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ドラクエ!?新型コロナウイルスはメダパニをとなえられる事が判明!

きめんどうし メダパニ

おはようございます。仙台空港北クリニック 院長の蒲生俊一(医学博士)です。
※当記事は文末「参考文献」を根拠としています

新型コロナウイルスに感染してしまうと、一部の方は肺炎になり最悪の場合死に至ることはあなたもご存じだと思いますが、この記事ではもう少し丁寧に

「感染すると人体で何が起きるのか」

を解説していこうと思います。

しく発生した病気であり、まだエビデンスが蓄積中のただ中ではありますが、新型肺炎の胸部CT所見は、間質の炎症が主体で、いわゆる通常の細菌の感染などによる肺炎とは異なる事が分かっています。

これは「間質性肺炎」という呼吸器内科医泣かせのとても厄介な病気にその性格が近い事が考えられます。

通称「新型肺炎」とメディアなどで呼ばれている肺炎は、最初は「器質化肺炎」のような陰影から始まり、一部の症例では急速に進行し、その結果、肺の間質と呼ばれる部分の炎症(肺線維症)が進み「すりガラス状の影」がCTなどで確認されることが報告されています。

「器質化肺炎」と「肺繊維症」はともに「間質性肺炎」の仲間です。

目次

間質(かんしつ)はブドウの皮の部分を指す

中学の理科で「肺はブドウの房(ふさ)みたいになっている」と習ったのをかすかに覚えておられないでしょうか。

肺は、「肺胞(はいほう)」と呼ばれるブドウの粒のような形をした組織が7~8億個集まってできています。空気を吸い込んだときに肺の体積を広げるためにこのような形状になっているのです。

一般的な肺炎は、細菌やウイルスなどを口や鼻から吸い込むことでそれらが肺胞に入り込み、入り込んだウイルスなどを「敵」と見なして免疫細胞が攻撃することで肺に炎症が起きます。

それに対し、間質性肺炎(≒新型肺炎)は肺胞と肺胞の間にある間質(かんしつ)と呼ばれる部分に炎症(=免疫反応)が起きます。しかし、炎症が起きているにも関わらず間質に細菌やウイルスは入り込んでいないのです。

肺胞と間質

不思議ですよね。間質には敵(ウイルスや細菌)がいないのに免疫細胞(マクロファージやナチュラルキラーT細胞など白血球の仲間)がやってきて間質を攻撃してしまうなんて。

新型肺炎は膠原病(関節リウマチなど)と似た病気

関節リウマチという病気の名前を聞いたことが一度くらいはあると思いますが、関節リウマチは大きなくくりで言うと「自己免疫疾患」という病気の仲間で、免疫の誤作動によって起きる病気です。膠原病(こうげんびょう)とも言います。

関節にウイルスや最近などの異物がいるわけではないのに免疫細胞が関節を誤って攻撃してしまうのが関節リウマチです。

膠原病の仲間には関節リウマチ以外にも全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群などがあります。

新型肺炎に話を戻しますが、現時点での報告を見る限りは炎症が起きている間質で新型コロナウイルスは見つかっていないようです。
※今後情報が変わるかも知れません

なぜ異物(新型コロナウイルス)がいないのに免疫細胞は間質を攻撃してしまうのか、詳細な理由は未解明の部分が多いので現時点では何とも言えません。

ただし、結果的に起きているのは「免疫のパニックです。

COVID-19の症状は高熱や嗅覚障害など多岐にわたる

  • 高熱が何日も続く
  • 咳が止まらない
  • 呼吸が苦しい
  • コーヒーの匂いがしなくなった
  • 何を食べても味がしない
  • 下痢になる
  • 頭痛がひどい
  • 全身の倦怠感(けんたいかん)
  • 胸痛がある

などなど、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では人によってさまざまな症状が認められます。ここに新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のヒントがありそうです。

新型コロナウイルスは目鼻や口などの粘膜を通じて体内に入り込みますが、上で挙げられた通り、症状は目鼻やのどなどの気道に限らず、消化器や循環器まで幅広い臓器に影響を及ぼします。

味方をパニックにする呪文「メダパニ」

必ずしもウイルスが存在する場所に症状が限定せず、ほぼ全身性に症状が出る事を考えると、新型コロナウイルスは私達の免疫そのものをパニックにさせてしまう「何か」を持っていると言えそうです。

その何か、をここでは「メダパニ」に例えて説明したいと思います。

すいません、ここまで真面目に書いてきたのに急にドラゴンクエストの呪文(メダパニ)を持ち出してしまって。もっと良い説明の仕方があるのかも知れませんが、せめて少しでもとっつきやすく感じてもらえるようにと頭をひねってみた次第です。

「メダパニ」は相手を混乱(パニックに)させてしまう呪文です。ドラクエだと「きめんどうし」や「おどるほうせき」などのモンスターの得意呪文で、メダパニを掛けられてしまった人は頭が混乱し味方に向かって切りつけてしまいます。

きめんどうしは メダパニを となえた!
がもうは こんらんした!

