お急ぎの方へ
- 発熱で食欲が落ちても、まずは「水分がとれているか」「おしっこが出ているか」「活気があるか」を見る
- 呼びかけに反応しない、けいれんしている、息が苦しそうなときは、迷わず119番に電話する
- 水分がとれない、おしっこが減る、ぐったりしている、嘔吐や下痢を繰り返すときは、その日のうちに受診する
おはようございます。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。
お子さんが熱を出すと、いちばん気になるのが「食べない」「飲まない」ではないでしょうか。
「何も食べないのに、このままで大丈夫でしょうか」
このご相談は、発熱外来でもよくお受けします。食欲が落ちるのは、発熱のときによくあることです。
結論から申し上げると、発熱のときは食べる量よりも、水分がとれているか、おしっこが出ているか、活気があるかを最優先で見ます。水分がとれず、尿が減り、ぐったりしているときは、その日のうちに受診してください。
本記事では、水分のあげ方、脱水のサイン、受診の目安、解熱剤(アセトアミノフェン:カロナールなど)の考え方を、呼吸器専門医の立場から解説します。
その前に、日曜・祝日の発熱外来のご案内です。インフルエンザやコロナのPCR検査(ピーシーアール検査:ウイルスの遺伝子を増やして見つける検査)は、当日中に結果が分かります。
2026年10月4日から、日曜・祝日も発熱外来を行っています
10時〜15時(昼休みなし)。予約は不要で、当日チェックインで受け付けます。PCR検査は当日中に結果をお伝えします。日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。10月25日(日)は休診で、11月からは原則として毎週日曜日と祝日です。日曜・祝日の発熱外来のお知らせ
【結論】子どもの発熱で食欲が落ちたとき、最初に見ることは?
子どもの発熱で食欲が落ちても、最初に見るのは「水分がとれているか」「おしっこが出ているか」「活気があるか」です。
厚生労働省は、子どもの体調を見るときに「食う」「寝る」「遊ぶ」「出す」ができているかを確認するよう勧めています[1]。この4つを、家庭で次のように確認してください。
| 見るポイント | 家で確認すること |
|---|---|
| 水分 | 少しずつでも飲めているか |
| 出す | おしっこが出ているか、おむつがいつもどおり濡れているか |
| 活気 | あやすと笑うか、ぐったりしていないか |
| 食べる | 食べられなくても、まず水分がとれているかを見る |
厚生労働省は「お熱の高さ≠状態の悪さ」として、熱が高いほど病気が重いわけではないとしています[1]。数字そのものより、この4つの様子を見てください。
熱があって食べないとき、どこまで心配すればいい?
熱があるときは、食べる量よりも、水分がとれているかを優先します。
東京都のこども医療ガイドは、食欲は全身状態を把握する大事な情報で、水分がしっかり取れていればさほど心配はいらない、としています[2]。ただしこれは「水分が取れていること」が条件です。水やおしっこが減り、ぐったりしているときは、下の「受診の目安」に進んでください。
同じ東京都のページでも、ぐったりして元気がないときはすぐにお医者さんを受診する、とされています[3]。医療者向けの日本小児科学会の資料でも、水分や哺乳がとれない、尿が減る、ぐったりしている、といったサインが一つでもあれば、速やかに医療機関へ連絡して相談するよう呼びかけています[4]。
食欲が落ちる原因が口の中にあることもあります。口内炎(こうないえん:口の中にできる痛みのあるできもの)などでは、塩味や酸味、熱いものがしみます。食事は薄味で、ぬるめの温度にすると食べやすくなります[2]。
水分は何を、どうやってあげればいい?
