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【においがしない・鼻茸】好酸球性副鼻腔炎とは?【喘息・指定難病・治療】

においがしない・鼻茸 喘息との関係と治療

こんばんは。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。

当院の院長は、呼吸器・アレルギー専門医です。鼻の病気と喘息(ぜんそく:空気の通り道に炎症が続き、咳や息苦しさを繰り返す病気)は、つながっていることがあります。

コーヒーの香りが分かりにくくなったり、鼻の手術をしたのにまた鼻がつまってきたりしていませんか。そうしたときに確認したいのが、好酸球性副鼻腔炎(こうさんきゅうせいふくびくうえん)です。

結論から申し上げると、においの低下と繰り返す鼻づまりは、耳鼻咽喉科で原因を調べ、治療で改善を目指せます。喘息がある方は、鼻と胸の症状を一緒に伝えることが大切です。

本記事では、好酸球性副鼻腔炎の症状、喘息との関係、検査と治療、指定難病の医療費助成について解説します。

文責(この記事を書いた人)

蒲生 俊一(がもう しゅんいち)
仙台空港北クリニック 院長

地元、名取市立閖上小・中学校出身。東北大学医学部医学科を卒業後、仙台オープン病院、気仙沼市立病院、東北大学病院を経て、コロナ禍ただ中の2021年4月に仙台空港北クリニックを開院。「絶対に断らない発熱外来」をつらぬき通し、コロナ5類化までの2年間で2万名を優に超える発熱患者の診療にたずさわる。

所属学会・認定資格
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本呼吸器学会呼吸器専門医
日本アレルギー学会アレルギー専門医
日本抗加齢医学会専門医
医学博士(東北大学)

目次

好酸球性副鼻腔炎とは、どんな病気?

好酸球性副鼻腔炎は、好酸球(こうさんきゅう:アレルギーなどに関わる白血球)が鼻の粘膜に多く集まる病気です。

副鼻腔(ふくびくう)は、鼻の周囲の骨の中にある空洞です。ここや鼻の粘膜に炎症が続き、主に大人に発症します[1]。

特徴は、両側の鼻にできる鼻茸(はなたけ:炎症で粘膜がふくらんだポリープ)です。鼻づまりや粘りの強い鼻水に加え、においを感じにくくなります[1]。

花粉症と同じ鼻の症状でも、病気の仕組みや治療の組み立てが違います。鼻茸があっても、血液や画像、組織の検査を合わせて、好酸球性副鼻腔炎かどうかを見分けます[2]。

院長蒲生

「鼻がつまる」だけでなく、「香りが分かりにくい」も大切な情報です。食事の風味の変化も、一緒に振り返ってみましょう。

好酸球性副鼻腔炎で、においがしないのはなぜ?

好酸球性副鼻腔炎では、においの通り道がふさがることと、においを感じる粘膜の炎症が重なります[2][3]。

嗅覚障害(きゅうかくしょうがい:においが分かりにくい状態)は、食事の楽しみにも関わります。甘い・しょっぱいは分かっても、料理の風味が乏しく感じられることがあります[3]。

ただし、においの低下には、かぜの後の変化や頭のけがなど、ほかの原因もあります。鼻づまりの有無、急に始まったか、徐々に悪くなったかを耳鼻咽喉科で伝えてください[3]。

  • コーヒーや料理など、以前は分かった香りが分かりにくい
  • 鼻がつまって口呼吸になり、眠りや食事に支障がある
  • 鼻の薬や手術でよくなっても、同じ症状を繰り返す

においが弱い間は、食品の傷みを香りだけで判断せず、保存方法と期限も確認しましょう。ガスや焦げのにおいにも気づきにくいため、警報器の点検と家族への共有が役立ちます。

院長蒲生

「味が薄くなった」という変化が、実は香りの低下から来ることもあります。いつもの食事を思い出すと、変化を言葉にしやすいです。

好酸球性副鼻腔炎と喘息は関係する?

