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【子どもの歯肉口内炎】初感染と口唇ヘルペスの違い【飲めないときは受診】

【子どもの歯肉口内炎】初感染と口唇ヘルペスの違い【飲めないときは受診】

お急ぎの方へ

  • 子どもの口唇ヘルペスは、初めての感染(歯肉口内炎)は高熱と口の中の痛みで重くなりやすく、再発は同じ場所にできる軽いもの、と分けて考える
  • 意識がおかしい、けいれんしている、急に息が苦しいときは119番。水分がとれずぐったりしているときは、夜間・休日でも救急外来へ
  • 抗ウイルス薬は医師が必要と判断すれば使われ、早めに始めると症状が短くなったという報告があるので、飲めずにつらいときは早めに受診する

おはようございます。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。

「子どものくちびるや口のまわりに、小さな水ぶくれができた」「熱が高くて、口の中が痛そうで、何も飲んでくれない」。そんなとき、口唇ヘルペスなのか、それとももっと心配な病気なのか、不安になりますよね。

結論から申し上げると、子どものヘルペスウイルス感染は「初めての感染(初感染)」と「くり返す再発」で重さが大きくちがい、初感染では歯肉口内炎(しにくこうないえん:歯ぐきと口の中に炎症が起きる状態)として高熱と口内の強い痛みが出て、飲めなくなることがあります。飲めずにぐったりしているときは、早めの受診が必要です。

本記事では、初感染と再発の見分け方、飲めないときの脱水のサイン、受診を急ぐ目安、抗ウイルス薬、うつり方と登園・登校のめやす、家での過ごし方を、呼吸器専門医の立場から解説します。

その前に、日曜・祝日の発熱外来のご案内です。インフルエンザやコロナのPCR検査(ピーシーアール検査:ウイルスの遺伝子を増やして見つける検査)は、当日中に結果が分かります。

2026年10月4日から、日曜・祝日も発熱外来を行っています
10時〜15時(昼休みなし)。予約は不要で、当日チェックインで受け付けます。PCR検査は当日中に結果をお伝えします。日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。10月25日(日)は休診で、11月からは原則として毎週日曜日と祝日です。日曜・祝日の発熱外来のお知らせ

文責(この記事を書いた人)

蒲生 俊一(がもう しゅんいち)
仙台空港北クリニック 院長

地元、名取市立閖上小・中学校出身。東北大学医学部医学科を卒業後、仙台オープン病院、気仙沼市立病院、東北大学病院を経て、コロナ禍ただ中の2021年4月に仙台空港北クリニックを開院。「絶対に断らない発熱外来」をつらぬき通し、コロナ5類化までの2年間で2万名を優に超える発熱患者の診療にたずさわる。

所属学会・認定資格
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本呼吸器学会呼吸器専門医
日本アレルギー学会アレルギー専門医
日本抗加齢医学会専門医
医学博士(東北大学)

目次

初感染と再発は、何がちがう?

初感染と再発は、症状の重さと出方が大きくちがいます。初めてウイルスに感染したときは、ウイルスに対する免疫(めんえき:体を守るしくみ)がまだないため、高熱などの全身症状を伴ってひどくなることがあります[1]。一方、再発はすでに免疫ができているため一般に軽症で、同じ場所にくり返し出るのが特徴です[1]。ただし、初感染の多くは無症状で、気づかれないことも多いとされています[2][1]。

初感染(歯肉口内炎など)再発(口唇ヘルペス)
多い年齢生後6か月〜3歳ごろ[2]子どもから大人まで
全身症状高熱などの全身症状を伴いやすい[1]一般に軽症[1]
口の症状口の中に多発するアフタ、歯ぐきの腫れ・出血、口のまわりの水ぶくれ[2]くちびるなど、同じ場所にくり返す水ぶくれ[1]
家庭で見るポイント飲めているか、ぐったりしていないか[2]全身状態が保たれているか[2]

再発は、発熱や紫外線、ストレス、歯科治療、体の抵抗力の低下などがきっかけで起こります[1]。ウイルスは初感染のあとも神経に潜み、再発したときは軽いくちびるの水ぶくれとして出ることがあります[1]。

院長蒲生

口の中にアフタが多発して、高熱が出たり飲めなかったりするときは、初感染か再発かを自分で判断せず、早めに受診してください。

初感染の歯肉口内炎は、どんな症状?

