お急ぎの方へ
- 朝まで待てるかは、熱の高さではなく水分・機嫌(反応)・呼吸・顔色で決まる
- 生後3か月未満の38℃以上、ぐったり、呼吸が苦しい、けいれん5分以上などは、朝を待たずに受診・119番
- 「熱が低いから安心」とは限らない。熱が下がってぐったりしているときこそ要注意
こんにちは。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。
夜中や日曜・祝日に、お子さんが急に熱を出す。体温計を見たら39℃。かかりつけは閉まっているし、救急に連れて行くべきか、朝まで待っていいのか……。子育て中のご家庭なら、一度は経験される夜だと思います。
結論から申し上げると、朝まで待てるかどうかは「熱の高さ」ではなく「お子さんの様子」で決まります。本記事では、夜間・休日に子どもが発熱したときの朝まで待てるサイン・待てないサイン、#8000(子ども医療電話相談)の使い方、そして日曜・祝日に当院の発熱外来を受診する方法を、論文のデータもまじえて解説します。
2026年10月4日から、日曜・祝日も発熱外来を行っています
10時〜15時(昼休みなし)。予約は不要で、当日チェックインで受け付けます。PCR検査は当日中に結果をお伝えします。日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。10月25日(日)は休診で、11月からは原則として毎週日曜日と祝日です。日曜・祝日の発熱外来のお知らせ
【結論】見るのは体温計ではなく「4つのサイン」
夜間に判断するときは、ざっくり次の4つを見ればOKです。
- 【水分】
少しずつでも飲めているか。おしっこが出ているか - 【機嫌・反応】
あやすと笑う、目が合う、呼びかけに反応するか - 【呼吸】
肩で息をする、胸やのどの下がペコペコへこむ、ゼーゼーするといった、苦しそうな呼吸がないか - 【顔色】
いつもの顔色か。青白い、土気色(つちけいろ)、唇が紫っぽい、ということはないか
この4つが「いつもどおり」なら、39℃あっても朝まで様子を見られることが多いです。逆に、1つでも明らかにおかしければ、37℃台でも待たないでください。ただし生後3〜6か月で39℃以上は、元気そうでも#8000に相談し、翌朝いちばんに受診してください(NICEのガイドラインでも「注意が必要」の扱いです[1])。
救急外来でも、熱のある子どもは体温だけでなく、血液中の酸素の値(SpO2)、脈、呼吸の速さ、意識、水分の状態で振り分けています。インドの救急外来で5歳以下の発熱した子ども350人を調べた研究では、英国のガイドライン(NICE)の考え方で振り分けると、あとで入院が必要になった子どもの約8割(感度80.3%)を受診した時点で拾い上げられました。逆にいえば2割は拾いきれないので、プロでも「一度見て終わり」ではなく経過を見ます[2]。見ているのは「数字1つ」ではなく「全身の様子」ということです。
院長蒲生診察室でも、私が最初に見るのは体温の数字ではなく、呼吸と顔色、そしてお子さんの反応です。
朝まで待ってはいけないサインは?【今すぐ受診・119番】
次のどれか1つでもあてはまれば、夜間・休日でも朝を待たずに受診してください。けいれんが5分以上続く、呼びかけに反応しない、呼吸がとても苦しそうなときは、迷わず119番です。
- 生後3か月未満で38℃以上の熱がある(元気そうに見えても受診してください)
- ぐったりして反応が鈍い、目が合わない(呼びかけに反応しない、起こしても起きないときは119番)
- 呼吸が苦しそう(肩で息をする、胸やのどの下がペコペコへこむ、ゼーゼー、うなるような呼吸)
- 唇や顔色が青白い・紫っぽい、手足が冷たくまだら模様になっている
- けいれんが5分以上続く、短い時間にくりかえす、止まっても意識が戻らない
- 水分をまったく受けつけない、半日以上おしっこが出ていない
- 押しても消えない、紫色や赤黒い点のような発疹(ほっしん)がある
- 吐くのが止まらない、首を前に曲げると痛がる・首が硬い、光をまぶしがる、赤ちゃんの頭のてっぺん(大泉門〈だいせんもん〉)がふくらんでいる
- 弱々しい・甲高い泣き声で、泣き止まない
また、次のようなときは夜は待てても、翌朝には必ず受診してください。
- 生後3〜6か月で39℃以上の熱がある(元気そうでも)
- 熱が5日以上続いている(川崎病などの確認が必要です)
- ぜんそく、心臓や腎臓の病気など、持病がある
- 一度下がった熱がまた上がった
