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【冬のCOPD】寒さとかぜに備える毎日のケア【増悪のサインと早めの受診】

冬のCOPDに備える 増悪のサインを知る

こんばんは。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。

朝、布団から出るのがつらくなる季節になりました。冬は、肺の病気がある方にとって、寒さとかぜの両方に備えたい時期です。

COPD(シーオーピーディー:慢性閉塞性肺疾患)は、空気をうまく吐き出せず、息切れなどが続く病気です。かぜなどをきっかけに、増悪(ぞうあく:症状が悪化し、治療の変更が必要になること)を起こします[1]。

結論から申し上げると、冬のCOPDでは毎日の吸入を続け、「いつもより苦しい」を放置しないことが大切です[2]。増悪のサインと受診の目安を知り、手洗いや部屋の寒さへの対策を毎日の備えに取り入れましょう。ワクチンの接種についても、あらかじめ確認しておきましょう。本記事では、冬のCOPDで気をつけたい変化と、毎日のケア、受診の目安を解説します。

文責(この記事を書いた人)

蒲生 俊一(がもう しゅんいち)
仙台空港北クリニック 院長

地元、名取市立閖上小・中学校出身。東北大学医学部医学科を卒業後、仙台オープン病院、気仙沼市立病院、東北大学病院を経て、コロナ禍ただ中の2021年4月に仙台空港北クリニックを開院。「絶対に断らない発熱外来」をつらぬき通し、コロナ5類化までの2年間で2万名を優に超える発熱患者の診療にたずさわる。

所属学会・認定資格
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本呼吸器学会呼吸器専門医
日本アレルギー学会アレルギー専門医
日本抗加齢医学会専門医
医学博士(東北大学)

目次

冬のCOPDは、なぜ寒さとかぜで悪化しやすい?

実は、かぜなどの感染症だけでなく、寒さも息切れや咳の悪化に関わります[1][3]。いつもの治療で落ち着いていた方でも、感染をきっかけに増悪することがあります。

英国・東ロンドンのCOPD患者76人を12か月追った研究では、屋外や寝室の気温が低いほど、増悪が多くみられました[3]。最も暖かい週から最も寒い週にかけて、最初の1秒で吐ける空気の量は中央値で45mL減っていました[3]。中央値は、値を順に並べた真ん中の値です。ただし、変化には個人差が大きく、全員が同じように減ったわけではありません[3]。この研究は1999年に発表されました[3]。

ざっくり言えば、「かぜを防ぐこと」と「冷え込みに備えること」を一緒に考える、ということです。ただし、これは気温と症状の関連をみた研究です。暖房だけで増悪を防げると証明した試験ではありません。

増悪後は、息切れや体の調子が元に戻るまで時間がかかることもあります[1]。冬を安心して過ごすために、体調がよい時期から備えを整えておきましょう。

院長蒲生

「冬だから仕方ない」で片づけず、寒さへの備えとかぜ予防をセットにしてみましょう。

COPDの増悪のサインは?いつもの息切れと比べましょう

いつもより息切れが強い、咳が増えた、痰の量や色が変わった、といった変化に注意しましょう[1][2]。熱だけで判断せず、ふだんできる動作がつらくなっていないかを見てください。

見るところふだんとの違いの例
息切れ同じ着替えや室内の移動でも、いつもより息が切れる
咳咳の回数が増え、夜も落ち着かない
痰量が増える、切れにくくなる、白かった痰が黄色っぽくなる
体調かぜ症状や発熱が加わる、食欲や元気が落ちる

熱がなくても、呼吸や痰がいつもと違えば早めの受診が必要です[2][4]。変化が出た日、何をすると息が切れるか、咳と痰の様子をメモしておきましょう。

痰の色は診察で役立つ情報ですが、色だけで原因や薬を自己判断しないでください。「階段がつらい」だけでなく、「昨日までできた着替えでも休む」と伝えると、変化が伝わりやすくなります。

院長蒲生

ほかの人と比べるより、「元気なときの自分」と比べるのがコツです。ご家族が気づく変化も大切です。

COPDで早めの受診が必要なのは?119番との分け方

息切れ・咳・痰がふだんより悪くなったら、早めに受診してください[4]。定期受診の日を待たず、その日のうちにかかりつけ医へ連絡し、診察を受けましょう。

ただし、急な息苦しさや意識の異常は救急です。次の症状では、夜間・休日も119番へ連絡してください[5][6]。

  • 急に息が苦しくなった、呼吸がひどく苦しい
  • 意識がもうろうとしている、呼びかけても返事がない
  • 突然の激しい胸の痛み、冷や汗や息苦しさを伴う胸の圧迫感

