お急ぎの方へ
- 溶連菌は発熱とのどの痛みが主で、猩紅熱では全身の鮮紅色の発疹・いちご舌・治まった後の皮むけがみられる
- けいれんしている、呼びかけに返事がない、急に息が苦しいときは119番
- 抗菌薬は決められた期間、最後まで飲み切ることが合併症を防ぐために大切(登校は開始後24時間以降が目安)
おはようございます。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。
お子さんが熱を出し、のどを痛がり、体に赤い発疹(ほっしん)が出てくると、
「これは溶連菌? それとも別の病気?」
と心配になりますよね。発疹が出ると、原因が分かるまで落ち着かないものです。
結論から申し上げると、A群溶血性レンサ球菌(通称・溶連菌)による咽頭炎は発熱とのどの痛みが主で、猩紅熱(しょうこうねつ)では全身の鮮紅色の発疹、いちご舌、治まった後の皮むけがみられます[1][2]。発疹の出方だけでは他の病気と決められないため、のどの検査で確かめます[1]。
本記事では、猩紅熱の発疹・いちご舌・皮むけの特徴、ウイルス性の発疹や麻しん・川崎病との違い、検査の考え方、抗菌薬を飲み切る大切さ、登校・登園のめやす、119番のサインを、呼吸器専門医の立場から解説します。
その前に、日曜・祝日の発熱外来のご案内です。インフルエンザやコロナのPCR検査(ピーシーアール検査:ウイルスの遺伝子を増やして見つける検査)は、当日中に結果が分かります。
2026年10月4日から、日曜・祝日も発熱外来を行っています
10時〜15時(昼休みなし)。予約は不要で、当日チェックインで受け付けます。PCR検査は当日中に結果をお伝えします。日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。10月25日(日)は休診で、11月からは原則として毎週日曜日と祝日です。日曜・祝日の発熱外来のお知らせ
【結論】溶連菌ののどの痛みと発疹はどう見分ける?
溶連菌ののどの痛みは、発熱とのどの奥の痛みが中心で、発疹は猩紅熱のときに出ます。まず押さえておきたい3点は次のとおりです。
- 【症状の中心】
発熱とのどの痛みが主で、猩紅熱では全身の鮮紅色の発疹、いちご舌、治まった後の皮むけがみられる[1][2][3] - 【検査で確かめる】
発疹だけでは決められないため、のどの奥をぬぐう迅速検査や培養で調べる[1][2] - 【治療と感染力】
適切な抗菌薬で治療し、感染力は治療開始後24時間以内になくなるとされる[2][4]
溶連菌は、飛沫感染(ひまつかんせん)と接触感染でうつります[1]。咽頭炎は学童に多く、冬季と、春から初夏の2つの流行のピークがあります[1]。
猩紅熱の発疹・いちご舌・皮むけはどんな特徴?
猩紅熱の発疹は「全身に鮮紅色の発疹」で、いちご舌と、治まった後の皮むけが特徴です[1][2][3]。
日本小児科学会の解説では、猩紅熱は5〜10歳ころに多く、発熱、咽頭炎、扁桃炎とともに、舌が苺状(いちごじょう)に赤く腫れ、全身に鮮紅色の発疹が出て、治まった後に剥がれ落ちると説明されています[2]。
こども家庭庁のガイドラインでは、「舌が苺状に赤く腫れ、全身に鮮紅色の発しんが出る。また、発しんがおさまった後、指の皮がむけることがある」と記載されています[3]。JIHS(感染症情報提供サイト)も、猩紅熱では特徴的な紅斑やいちご舌、落屑(らくせつ:皮がむけること)がみられるとしています[1]。
発疹の手ざわりについて、海外のある総説は猩紅熱の発疹を「紙やすりのような皮膚の発疹(sandpaper-like skin rash)」と表現しています[5]。これは1つの言い方であり、診断の決め手になるものではありません。
なお、溶連菌咽頭炎の潜伏期間は2〜5日で、発熱、咽頭痛、倦怠感、嘔吐などの症状が出ます[1]。
院長蒲生いちご舌は猩紅熱だけでなく川崎病でもみられるので、舌だけで区別はできません[6]。また、鮮紅色の発疹は麻しんの初期にもみられるため、発疹の色だけでも区別できません[7]。
ウイルス性の発疹・麻しん・川崎病とどう違う?
