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【細気管支炎】赤ちゃんのRSVと入院の目安【呼吸と水分】

【細気管支炎】赤ちゃんのRSVと入院の目安【呼吸と水分】

お急ぎの方へ

  • 赤ちゃんの細気管支炎は、2歳未満に多いウイルス感染症で、RSウイルスが最も重要な原因です
  • 呼吸が苦しそう、ミルクや水分がとれないときは、早めに受診してください。息が止まる(無呼吸)、唇が紫っぽい、けいれんしている、呼びかけに反応がない、肩で息をするほど苦しそうなときは119番です
  • 治療は、医療機関で行う水分補給や酸素投与など、症状に合わせた対応が中心です。呼吸と水分の状態を診てもらうために受診してください

おはようございます。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。

朝晩が冷えこむ季節は、小さなお子さんのせきやゼーゼーが心配になります。ご家族からよく伺うのが

「このゼーゼー、家で様子を見ていていいんでしょうか?」

というご家族の言葉です。赤ちゃんが息苦しそうにしていると、見ているだけで心配になりますよね。

結論から申し上げると、細気管支炎は2歳未満に多いウイルス感染症で、RSウイルスが最も重要な原因です[1][2]。そして受診を考えるときの目安は、呼吸の状態と、ミルクや水分がとれているかです[1][2]。

本記事では、細気管支炎とはどんな病気か、RSウイルスとの関係、受診を急ぐサイン、入院の目安、行われる治療と勧められない治療を、呼吸器専門医の立場から解説します。

その前に、日曜・祝日の発熱外来のご案内です。インフルエンザやコロナのPCR検査(ピーシーアール検査:ウイルスの遺伝子を増やして見つける検査)は、当日中に結果が分かります。

2026年10月4日から、日曜・祝日も発熱外来を行っています
10時〜15時(昼休みなし)。予約は不要で、当日チェックインで受け付けます。PCR検査は当日中に結果をお伝えします。日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。10月25日(日)は休診で、11月からは原則として毎週日曜日と祝日です。日曜・祝日の発熱外来のお知らせ

文責(この記事を書いた人)

蒲生 俊一(がもう しゅんいち)
仙台空港北クリニック 院長

地元、名取市立閖上小・中学校出身。東北大学医学部医学科を卒業後、仙台オープン病院、気仙沼市立病院、東北大学病院を経て、コロナ禍ただ中の2021年4月に仙台空港北クリニックを開院。「絶対に断らない発熱外来」をつらぬき通し、コロナ5類化までの2年間で2万名を優に超える発熱患者の診療にたずさわる。

所属学会・認定資格
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本呼吸器学会呼吸器専門医
日本アレルギー学会アレルギー専門医
日本抗加齢医学会専門医
医学博士(東北大学)

目次

【結論】赤ちゃんの細気管支炎は「呼吸」と「飲めているか」で見る

赤ちゃんがゼーゼーしているときの要点は、次の3つです。

  • 【結論】
    細気管支炎は、2歳未満に多いウイルス感染症で、RSウイルスが最も重要な原因です
  • 【急ぐサイン】
    呼吸が苦しそう、ミルクや水分がとれないときは、早めに受診してください。息が止まる(無呼吸)、唇が紫っぽい、けいれんしている、呼びかけに反応がない、肩で息をするほど苦しそうなときは119番です
  • 【治療の考え方】
    治療は、医療機関で行う水分補給や酸素投与など、症状に合わせた対応が中心です。呼吸と水分の状態を診てもらうために受診してください

ゼーゼーしているときは、呼吸の様子と、ミルクや水分がとれているかを見てください。詳しい線引きは下の「受診を急ぐサイン」の章にまとめました。

細気管支炎とはどんな病気?2歳未満に多いウイルス感染症

細気管支炎は、2歳未満の小児で、鼻汁や鼻閉に続いて、咳、呼気性喘鳴(よびきせいぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸)、努力呼吸が出るウイルス感染症です[1]。

