お急ぎの方へ
- ロタウイルスワクチンは定期接種で、初回は生後2か月から出生14週6日後までに受ける
- 接種後およそ1〜2週間(特に初回後)は腸重積症に注意し、突然激しく泣く・繰り返す嘔吐・血便があればその日のうちに受診、意識がおかしい・けいれん・呼吸が苦しいときは119番
- 1価2回・5価3回の2種類があり、同じワクチンで決められた回数を出生24週0日後・32週0日後までに終える
おはようございます。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。
乳幼児の嘔吐や下痢でいちばん多い原因のひとつが、ロタウイルス胃腸炎です。生後2か月の予防接種を迎えたご家庭から、
「ロタウイルスのワクチンは、いつまでに受ければいいんですか?」
というご相談が増えています。
結論から申し上げると、ロタウイルスワクチンは定期接種で、初回の接種を生後2か月から出生14週6日後までに受けることが大切です[1]。ワクチンは2種類あり、1価(2回接種)と5価(3回接種)に分かれます[1]。
本記事では、ロタウイルス胃腸炎がどんな病気か、定期接種になった時期、1価2回・5価3回それぞれのスケジュールと完了の期限、初回を14週6日までにとお勧めする理由、腸重積症のサインと受診の目安を、順番に解説します。
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ロタウイルスワクチンはいつまでに何回受ける?【初回は14週6日まで】
ロタウイルスワクチンは定期接種で、初回接種の標準的な期間は生後2か月から出生14週6日後までです[1]。ざっくり次の3つを押さえればOKです。
- 【初回】
生後2か月から出生14週6日後まで(生後6週0日後から接種できます)。初回を出生15週0日後以降に受けることは、安全性の観点からお勧めしていません[1] - 【種類と回数】
1価(ロタリックス)は2回、5価(ロタテック)は3回。同じワクチンで、決められた回数を受けます[1] - 【完了の期限】
1価は出生24週0日後まで、5価は出生32週0日後までに終えます。2回目以降は27日以上あけます[1]
飲むタイプのワクチン(経口生ワクチン)で、接種回数が決まっているのがポイントです[1]。くわしいスケジュールは下の章で表にまとめました。
ロタウイルス胃腸炎はどんな病気?何を防げる?
ロタウイルス胃腸炎は、水のような下痢、吐き気、嘔吐、発熱、腹痛を主な症状とする急性の胃腸炎です[1]。乳幼児期(0〜6歳ころ)にかかりやすく、ふつう5歳までにほぼすべての子どもがロタウイルスに感染するといわれています[1]。
決して軽い病気ではありません。5歳までの急性胃腸炎の入院患者のうち、40〜50%前後はロタウイルスが原因です[1]。脱水がひどくなるとショックや電解質異常(体の中の塩分バランスが崩れること)を起こすことがあり、主に4〜23か月の子どもに重度の脱水を認めます[2]。
だからこそ、ワクチンの予防効果が重要です。厚生労働省は、ワクチン接種によりロタウイルス胃腸炎による入院患者を約70〜90%減らせたとの報告を紹介しています[1]。
日本全国のデータでも、入院の減少が確認されています。5歳未満の胃腸炎による入院は、ワクチン導入前の1000人あたり年間12.0から、公費化後の4.8へと60%減りました[3]。ロタウイルス胃腸炎の入院も5.8から2.5へ58%減っています[3]。これはデータベースを使った観察研究の結果で、因果関係を証明するものではありません[3]。
院長蒲生脱水がひどくなると入院が必要になることがあります[1]。水のような下痢が続くときは、早めにかかりつけ医へご相談ください。
ロタウイルスワクチンはいつから定期接種になった?
令和2年(2020年)10月1日から、ロタウイルス感染症の予防接種が定期接種になりました[4]。それまでは自費で受けるワクチンでした[3]。
法律(予防接種法施行令)でも定期接種として位置づけられ、この制度は令和2年8月1日以後に生まれた子どもに適用されます[5]。対象となる年齢は、生後6週に至った日の翌日から、ロタウイルス感染症のワクチンの種類ごとに定められた日までです[5]。
日本での接種率は、2012年の30.0%から2019年には78.4%へと増えました[6]。
1価と5価で、回数と完了の期限はどう違う?
ロタウイルスワクチンには2種類あり、効果は同様とされています[1]。接種回数と完了の期限は次のとおりです。
| ワクチン | 種類 | 回数 | 完了の期限 |
|---|---|---|---|
| ロタリックス | 1価(経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン) | 2回 | 出生24週0日後まで |
| ロタテック | 5価(5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン) | 3回 | 出生32週0日後まで |
2回目以降は27日以上の間隔をあけて接種します[1]。途中から別の種類に変えず、同じ種類のワクチンで決められた回数を終えることが大切です[1]。
安全性の面から接種できる期間が限られているため、この期間を過ぎると定期接種として受けることはできません[1]。生まれた日を基準に、早めに予定を立てておきましょう。予防接種全体のスケジュールについては、日本脳炎ワクチンの記事も参考にしてください。
なぜ初回は14週6日までに受けるよう勧められるの?