発疹を伴う発熱は溶連菌だけではなく、麻しん(はしか)や風しん、突発性発疹、川崎病などでもみられるため、症状の組み合わせで考えます[3][7][6]。
こども家庭庁のガイドラインには、発疹の出方が参考として整理されています[3]。「発熱と同時に発しんが出た」場合は風しん、溶連菌感染症が挙げられ、「かぜのような症状を伴う発熱後、一旦熱がやや下がった後に再度発熱し、赤い発しんが全身に広がった」場合は麻しん、「38℃以上の熱が3〜4日続き下がった後、全身に赤い発しんが出た」場合は突発性発しんです[3]。
麻しんでは、38℃前後の発熱が2〜4日続き、上気道炎症状(咳嗽・鼻漏・咽頭痛)と結膜炎症状(結膜充血・眼脂・羞明)がほぼ同時に現れます[7]。また発疹が出る1〜2日前に、ほおの内側にコプリック斑(約1mmの白色小斑点)がみられ、発熱が1℃ほど下がった後に再び高熱が出て(2峰性発熱)、発疹が耳後部・頚部・前額部から広がります[7]。
川崎病は4歳以下の乳幼児に多く、高熱、両側の眼球結膜(白目)の充血、真っ赤な唇と苺のようにブツブツの舌、体の発赤疹、手足の腫れ、首のリンパ節の腫れの6症状のうち5つ以上で診断されます[6]。小さなお子さんではBCG接種部位が赤く腫れることも特徴です[6]。
| 病気 | 特徴(公的資料の記載) |
|---|---|
| 溶連菌(猩紅熱) | 発熱とのどの痛み。全身の鮮紅色の発疹、いちご舌、治まった後の皮むけ[1][2][3] |
| 麻しん | 咳・鼻汁・結膜充血、コプリック斑、2峰性発熱、耳後部・顔から広がる発疹[7] |
| 川崎病 | 6症状のうち5つ以上で診断。目の充血、手足の腫れ、首のリンパ節腫脹[6] |
| 突発性発疹 | 38℃以上の熱が3〜4日続き、熱が下がった後に全身に発疹[3] |
公的資料には、これらを直接並べて比べた一覧表があるわけではありません。上の表は各資料の記載をまとめた参考情報で、自分で見分けるためのものではありません[3][7][6]。また、麻しんはワクチンを接種していると軽い経過(修飾麻しん)になり、発疹のパターンが当てはまらないことがあります[7]。
川崎病は冠動脈に動脈瘤(こぶ)を作ることがあり、高熱の時期にできるだけ早く治療を始めることが大切です[6]。麻しんと風疹のワクチンについては、【麻疹と風疹】MRワクチンは2回接種を参考にしてください。
溶連菌かどうかはどうやって検査する?
のどの奥を綿棒でぬぐって調べる迅速検査(迅速診断キット)や細菌培養で確かめます[1][2]。
JIHSによると、診断は感染部位からの病原体の分離によります[1]。咽頭炎では、咽頭ぬぐい液を用いた迅速診断キットも有用です[1]。日本小児科学会の解説でも、抗原の迅速診断キットや細菌培養、抗体検査が用いられるとされています[2]。検査の結果に、のどの奥の状態と症状の経過を合わせて、医師が判断します。検査の考え方は【溶連菌】発熱とのどの痛み、検査はどんなときに?も参考にしてください。
検査の精度には限界もあります。小児の咽頭炎を調べた98の研究をまとめたコクランレビューでは、迅速検査の感度(溶連菌の子を見つける割合)は85.6%、特異度(溶連菌でない子を正しく除く割合)は95.4%でした[8]。溶連菌の子ども100人のうち、86人は正しく見つかり、14人は見逃される計算です[8]。
そのため、「検査が陰性なら溶連菌ではない」と決めつけられない点が大切です[8]。症状や周りの流行をふまえて、医師が総合的に判断します[1][2]。
抗菌薬はいつまで飲む?登校・登園はいつから?
