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コロナと最前線で戦う「医療事務」に特大の敬意と御礼を申上げます

感謝

仙台空港北クリニック (仮) 院長の蒲生俊一 (がもうしゅんいち) と申します。

新型コロナウイルスにより多くの尊い命が奪われてしまいました。心からお悔やみを申し上げるとともに、新型肺炎を治療する最後の砦とも言える呼吸器専門医として責任を痛感しております。

痛ましくも命を落とされた方のご遺族、および国民の皆さまにはまず深くお詫びしたいと思います。

医師として日々反省しながら臨床現場に立っているわけですが、今日皆さまに是非知っていただきたいことは、医療現場を根っこで支えてくださっている通称「医療事務」と呼ばれている私の仲間達です。

私は決して愛想が良い医者ではないと思います。

人相はいわゆる強面 (こわもて) の部類に入ると思いますし、疲れてくるとつい言葉が荒くなってしまいます。内線電話に出るときについ雑な言葉使いになってしまうこともあったと思います。

医療事務の方たちが悪いわけではなく、医師として、人間としての私の狭量が外に出てしまっているだけなので悪いのは100%私です。本当に申し訳ない気持ちでおります。

本来なら、面と向かって医療事務の方たちにお詫びと感謝の気持ちを伝えるのが一番なのですが、所属していた大学病院を離れしまった身ですので、この場を借りて感謝の気持ちを伝えるとともに、この記事を読んでいる皆さまにも是非医療事務という仕事がどれだけ大変かを知って頂きたいと思います。

医療事務の彼ら彼女たちも立派な医療従事者です。今日も新型コロナウイルスと最前線で向き合い、恐怖の中で懸命に働いてくれております。

目次

飛沫感染のリスクと戦う受付と会計

多くの病院では受付と会計は女性であることが多いです。

彼女たちの仕事は、患者さんがどの科を受診するのが適切なのかを瞬時に判断して適切な診療科に案内し、できるだけ速やかに会計処理を行うのが主ですが、彼女たちは患者さんとソーシャルディスタンスの内側で正面から向き合って会話をするので、飛沫感染のリスクに常に直面しています。

それだけではなく、例えば診察や会計の待ち時間が長くなってしまった場合などには患者さんを苛つかせてしまう事もあり大変申し訳ない気持ちになるのですが、その苛立ちをまず矢面で受け止めるのも彼女たちです。患者さんが「怒る」といつも以上に飛沫が生じますので、コロナ感染のリスクは決して低くない本当に大変な仕事だと思います。

会計が遅いのは、診察後にトロトロとカルテを書いている医師側を含めた「前工程」に原因の大半がある事が多く、彼女たちは何も悪くないのです。会計に必要な書類が届いていれば彼女たちは速やかに処理できるのです。

ですので、受付や会計の彼女たちに少しだけ優しく接していただけるとありがたいなと切に願います。いつも本当にありがとうございます。

医療事務課はまさに何でも屋さんで本当に大変

業務の幅が広すぎて全部を説明してしまうと文字数がいくらあっても足りません。

総務や労務、毎月のレセプト (地獄のように面倒です)、医療情報管理 (カルテやレントゲン画像など)、システム全般、ホームページの更新、入退院手続き、シュライバー (カルテ入力補助) などなどです。すいません、漏れてる仕事もあると思いますが、どうしても任せきりになってしまっていて申し訳ないです。

外部から見ても、我々のような医師側から見ても何をやっているか全容が分からないのですが、通称「医事課」と言われる彼ら彼女らがしっかりと仕事をしてくださっているからこそ医療機関が回っているので、まさに縁の下の力持ちです。

入院や転院の手続きのなどで直に患者に接することもありますので、新型コロナウイルスに罹患してしまうリスクも当然抱えています。また、病院には「医者は偉い」という謎のヒエラルキーが存在していて肩身の狭い想いをされていると思います。辛い想いをさせてしまって申し訳ない気持ちで一杯で、感謝の言葉しかありません。