嘔吐や下痢があるときの基本は、経口補水液(けいこうほすいえき:ORS。塩分と糖分を調整した飲み物)を、少量ずつあげることです。
こども家庭庁の保育所ガイドラインでは、経口補水液、湯ざまし、お茶などで水分を補給し、吐き気がない場合には本人が飲みたいだけ与えてよい、とされています[5]。日本小児救急医学会のガイドラインも、嘔吐や下痢が始まったら、速やかに自宅で経口補水療法を始めることを推奨しています[6]。
| あげたいもの | ポイント |
|---|---|
| 経口補水液 | 少量から、少しずつ[1] |
| 湯ざまし・お茶 | 本人が飲みたいだけ |
| 避けたい飲み物 | 炭酸飲料、市販の果物ジュース、甘いお茶、コーヒー[6] |
経口補水液を嫌がって十分な量がとれないときは、明らかな脱水所見がなければ、他の水分でもかまいません[6]。ただし、脱水のサインや意識の変化があるときは、速やかに医療機関を受診してください[6]。
吐いた直後は、すぐに飲ませないでください[1]。こども家庭庁のガイドラインでは、嘔吐して30〜60分程度後に吐き気がなければ、様子を見ながら少量ずつ摂らせるとされています[5]。東京都の「熱が出た」のページでは、喉越しの良いアイスクリームなども提案されています[3]。
経口補水液の作り方や飲ませ方のくわしい手順は、【経口補水液】子どもが発熱と嘔吐で飲めないとき【受診の目安】で解説しています。
院長蒲生一度にたくさん飲ませようとせず、小さなスプーンで1口ずつ、根気よくがコツです。
脱水のサインは、家庭でどう見つける?
家庭では、おしっこ、涙、口の乾き、ぐったりした様子を見てください。
厚生労働省は、脱水のサインとして「12時間以上オシッコが出ない」「泣いても涙が出ない」などを挙げています[1]。こども家庭庁のガイドラインでは、唇や舌が乾いている、尿が半日以上出ない、尿の量が少なく色が濃い、目が落ちくぼんで見える、皮膚の張りがない、とされています[5]。
- 【尿】
半日以上おしっこが出ない、回数が減る、色が濃い[1][5] - 【涙・口】
泣いても涙が出ない、唇や舌が乾いている[1][5] - 【目・皮膚】
目が落ちくぼんで見える、皮膚の張りがない[5] - 【意識】
ぼんやりする、ぐったりしている[1][5]
逆に、家庭で安心できるのは「水分が取れている」「おしっこが出ている」「あやすと笑う」といった様子です[7]。日本小児科学会の「こどもの救急」でも、このような項目で受診の必要性を判断しています[7]。
ただし、脱水の程度を家庭で正確に測ることはできません。この研究(系統的レビュー)では、単一のサインより複数のサインの組み合わせのほうが脱水の予測に優れ、脱水の正確な程度は医師でも推定しにくいとされています[8]。だからこそ、迷ったら受診を、と考えてください。
解熱剤(アセトアミノフェン)は、飲む助けになる?
解熱剤は、熱を下げて体を楽にするために使います。楽になれば、水分がとりやすくなることがあります。
厚生労働省は、解熱剤(アセトアミノフェン)について「体を楽にするために使い、病気を治すわけではない」と説明しています[1]。東京都のページでは「アセトアミノフェンなら使用しても大丈夫です」とされ、熱のためつらそうで眠れそうにないときには、処方された解熱剤の使用を考える、とされています[3]。
日本小児科学会も、発熱に対しては小児用の市販薬を含めた解熱剤を適宜使用して経過をみてよい、としています[4]。米国小児科学会の報告では、解熱剤の目的は体温を正常に戻すことよりも、子どもの全体的な快適さを改善することであり、水分摂取を促すことも大切だとされています[9]。
使い方は、医師の指示や添付文書どおりにしてください。市販薬を使う場合は、他の薬との重複に注意し、量や間隔は製品の説明に従ってください。



つらそうなときに解熱剤で楽にして、少しでも飲めたら十分です。無理に全部飲ませようとしなくて大丈夫です。
【受診の目安】食べない・飲めないときは、いつ受診する?
水分がとれない、おしっこが減る、ぐったりしている、嘔吐や下痢を繰り返すときは、その日のうちに受診してください。
日本小児科学会は、水分や哺乳がとれない、尿が減る、手足が冷たい、顔色が悪い、呼吸が悪い、ぐったりしている、意識がはっきりしない、けいれん、繰り返す嘔吐、といったサインが一つでもあれば、速やかに医療機関へ連絡して相談するよう呼びかけています[4]。
- 水分がとれない、おしっこが半日以上出ない(脱水のサイン)[4][5]
- ぐったりしている、顔色が悪く苦しそう[5]
- 嘔吐や下痢を繰り返している[5]
- 脱水かな?と感じる、ぐったりしている(時間外でも早めに受診)[1]
こども家庭庁のガイドラインでは、食欲がなく水分が摂れないときは保護者への連絡が望ましく、頻回な嘔吐や下痢があるときは至急受診が必要と考えられる、とされています[5]。
赤ちゃんについては、東京都が「全く何も摂取しない状態が2回(6時間)程度続いたら、夜寝ている間を除いて、すぐにお医者さんへ見せたほうが良い」としています[2]。これは赤ちゃん向けの目安で、上の子に同じ時間をあてはめないでください。なお、生後3か月未満の赤ちゃんが38℃以上で発熱したときは、時間外でもすぐ受診が必要です[1][3][5]。くわしくは【生後3か月未満の発熱】赤ちゃんの38℃は必ず受診【夜間・解熱剤・119番】で解説しています。
経口補水で多くは対応できますが、うまくいかない場合もあります。この研究では、胃腸炎で脱水のある子どもを対象に、経口補水で約25人に1人は経口でうまくいかず、点滴が必要になったと報告されています[10]。医療機関で脱水の程度を診て、必要なら点滴などを検討します。
けいれんしている、反応がない、息が苦しいときは?