「熱が低いから安心」とは限らない
実は、重い感染症では熱がそれほど上がらない、むしろ下がることもあります。米国の小児病院の救急外来で、敗血症(はいけつしょう:感染症に対する体の反応が制御できなくなり、命に関わる臓器の障害が起きる重い状態)と判断された子ども385人を、敗血症の基準を満たした時点の体温で分けて調べた研究では、38.0℃以上の子どもより、37.9℃以下の子どものほうが臓器障害などが多いという結果でした[3]。
- 72時間後に臓器(ぞうき)の障害があった割合
38.0℃以上:26.1% / 36.1〜37.9℃:53.8% / 36.0℃以下:68.2%
36.0℃以下は22人と少数ですが、「熱がそれほど高くない=軽い」とは言えない、ということです。
「熱は下がったのに、ぐったりして顔色が悪い」は、むしろ要注意のサインです。
爪を押して、色の戻り具合を見る
ご家庭でもできるチェックがもう一つあります。お子さんの指先や爪(つめ)を5秒ほど押して離し、白くなった色がピンクに戻るまでの時間を見ます。これは毛細血管再充満時間(もうさいけっかんさいじゅうまんじかん)といって、手足の先まで血液がしっかり巡っているかの目安です。ふだんは2秒くらいで戻ります。英国のNICEガイドラインでは、3秒以上かかるときを中等度リスク(黄色)のサインとしています[1]。手足が冷えていると遅くなりやすいので、部屋を暖かくし、胸の真ん中を押して確かめるのも一法です。
熱と頻脈(ひんみゃく:脈がとても速い状態)で救急外来を受診した18歳以下の子どもを調べた研究では、その後24時間以内に血圧が下がるショック状態に進んだ子ども94人は、進まなかった子ども186人に比べて、受診時に色の戻りが遅い割合が高く、調整オッズ比(ほかの要因をそろえて比べた起こりやすさ)は3.1でした[4]。
手足が冷たくて色の戻りが遅い、解熱剤を使っても脈が速いまま、というときは朝を待たないでください。
朝まで待てるのはどんなとき?
一方で、次のような状態なら、おうちでケアしながら朝を待つという判断で多くの場合OKです。
- 熱はあっても、少しずつ水分がとれていて、おしっこも出ている
- あやすと笑う、好きな動画やおもちゃに反応する
- 呼吸が落ち着いていて、眠れている(起こせばふつうに目を覚ます)
- 顔色がいつもどおりで、手足があたたかい
- 熱の合間に、機嫌よく遊んだり笑ったりする時間がある
※解熱剤で熱が下がったかどうかでは、病気の重い・軽いは判断できません(NICEのガイドラインも同じ立場です[1])。
ただし、夜のあいだに様子が変わったら、その時点で判断をやり直してください。「さっきは大丈夫だった」は、いまの判断材料になりません。
「39℃=重症」ではない【熱の高さより全身の様子】
夜中の39℃は、本当に心配になりますよね。
トルコの小児救急外来の調査(974人)では、受診の68%は緊急性の低い状態で、熱があると、保護者は重症度を高めに感じやすいという結果でした[5]。
ただしこれは「だから受診するな」という話ではまったくありません。熱はそれだけ人を不安にさせる、ということです。迷ったら#8000、危ないサインがあれば即受診。この線引きさえ守ればOKです。米国小児科学会(AAP)の見解でも、熱そのものが病気を悪くしたり、脳に後遺症(こういしょう)を残したりするという証拠はないとされ、熱の治療の目標は「平熱に戻すこと」ではなく「お子さんを楽にすること」だとされています[6]。
数字に振り回されず、さきほどの4つのサインを見る。夜の判断は、これにつきます。
迷ったら#8000(子ども医療電話相談)
「待てるのか待てないのか、やっぱり判断がつかない」というときは、子ども医療電話相談(#8000)に電話してください。全国どこからでも#8000でお住まいの都道府県の窓口につながり、小児科医や看護師から、すぐ受診すべきか、朝まで様子を見てよいかのアドバイスがもらえます[7]。受付時間は都道府県によって異なりますので、お子さんが元気なうちに、宮城県の受付時間を確認しておくと安心です。受診の目安をスマホで確かめたいときは、日本小児科学会の「こどもの救急(ONLINE-QQ)」も使えます。
- 迷っている段階
→ #8000に電話で相談 - 明らかに危ないサインがある
→ 電話をはさまず、夜間・休日の診療所や救急外来へ - けいれんが止まらない、呼びかけに反応しない、呼吸がとても苦しい
→ 119番
#8000とお近くの夜間・休日診療所の連絡先は、冷蔵庫やスマホにメモしておくのがおすすめです。