懐かしいですよね。メダパニを使う敵キャラはだいたいが弱いキャラです。でも、メダパニはかかってしまうと本当にやっかいです。味方同士で戦いを始めてしまいますので。

新型コロナウイルスに感染することで起きている各種病態の多くは、新型コロナウイルスがヒトの免疫システムに対してメダパニをかけた状態だと思ってくださるとわかりやすいかも知れません。

しんがたころなういるすは メダパニを となえた!
めんえきしすてむは こんらんした!

こんな感じです。混乱した免疫系は身体のあらゆるところで暴れ始めます。本来であれば細菌やウイルスなどの外敵と戦う為に備わっている免疫細胞(白血球の仲間です)がたくさんやってきて、そこかしこでやたらめったら暴れまわります。

サイトカインストーム

このときに免疫細胞を誘導する化学物質を炎症性サイトカインといい、代表的なものにIL-6やTNF-αなどがあります。

通常の免疫反応ではこれら炎症性サイトカインは外敵を倒す為に適切に制御されているわけですが、メダパニによって制御が効かなくなってしまうとこう↓なります。

STEP
炎症性サイトカインによって免疫細胞が誘導される
STEP
誘導された免疫細胞から更に炎症性サイトカインが放出される
STEP
更なる免疫細胞の誘導を招き、暴走した白血球などが本来であれば守るべき対象である自分自身の臓器を攻撃する

繰り返し(STEP1に戻る)

このようにSTEP1から3を繰り返してしまう状態をサイトカインストームと呼んでいて、極めて厄介な状況に陥ってしまいます。

こういった状況が肺で起こった結果、一番最初に述べたような急速な肺炎の進行を引き起こし、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)という状態を招き、呼吸が出来なくなってしまいます。

いわゆる「肺が真っ白になる」という状況で、こうなってしまうと死に至るリスクが極めて高く、人工呼吸器やECMO(エクモ)と言われる体外式の人工肺が必要になる事が多いです。

更には、サイトカインストームなどによって凝固・線溶系(怪我などで負傷した時に適切に血を止める、一方で血栓が出来て血管が詰まるのを防ぐ)も制御が効かなくなってしまいます。

その結果、血栓が多発し体中の血管が詰まってしまい、全身の臓器に酸素や血液が回らなくなってしまうと同時に、極めて出血しやすい状態になり少しの刺激で出血が多発する状態に陥ります。

これを播種性血管内凝固症候群(DIC)といい、最終的には多臓器不全に陥り亡くなってしまう事があるとても恐ろしい状態です。

新型コロナウィルスは8割が軽症、だからといって絶対に油断は禁物!

一方で、感染した人の8割くらいが軽症、かつ診断も確定していない無症候性キャリアと呼ばれる人たちがおそらく莫大な数いるという推測から考えると、新型コロナウイルスは大した事ない感染症のように思われる方もおられるかも知れません。

でも、だからと言って安心はできません。確かに数字の上では8割は軽症で、更に20歳台など若い人に限れば500人に一人程度の重症化率という統計が出ていますが、あなたがその500人に一人に入らない保証は全くありません。

新型コロナに感染し、不幸にも重症化してしまいまさに死の淵に立っている時、

「500分の1にあたってしまったのだから運が悪かったと思って諦めるしかないな」

とすんなり思えるでしょうか?

また高齢者に限れば死亡してしまう割合は15%程度まで上昇すると言われております。やはり油断は禁物です。

一方で、自粛自粛で経済苦によって失われてしまう命も決して少なくないものと推察されます。リーマンショックの後に起きた事を鑑みると、場合によってはこちらの方が多いかも知れません。

まとめ

今後、この新型コロナウイルスに対しては、いずれは集団免疫がついたり予防接種が出来るようになったりして、「感染しても死なない病気」になっていくだろうと推察しますが、その道のりはまだ始まったばかりで、一朝一夕にはいかない可能性が高いです。

つまり、向こう数年は新型コロナウイルスとうまく付き合って共存していく他はないのだろうと考えます。そこで重要になってくるのは、

感染予防と経済活動とのバランスをいかに取るか

です。非常に舵取りが難しい問題ですが、私も地域の皆さんと一緒に取り組んでいきたいという考えから、コロナ感染の心配を極力しなくて良いクリニック運営に努めて参ります。

健康の心配に関して、些細な事でも全く気兼ねする必要はありません。何でもお気軽にご相談下さい。

以上、新型コロナウィルスはメダパニの使い手だった、という事で新型肺炎、およびそれに引き続き起こるARDS(急性呼吸窮迫症候群)やDIC(播種性血管内凝固症候群)など恐ろしい状況について非常にざっくりと説明してみました。

ドラゴンクエストをやったことがない人には全然すっきりしない説明になってしまいましたが、コアなドラクエファンなら

「なるほど新型コロナウイルスはメダパニの使い手なのか!」

と納得できると思います。

亡くなられる方は高齢者や基礎疾患を持っている人に集中していますが、いかにも屈強なアスリートで重症化するケースもあることを考えると、新型コロナウイルスは

「免疫系を混乱させるやっかいなウイルス」

という事で、決して油断することなく対処すべき相手と思って頂けると幸いです。

以上

参考文献
日本呼吸器学会 成人肺炎診療ガイドライン 最終アクセス2018年12月7日
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第2版 最終アクセス2020年5月18日
Radiological Society of North America Expert Consensus Statement on Reporting Chest CT Findings Related to COVID-19. 最終アクセス2020年3月25日
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