胸の痛みはCOPDだけのせいにせず、心筋梗塞(しんきんこうそく:心臓の血管が詰まる病気)なども考える必要があります[6]。救急のサインがあるときは、暖かい部屋で様子を見たり、外来が開くのを待ったりしないでください。

その日のうちに受診する場合、かかりつけが休診なら地域の休日診療所や救急外来へ相談してください。連絡時は「COPDで治療中」「いつから何が変わったか」「使っている薬」を伝えましょう。

悪化時の薬の使い方を主治医から決められている方は、その指示を確認します。余った薬を自己判断で使わず、吸入器とお薬手帳を受診時に持参すると役立ちます[4][7]。

院長蒲生

次の診察日までがまんする必要はありません。「いつもの状態から何が変わったか」が大事な情報です。

冬のCOPDの予防は?手洗いとワクチンを組み合わせる

帰宅後の手洗いを習慣にし、ワクチンの接種についても確認しておきましょう[2][4]。

  • 帰宅後は手洗い
    石けんと流水で、指の間・指先・親指まで洗います
  • インフルエンザワクチンを毎年確認
    冬の流行に備え、接種について主治医に相談します[2][4]
  • 肺炎球菌ワクチンの接種歴を確認
    肺炎などを起こす細菌に備えるワクチンです。過去に受けた種類と時期を伝えます
  • 家族と一緒に感染対策
    手洗いを習慣にし、室内の換気も行います

肺炎球菌ワクチンの次の接種は、一律の年数で自己判断せず、接種歴をもとに相談してください。定期接種の対象には、年齢や、心臓・呼吸器などの働きの障害の程度に関する条件があります[8]。対象や手続きはお住まいの市町村に確認し、主治医に相談しましょう。

院長蒲生

ワクチンをいつ受けたか、意外と忘れやすいものです。接種の記録があれば、相談するときに役立ちます。

COPDの吸入は、調子がよい冬の日も毎日続ける?

症状が落ち着いていても、定期吸入は処方された回数と量で毎日続けましょう[2]。息苦しい日にだけ使う薬と、毎日の治療薬を混同しないことが大切です。

気管支拡張薬(きかんしかくちょうやく:空気の通り道を広げる薬)は、息苦しさを和らげる治療の中心です[7]。薬を続けることと、正しく吸えていることの両方を確認しましょう。

  • 処方の時間に合わせ、毎日の生活の流れに吸入を組み込む
  • 吸入器ごとに吸い方が違うので、医師や薬剤師に実際の動作を見てもらう
  • 残りの量を確認し、休みや連休の前に薬が足りるか確かめる
  • 使いにくさや気になる症状があれば、自己判断で中断せず相談する

吸入薬は処方や主治医からの悪化時の指示に従って使い、その範囲を超えて自己判断で増やさず、症状が悪化したら相談してください。毎日の治療を続けながら、増悪のサインがあれば受診につなげましょう。

院長蒲生

吸っているつもりでも、器具の操作でつまずくことがあります。使い方を一緒に確認すると、毎日の治療を生かせます。

冬のCOPDでは部屋の温度をどう整える?

居間だけでなく、寝室の冷え込みにも目を向けましょう[3]。暖房の設定だけでなく、実際に過ごす場所が寒くないかを確認してください。

寒い日の外出は上着やマスクで備え、室内との温度差にも気を配ります[4]。家の中でも、暖かい居間から冷たい廊下へ出る場面などを、ご家族と見直しておくとよいでしょう。

先に挙げた英国の研究は、気温と症状の関連を調べたものです[3]。「この室温なら増悪しない」という温度を確かめた試験ではありません。寒さをがまんせず、住まいに合った暖房と衣服で調節してください。

暖かく保つ一方で、換気も忘れずに行います。たばこや煙など、呼吸を刺激するものも避けましょう[4]。調子が安定している日は、主治医と相談した範囲で体を動かす習慣も続けてください[2]。

院長蒲生

日中の居間は暖かくても、寝室は冷えているかもしれません。普段いる場所を順に見直してみましょう。

当院でのCOPD相談・発熱時の受診案内

当院の呼吸器科では、COPDを診療内容として案内しています。発熱を伴う場合は、発熱外来の案内も確認してください。院長は呼吸器・アレルギー専門医です。一般外来は祝日を除く月・火・水・金・土で、木曜・日曜・祝日は一般外来休診です。

曜日時間
月・火・水・金・土(祝日を除く)9:00〜12:00/14:00〜18:00
日曜・祝日(2026年10月4日から)10:00〜15:00(昼休みなし・発熱外来のみ)
木曜休診

