お急ぎの方へ
- 大人のめまいは、回る・ふわふわするなどの種類にかかわらず、「突然かどうか」と「ほかの症状を伴うか」で脳卒中を疑うかどうかを判断する
- 顔のゆがみ、腕の力が入らない、呂律が回らない、激しい頭痛、立てないほどの急なふらつきのどれかが突然あれば、すぐ119番
- 最も多いのは内耳(耳の奥)が原因のめまいだが、診断は医師の問診と診察が必要で、良性と決めつけて様子を見てはいけない
おはようございます。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。
「急に目の前がぐるぐる回った」「立っていられないほどふらついた」。そんなめまいのとき、いちばん心配になるのが
「これって、脳卒中ではないでしょうか」
というご質問です。めまいは経験する方が多い症状で、最も多いのは内耳の病気ですが、中には脳卒中や心臓疾患など命にかかわる病気が隠れていることがあります[1][2]。
結論から申し上げると、めまいが脳卒中かどうかは、めまいの種類ではなく「突然かどうか」と「顔・腕・言葉・歩行などのほかの症状を伴うか」で判断します。脳卒中は「突然」発症するからです[3]。
本記事では、めまいの種類、脳卒中を見逃さないサイン、119番の線引き、いつ受診すればよいかを、呼吸器専門医の立場から解説します。
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【結論】大人のめまいは「突然か」「ほかの症状があるか」で判断する
めまいのときに、ざっくり次の3つを確認してください。
- 【突然かどうか】
脳卒中は「突然」発症するので、症状が突然始まったかを見る[3] - 【ほかの症状】
顔のゆがみ、腕の力が入らない、呂律が回らない、激しい頭痛、立てないほどのふらつきを伴うか[3] - 【迷ったら受診】
最も多いのは内耳性のめまいだが、命にかかわる場合もあるので、診断は医師に任せる[1]
3つめの迷ったら受診は、見逃しを防ぐための大切な原則です。くわしい線引きは下の「受診を急ぐサイン」の章にまとめました。
めまいにはどんな種類がある?
「めまい」というひとつの言葉には、実はいろいろな症状が含まれます。日本神経学会は、自分やまわりがぐるぐる回る、ふわふわしている、気が遠くなりそうな感じ、目の前が暗くなる感じ、物が二重に見える、不安感、動悸、吐き気などをめまいに含めています[1]。
感じ方の例を表にまとめました[1]。
| 感じ方 | 日本神経学会があげる表現 |
|---|---|
| 回る | 自分やまわりがぐるぐる回る |
| ふわふわする | ふわふわしている |
| 気が遠くなる | 気が遠くなりそうな感じ、目の前が暗くなる感じ |
| そのほか | 物が二重に見える、不安感、動悸、吐き気 |
大切なのは、めまいの感じ方だけで、原因を自分で見分けることはできないということです。日本神経学会は、診断には問診と診察が最も重要だとしています[1]。
めまいの原因は耳・脳・心臓・全身の状態など幅広く、内耳のめまいが最も多いものの、脳卒中や心臓疾患など命にかかわる場合もあります[1]。
院長蒲生「自分はどのタイプか」を考えるより、まず「突然だったか」「ほかに症状はないか」を思い出してください。そこが判断の分かれ目です。
めまいで脳卒中を見逃さないサインは?