初回を出生14週6日後までにとお勧めするのは、腸重積症(ちょうじゅうせきしょう)という病気のリスクをできるだけ下げるためです[1]。腸重積症は、腸の一部が隣接する腸管にはまり込み、腸の血流が悪くなる病気です[1]。
0歳児は、月齢が進むと腸重積症にかかりやすくなります[1]。また、ワクチン接種によっても、特に初回接種から約1〜2週間は腸重積症のリスクが増すという研究報告があります[1]。そこで、できるだけ腸重積症の起こりにくい時期に接種を受けていただくために、初回を14週6日までに受けることをお勧めしています[1]。
日本小児科学会は2019年の時点で、生後15週以降は初回接種後7日以内の腸重積症の発症リスクが増大するため、原則として初回接種を推奨しないとしていました[7]。その後の市販後調査では、初回接種7日以内の腸重積症のわずかなリスク増加(10万人に1〜5人)が明らかになっています[7]。
一方で、ワクチン群とプラセボ群(偽薬)を比べたランダム化比較試験のメタ解析(25試験・20万594人)では、ワクチンと腸重積症の明らかな関連は認められませんでした[8]。日本のデータでも、ワクチン導入前後で腸重積症の発生率は増えていません[6]。
秋田県の調査では、腸重積症と診断された乳児58人のうち30人はワクチン未接種で、接種者の初回後1〜7日以内の発症はありませんでした[9]。これらの結果は、危険という意味ではなく、接種時期を守ることでリスクを最小にできるということを示しています[7][9]。
腸重積症のサインは?いつ受診し、いつ119番?
接種後、特に初回接種から約1〜2週間は、次のような腸重積症のサインに注意してください[1]。一つでもみられた場合や、いつもと様子が違うと感じたときは、速やかに医療機関を受診させてください[1]。
- 突然はげしく泣く(不機嫌の持続)
- 機嫌が良かったり不機嫌になったりを繰り返す
- 嘔吐する
- 血便がでる
- ぐったりして顔色が悪い
特に「泣く・嘔吐・血便」は重視してください。日本小児科学会も、初回接種後7日以内は不機嫌の持続・嘔吐・血便に注意し、一つでも認めたら速やかに受診するよう呼びかけています[7]。
なお、腸重積症は、ワクチン接種に関わらず乳幼児がかかることのある、まれではない病気です[1]。腸の血流が悪くなることで腸の組織に障害を起こすことがあるため、速やかな治療が必要となります[1]。
そして、次のどれか1つでもあれば、ためらわず119番に電話してください。接種当日に発疹や呼吸困難などアナフィラキシーを疑う症状が出たときも同じです。アナフィラキシーは、接種当日にまれに起こる重い副反応です[1]。
- 呼びかけに返事がない、またはもうろうとしている(意識がおかしい)
- けいれんしている
- 急に息が苦しくなった、肩で息をしている、唇が紫っぽい
- 発疹と呼吸困難など、アナフィラキシーを疑う症状
夜間・休日でも、激しい泣きや繰り返す嘔吐、血便が続くときは、朝まで待たずに受診してください。判断に迷うときは、宮城県の小児救急電話相談(#8000)やおとな救急電話相談(#7119)も利用できます。
接種できないのはどんなとき?受けたあとの注意は?
発熱しているときや、重い急性の病気にかかっているときは、治ってから接種します[1]。また、次の方はロタウイルスワクチンを受けられません[1][5]。
- 過去にロタウイルスワクチンで過敏症(アレルギー症状)や、その疑いがあった方[1]
- 先天性消化管障害のある方(腸重積症の発症を高める可能性があるため)[1][5]
- 腸重積症にかかったことのある方(再発のおそれがあるため)[1][5]
- 重症複合型免疫不全のある方[1][5]
接種前後に哺乳の制限はありません。ただし、哺乳後は嘔吐する可能性があるため、接種後30分ほど間隔をあけてから授乳することをお勧めしています[1]。接種後に吐き出してしまっても、再度の接種は必要ないと考えられています[1]。
接種後1週間程度は、ワクチンウイルスが便の中に排泄されます[2]。おむつを扱ったあとは手洗いをしっかり行ってください[2]。
よくある質問(FAQ)
- 初回接種を出生14週6日後までに受けられませんでした。もう受けられませんか?
