お急ぎの方へ
- 子どもの頭痛と発熱では、髄膜炎(ずいまくえん)を見逃さないために「首の硬さ」「発疹」「意識の変化」の3つをまず見る
- 意識がおかしい、けいれんが止まらない、呼びかけに反応しないときは119番
- 元気で水分がとれていても、頭痛が強い、繰り返す嘔吐、発疹があれば、その日のうちに受診する
おはようございます。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。
お子さんが「頭が痛い」と言って熱を出したとき、いちばん心配になるのは、髄膜炎(ずいまくえん:脳と脊髄をおおう膜に炎症が起きる病気)ではないでしょうか。
「この頭痛は、ただの風邪でいいの?」
というご不安は、とてもよく分かります。
結論から申し上げると、子どもの頭痛と発熱では「首の硬さ」「発疹」「意識の変化」の3つをまず見てください。首の硬さは、髄膜炎の可能性を上げる所見のひとつです[1]。発疹や意識の変化は、遅れて出てくることがあり、早い段階では目立たないこともあります[2]。
本記事では、髄膜炎で見られる症状、119番の線引き、夜間・休日の相談先、Hibワクチンや肺炎球菌ワクチンの効果、受診のときに伝えてほしいことを、呼吸器専門医の立場から解説します。
その前に、日曜・祝日の発熱外来のご案内です。インフルエンザやコロナのPCR検査(ピーシーアール検査:ウイルスの遺伝子を増やして見つける検査)は、当日中に結果が分かります。
2026年10月4日から、日曜・祝日も発熱外来を行っています
10時〜15時(昼休みなし)。予約は不要で、当日チェックインで受け付けます。PCR検査は当日中に結果をお伝えします。日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。10月25日(日)は休診で、11月からは原則として毎週日曜日と祝日です。日曜・祝日の発熱外来のお知らせ
【結論】子どもの頭痛と発熱、まず見るのは「首・発疹・意識」
まず「首の硬さ」「発疹」「意識の変化」の3つを見てください。
髄膜炎の主な症状は、発熱・頭痛・嘔吐です。これに、首の硬さなどの髄膜刺激症状(ずいまくしげきしょうじょう:首や背中が硬くなる反応)が加わります[3]。ただし、新生児や乳児では、これらの症状がはっきりしないことが多いとされています[3]。
ウイルスによる無菌性髄膜炎(むきんせいずいまくえん)も、発熱・頭痛・嘔吐を三主徴とし、多くの例で首の硬さが見られます[4]。乳児では発熱と不機嫌、年長児では頭痛や吐き気、光をまぶしく感じる羞明(しゅうめい)が出ることがあります[4][5]。
| 見るサイン | 具体的な様子 | 根拠 |
|---|---|---|
| 首の硬さ(項部硬直) | あごを胸につけにくく、首を動かすのをいやがる | [1][4] |
| 発疹 | 点状出血や紫斑(しはん:皮下の出血) | [2][5] |
| 意識の変化 | 呼びかけへの返事がおかしい、ぼんやりする | [2][6] |
| 光をまぶしがる(羞明) | 明るいところやテレビの光をいやがる | [4][5] |
| 繰り返す嘔吐・飲めない | 吐いてばかりで水分がとれない | [3][6] |
院長蒲生3つをいっぺんに全部見る必要はありません。「なんとなく首を触られるのをいやがる」だけでも、受診の理由になります。
「首の硬さ」や「発疹」は、髄膜炎のサインになる?
どちらも髄膜炎の手がかりになりますが、1つだけで判断できるものではありません。
細菌性髄膜炎の子どもを調べた10件の研究をまとめた系統的レビューでは、問診で報告された首の硬さは髄膜炎の可能性を上げる所見で、ほかに大泉門(だいせんもん:赤ちゃんの頭のやわらかい部分)の膨隆、熱性けいれんの年齢帯を外れるけいれん、哺乳量の減少も手がかりになりました[1]。一方で、この研究では「単独の所見だけでは診断できない」とされ、髄膜刺激症状がなくても髄膜炎を否定できず、発熱がなくても否定できませんでした[1]。
無菌性髄膜炎でも、首の硬さはほとんどの例で見られます[4]。つまり、首の硬さがあるだけで細菌性、ないからウイルス性、とは言えません。白黒をつけるには、髄液(ずいえき:せきついの間にある液)の検査が必要です[4]。
発疹についても、入院した髄膜炎菌(ずいまくえんきん)感染症の子ども448人の研究では、出血性の発疹・髄膜刺激症状・意識障害は遅れて出ており(中央値で発症13〜22時間)、最初の4〜6時間ははっきりしない症状がほとんどでした[2]。早い段階(中央値8時間)に多かったのは、脚の痛み、手足の冷たさ、皮膚の色の変化で、72%の子どもに見られました[2]。発疹を待ってから受診、ではなく、早いサインで動くことが大切です。
なお、髄膜炎菌性髄膜炎では発症から数時間で点状出血や紫斑が出ますが[5]、日本での患者報告はもともと少なく(2001〜2012年で毎年0〜2例)[7]、この研究データは日本のものではありません。国内では、ウイルス性と、Hibや肺炎球菌などによる細菌性の髄膜炎のほうが身近な心配です。
意識がおかしい、けいれんが止まらないときはどうする?