2026年10月4日から、日曜・祝日の発熱外来を開始しています。実施日と休診日はカレンダーをご確認ください。日曜・祝日は発熱外来のみで、予約不要・当日チェックインの受付です。一般外来と点滴は行っていません。

日曜・祝日の発熱外来のお知らせと、発熱外来の事前問診・当日チェックインの案内をご確認ください。

当院は発熱外来の受診をお断りしない方針です。急な息苦しさ・意識の異常・突然の強い胸痛がある方は、診療時間を待たず119番へ連絡してください。

冬のCOPDについてよくある質問

冬のCOPDで迷ったら、吸入の継続と、ふだんからの症状の変化を手がかりに対応を考えます。

熱がなければ、次の診察まで待ってもよいですか?

熱がなくても、いつもより息切れが強い、咳や痰が増えたときは、定期受診を待たずその日のうちに相談・受診してください[2][4]。急な息苦しさや意識の異常は119番です[5]。

かぜをひいたら、毎日の吸入は休みますか?

毎日の定期吸入は、自己判断で休まず処方どおりに続けましょう。かぜに伴って息切れや痰が悪化した場合は、その日のうちに相談・受診します。薬の使い方を変更する指示がある方は、その内容も確認してください[2][4]。

冬は暖房をつけていれば安心ですか?

寝室も含めて寒さに備えることは大切ですが、暖房だけで増悪を防げると考えず、吸入と感染対策も続けましょう。暖房中も換気を行い、たばこや煙を避けることが大切です[2][3][4]。

以前、肺炎球菌ワクチンを受けました。追加は必要ですか?

前に受けたワクチンの種類や時期などで判断が変わるため、接種の記録を持って主治医に確認してください。制度は変更されることもあります。自治体の最新の案内も確認し、一律の間隔で予約せず、接種歴に合わせて相談しましょう[8]。

受診するときは何を持っていけばよいですか?

お薬手帳と普段の吸入器に加え、症状が変わり始めた日や、咳・痰・息切れの変化をメモしておくと役立ちます。ただし救急のサインがあるときは、持ち物をそろえるために119番への連絡を遅らせないでください[4][5][7]。

まとめ【冬のCOPDは毎日の備えと早めの受診】

冬のCOPDは、毎日の治療と暮らしの備えを続け、変化に早く対応することが大切です。

  • かぜ予防の手洗いと処方どおりの吸入を毎日の習慣にする。ワクチンの接種についても確認し、肺炎球菌は接種歴に応じて相談する
  • 寝室も含めて冷え込みに備え、換気と煙を避ける工夫も忘れない
  • 息切れ・咳・痰の悪化は、熱の有無にかかわらずその日のうちに相談・受診
  • 急な息苦しさ、意識の異常、突然の強い胸痛は119番
  • 体調がよいときに、吸入の使い方と悪化時の連絡先を確認する

「いつもよりつらい」に気づくことが、早めの治療につながります。冬をできるだけ楽に過ごせるよう、私達と一緒に毎日のケアを整えていきましょう。

免責事項

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

以上

参考文献

  1. 環境再生保全機構. 増悪を起こすとどうなるのですか? ぜん息などの情報館. 参照 2026年10月28日. https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/about/13.html
  2. 環境再生保全機構. 増悪の予防はどうしたらよいですか? ぜん息などの情報館. 参照 2026年10月28日. https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/about/14.html
  3. Donaldson GC, Seemungal T, Jeffries DJ, Wedzicha JA. Effect of temperature on lung function and symptoms in chronic obstructive pulmonary disease. Eur Respir J. 1999. doi:10.1034/j.1399-3003.1999.13d25.x PMID: 10362051
  4. 環境再生保全機構. 【実践編】増悪を予防する ぜん息などの情報館. 参照 2026年10月28日. https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/life/03.html
  5. 総務省消防庁. 救急車を上手に使いましょう ~救急車 必要なのはどんなとき?~ 救急車利用マニュアル. 2025(参照 2026年10月28日). https://www.fdma.go.jp/publication/portal/items/portal002_japanese121.pdf
  6. 日本呼吸器学会. Q8. 急に胸が痛くなり良くなりません。心臓や肺の病気でしょうか? 呼吸器Q&A. 2024(参照 2026年10月28日). https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q08.html
  7. 環境再生保全機構. 処方された薬を知って正しく使おう すこやかライフ56号. 参照 2026年10月28日. https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/sukoyaka/56/feature/
  8. 厚生労働省. 肺炎球菌感染症(高齢者) 予防接種情報. 参照 2026年10月28日. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/pneumococcus-senior/index.html

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