けいれんしている、呼びかけに反応しない、息が苦しそうなときは、迷わず119番に電話してください。
厚生労働省は、意識がおかしい、けいれん、呼吸がおかしい(口唇が紫色)といったときには「迷っても、119番しましょう」としています[1]。東京都のページでも、高熱・嘔吐・頭痛でぐったりし、意識障害やけいれんが出るときは「救急車を呼んでください」とされています[3]。
こども家庭庁のガイドラインでは、意識がはっきりしないとき、けいれんが起きたとき、小鼻がピクピクして呼吸が速いとき、顔色が悪く苦しそうなときは、至急受診が必要と考えられる、とされています[5]。
救急車を呼ぶか迷うほどではないけれど判断に困るときは、こども医療電話相談(#8000)を利用できます[1][4]。#8000は子どものみが対象で、実施している自治体によって利用できる時間が異なります[1]。ただし、明らかに危ないサインがあるときは、相談をはさまず119番です。
熱が出たときのけいれんについては、【熱性けいれん】子どもが熱でけいれんしたら【5分・119番・その後の受診】もあわせてご覧ください。
受診するとき、医師に何を伝えればいい?
受診のときは、食欲・水分・おしっこ・うんち・機嫌を伝えてください。これが診断の手がかりになります。
東京都のページでは、外来受診時の説明ポイントとして「いつからどんな症状か」「食欲はあるか」「水分はとれているか」「おしっこやうんちは出ているか」「元気やご機嫌はどうか」が挙げられています[3]。日本小児科学会も、家庭で水分摂取を促し、体調の変化をよく見ることを勧めています[4]。
- いつから熱が出て、どんな症状があるか
- 水分をどのくらいとれているか、おしっこの回数と量
- 食欲はどうか、食べられたもの、口の中の痛みの有無
- 機嫌・活気はふだんと比べてどうか
- 解熱剤を使った時刻、ふだん飲んでいる薬、持病
口の中の痛みは、食欲低下の原因になることがあります。気づいたら、そのことも伝えてください[2]。
よくある質問(FAQ)
- 熱で食べないとき、無理に食べさせたほうがいいですか?
-
無理に食べさせる必要はありません。発熱のときは、食べる量より水分がとれているかを優先します[2]。まずは水分がとれているか、おしっこが出ているかを確かめてください。水分がとれない、尿が減る、ぐったりしているときは、その日のうちに受診してください。日本小児科学会の資料も、こうしたサインがあれば速やかに医療機関へ連絡して相談するよう求めています[4]。
- 経口補水液を嫌がります。他の飲み物でもいいですか?
-
明らかな脱水所見がなければ、経口補水液以外の水分でもかまいません[6]。炭酸飲料、市販の果物ジュース、甘いお茶、コーヒーは避けてください[6]。湯ざましやお茶など、飲みたいものを少量ずつ試してみてください[5]。脱水のサインがあれば受診してください[6]。
- おしっこが半日以上出ていません。どうすればいいですか?
-
尿が半日以上出ないのは脱水のサインです[5]。その日のうちに受診してください。呼びかけに反応しない、けいれんしている、息が苦しそうなときは、迷わず119番に電話してください[1]。
- 解熱剤を使えば、水分がとれるようになりますか?
-
解熱剤は、熱を下げて体を楽にするために使います[1]。楽になれば水分がとりやすくなることがあります。使い方は医師の指示や添付文書どおりにしてください。水分がとれない、尿が減る、ぐったりしているときは、解熱剤だけで様子を見ずに受診してください[4]。
- 夜にけいれんしました。受診はどうすればいいですか?