好酸球性副鼻腔炎は喘息と一緒に起こることが多く、鼻と気管支の両方を確認することが大切です[1]。

喘息が先に始まる方も、鼻の症状が先に始まる方もいます。「鼻だけ」「胸だけ」と分けず、耳鼻咽喉科と呼吸器内科・アレルギー科に、それぞれの治療内容を伝えましょう[1]。

特に大切なのが、解熱鎮痛薬(熱や痛みを和らげる薬)を使った後の息苦しさです。アスピリンなどで鼻や喘息の症状が悪化する体質が、この病気と関係しています[1]。

痛み止めで息苦しくなった経験は、薬の名前と症状を医師・薬剤師に必ず伝えてください。同じ薬を自分で試して確かめず、市販薬を選ぶ前にも相談しましょう。飲んだ後に急に息苦しくなったときは、迷わず119番に連絡してください[6]。

喘息の吸入薬を使っている場合は、鼻の治療中も自己判断で中止しないでください。お薬手帳があれば、別の診療科でも治療の重なりを確認しやすくなります。

院長蒲生

鼻の診察でも、咳やゼーゼーする症状、痛み止めで困った経験を話してOKです。別々に見える症状が、診断の手がかりになります。

好酸球性副鼻腔炎は、どんな検査で分かる?

好酸球性副鼻腔炎は、鼻の内視鏡、画像、血液、必要に応じた鼻茸の組織検査を組み合わせて診断します[2]。

確認すること検査で調べる内容
鼻の内視鏡(細いカメラ)鼻茸の有無と広がり、鼻水や粘膜の状態
CT(体の断面を撮影する検査)副鼻腔の炎症の場所と広がり
血液検査血液中の好酸球の割合
組織検査(採った組織を顕微鏡で調べる検査)鼻茸などの組織に好酸球がどの程度集まっているか
においの検査嗅覚の低下の程度と、治療前後の変化

診断には、ジェスレック・スコア(国内の研究班が作った点数表)で、鼻茸・画像・血液などの情報を整理する方法が使われます[2][4]。

2015年発表の国内15施設の研究では、内視鏡手術を受けた慢性副鼻腔炎の1,716人を解析しました[4]。

11点以上を目安にすると、好酸球性副鼻腔炎の人を正しく拾い上げる割合(感度)は83%でした[4]。好酸球性副鼻腔炎でない人を正しく除外できる割合(特異度)は66%でした[4]。

これは手術を受けた患者さんの結果です。一般の人が自分で採点して診断する道具ではなく、医師が組織検査などと合わせて判断するための手がかりです[2][4]。

院長蒲生

採血の数字だけで決まる病気ではありません。鼻の中と画像を一緒に確認することで、症状の理由が見えてきます。

好酸球性副鼻腔炎の治療は?薬・手術・注射

好酸球性副鼻腔炎の治療は、炎症を抑える薬と、鼻の通りを整える手術を、症状に応じて組み合わせます[2][3]。

ざっくり言うと、「いまのつらさを減らすこと」と「よい状態を保つこと」を両方考えます。日本鼻科学会のガイドライン(診療の判断を助ける指針)でも、においの改善に薬と手術の意義が示されています[3]。

点鼻薬と飲み薬:炎症を抑える

ステロイド(炎症を抑える薬)の点鼻薬や飲み薬が使われます。飲み薬は鼻茸やにおいの改善に役立ちますが、長く使う場合の副作用にも注意が必要です[2][3]。

薬の量や期間は、効果と体への負担を見て調整します。よくなったからと急にやめたり、以前の残薬を再開したりせず、処方した医師と相談してください。

細菌による感染が重なったときには、抗菌薬(細菌を抑える薬)も使います[5]。必要な治療はきちんと受け、指示された量と期間を守りましょう。

手術:鼻茸を取り、鼻の通りを整える

内視鏡を使う手術では、鼻茸を取り除き、副鼻腔の通り道を整えます。鼻づまりやにおいの改善が期待でき、術後の点鼻薬や洗浄なども組み合わせます[1][2][3]。

手術後の通院まで含めて、治療の続きです。鼻が通るようになっても炎症が再び強くなることがあるため、小さな変化を確認して治療を調整します[5]。

注射:炎症の仕組みに働きかける

従来の治療で十分に改善しない場合は、生物学的製剤(炎症を起こす特定の物質の働きを抑える薬)も選択肢です[2][3]。

鼻茸やにおいの改善が期待できますが、治療歴や重症度などによって使える条件が決まります。耳鼻咽喉科で、喘息の状態や薬も含めて、自分に合う治療かを確認しましょう[2][3]。