脳卒中を見逃さないための合言葉が「ACT FAST(アクト・ファスト)」です。日本脳卒中学会が監修する資料では、顔(Face)・腕(Arm)・言葉(Speech)の異常が突然現れたら脳卒中を疑い、「脳卒中かな、と思ったら、すぐに救急車を呼びましょう」と呼びかけています[3]。
厚生労働省の広報誌も、顔の片側が歪む、片側の腕や手に力が入らない、呂律が回らない、言葉が出ないなどの症状が「一つでも突然起こったら、脳卒中を疑い、すぐに救急車を呼びましょう」と書いています[4]。
日本脳卒中学会があげる5大症状は次のとおりです。めまいやふらつきがあるときは、とくに最初の項目に注意してください(いずれも「突然」です)[3]。
- 力はあるのに立てない、歩けない、フラフラする[3]
- 経験したことのない激しい頭痛がする[3]
- そのほか、片方の手足・顔半分のマヒやしびれ、ろれつが回らない、片方の目が見えない・物が二つに見える・視野が半分欠ける[3]
国立循環器病研究センターは、FASTにBalance(バランス:立てなくなる・ふらふらする)とEyes(目:物が二重に見える・視野がかける)を加えたBE-FASTを紹介し、より脳卒中を見逃しにくい利点があるとしています[5]。
厚生労働省は、くも膜下出血では「突然の激しい頭痛、意識障害」が起こり、「症状がすぐに回復しても再発して重症化するリスクがあります」として、放置せず専門病院を受診するよう呼びかけています[4]。
国立循環器病研究センターも、「一時的に症状が改善しても油断は禁物です」と注意を促しています[5]。
【受診を急ぐサイン】119番・救急外来・その日のうちに
すぐ119番
次のどれか1つでも突然あれば、迷わず119番に電話してください。夜間・休日でも同じです。消防庁の資料は「突然のこんな症状の時にはすぐ119番!!」として、次のような症状を挙げています[6]。
- 顔半分が動きにくい、しびれる。ニッコリ笑うと口や顔の片方がゆがむ[6]
- ろれつがまわりにくく、うまく話せない[6]
- 突然、片方の腕や足に力が入らなくなる。突然のしびれ[6]
- 突然の激しい頭痛[6]
- 支えなしで立てないぐらい急にふらつく[6]
- 見える範囲が狭くなる、突然、周りが二重に見える[6]
- 意識がない(返事がない)、またはもうろうとしている。けいれんが止まらない[6]
- 急な息切れ、呼吸困難[6]
- 顔・腕・言葉の異常が突然出た。一時的に治まっても、救急車を呼ぶ対象です[3][5]
めまいがあって、支えなしで立てないぐらい急にふらつくときは、消防庁の119番リストに入っています[6]。めまいに加えて、上のどれかが突然あれば、迷わず119番です。呼びかけに返事がない、けいれんしている、ひどく息苦しいときも同じです。
国立循環器病研究センターは、夜についても「夜中に目が覚めたときや夜寝る前に症状が出現したときには、様子を見ずに迷わず救急車を呼びましょう」と書いています[5]。また、一時的に症状がおさまっても油断は禁物です。顔・腕・言葉の異常などが出たときは、おさまっていても救急車を呼んでください[5]。
夜間・休日でも、その日のうちに救急外来へ
上の119番のサインがなくても、次のようなときは、夜間・休日でも救急外来の受診を考えてください。
- めまいがいつまでも治らずに続く(脳神経内科や脳神経外科での検査が必要になることがあります[2])
- めまいが日ごとに強くなる、悪化している
迷ったら#7119に相談
「119番を呼ぶほどなのか、判断がつかない」ときは、消防庁の資料が案内している救急相談窓口(#7119など)に相談できます[6]。ただし、明らかに危ないサインがあるときは、相談をはさまず119番です。
その日のうち(夜なら翌朝)に受診
呼吸・意識は保たれていても、次のようなときは様子を見すぎず受診してください。
- めまいを繰り返す
- 耳鳴りや難聴をともなう
- 高血圧、糖尿病、喫煙、心房細動などを指摘されている(いずれも脳卒中の危険因子です[1])
良性のめまい(BPPVなど)なら様子を見てよい?