初感染の歯肉口内炎では、4〜5日ほど続く発熱と、口の中に多発するアフタ(あふた:口の中にできる小さな痛みのある潰瘍〈かいよう〉)、歯ぐきの腫れや出血、口のまわりの水ぶくれがみられます[2]。

ただし、入院した子どもの報告では、発熱は99.5%にみられ、平均5.11日(いちばん長い例で17日)続いたというデータもあります[3]。ですから「4〜5日ほどでおさまることが多いが、もっと長引くこともある」と考えてください。

同じ報告では、口内炎が84.3%、歯ぐきの腫れや出血が67.6%にみられました[3]。歯肉口内炎は、細菌によるのどの感染や、手足口病などのウイルス感染と見分けにくいことがあります[3]。口の中の病気については、手足口病・ヘルパンギーナの記事も参考にしてください。

飲めないときの脱水サインは?

口の中が痛くて飲めない状態が続くと、脱水(だっすい:体の水分が足りない状態)になり、入院が必要になることがあります[2][4]。初感染のうち、歯肉口内炎になるのは13〜30%と報告されています[4]。

次のチェックリストは、保育所のガイドラインに示された、子どもの脱水をみるための一般的なサインです[5]。ヘルペスに特有のものではありませんが、家庭で役立ちます。

  • 水分が摂れない
  • 唇や舌が乾いている
  • 尿が半日以上出ない
  • 尿の量が少なく、色が濃い
  • 目が落ちくぼんで見える
  • 皮膚の張りがない

これらが1つでもあれば、その日のうちに受診してください。とくに「水分が摂れない」「尿が半日以上出ない」は急ぎのサインです。

受診を急ぐサインは?

ヘルペスウイルスは、脳に感染して単純ヘルペス脳炎を起こすことがあり、けいれんや意識障害を呈し、時に致死的です[2]。次のサインがあるときは、夜間・休日でも迷わず119番に電話してください。

  • 呼びかけに返事がない、もうろうとしている(意識がおかしい)
  • けいれんしている
  • 急に息が苦しくなった、肩で息をしている、唇が紫っぽい
  • 胸の痛みとともに倒れた、気を失った

意識・けいれん・呼吸は、熱の高さにかかわらず判断してください。これは119番の一般的な目安です。

そこまでではないものの、次のようなときは朝まで待たず、夜間・休日でも救急外来を受診してください。

  • 水分がほとんどとれない、尿が半日以上出ない
  • ぐったりして元気がなく、顔色が悪い
  • 口内の痛みが強く、よだれが多くて飲みこめない
  • 目が落ちくぼみ、唇や舌が乾いている

「救急外来に行くほどか迷う」ときは、お住まいの地域の小児救急電話相談(#8000)に相談できます。ただし、明らかに危ないサインがあるときは、相談をはさまず119番です。

抗ウイルス薬は、いつ使う?

口唇ヘルペスや歯肉口内炎には抗ウイルス薬が使われることがあり、医師が必要と判断したときには、早めに始めると効果が期待できると報告されています[2][1][4]。

初感染や中等症以上では、抗ヘルペス薬(アシクロビル、バラシクロビルなど)の内服を行います[1]。軽い口唇ヘルペスでは外用薬を使うこともあります[1]。使うなら発症早期がよく、発症から72時間ほどたつと、抗ウイルス薬の効果が下がると報告されています[4]。

1〜6歳の子ども72人を対象とした研究では、発症から72時間以内に抗ウイルス薬を始めた群で、口の中の病変が中央値4日(プラセボ〈にせ薬〉群は10日)で改善し、発熱(1日 対 3日)や食べにくさ・飲みにくさの期間も短くなりました[6]。

このように、早めに受診して、必要なら抗ウイルス薬を始めることが大切です。「口の中の痛みが強くて飲めない」「熱が高い」というときは、ためらわずにご相談ください。

院長蒲生

抗ウイルス薬は、飲める・食べられるまでのつらさを短くする助けになります。使うかどうかは診察して決めます。

うつるの?学校や保育園はいつから行ける?