治療の目標は、鼻が通り、食事の香りや眠りを取り戻して、暮らしやすくなることです。再発があっても、その時点の状態に合う治療を選び直せます。

院長蒲生

再発しても、これまでの治療でよくなった部分は積み重ねです。よくなった点と、再び困っている点を分けて伝えると役立ちます。

好酸球性副鼻腔炎は指定難病?助成は受けられる?

好酸球性副鼻腔炎は指定難病ですが、医療費助成は診断と重症度などの条件を満たした方が対象です[2]。

指定難病とは、国が定める医療費助成制度の対象となる病気です。「難病」という名前だけで、治療を諦める必要はありません。症状を和らげ、暮らしを支える治療があります[1][2][5]。

助成の基準では、確定診断に加え、中等症以上、または好酸球性中耳炎を伴うことなどを確認します[2]。好酸球性中耳炎は、鼓膜の奥にも好酸球が集まって炎症を起こす病気です。

重症度の基準を満たさなくても、高額な医療を継続する場合に助成の対象となる仕組みがあります[2]。病名を告げられただけで自動的に助成が始まるものではないため、主治医と自治体の窓口に確認してください。

  • 主治医に、診断と重症度が助成の条件に当てはまるか確認する
  • 必要な診断書と申請書類を、自治体の難病担当窓口で確認する
  • 治療の領収書などは保管し、追加の条件を確認するときに役立てる
院長蒲生

病気の診断と、助成を受けるための確認は別の手順です。治療を続ける負担も、診察で相談してよいことです。

好酸球性副鼻腔炎が心配なとき、何科へ行く?

好酸球性副鼻腔炎が心配なときは耳鼻咽喉科へ、咳や喘息もあるときは呼吸器内科・アレルギー科にも相談してください。

においの低下や鼻づまりが続くなら、様子を見る日数を自分で決めず、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。耳がつまる、聞こえにくい、耳だれがある場合も、一緒に伝えてください[1]。

鼻づまりと、胸が苦しく息を吸えない状態は分けて考えます。次の症状があれば、通常の外来を待たず119番です[6]。

  • 急な息切れや呼吸困難がある
  • 意識がない、返事がおかしい
  • 胸の中央が締め付けられるような痛みが続く

胸の痛みは、喘息だけでなく心臓の病気でも起こります。鼻や喘息の持病があることだけで原因を決めつけないでください。

診察で伝えると役立つこと

  • いつから、どんなにおいが分かりにくくなったか
  • 鼻づまりの左右差、鼻水、眠りや食事への影響
  • 過去の鼻の手術と、その後の症状の変化
  • 咳・ゼーゼーする症状、喘息の診断と吸入薬
  • 痛み止めで起きた症状、使っている薬、お薬手帳
  • 耳のつまり、聞こえにくさ、耳だれの有無
院長蒲生

「におい」「鼻づまり」「咳」「薬で困った経験」をメモしておくと、伝え忘れを減らせます。うまく説明しようとしすぎなくて大丈夫です。

当院の受診案内【呼吸器・アレルギーの相談】

当院の一般外来は月・火・水・金・土で、院長は呼吸器・アレルギー専門医です。鼻茸の確認や鼻の手術は耳鼻咽喉科の領域です。

当院の診療についてはアレルギー科の案内をご覧ください。鼻の検査結果やお薬手帳があれば、受診時にお持ちください。

曜日時間
月・火・水・金・土9:00〜12:00/14:00〜18:00
日曜・祝日(2026年10月4日から)10:00〜15:00(昼休みなし・発熱外来のみ)
木曜休診

木曜・日曜・祝日は一般外来を行いません。日曜・祝日に発熱外来を実施する場合、診療時間は10:00〜15:00(昼休みなし)で、点滴は行っていません。診療日・休診日はカレンダーでご確認ください。

発熱外来は予約不要・当日チェックインです。詳しくは日曜・祝日の発熱外来と当日チェックインの案内をご確認ください。

好酸球性副鼻腔炎のよくある質問

受診や治療を考えるときに迷いやすい点を整理します。

においがしなければ、好酸球性副鼻腔炎ですか?