抗菌薬は「決められた期間」最後まで飲み切ることが、合併症を防ぐために大切です[3]。
溶連菌の治療には、ペニシリン系抗菌薬やマクロライド系抗菌薬が使われます[1]。こども家庭庁のガイドラインでは、適切に治療すれば後遺症がなく治癒するが、治療が不十分な場合には発症数週間後にリウマチ熱、腎炎等を合併することがあるとされています[3]。だからこそ、症状が治まってからも、決められた期間、抗菌薬を飲み続けることが必要です[3]。
感染力については、日本学校保健会の解説に「適切な抗菌薬療法開始後24時間以内に他への感染力は消失するため、それ以降、登校(園)は可能である。ただし、定められた期間は抗菌薬の内服を継続すること」とあります[4]。日本小児科学会も、抗菌薬投与で24時間以内に感染力はなくなるとしています[2]。
保育所の場合は考え方が少し異なります。こども家庭庁のガイドラインでは、登園のめやすとして「抗菌薬の内服後24〜48時間が経過していること」が示されています[3]。学校は24時間、保育所は24〜48時間が目安で、数字が違う点に注意してください[3][4]。
法律の面も整理しておきます。学校保健安全法施行規則には溶連菌という病名は挙げられておらず、第三種感染症の「その他の感染症」に含まれうる扱いです[9]。第三種では、校長が出席停止をさせることができ、その期間は「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」と定められています[9]。24時間という数字は法律ではなく、解説書による目安です[4][9]。同じ解説書は、「その他の感染症」について必ず出席停止を行うべきというものではない、とも述べています[4]。
つまり、多くの学校・園で、抗菌薬開始後24時間などが目安とされるが、実際の扱いは学校・園と医師の指示に従うというのが正確なところです[3][4][9]。
抗菌薬の効果については、海外の古い試験を含み、のどの痛み全般を対象としたコクランレビューで、リウマチ熱を減らし(Peto OR 0.36、95%CI 0.26〜0.50)、中耳炎(OR 0.21)や扁桃周囲膿瘍(OR 0.16)も減らしたと報告されています[10]。ただし当時は合併症が今より多かった時代のデータです[10]。合併症を防ぐためにも、必要なときは迷わず始め、出された分は最後まで飲み切り、以前の余った薬を自己判断で使わないようにしてください[3]。
発症数週間後に合併症が出ることがあります。日本小児科学会の解説では、腎炎は発症数週間後に血尿(けつにょう)で見つかることが多いとされています[2]。急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの合併症を呈することがあり[1]、まれではあるものの、突発的かつ急速に多臓器不全に進行する劇症型溶血性レンサ球菌感染症を起こすこともあります[1]。数週間後の尿の変化については、【溶連菌後の腎炎】数週間後の尿の変化と尿検査を参考にしてください。
つらい発熱は、アセトアミノフェン(カロナールなど)で下げることができます。量や使い方は医師の指示どおりにし、心配なときは早めに相談してください。
【受診を急ぐサイン】119番・夜間救急・その日のうち
すぐ119番
次のどれか1つでもあれば、体温の高さにかかわらず、迷わず119番に電話してください。夜間・休日でも同じです。これは一般的な救急のサインです。
- けいれんしている、けいれんが続いている
- 呼びかけに返事がない、意識がおかしい、ぐったりして反応がうすい
- 急に息が苦しい、肩で息をしている、唇が紫っぽい
夜間・休日でも、その日のうちに救急外来へ
次のようなときは朝まで待たず、夜間・休日でも救急外来を受診してください。苦しそうで動かせないときは119番です。
- 水分がほとんどとれない、半日以上おしっこが出ていない
- 安静にしていても呼吸がいつもより明らかに速い、苦しそう
- 手足が冷たく、顔色が青白い・悪くてぐったりしている
その日のうち(夜なら翌朝)に受診
呼吸・意識・水分は保たれているけれど、次のようなときは様子を見すぎず受診してください。
- 高い熱とのどの痛みがつらく、飲み込みにくい
- 発疹が全身に広がってきた
- 数週間後に尿の色がコーラ色、まぶたのむくみが出た(血尿は腎炎のサインのことがある[2])
- 家族や学校・園で溶連菌が流行している
夜のあいだに様子が変わったら、その時点で上の「119番」「救急外来」の目安にもどって判断し直してください。
よくある質問(FAQ)
- 発疹が出たら、それは溶連菌ですか?