-
安全性の面から接種できる期間が限られているため、この期間を過ぎると定期接種としては受けられません[1]。また、初回を出生15週0日後以降に受けることを希望しても、医師が安全性の観点から接種できないと判断することがあります[1]。まずはかかりつけ医にご相談ください。
- 1価と5価は、どちらがいいのですか?
-
2種類のワクチンは効果が同様とされています[1]。大切なのは、途中で種類を変えず、同じワクチンで決められた回数(1価なら2回、5価なら3回)を完了の期限までに終えることです[1]。
- 接種後に熱や下痢が出ました。どうすればいいですか?
-
ロタウイルスワクチンでは、ぐずりやすくなる、発熱、下痢、食欲不振、嘔吐、血便排泄などが報告されていますが、いずれも一過性で、重篤なものはまれとされています[1]。ただし、突然激しく泣く、繰り返す嘔吐、血便があるときは腸重積症のサインの可能性があるため、その日のうちに受診してください[1]。
- 接種と腸重積症の関係が心配です。
-
初回接種からおよそ1〜2週間はリスクが増すという報告があり、それを減らすために初回を14週6日までに受けることが勧められています[1]。腸重積症はワクチンに関わらず乳幼児がかかるまれではない病気で、早期に気づいて受診することが大切です[1][7]。サインを覚えておけば、こわがりすぎる必要はありません。
- 夜間や休日に、子どもの具合が悪くなりました。どこに相談すればいいですか?
-
意識がおかしい、けいれんしている、急に息が苦しいときは迷わず119番です。判断に迷うときは、#8000(小児救急電話相談)や#7119(おとな救急電話相談)に相談できます。日曜・祝日は10時〜15時に当院の発熱外来も行っています(予約不要・当日チェックイン)。
まとめ【初回は生後14週6日までに、決められた回数を終える】
- ロタウイルスワクチンは定期接種で、初回は生後2か月から出生14週6日後までに受ける
- 接種後およそ1〜2週間(特に初回後)は腸重積症に注意し、突然激しく泣く・繰り返す嘔吐・血便があればその日のうちに受診、意識がおかしい・けいれん・呼吸が苦しいときは119番
- 1価2回・5価3回の2種類があり、同じワクチンで決められた回数を出生24週0日後・32週0日後までに終える
- ロタウイルス胃腸炎は脱水で入院につながる病気で、ワクチンで入院を減らせると報告されている
- 発熱中や重い急性の病気のときは治ってから接種する
初回の時期は、生まれた日から逆算して意外とあっという間に過ぎます。母子手帳の予定を確認し、気になることがあれば、どうぞかかりつけ医にご相談ください。医療は私達におまかせください。
以上
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
参考文献
- 厚生労働省. ロタウイルスワクチン. 厚生労働省ウェブサイト(予防接種・ワクチン情報; Q&A 2026年3月10日版). 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/rota/index.html
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS). ロタウイルスによる感染性胃腸炎(詳細版). 感染症情報提供サイト. 参照 2026年10月. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/rotavirus-infectious-gastroenteritis/detail/index.html
- Yanai T, Yoshida S, Kawakami K. Gastroenteritis hospitalizations over 19 years before and after introduction of rotavirus vaccine in Japan: a nationwide claims database. Vaccine. 2025 May;55:127027. doi:10.1016/j.vaccine.2025.127027 PMID: 40101324
- 厚生労働省. ロタウイルス. 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/rota_index.html
- 厚生労働省. 予防接種法施行令(昭和二十三年政令第百九十七号)/予防接種法施行規則(昭和二十三年厚生省令第三十六号). e-Gov法令検索. 参照 2026年10月. https://laws.e-gov.go.jp/law/323CO0000000197 / https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100036
- Tsugawa T, Akane Y, Honjo S, Kondo K, Kawasaki Y. Rotavirus vaccination in Japan: efficacy and safety of vaccines, changes in genotype, and surveillance efforts. J Infect Chemother. 2021 Jul;27(7):940-948. doi:10.1016/j.jiac.2021.04.002 PMID: 33867267
- 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会. ロタウイルスワクチンの初回接種時期について(第2版)(2019年12月). 日本小児科学会ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/rotavirus_vaccine.pdf
- Lu HL, Ding Y, Goyal H, Xu HG. Association between rotavirus vaccination and risk of intussusception among neonates and infants: a systematic review and meta-analysis. JAMA Netw Open. 2019 Oct;2(10):e1912458. doi:10.1001/jamanetworkopen.2019.12458 PMID: 31584679
- Kikuchi W, Noguchi A, Sato Y, Konno Y, Komatsu A, Tandai S, et al. The apparent lack of the risk of intussusception immediately after rotavirus vaccination among Japanese infants. Viruses. 2024 Nov;16(11):1758. doi:10.3390/v16111758 PMID: 39599872