気管支の細い部分(細気管支)が炎症で腫れ、粘液で詰まって狭くなるため、呼吸が苦しくなります[1]。発熱の有無は問わない、とされています[1]。

ふつうの風邪細気管支炎
多い年齢幅広い2歳未満に多い[1]
主な症状鼻汁・咳・のどの痛み鼻汁に続く咳・ゼーゼー・努力呼吸[1]
熱出ることが多いあってもなくてもよい[1]
主な原因いろいろなウイルスRSウイルスが最も重要[1]

診断は、医師の診察による「臨床診断(りんしょうしんだん:症状と診察からつける診断)」が中心です。細気管支炎と診断する目的で、血液検査や胸部X線画像、迅速抗原検査が一般に必要になることはありません[1]。ただし、肺炎など別の病気を見わけるために検査が必要なこともあります。

院長蒲生

ゼーゼーという音は、狭くなった細い気管支を空気が通るときに出ます。音だけで判断せず、呼吸の様子と飲めているかを併せて見てください。

原因はRSウイルス?細気管支炎との関係

細気管支炎の原因として最も重要なのはRSウイルスです[1]。ただし、細気管支炎はRSウイルスだけが起こすものではなく、ヒトメタニューモウイルス、パラインフルエンザ3型、ボカウイルスなどでも起こります[1]。

RSウイルスは、生後1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%の子が少なくとも1度は感染するとされています[2]。

初めて感染したときは、約7割は鼻汁などの上気道の症状だけで数日のうちに軽快しますが、約3割では咳が悪化し、喘鳴や呼吸困難が出ます[2]。特に生後6か月以内に感染すると重症化しやすく、細気管支炎や肺炎になることがあります[2]。

生後1か月未満では、非定型的な症状のために診断が難しいことがあり、突然死につながる無呼吸発作を起こすことがあります[2][3]。この年齢は特に注意が必要です。

国立成育医療研究センターによると、日本でも毎年12〜14万人の2歳未満の子がRSウイルス感染症と診断され、約3万人が入院を必要としています[4]。

入院のピークは2〜5か月齢にあるとされています[5]。ただし、このページは更新作業中で、古い情報を含む場合があります[5]。

世界的には、2019年に生後0〜6か月の乳児で約140万件の、RSウイルスによる急性下気道感染の入院があったと推定されています[6]。

生後3か月未満の赤ちゃんの発熱については、関連記事「【生後3か月未満の発熱】赤ちゃんの38℃は必ず受診【夜間・解熱剤・119番】」も参考にしてください。

【受診を急ぐサインと入院の目安】119番・救急外来・その日のうちに

呼吸が苦しそう、食事や水分摂取ができないときは、早めに医療機関を受診してください[1][2]。以下、緊急度の高い順にまとめました。

すぐ119番

次のどれか1つでもあれば、迷わず119番に電話してください。夜間・休日でも同じです。

  • 息をしていない、呼吸が止まっているように見える(無呼吸)
  • 唇や顔が紫っぽい(チアノーゼ)
  • けいれんしている
  • 呼びかけても反応がない、ぐったりしている
  • 肩で息をするほど苦しそうで、話す・泣くことも難しい
  • 食物などで急に顔や全身が腫れ、息苦しそう(アナフィラキシーを疑うとき)

無呼吸は、厚生労働省や国立健康危機管理研究機構が「突然死に繋がる」として注意をよびかけているサインです[2][3]。

救急外来・その日のうちに受診

次のようなときは、様子を見すぎず早めに受診してください[1][2][4]。

サインどうする
呼吸が苦しそう、ミルク・水分がとれないその日のうちに受診。夜間・休日は#8000に相談[2]
胸がへこむ(陥没呼吸)、呼吸がいつもより速い早めに受診[1][5]
生後1か月未満でRSウイルスに感染無呼吸に注意し、早めに受診[2][3]
呼吸が止まる、唇が紫、けいれん、反応がないすぐ119番

厚生労働省のQ&Aでも、夜間・休日で受診を迷うときは「#8000(こども医療相談)」や関係する相談窓口を利用するよう案内されています[2]。

入院の目安と、家で見ておきたいポイント

入院を決める授乳量や酸素の値の数字は、ここで参照した公的な資料には示されていません。医師が呼吸の状態、酸素飽和度、水分や哺乳の状態を総合して判断します[1]。

次のような場合は、重症化しやすく、入院が必要になることもあります[1][2][4]。

  • 生後6か月以内、とくに生後1か月未満
  • 早産・低出生体重の赤ちゃん
  • 先天性心疾患、慢性肺疾患のある子
  • 免疫不全症のある子
  • 食事や水分摂取ができない、多呼吸や努力呼吸がある