-
発疹を伴う発熱は溶連菌だけではなく、風しんや麻しん、突発性発疹などでもみられます[3][7]。のどの痛みと発熱があれば、検査でのどの奥を調べて確かめます[1][2]。発疹だけで決めつけず、受診して相談してください。
- 検査が陰性なら、溶連菌ではないのですか?
-
陰性でも完全には否定できません。迅速検査は、溶連菌の子ども100人のうち14人ほどを見逃す計算になります[8]。症状や周りの流行をふまえ、医師が総合的に判断します[1][2]。気になる症状が続くときは再受診してください。
- 熱が下がったら、抗菌薬はやめてもいいですか?
-
やめないでください。合併症を防ぐため、症状が治まってからも決められた期間、飲み続けることが必要です[3]。登校は抗菌薬開始後24時間以降が目安とされますが、定められた期間は内服を続けます[4]。
- 保育園にはいつから登園できますか?
-
保育所の登園のめやすは、抗菌薬の内服後24〜48時間が経過していることです[3]。学校は開始後24時間以降が目安とされ、数字が異なります[3][4]。最終的な判断は園と医師の指示に従ってください[3][4]。
- 治ったと思った数週間後に、気をつけることはありますか?
-
腎炎は発症数週間後に血尿で見つかることが多いとされています[2]。尿の色がコーラ色にみえる、まぶたがむくむ、といった変化があれば受診してください。くわしくは【溶連菌後の腎炎】数週間後の尿の変化と尿検査をご覧ください。
- 子どもがけいれんしました。どうすればいいですか?
-
けいれんしているときや、呼びかけに返事がない、急に息が苦しいときは、迷わず119番に電話してください。けいれんが止まって意識がもどっても、その日のうちに受診して相談してください。
まとめ【発疹と発熱は早めに相談を】
- 溶連菌は発熱とのどの痛みが主で、猩紅熱では全身の鮮紅色の発疹・いちご舌・治まった後の皮むけがみられる
- けいれんしている、呼びかけに返事がない、急に息が苦しいときは119番
- 抗菌薬は決められた期間、最後まで飲み切ることが合併症を防ぐために大切(登校は開始後24時間以降が目安)
- 発疹だけでは決められないので、のどの迅速検査や培養で確かめる
- 治まってから数週間後の尿の変化(コーラ色・むくみ)にも気をつける
発疹が出ると不安になりますが、のどの痛みと発熱があれば検査で確かめられ、適切な抗菌薬でしっかり治療できます。気になる変化は、どうぞそのまま私達に伝えてください。医療は私達におまかせください。
以上
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS). A群溶血性レンサ球菌感染症. 感染症情報提供サイト. 参照 2026年10月. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/group-a-streptococcal-infection/index.html
- 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会. 学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説. 日本小児科学会ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.jpeds.or.jp/general/prevention/yobo-kansensho/index.html
- こども家庭庁. 保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版). こども家庭庁ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/c60bb9fc/20230720_policies_hoiku_25.pdf
- 公益財団法人 日本学校保健会. 学校において予防すべき感染症の解説〈令和5年度改訂〉. 日本学校保健会ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.gakkohoken.jp/book/ebook/ebook_R050080/data/670/src/670.pdf
- Matsubara VH, Christoforou J, Samaranayake L. Recrudescence of Scarlet Fever and Its Implications for Dental Professionals. Int Dent J. 2023 Jun;73(3):331-6. doi:10.1016/j.identj.2023.03.009 PMID: 37062653
- 国立成育医療研究センター. 川崎病. 国立成育医療研究センターウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/030.html
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS). 麻しん(詳細版). 感染症情報提供サイト. 参照 2026年10月. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/measles/detail/
- Cohen JF, Bertille N, Cohen R, Chalumeau M. Rapid antigen detection test for group A streptococcus in children with pharyngitis. Cochrane Database Syst Rev. 2016 Jul;7(7):CD010502. doi:10.1002/14651858.CD010502.pub2 PMID: 27374000
- 文部科学省. 学校保健安全法施行規則. e-Gov 法令検索. 参照 2026年10月. https://laws.e-gov.go.jp/law/333M50000080018
- Spinks A, Glasziou PP, Del Mar CB. Antibiotics for treatment of sore throat in children and adults. Cochrane Database Syst Rev. 2021 Dec;12(12):CD000023. doi:10.1002/14651858.CD000023.pub5 PMID: 34881426
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