その場で119番です。頭痛のある子どもで、ぐったりしている、けいれんがある、意識がおかしいときは、すぐに救急車を呼びましょう[6]。
激しく頭を痛がる、繰り返し嘔吐する、ろれつが回らない、手足の麻痺がある、ふらついて正常に歩けないときは、夜間・休日でも待たずに、すぐ医療機関(救急外来)を受診してください[6]。
熱によるけいれん(熱性けいれん)もあります[6]。ただし、けいれんが止まらない、けいれんのあと意識が戻らないときは119番です。けいれんについては熱性けいれんの記事も参考にしてください。発症時のけいれんは、髄膜炎が重くなるリスク因子のひとつとして報告されています[7]。
119番を呼ぶサインと、夜間・休日の相談先は?
次のどれか1つでもあれば、迷わず119番に電話してください。夜間・休日でも同じです。
- 元気がなく、ぐったりしている
- けいれん(ひきつけ)がある、または止まらない
- 意識がおかしい、返事がおかしい
- 呼びかけても反応しない、呼吸がひどく苦しそう
- けいれんのあと、意識がはっきり戻らない
発熱のときは、生後3か月未満かどうかも大事な確認点です[6]。3か月未満の赤ちゃんは、元気そうでも早めに受診してください。くわしくは生後3か月未満の発熱の記事をご覧ください。
急を要する症状がなく、元気で水分もとれているときは、診療時間になったら病院へ連れて行きましょう[6]。頭痛が強い、吐く、発疹があるときは、待たずにその日のうちに受診してください。夜の判断に迷うときは子どもの発熱で夜間・休日にどうするかの記事も参考にしてください。
宮城県では、夜間のお子さんの急な発熱やケガについて、こども夜間安心コール(#8000)で看護師に相談できます。相談時間は毎日19時から翌朝8時まで、対象はおおむね15歳未満の子どもの保護者などで、助言のみで診療は行いません[8]。ただし、上の119番のサインがあるときは、相談をはさまず119番です。
Hibワクチン・肺炎球菌ワクチンで、髄膜炎は減った?
大きく減っています。Hibと肺炎球菌のワクチンは、子どもの細菌性髄膜炎を激減させました。
| ワクチン | 報告されている効果 |
|---|---|
| Hib(インフルエンザ菌b型) | 日本では定期接種後、5歳未満の侵襲性インフルエンザ菌感染症が93%減少[9]。インフルエンザ菌髄膜炎は5歳未満10万人あたり7.7から0.0に減少[10] |
| 肺炎球菌 | 侵襲性肺炎球菌感染症は5歳未満10万人あたり約24〜26人から、2022年には約4.8人へ約8割減少[11] |
| 髄膜炎菌 | 日本での患者はもともと少なく、2001〜2012年は毎年0〜2例[7] |
ワクチンが広がる前の日本では、Hib髄膜炎は年間約600人で、約2〜3%が死亡し、約15%が脳や聴力の障害などの後遺症を残していました。肺炎球菌髄膜炎は年間約200人で、約6〜7%が死亡し、約30%が後遺症を残していました[5]。
いまでも油断はできません。ワクチンでカバーされないタイプの肺炎球菌や、Hib以外のインフルエンザ菌による感染症が残っています[5][10]。肺炎球菌による髄膜炎では、2%の子どもが亡くなり、10%に難聴や発達の遅れなどの後遺症を残すといわれています[11]。ワクチンを打っていても、髄膜炎を完全に防げるわけではありません。
現在のHibは、5種混合ワクチン(ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ・Hib)で接種するのが中心です。生後2〜7か月に3回、追加を1回の合計4回が標準で、肺炎球菌ワクチン(PCV)も同じく初回3回と追加1回が基本です[10][11]。開始が遅れた場合の回数は年齢で変わるので、母子健康手帳を確認し、自治体やかかりつけ医にご相談ください[11]。
受診のときに、伝えてほしいことは?
次のことを伝えていただくと、診断が早くなります。メモにしてお持ちいただくか、事前問診に入力してください。
- 頭痛はいつからか、いちばん強いときはどんなときか
- 熱の経過(いつから、いちばん高かった体温)
- 嘔吐の回数、水分や食事がとれているか、おしっこの回数
- けいれんの有無、意識がおかしいと感じたこと
- 解熱剤を飲んだ場合は、その時刻と種類
- 周りでの感染症の流行、持病、ふだん飲んでいる薬
熱がつらくて眠れないときは、アセトアミノフェン(カロナールなど)で熱を下げることができます。量はお子さんの年齢や体重で変わるため、医師や薬剤師の指示、または薬の説明書に従ってください。少しでも様子が違うと感じたら、その日のうちに受診してください。
いったん「ウイルス性」と言われたあとに具合が変わったときの受診の目安は、再受診すべき変化の記事にまとめています。
よくある質問(FAQ)
- 頭痛と熱だけです。家庭で髄膜炎かどうか見分けられますか?