家では、呼吸が速くないか、胸がへこんでいないか[1][5]、ミルクの量とおしっこの回数がいつもどおりかを見ておきましょう。哺乳量が落ちるときの見方は、関連記事「【赤ちゃんの発熱】RSウイルスで哺乳量が落ちたら【呼吸と飲み方のチェック】」も参考にしてください。

入院したRSウイルス患児の研究では、無呼吸の発症頻度は報告によって1.2〜23.8%と幅があり、特に早産児で多いとされています[7]。頻度を正確に見積もることは難しいとされています[7]。

院長蒲生

「いつもより飲めない」「なんとなく息が速い」という変化は、検査の数字より先に気づけるサインです。迷ったら、その日のうちにご相談ください。

細気管支炎の治療で行われること・勧められないこと

細気管支炎はウイルスによる感染症です。治療は、症状に合わせて呼吸と体の状態を支えることが中心になります[1][2][4][5]。

医療機関で行われることがある治療

  • 【水分補給】
    脱水を防ぐため、適宜、点滴などで水分を補います[1][2]
  • 【鼻腔吸引】
    鼻汁が多いときは、生理食塩水を使って鼻の吸引を行うことがあります[1]
  • 【酸素投与・呼吸管理】
    息苦しさや酸素の状態に応じて、酸素を投与したり呼吸を支えたりします[2][4][5]
  • 【解熱剤】
    発熱がつらいときは、アセトアミノフェン(カロナールなど)などの解熱剤を使うことがあります。使い方は医師の指示どおりにしてください[4]

呼吸が苦しそうなとき、熱が続くとき、ミルクなどで水分補給ができないときは受診が必要です[1]。受診して呼吸の状態を診てもらうこと自体が、いちばん大切な備えになります。

ガイドラインで勧められていない治療

厚生労働省の手引きでは、細気管支炎に対して抗菌薬を投与しないことが推奨されています[1]。ウイルスによる感染症だからです。ただし、中耳炎や細菌性肺炎を合併することがあり、中耳炎の合併率は30〜60%と報告されています[1]。熱が長引く、いったん軽快したのに再び悪化するときは注意が必要です[1]。

合併症として細菌感染が疑われるときは、抗菌薬でしっかり治療します。必要なときは迷わず始め、出された分は最後まで飲み切るのが基本です。

気管支拡張薬やステロイド、理学療法の有効性は系統的レビューで否定され、各種ガイドラインでも推奨されていません[1]。吸入アドレナリンや高張食塩水の吸入は、一部で有効性が報告されていますが、十分な監視下で行う治療で、一般の小児科外来では推奨されません[1]。

2025年の総説[8]によると、米国小児科学会(AAP)の2014年版ガイドライン[9]は、外来でのアルブテロール、高張食塩水、エピネフリンのルーチンな使用を推奨しないとしています。一方で、これらについて研究は続いており、より質の高い試験が必要とされています[8]。

日本小児呼吸器学会のウェブサイトでは、「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022」が紹介されています[10]。

せきが長引くときの受診の目安は、関連記事「【子どもの咳】止まらないときの受診目安【119番と家庭のケア】」も参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

細気管支炎は、どのくらいでよくなりますか?

RSウイルス感染症は通常、数日から1週間くらいかけて徐々によくなりますが、重症化することもあります[4]。途中で呼吸が悪くなることがあるため、呼吸と水分の状態をよく見て、気になるときは早めに受診してください。

RSウイルスと言われました。どんなときに受診すればいいですか?

呼吸が苦しそう、食事や水分摂取ができないときは、早めに受診してください[2]。夜間・休日で迷うときは#8000に相談できます[2]。息が止まる、唇が紫、けいれん、反応がないときは119番です。

生後1か月未満ですが、心配です。気をつけることは?