孤軍奮闘する地域医療連携室

多くの患者さんの病気を治し命を助けるためには「役割」というものがあります。

中規模以上の基幹病院は重症患者の治療や精密検査、高度な手術や化学療法などを中心に行い、町の診療所やクリニックは「かかりつけ医」として地域の患者さんの体に異変が起きていないか定期的にチェックを行い、必要に応じて基幹病院へ紹介を行います。

現在、コロナ感染疑いと判断された場合、クリニックは保健所へ連絡をします。以降、保健所が収容先の病院の選定など含めすべて行いますが、感染症指定医療機関側で受け入れ依頼の電話をまず取るのが地域医療連携室です。

幸い東北地方は新型コロナ患者数が首都圏などに比べるとやや少ない事や、医療者の頑張りもあって表立って大きな問題にはまだなっておりませんが、テレビやネットなどで感染者の多い地域の大病院では患者を抱えきれずに医療崩壊寸前である事が報じられていたり、基礎疾患を持った高齢者が多く入院している病院だと院内感染が起きた場合に死者を出してしまうという危機感もあり、受け入れを躊躇する病院があることは否定できません。

普段、地域医療連携室は町のクリニックに対して「患者さんを紹介してくださいね」と頭を下げて回っていますが、受け入れできるかどうかは医師が許可を出しているので、今般の新型コロナ禍のような状況に際しては地域医療連携室の人は板挟みになってしまいます。

また、基幹病院での急性期治療を終えて退院できる状態まで改善したものの、介護が必要だったり独り身で頼れる人がいない、あるいはご家族の協力が得られない患者さんの受け入れ先を親身になって探すのも、表には見えない地域医療連携室の誇りある仕事です。

心理的なストレスは計り知れないものがあると思います。私には絶対にできない仕事。それが地域医療連携室です。医療機関同士のやり取りの場ではまさに病院の顔と表現して差し支えない大役です。今後はクリニックから患者さんを紹介させて頂く一方となりますが、今後ともよろしくお願い致します。

病院をコントロールしている経営企画室

中小規模の病院にはないかも知れませんが、一定規模以上の病院には経営企画室という部署があります。文字どおり病院の中枢です。でも花形かと言われればそうではありません。むしろ泥臭い役回りです。

我々医者がわがままなので医者と医療事務の間に立って板挟みになってしまうのが経営企画室です。経営会議などでは、私たち医師側は経営のケの字も知らないのについ思いつきで好き放題言ってしまいがちです (汗)

医者を中心にして半ば強引に決まった企画を現場 (医事課など) に説明すると当然猛反発を食らいますし、本当に大変な立ち位置です。

特に今は新型コロナウイルスのせいで難題しかなく「はい分かりました」と解決できるような案件はほとんどないはずので、彼らはカオスの中で経営のかじ取りをしていると思います。病院全体が見えているのは経営企画室だけなので恨まれ役にならざるを得ず大変な日々を過ごしている事と思います。頑張りすぎてご自身が参ってしまわぬよう、どうかご自愛下さい。忙しい事と思いますが、時間の取れる時にはゆっくり体と心を休めて頂ければと思います。

まとめ

医者や看護師に対する国民の皆様の声援ははっきりと聞こえています。本当にありがたいことであり「がんばろう」という気持ちにさせてくれます。しかし、医療従事者は何も医師や看護師だけではないのです。

ウイルスや細菌と目の前で対峙する事を承知の上で医師や看護師になった我々のみならず、医療事務の方たちもこれだけ危険な現場で恐怖を抱えながら一緒にコロナと戦ってくれているのです。

こんな彼ら彼女たちを医療従事者と言わずに何と言うのでしょうか。医師や看護師に対する声援は十分に届いていますし、これからも応援していただけるなら本当にありがたくお気持ち受け取りますが、是非医療事務の彼ら彼女たちにも声援を送って頂ければと思います。

もしあなたが患者さんとして病院にお来しの際は、「この人たちも新型コロナウイルスと戦っている医療従事者なんだ」と温かい目で医療事務の方たちを見ていただけると医師としてこれ以上うれしいことはございません。

以上

追伸:
看護師さんや各技師さん、理学療法士さんたちにも医療事務の方たち同様最大の敬意と感謝の気持ちを私が持っている事を最後に伝えさせてください。いつも支えてくださり本当にありがとうございます。

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