においがしない原因には、鼻の炎症のほか、かぜの後の変化や頭のけがなどがあります。鼻茸、画像、血液などを確認して原因を判断するため、自己判断せず耳鼻咽喉科に相談してください。

鼻茸があると言われました。がんでしょうか?

この病気でいう鼻茸は、炎症によって粘膜がふくらんだものです。ただし、鼻の中のできものを見た目だけで自分で区別することはできません。耳鼻咽喉科で確認し、必要に応じて組織を調べます。

手術をしても再発するなら、受ける意味はありますか?

手術には、鼻茸を取り除いて鼻の通りを整え、においや鼻づまりの改善を目指す役割があります。術後も点鼻薬などの治療と通院を続け、よい状態を保つことが大切です。手術の利点と負担は主治医と相談しましょう。

喘息があっても、鼻の症状を話す必要がありますか?

喘息と鼻の炎症は関係するため、鼻づまりやにおいの変化も伝えてください。耳鼻咽喉科では喘息の薬も共有すると役立ちます。特に痛み止めで息苦しくなった経験は、薬を選ぶうえで大切な情報です。

指定難病なら、全員が医療費助成を受けられますか?

助成を受けるには、診断や重症度などの条件の確認と申請が必要です。重症度の基準に当てはまらなくても、高額な医療を継続する場合の制度があります。主治医と自治体の難病担当窓口で確認しましょう。

まとめ【好酸球性副鼻腔炎は鼻と喘息を一緒に確認】

好酸球性副鼻腔炎は、鼻と喘息の状態を共有しながら、症状と暮らしの改善を目指す病気です。

  • においの低下・鼻づまり・繰り返す鼻茸は、耳鼻咽喉科で原因を確認
  • 喘息、耳の症状、痛み止めで息苦しくなった経験も伝える
  • 薬・手術・条件に合う注射を組み合わせ、よくなった後も通院を続ける
  • 指定難病の医療費助成は、診断・重症度などを確認して申請
  • 急な呼吸困難、意識の異常、胸の締め付ける痛みが続くときは119番

香りが分かりにくい生活は、結構つらいものです。食事や眠りで困っていることも含め、私達医療者に伝えてください。症状を抑える方法を一緒に考えていきましょう。

以上

免責事項

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

参考文献

  1. 難病情報センター. 好酸球性副鼻腔炎(指定難病306):病気の解説. 難病情報センター. 2026年1月更新・2026年10月22日確認. https://www.nanbyou.or.jp/entry/4537
  2. 難病情報センター. 好酸球性副鼻腔炎(指定難病306):診断・治療指針. 難病情報センター. 2024年4月更新・2026年10月22日確認. https://www.nanbyou.or.jp/entry/4538
  3. 日本鼻科学会. 嗅覚障害診療ガイドライン(第2版). 日本鼻科学会会誌 64(1):1–85. 2025. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrhi/64/1/64_1/_pdf/-char/ja
  4. Tokunaga T, Sakashita M, Haruna T, et al. Novel scoring system and algorithm for classifying chronic rhinosinusitis: the JESREC Study. Allergy. 2015. doi:10.1111/all.12644 PMID: 25945591
  5. 難病情報センター. 好酸球性副鼻腔炎(指定難病306):FAQ. 難病情報センター. 2022年12月更新・2026年10月22日確認. https://www.nanbyou.or.jp/entry/4539
  6. 総務省消防庁. 救急車利用リーフレット(成人版). 救急お役立ちポータルサイト. 2026年10月22日確認. https://www.fdma.go.jp/publication/portal/items/portal009_seijim.pdf

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