生後1か月未満では、無呼吸発作を起こすことがあるため、特に注意が必要です[2][3]。呼吸が止まる、唇が紫、けいれん、呼びかけに反応がないときは119番に電話してください。

抗菌薬をもらっていません。大丈夫でしょうか?

細気管支炎はウイルスによる感染症で、手引きでは抗菌薬を投与しないことが推奨されています[1]。中耳炎や細菌性肺炎を合併したときは、抗菌薬を使います[1]。心配なときは診察でご相談ください。

家では何を見ておけばいいですか?

呼吸の速さ、胸がへこんでいないか、ミルクの量、おしっこの回数、機嫌を見ておきましょう[1][5]。哺乳量が落ちるときは受診してください。ぐったりしているときは119番です。

まとめ【呼吸と水分を最優先に、迷ったら受診を】

  • 赤ちゃんの細気管支炎は、2歳未満に多いウイルス感染症で、RSウイルスが最も重要な原因です
  • 呼吸が苦しそう、ミルクや水分がとれないときは、早めに受診してください。息が止まる(無呼吸)、唇が紫っぽい、けいれんしている、呼びかけに反応がない、肩で息をするほど苦しそうなときは119番です
  • 治療は、医療機関で行う水分補給や酸素投与など、症状に合わせた対応が中心です。呼吸と水分の状態を診てもらうために受診してください
  • 生後6か月以内、早産、先天性心疾患、慢性肺疾患、免疫不全のある子は重症化に注意する
  • 抗菌薬や気管支拡張薬などは、ガイドラインの考え方に沿って医師が判断する。合併症があれば必要な治療を行う

赤ちゃんの「なんとなく息が速い」「いつもより飲めない」に最初に気づけるのは、いつもそばにいるご家族です。その気づきを、どうぞそのまま私達に伝えてください。医療は私達におまかせください。

以上

免責事項

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

参考文献

  1. 厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課. 抗微生物薬適正使用の手引き 第三版(乳幼児編)9(5) 急性細気管支炎. 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001333580.pdf
  2. 厚生労働省. RSウイルス感染症に関するQ&A(令和8年4月27日改訂). 厚生労働省ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rsv_qa.htm
  3. 国立健康危機管理研究機構(JIHS). RSウイルス感染症(概要). 感染症情報提供サイト. 参照 2026年10月. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/respiratory-syncytial-virus-infection/index.html
  4. 国立成育医療研究センター. RSウイルス感染症. 国立成育医療研究センターウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/rs.html
  5. 国立健康危機管理研究機構(JIHS). RSウイルス感染症(詳細版). 感染症情報提供サイト. 参照 2026年10月. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/respiratory-syncytial-virus-infection/detail/index.html
  6. Li Y, Wang X, Blau DM, Caballero MT, Feikin DR, Gill CJ, et al. Global, regional, and national disease burden estimates of acute lower respiratory infections due to respiratory syncytial virus in children younger than 5 years in 2019: a systematic analysis. Lancet. 2022 May;399(10340):2047-64. doi:10.1016/S0140-6736(22)00478-0 PMID: 35598608
  7. Ralston S, Hill V. Incidence of apnea in infants hospitalized with respiratory syncytial virus bronchiolitis: a systematic review. J Pediatr. 2009 Nov;155(5):728-33. doi:10.1016/j.jpeds.2009.04.063 PMID: 19647839
  8. Mellick L, Walsh P, Clanton C, Kalra S, McKinney S. Outpatient medications deimplemented by the AAP bronchiolitis guidelines: an umbrella review of meta-analyses. Pediatr Pulmonol. 2025 Jan;60(1):e27391. doi:10.1002/ppul.27391 PMID: 39601617
  9. Ralston SL, Lieberthal AS, Meissner HC, Alverson BK, Baley JE, Gadomski AM, et al. Clinical practice guideline: the diagnosis, management, and prevention of bronchiolitis. Pediatrics. 2014 Nov;134(5):e1474-502. doi:10.1542/peds.2014-2742 PMID: 25349312 Erratum in: Pediatrics. 2015 Oct;136(4):782.
  10. 日本小児呼吸器学会. 小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022. 日本小児呼吸器学会ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://jspp1969.jp/journal/guidelines-for-the-treatment-of-pediatric-respiratory-infections/
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