな病気ですか?
-
劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)を指して使われる通称です。溶連菌が血液や筋肉に入りこみ、毒素によってショックや多臓器不全を急激に起こします。命にかかわることも多く、手足の強い痛みや腫れ、発熱で始まることが多い病気です。
- 子どもが溶連菌と言われました。大人の私もSTSSになりますか?
-
のどの溶連菌から家族がSTSSになることは、ごくまれです。ただ、家族内でリスクが上がるという研究もあります。お子さんの抗菌薬を飲み切らせ、手洗いとタオルの分け使いを続けてください。手足の激しい痛みや腫れが急速に進むときは、発熱の有無にかかわらず119番です。
- 傷がなくても、STSSになることはありますか?
-
あります。感染経路が分からない例も多く、初期には入口になった傷がはっきりしない例も少なくありません。打撲で筋肉が傷ついた場所に起こることもあるので、傷がないことを理由に安心せず、痛みの強さや悪化の速さにも注意してください。
- 手足が痛くて熱があります。朝まで様子を見てもいいですか?
-
激しい痛みが急に増す、腫れ・赤みが急速に広がる、意識がおかしい、立てない、息苦しいときは119番です。どれか1つでも該当したら、熱やほかの症状がそろうのを待たないでください。こうしたサインがなくても、傷のまわりの赤み・腫れに熱が加わったら、その日のうちに受診してください。夜間は救急外来へ連絡し、翌朝まで待たないでください。
- STSSを予防するワクチンはありますか?
-
現在のところ、日本で承認されたワクチンはありません。手洗い、咳エチケット、小さな傷を洗って清潔に覆うこと、水虫やひび割れを治しておくことが基本の予防です。糖尿病の方は、足の傷をこまめに確認してください。
まとめ【劇症型溶連菌の急速な悪化は119番】
- STSS(人食いバクテリア)は、2023年・2024年と続けて過去最多[1][4]
- 初期症状は、手足の強い痛み・腫れ、発熱、血圧の低下。のどの痛みや下痢で始まることもある
- 痛みが見た目の変化より先に出る。「傷がない」「腫れが小さい」は安心材料にならない
- 傷・打撲・水虫、高齢、糖尿病、妊娠中などはリスク。ただし誰にでも起こりうる
- 痛みが急に強くなる、腫れが時間単位で広がる、ぼんやりする、立てない、は夜間でも119番
- 家族が溶連菌なら、抗菌薬を飲み切らせ、手洗いと傷のケア。大人の急に悪化する痛みや腫れも見逃さない
劇症型溶連菌感染症では、激しい痛みや腫れが急速に進むサインを知ることが早い行動につながります。ざっくり、「急速に悪化する激しい痛みや腫れ、意識の異常、息苦しさは119番」です。発熱がそろうのを待たずに行動してください。早く治療を始めることが、経過を大きく左右します。
以上
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
参考文献
- 厚生労働省. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS). 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月22日. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137555_00003.html
- 国立健康危機管理研究機構. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS). 感染症情報提供サイト(2025年9月25日更新). 参照 2026年10月22日. https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ka/STSS/index.html
- 国立国際医療研究センター 国際感染症センター. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)の診療指針. 国立国際医療研究センター. 2024. https://dcc-irs.ncgm.go.jp/document/manual/stss_20240621_2.pdf
- 厚生労働省. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)に関するQ&A. 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月22日. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/stss_qa.html
- 横浜市衛生研究所. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症検査結果(2025年). 横浜市衛生研究所 月報. 参照 2026年10月22日. https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/kenko-iryo/eiken/geppo/2026/2609.files/260901.pdf
- Ujiie M. Emerging Trends in Streptococcal Toxic Shock Syndrome, Japan. Emerging Infectious Diseases. 2025. doi:10.3201/eid3104.241076 PMID: 39992805
- Factor SH, Levine OS, Schwartz B, et al. Invasive group A streptococcal disease: risk factors for adults. Emerging Infectious Diseases. 2003. doi:10.3201/eid0908.020745 PMID: 12967496
- 日本皮膚科学会. 皮膚科Q&A 白癬(水虫・たむしなど) Q29 足白癬で死亡することはありますか? 日本皮膚科学会ウェブサイト. 参照 2026年10月22日. https://qa.dermatol.or.jp/qa10/q29.html
- 厚生労働省. こんな時は迷わず119へ. 上手な医療のかかり方. 参照 2026年10月22日. https://kakarikata.mhlw.go.jp/kakaritsuke/urgency.html
- Watts V, Balasegaram S, Brown CS, et al. Increased Risk for Invasive Group A Streptococcus Disease for Household Contacts of Scarlet Fever Cases, England, 2011-2016. Emerging Infectious Diseases. 2019. doi:10.3201/eid2503.181518 PMID: 30602121
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