いいえ、良性と決めつけて様子を見るのは避けてください。理由を説明します。
めまいの原因で最も多いのが、内耳(ないじ:耳の奥にある平衡感覚をつかさどる部分)の病気です。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によると、めまいの60%以上は耳の中に原因があり、脳の病気からくるものは10%程度、その他が30%程度です。この割合は2005年の報告に基づく数字です[2]。
内耳のめまいで代表的なのが、良性発作性頭位めまい症です。寝返り、布団からの起き上がり、頭の向きの変化など、体位変換のときにとくに起こります。内耳の三半規管の中を浮遊している結石が原因で、めまい発作時に耳鳴りや難聴はみられません[1]。
ただし、良性発作性頭位めまい症かどうかは、自分では判断できません。日本神経学会は、診断には問診と診察が最も重要で、めまいの原因には命にかかわる場合もあるとしています[1]。めまい体操(エプリー法)も、実施の前に神経内科専門医による診断確定と合併症の評価が必要とされています[1]。
救急外来を受診しためまいの患者さんを調べた2006年の研究では、45歳より上のめまいの患者さんの3.2%に脳卒中や一過性脳虚血発作(いちじせいのうきょけつほっさ:一時的に脳の血流が悪くなる発作)が見つかり、めまいだけの場合は0.7%でした。ふらつき(バランスの異常)を訴える人は、脳卒中や一過性脳虚血発作が多い傾向でした[7]。
この研究は救急外来を受診した患者さんを対象としたもので、日本の一般外来にそのまま当てはまる数字ではありません。ただ、めまいだけでも脳卒中が隠れていることがある、という点は覚えておいてください[7]。
めまいが続く・心配なとき、いつ受診する?
めまいで受診するか迷ったときの決め手は、やはり「突然かどうか」と「ほかの症状があるか」です。日本神経学会は、めまいに激しい頭痛、呂律が回らない、手足が動かない(片麻痺)、しびれ、意識障害が急に生じた場合は脳の病変が疑われるので、すぐに受診するよう呼びかけています[1]。ただし、これらが突然起きたときは、受診ではなく前の章の119番の対象です[6]。
また、めまいがいつまでも治らずに続くときは、脳の病気の可能性も考え、脳神経内科や脳神経外科での検査が必要になります[2]。
検査についても、知っておいていただきたいことがあります。日本神経学会は「画像検査は万能ではありません」として、問診と診察があってこそ画像検査が役に立つとしています[1]。救急外来のめまいの患者さんをまとめた研究でも、発症早期の画像検査では脳卒中を見逃すことがあると報告されています[8]。
ですから「検査で異常がなかったから大丈夫」と決めつけず、症状が続くときは、診察の結果に応じて、検査や専門医療機関での診療が検討されます。迷ったときは、消防庁の資料も案内しているように、かかりつけ医に相談してください[6]。
よくある質問(FAQ)
- めまいだけで、脳卒中を心配する必要がありますか?
-
はい、脳卒中の可能性は頭に置いてください。突然かどうか、ほかの神経の症状を伴うかで判断します。消防庁の資料でめまいに関係する119番の項目は「支えなしで立てないぐらい急にふらつく」です[6]。めまいの原因には命にかかわるものもあるので、診断は医師に任せてください[1]。
- 回転性のめまいは耳、ふわふわするめまいは脳ですか?
-
いいえ、そのような単純な見分け方はできません。めまいの感じ方だけで原因を見分けることはできず、診断には医師の問診と診察が最も重要です[1]。気になるめまいは、受診して確かめてください。
- 良性発作性頭位めまい症と言われました。様子を見てよいですか?
-
いいえ、良性と決めつけて様子を見るのは避けてください。良性発作性頭位めまい症は、寝返りや起き上がりなど体位変換で誘発される、内耳の結石が原因のめまいです[1]。ただし診断には医師の問診と診察が必要で、めまいには命にかかわる原因が隠れていることもあります[1]。診断をつけるために、一度受診してください。
- 夜中にめまいがしました。朝まで待つべきですか?