おうちでのケア【解熱剤・冷やし方・水分】
朝まで待つと決めたら、次のようにケアしてあげてください。
- 【解熱剤】
子どもに使うのは基本的にアセトアミノフェンです。アセトアミノフェン(カロナールなど)で熱を下げることができ、つらさが和らぐと水分と睡眠がとりやすくなります。「何度になったら使う」という決まりはなく、熱でつらそうなとき、眠れない・飲めないときが使いどきです。体重で量が決まるので、処方薬(座薬〈ざやく〉を含む)は説明どおりに、市販の子ども用アセトアミノフェンは箱の年齢・体重の表示どおりに使い、前回から6時間程度あけてください。生後3か月未満の赤ちゃんには自己判断で使わず、まず受診を。大人用の市販薬や、きょうだいの薬の流用はやめましょう - 【冷やし方】
寒気でふるえているうちは温め、熱が上がりきって暑がるようになったら薄着にして、首すじ・わきの下・足のつけ根を軽く冷やす程度でOKです。冷却シートは、赤ちゃんでははがれて口や鼻をふさぐ事故もあるので注意してください - 【水分】
経口補水液(けいこうほすいえき)や麦茶を、少しずつこまめに。一気に飲ませると吐きやすいので、スプーン1杯から始めます - 【メモ】
熱の推移、解熱剤を使った時刻、飲めた量、おしっこの回数。翌日の診察でとても役立ちます
吐いてしまって水分がとれないときは、子どもが発熱と嘔吐で飲めないときの記事も参考にしてください。
熱性けいれんが起きたら
熱性けいれん(ねっせいけいれん)は、多くが数分でおさまり、後遺症を残さないことがほとんどです。とはいえ、目の前でわが子がけいれんすると誰でもパニックになります。次の順番だけ覚えておいてください。
- まず時計を見る(始まった時刻を確認。できればスマホで動画を撮る)
- 平らなところに寝かせ、顔を横に向ける(吐いたものが詰まらないように)
- 口の中に指やタオルを入れない、体を揺さぶらない
- 5分以上続く、短い時間にくりかえす、止まっても意識が戻らないときは119番
はじめてのけいれん、1歳未満、体の片側だけのけいれん、止まったあともぼんやりした状態が長く続く(30分以上が目安)ときは、夜間でもその場で受診してください。2回目以降で、数分でおさまり、意識も顔色もすぐいつもどおりに戻ったなら、#8000に相談のうえ翌朝の受診でOKです。なお、解熱剤でけいれんを予防することはできません[1]。
夜が明けたら・日曜祝日なら、当院の発熱外来へ
当院は夜間の診療は行っていません。木曜と、休診日の日曜(直近では10月25日)も開いていません。夜のあいだに危ないサインがあれば、#8000や夜間・休日の診療所、救急外来をご利用ください。そのうえで、
「朝まで待てたけど、この熱、ちゃんと診てもらいたい」
というときは、当院の発熱外来にお越しください。当院は、発熱外来の受診をお断りしない方針です(症状によっては、より適した医療機関をご案内することがあります)。小さなお子さんの発熱にも対応しています。
| 曜日 | 時間 |
|---|---|
| 月・火・水・金・土 | 9:00〜12:00/14:00〜18:00 |
| 日曜・祝日(2026年10月4日から) | 10:00〜15:00(昼休みなし・発熱外来のみ) |
| 木曜 | 休診 |
日曜・祝日は、10月25日(日)は休診で、11月からは原則として毎週日曜日と祝日です。くわしくは日曜・祝日の発熱外来のお知らせをご覧ください。
受診の流れ(予約は不要です)
- 事前問診(任意)→ 発熱外来入口のQRコードで当日チェックイン(必須)→ お車で待機 → SMSまたはお電話でお呼び出し
- 日曜・祝日は、チェックイン後に一般外来入口で保険証(マイナ保険証・資格確認書など)の確認があります
- くわしい手順は発熱外来の事前問診・当日チェックインについてをご覧ください
診察は原則チェックイン順ですが、症状の重さなどで前後することがあります。PCR検査の結果は当日中にお伝えします。だ液で受けられるPCRは、3歳くらいからできるお子さんが多いです(だ液PCRの受け方)。
なお、日曜・祝日は点滴ができません。水分がまったくとれずぐったりしているなど、点滴が必要になりそうなときは、点滴ができる医療機関を受診してください。



「夜中に連れて行くほどではなかったけど、やっぱり心配」。それで十分、受診の理由になります。遠慮なくお越しください。
よくある質問(FAQ)
- 夜中に39℃の熱が出ました。すぐ救急に行くべきですか?