-
家庭での見分けは難しく、確定には髄液の検査が必要です[4]。だからこそ「首の硬さ・発疹・意識」を見て、少しでも疑わしければ受診してください。首の硬さがなくても髄膜炎を否定できない、という点も重要です[1]。
- 熱が下がれば、髄膜炎ではないと考えていいですか?
-
いいえ。発熱がなくても髄膜炎を否定できないとされています[1]。熱が下がっても頭痛が続く、意識がおかしい、繰り返し吐くときは、すぐ受診してください。
- けいれんは髄膜炎のサインですか?
-
熱があれば熱性けいれんでも起こります[6]。けいれんしている、けいれんのあと意識が戻らないときは119番です。けいれんの対応は熱性けいれんの記事をご覧ください。
- ワクチンを打っていれば、髄膜炎は心配しなくていいですか?
-
Hibや肺炎球菌による髄膜炎は大きく減りました[9][10][11]。一方で、ワクチンでカバーされないタイプの菌も残っており、髄膜炎を完全には防げません[5][10]。ワクチンは受けつつ、いつもと違う様子があれば受診してください。
- 夜中に具合が悪くなりました。どこに相談すればいいですか?
-
意識がおかしい、けいれんしている、ぐったりしているときは、迷わず119番です。判断に迷うときは、宮城県のこども夜間安心コール(#8000)に、19時から翌朝8時まで相談できます(おおむね15歳未満、助言のみ)[8]。
まとめ【首・発疹・意識を見て、迷ったら受診】
- 子どもの頭痛と発熱では、髄膜炎を見逃さないために「首の硬さ」「発疹」「意識の変化」の3つをまず見る
- 意識がおかしい、けいれんが止まらない、呼びかけに反応しないときは119番
- 元気で水分がとれていても、頭痛が強い、繰り返す嘔吐、発疹があれば、その日のうちに受診する
- 首の硬さや発疹は遅れて出ることもあるので、早いサインで受診する
- 受診のときは、頭痛の始まり・嘔吐の回数・けいれんの有無・飲んだ薬を伝える
お子さんの「なんだか変」に最初に気づけるのは、いつもそばにいるご家族です。その気づきを、どうぞそのまま私達に伝えてください。医療は私達におまかせください。
以上
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
参考文献
- Curtis S, Stobart K, Vandermeer B, Simel DL, Klassen T. Clinical features suggestive of meningitis in children: a systematic review of prospective data. Pediatrics. 2010 Nov;126(5):952-60. doi:10.1542/peds.2010-0277 PMID: 20974781
- Thompson MJ, Ninis N, Perera R, Mayon-White R, Phillips C, Bailey L, et al. Clinical recognition of meningococcal disease in children and adolescents. Lancet. 2006 Feb;367(9508):397-403. doi:10.1016/S0140-6736(06)67932-4 PMID: 16458763
- 厚生労働省. 細菌性髄膜炎(髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌を原因として同定された場合を除く。). 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-36.html
- 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト. 無菌性髄膜炎(詳細版). id-info.jihs.go.jp. 参照 2026年10月. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/viral-meningitis/detail/index.html
- 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会. 学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説(2025年4月改訂版). 日本小児科学会. 参照 2026年10月. https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20250430_yobo_kansensho.pdf
- 日本小児科学会. こどもの救急(ONLINE-QQ)頭痛/発熱(38℃以上). kodomo-qq.jp. 参照 2026年10月. https://kodomo-qq.jp/index.php?pname=zutsu
- Shinjoh M, Iwata S, Yagihashi T, Sato Y, Akita H, Takahashi T, et al. Recent trends in pediatric bacterial meningitis in Japan–a country where Haemophilus influenzae type b and Streptococcus pneumoniae conjugated vaccines have just been introduced. J Infect Chemother. 2014 Aug;20(8):477-83. doi:10.1016/j.jiac.2014.04.007 PMID: 24855913
- 宮城県. 宮城県こども夜間安心コール事業(#8000). 宮城県ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/iryou/shouni04.html
- Suga S, Ishiwada N, Sasaki Y, Akeda H, Nishi J, Okada K, et al. A nationwide population-based surveillance of invasive Haemophilus influenzae diseases in children after the introduction of the Haemophilus influenzae type b vaccine in Japan. Vaccine. 2018 Sep;36(38):5678-84. doi:10.1016/j.vaccine.2018.08.029 PMID: 30122645
- 厚生労働省. 5種混合ワクチン(Hib感染症を含む). 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/dpt-ipv-hib/index.html
- 厚生労働省. 子どもの肺炎球菌ワクチン. 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/pneumococcus-child/index.html
▶ この分野のまとめ: 日曜・祝日の発熱外来(2026年10月4日から・10時〜15時)
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