-
いいえ、次のサインがあれば、朝まで待たずに夜中でも迷わず救急車を呼んでください。顔のゆがみ、腕の力が入らない、呂律が回らない、激しい頭痛、立てないほどのふらつきです[5][6]。これらがなくても、めまいが続く、強くなるときは夜間・休日でも救急外来を、それ以外でも翌朝には受診してください。判断に迷う場合は、救急相談窓口(#7119など)に相談できます[6]。
- 一時的に治まったので、受診しなくてよいですか?
-
一時的に症状が改善しても油断は禁物です。重度の脳梗塞の前兆であることもあります[5]。くも膜下出血でも、症状がすぐに回復しても再発して重症化するリスクがあります[4]。顔・腕・言葉の異常が突然出たのなら、治まっていても救急車を呼んでください。それ以外でも、放置せず受診してください。
- めまいは何科に行けばよいですか?
-
まずは、かかりつけ医に相談してください[6]。めまいが続くときは、脳神経内科や脳神経外科での検査が必要になることがあります[2]。
まとめ【大人のめまいは「突然か」「ほかの症状があるか」で判断】
- 大人のめまいは、回る・ふわふわするなどの種類にかかわらず、「突然かどうか」と「ほかの症状を伴うか」で脳卒中を疑うかどうかを判断する
- 顔のゆがみ、腕の力が入らない、呂律が回らない、激しい頭痛、立てないほどの急なふらつきのどれかが突然あれば、すぐ119番
- 最も多いのは内耳(耳の奥)が原因のめまいだが、診断は医師の問診と診察が必要で、良性と決めつけて様子を見てはいけない
- 顔・腕・言葉の異常が一時的に治まっても油断は禁物で、救急車を呼ぶ対象になる
- めまいが続くときは、脳神経内科や脳神経外科での検査が必要になることがある
- 迷ったらかかりつけ医に、119番の判断に迷うときは救急相談窓口(#7119など)に相談する
めまいは、多くの方にとって身近な症状です。だからこそ、「いつもと違う」「突然だった」という感覚を大切にしてください。119番のサインがあればすぐ119番を、迷うときは受診や相談をためらわないでください。
以上
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
参考文献
- 日本神経学会. めまいとは|(症状編) めまい|神経内科の主な病気. 日本神経学会ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.neurology-jp.org/public/disease/memai_detail.html
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会. めまい|耳鼻咽喉科・頭頸部外科(めまいの原因・治療法). 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.jibika.or.jp/owned/contents2.html
- 日本脳卒中学会(監修), 日本脳卒中協会(協力). 脳卒中の予防・発症時の対応. 日本脳卒中学会ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.jsts.gr.jp/common/asset/pdf/onset.pdf
- 厚生労働省. 広報誌「厚生労働」2024年10月号 連載 第3回 脳卒中ってなぁに?. 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202410_006.html
- 国立循環器病研究センター 病院. 脳卒中|病気について|循環器病について知る. 国立循環器病研究センターウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/stroke-2/
- 総務省消防庁. 救急車を上手に使いましょう ~救急車 必要なのはどんなとき?~. 総務省消防庁ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.fdma.go.jp/publication/portal/items/portal002_japanese.pdf
- Kerber KA, Brown DL, Lisabeth LD, Smith MA, Morgenstern LB. Stroke among patients with dizziness, vertigo, and imbalance in the emergency department: a population-based study. Stroke. 2006 Oct;37(10):2484-7. doi:10.1161/01.STR.0000240329.48263.0d PMID: 16946161
- Shah VP, Oliveira J E Silva L, Farah W, Seisa M, Kara Balla A, Christensen A, et al. Diagnostic accuracy of neuroimaging in emergency department patients with acute vertigo or dizziness: a systematic review and meta-analysis for the guidelines for reasonable and appropriate care in the emergency department. Acad Emerg Med. 2023 May;30(5):517-30. doi:10.1111/acem.14561 PMID: 35876220