-
熱の高さだけでは緊急度は決まりません。生後3か月未満で38℃以上ならすぐ受診、生後3〜6か月で39℃以上なら#8000に相談のうえ翌朝いちばんに受診してください。水分がとれていて、あやすと笑う、呼吸が落ち着いて眠れているなら、朝まで様子を見てよいことが多いです。ぐったりして反応が鈍い、呼吸が苦しそう、顔色が悪いときは、体温にかかわらず夜間でも受診してください。迷ったら#8000に相談できます。
- 生後3か月未満の赤ちゃんの発熱も、朝まで待っていいですか?
-
いいえ、待たないでください。生後3か月未満で38℃以上の熱があるときは、元気そうに見えても夜間・休日を問わずすぐに受診してください。
- 解熱剤を使っても熱が下がりきりません。効いていないのでしょうか?
-
アセトアミノフェン(カロナールなど)は熱を下げ、つらさを和らげる薬です。39℃が38℃台になり、水分がとれて眠れるようになれば、効いているサインです。ただし、熱の下がり方で病気の重さは判断できません。使ってもぐったりしたまま反応が鈍いときは、受診してください。
- 日曜・祝日に、子どもを発熱外来に連れて行けますか?
-
はい。2026年10月4日から、日曜・祝日も10時〜15時(昼休みなし)に発熱外来を行っています。予約は不要で、発熱外来入口のQRコードから当日チェックインして受け付けます。10月25日(日)は休診です。日曜・祝日は一般外来と点滴は行っていません。
- 熱が下がったのに咳だけ続くときは、受診したほうがいいですか?
-
熱が下がっても咳が2週間以上続くときは、マイコプラズマや百日咳(ひゃくにちぜき)、ぜんそくなどが隠れていることがあります。発熱外来(日曜・祝日も含む)または平日の一般外来でご相談ください(マイコプラズマの記事)。
まとめ【夜の判断は「4つのサイン」で】
- 朝まで待てるかは、熱の高さではなく水分・機嫌(反応)・呼吸・顔色で決まる
- 生後3か月未満の38℃以上、ぐったり、呼吸が苦しい、けいれん5分以上などは、朝を待たずに受診・119番
- 「熱が低いから安心」とは限らない。熱が下がってぐったりしているときこそ要注意
- 迷ったら#8000。危ないサインがあれば電話をはさまず受診
- 朝になったら当院の発熱外来へ(平日は木曜休診、日曜・祝日は10時〜15時・予約不要。10月25日は休診)
夜中のお子さんの熱は、何度経験しても慌てるものです。「待てるサイン」と「待てないサイン」、ざっくりこれだけ押さえておけばOKです。朝が来たら、医療は私達におまかせください。
以上
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
参考文献
- National Institute for Health and Care Excellence. Fever in under 5s: assessment and initial management (NG143). NICE guideline. 2019. https://www.nice.org.uk/guidance/ng143
- Vadakkeveedan AA, Poovathumparambil V, Senapathy RT, Shaji IM, Padiyath R, Jayachandran AK, et al. Pediatric simple triage score: A simplified approach for triaging pediatric patients with fever in the emergency department. Turk J Emerg Med. 2025;25(1):25-31. doi:10.4103/tjem.tjem_101_24 PMID: 39882096
- Straus M, Morrison JM, Khalaf R, Fierstein J, Miller A, Young D, et al. Triage Temperature and Timeliness of Sepsis Interventions in a Pediatric Emergency Department. West J Emerg Med. 2025 Nov;26(6):1719-1728. doi:10.5811/westjem.47379 PMID: 41380064
- Baker AH, Mazandi VM, Norton JS, Melendez E. Emergency Department Sepsis Triage Scoring Tool Elements Associated With Hypotension Within 24 Hours in Children With Fever and Tachycardia. Pediatr Emerg Care. 2024 Sep;40(9):644-649. doi:10.1097/PEC.0000000000003153 PMID: 38471759
- Pehlivanturk-Kizilkan M, Ozsezen B, Batu ED. Factors Affecting Nonurgent Pediatric Emergency Department Visits and Parental Emergency Overestimation. Pediatr Emerg Care. 2022 Jun;38(6):264-268. doi:10.1097/PEC.0000000000002723 PMID: 35507379
- Section on Clinical Pharmacology and Therapeutics, Committee on Drugs, Sullivan JE, Farrar HC. Fever and antipyretic use in children. Pediatrics. 2011 Mar;127(3):580-7. doi:10.1542/peds.2010-3852 PMID: 21357332
- 厚生労働省. 子ども医療電話相談事業(♯8000)について. 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html
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