-
けいれんしているとき、呼びかけに反応しないとき、息が苦しそうなときは、迷わず119番に電話してください[1][3]。けいれんが起きたときは至急受診が必要と考えられます[5]。判断に困るときは、こども医療電話相談(#8000)も利用できます[1]。
- 3か月未満の赤ちゃんが熱を出しました。朝まで待てますか?
-
待たずに受診してください。生後3か月未満の赤ちゃんが38℃以上で発熱したときは、時間外でも早めの受診が必要です[1][3][5]。くわしくは「生後3か月未満の発熱」の記事をご覧ください。
まとめ【食欲より水分、そして活気を見る】
- 発熱で食欲が落ちても、まずは「水分がとれているか」「おしっこが出ているか」「活気があるか」を見る
- 呼びかけに反応しない、けいれんしている、息が苦しそうなときは、迷わず119番に電話する
- 水分がとれない、おしっこが減る、ぐったりしている、嘔吐や下痢を繰り返すときは、その日のうちに受診する
- 水分は経口補水液を少量ずつ。避けたい飲み物は炭酸飲料、市販の果汁、甘いお茶、コーヒー
- 解熱剤は体を楽にするために使い、楽になれば飲みやすくなることがある。使い方は医師の指示どおりに
お子さんの「なんだか変」に最初に気づけるのは、いつもそばにいるご家族です。食欲が落ちていても、まずは水分・おしっこ・活気を見てください。飲めない・出ない・ぐったりしているときは、どうぞ早めに私達にご相談ください。医療は私達におまかせください。
以上
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
参考文献
- 厚生労働省「上手な医療のかかり方」プロジェクト. 上手な医療のかかり方(1)子どもの健康を見るポイント(2)救急受診が必要なとき(3)主な症状と救急のかかり方(4)救急相談窓口(5)子どもの事故 [PDF]. 上手な医療のかかり方.jp. 参照 2026年10月. https://kakarikata.mhlw.go.jp/assets/pdf/slide.pdf
- 東京都. 食欲がない-解説-. 東京都こども医療ガイド. 参照 2026年10月. https://www.guide.metro.tokyo.lg.jp/symptom/syokuyoku/index.html
- 東京都. 熱が出た-解説-. 東京都こども医療ガイド. 参照 2026年10月. https://www.guide.metro.tokyo.lg.jp/symptom/netsu/index.html
- 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会. 新型コロナウイルス感染症等流行時における小児の発熱時の対応について ~小児科医を含む医療従事者に向けて(2022年8月23日、2026年6月3日改訂). 日本小児科学会ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.jpeds.or.jp/society-activities/pediatric-medical-care/vaccination/vaccinations-infectiousdiseases/20454.html
- こども家庭庁. 保育所における感染症対策ガイドライン 別添3 子どもの病気~症状に合わせた対応~ [PDF]. こども家庭庁ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/cd6e454e/20231010_policies_hoiku_25.pdf
- 日本小児救急医学会 診療ガイドライン作成委員会 編. エビデンスに基づいた子どもの腹部救急診療ガイドライン2017 第Ⅰ部 小児急性胃腸炎診療ガイドライン [PDF]. Mindsガイドラインライブラリ. 参照 2026年10月. https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00577.pdf
- 日本小児科学会(厚生労働省研究班/日本小児科学会監修). こどもの救急(ONLINE-QQ)発熱(38℃以上). こどもの救急. 参照 2026年10月. https://kodomo-qq.jp/index.php?pname=hatsunetsu
- Steiner MJ, DeWalt DA, Byerley JS. Is this child dehydrated? JAMA. 2004 Jun;291(22):2746-54. doi:10.1001/jama.291.22.2746 PMID: 15187057
- Sullivan JE, Farrar HC; Section on Clinical Pharmacology and Therapeutics, Committee on Drugs. Fever and antipyretic use in children. Pediatrics. 2011 Mar;127(3):580-7. doi:10.1542/peds.2010-3852 PMID: 21357332
- Hartling L, Bellemare S, Wiebe N, Russell K, Klassen TP, Craig W. Oral versus intravenous rehydration for treating dehydration due to gastroenteritis in children. Cochrane Database Syst Rev. 2006 Jul;2006(3):CD004390. doi:10.1002/14651858.CD004390.pub2 PMID: 16856044
▶ この分野のまとめ: 日曜・祝日の発熱外来(2026年10月4日から・10時〜15時)
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