ヘルペスウイルスは主に接触でうつり、病変部や唾液との接触、飛沫(ひまつ:せきや話で飛ぶしぶき)などで感染します[1]。症状がなくてもウイルスを出していることがあり、無症状でもうつすことがあります[1]。

登園・登校のめやすは、体の状態で判断します。口唇ヘルペスのみで全身状態が保たれているのであれば、マスクなどをして登校・登園が可能なことがあります。一方、歯肉口内炎で発熱や口内のアフタのため痛みが強く、経口飲食が困難な場合や、全身に水ぶくれがある場合は、欠席して治療します[2]。

なお、法律上の出席停止の対象として、単純ヘルペスウイルス感染症は個別には定められていません[7]。最終的な登園・登校の判断は、症状を診た医師や園・学校と相談して決めてください。

目や新生児は、大丈夫?

ヘルペスウイルスは、皮膚だけでなく目や神経にも感染することがあります[1]。目に感染したものを角膜ヘルペス(かくまくヘルペス:目の黒目の表面に起きるヘルペス)といいます。目の充血や痛み、まぶしがる様子、目のまわりの水ぶくれがあるときは、早めに眼科を受診してください。

生まれたばかりの赤ちゃんにヘルペスがうつると、新生児ヘルペスと呼ばれ、重症となることがあります[1]。新生児ヘルペスでは高熱、けいれん、意識障害などを呈し、命に関わったり、後遺症を残す可能性があるため、緊急の対応が必要です[2]。口唇ヘルペスや水ぶくれがある人は、新生児や小さな赤ちゃんとの接触を控えてください。これは一般的な安全のための注意です。

また、アトピー性皮膚炎など皮膚の病気を持っている子では、全身に水ぶくれが多発するカポジ水痘様発疹症(はっしんしょう)になることがあります[2]。皮膚炎のある場所に水ぶくれが広がったら、早めに受診してください。

家ではどう過ごす?

口の中が痛いときや熱があるときは、カロナールなどのアセトアミノフェンで熱や痛みをやわらげられます[8]。アセトアミノフェンは、小児科領域での解熱・鎮痛にも使われる薬です[8]。

大切なのは、指示どおりに飲むことです[8]。市販のかぜ薬など、アセトアミノフェンを含む他の薬を使っているときは、重ならないよう医師や薬剤師に伝えてください[8]。なお、脱水症状のある人は特に注意が必要とされているので[8]、水分がほとんどとれない、脱水が心配なときは、自己判断で続けずに受診して相談してください。

熱や痛みがつらいときは、我慢させずに使ってよい薬です。ただし、続けるかどうかや量は、必ず医師・薬剤師の指示に従ってください。

院長蒲生

熱が下がっても口の痛みで飲めないことがあります。飲めているかを、いちばん大事な目安にしてください。

よくある質問(FAQ)

初感染と再発は、どう見分けますか?

初感染は免疫がないため高熱などの全身症状を伴いやすく、口の中にアフタが多発します。再発は免疫があるため一般に軽症で、くちびるなどの同じ場所にくり返し出ます[1]。口の中にアフタが多発して、高熱が出たり飲めなかったりするときは、初感染か再発かを自分で判断せず、早めに受診してください。

飲まずにぐったりしています。どうすればいいですか?

水分がとれずぐったりしているときは、脱水のおそれがあります。水分が摂れない、尿が半日以上出ないなどのサインがあれば、その日のうちに、夜間・休日でも救急外来を受診してください[5]。呼びかけに返事がない、けいれんしているときは119番です。

抗ウイルス薬は、飲んだほうがいいですか?

医師が必要と判断すれば使います。発症から72時間以内など早めに始めると、口内の病変や発熱の期間が短くなったという報告があります[4][6]。飲めずにつらいときは、早めに受診して相談してください。

保育園や学校は、いつから行けますか?

口唇ヘルペスのみで全身状態がよければ、マスクなどをして登園・登校が可能なことがあります。歯肉口内炎で痛みが強く経口飲食が困難な場合や、全身に水ぶくれがある場合は、欠席して治療します[2]。単純ヘルペスは法律上、個別の出席停止には定められていません[7]。

目にうつることはありますか?新生児に会っても大丈夫?

ヘルペスは目に感染すること(角膜ヘルペス)があります[1]。まぶしがる、目の充血や痛みがあれば早めに眼科へ。生まれたばかりの赤ちゃんは新生児ヘルペスが重症となることがあるため[1]、水ぶくれがある人は接触を控えてください。これは一般的な安全のための注意です。

熱が下がったのに、口の痛みで飲めません。

熱が下がっても、口内のアフタの痛みで飲めないことがあります。カロナールなどのアセトアミノフェンで痛みをやわらげられますが、指示どおりに使い、飲めない状態が続くときは受診してください[8]。水分がとれないときは早めにご相談ください。

まとめ【初感染と再発の違いを知り、飲めないときに急ぐ】

  • 子どもの口唇ヘルペスは、初めての感染(歯肉口内炎)は高熱と口の中の痛みで重くなりやすく、再発は同じ場所にできる軽いもの、と分けて考える
  • 意識がおかしい、けいれんしている、急に息が苦しいときは119番。水分がとれずぐったりしているときは、夜間・休日でも救急外来へ
  • 抗ウイルス薬は医師が必要と判断すれば使われ、早めに始めると症状が短くなったという報告があるので、飲めずにつらいときは早めに受診する
  • 脱水のサイン(水分が摂れない、尿が半日以上出ない、唇や舌が乾いている、目が落ちくぼむ)に注意する
  • 目や新生児への感染は重症となることがあるので、気になる症状は早めに相談する

初感染の歯肉口内炎は、飲めなくなることがあるのがいちばん心配な点です。口の中が痛そうで水分がとれないときは、どうぞ早めに私達にご相談ください。医療は私達におまかせください。

以上

免責事項

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

参考文献

  1. 日本皮膚科学会. 皮膚科Q&A ヘルペスと帯状疱疹(監修 渡辺大輔). 日本皮膚科学会ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.dermatol.or.jp/qa/qa5/index.html
  2. 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会. 学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説(2025年4月改訂版)単純ヘルペスウイルス感染症. 日本小児科学会ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.jpeds.or.jp/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-30.html
  3. Huang CW, Hsieh CH, Lin MR, Huang YC. Clinical features of gingivostomatitis due to primary infection of herpes simplex virus in children. BMC Infect Dis. 2020 Oct;20(1):782. doi:10.1186/s12879-020-05509-2 PMID: 33081701
  4. Coppola N, Cantile T, Adamo D, Canfora F, Baldares S, Riccitiello F, et al. Supportive care and antiviral treatments in primary herpetic gingivostomatitis: a systematic review. Clin Oral Investig. 2023 Nov;27(11):6333-6344. doi:10.1007/s00784-023-05250-5 PMID: 37733027
  5. こども家庭庁. 保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)(2023年5月一部改訂、2023年10月一部修正). 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/20231010_policies_hoiku_25.pdf
  6. Amir J, Harel L, Smetana Z, Varsano I. Treatment of herpes simplex gingivostomatitis with aciclovir in children: a randomised double blind placebo controlled study. BMJ. 1997 Jun;314(7097):1800-3. doi:10.1136/bmj.314.7097.1800 PMID: 9224082
  7. 学校保健安全法施行規則(昭和三十三年文部省令第十八号)第十八条. e-Gov法令検索. 参照 2026年10月. https://laws.e-gov.go.jp/law/333M50000080018
  8. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA). 患者向医薬品ガイド カロナール錠200/カロナール錠300/カロナール錠500(2026年9月更新). PMDAウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/172190_1141007F1063_5_07G.pdf
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