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【小児のとびひ】夏に増える皮膚感染症【治療と受診の目安】

【小児のとびひ】夏に増える皮膚感染症【治療と受診の目安】

お急ぎの方へ

  • とびひは細菌による皮膚の感染症で、必要なときは抗菌薬(塗り薬・飲み薬)を医師の指示どおりに、早めに始めて最後まで使い切る
  • 意識がおかしい、けいれんしている、息が苦しい、ぐったりしているときは119番
  • 病巣が広がる、赤みが広がる、熱が出るときは、その日のうちに受診する

おはようございます。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。

夏は、お子さんが虫に刺されたり、あせもをかいたりする機会が増えますね。そんなとき、よく耳にするのが

「これ、とびひでしょうか?」

というご家族の言葉です。とびひは、あっという間に広がることもある皮膚の感染症で、保護者の方は心配になりますよね。

結論から申し上げると、とびひは細菌による皮膚の感染症で、必要なときは抗菌薬(塗り薬・飲み薬)を医師の指示どおりに、早めに始めて最後まで使い切ることが大切です[1]。範囲が狭いとびひでは、塗り薬は飲み薬と同等に効くとされています[2]。

本記事では、とびひのタイプ、うつり方、抗菌薬の考え方、家での洗い方や覆い方、学校・保育園・プールの目安、受診を急ぐサインを、分かりやすく解説します。

その前に、日曜・祝日の発熱外来のご案内です。インフルエンザやコロナのPCR検査(ピーシーアール検査:ウイルスの遺伝子を増やして見つける検査)は、当日中に結果が分かります。

2026年10月4日から、日曜・祝日も発熱外来を行っています
10時〜15時(昼休みなし)。予約は不要で、当日チェックインで受け付けます。PCR検査は当日中に結果をお伝えします。日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。10月25日(日)は休診で、11月からは原則として毎週日曜日と祝日です。日曜・祝日の発熱外来のお知らせ

文責(この記事を書いた人)

蒲生 俊一(がもう しゅんいち)
仙台空港北クリニック 院長

地元、名取市立閖上小・中学校出身。東北大学医学部医学科を卒業後、仙台オープン病院、気仙沼市立病院、東北大学病院を経て、コロナ禍ただ中の2021年4月に仙台空港北クリニックを開院。「絶対に断らない発熱外来」をつらぬき通し、コロナ5類化までの2年間で2万名を優に超える発熱患者の診療にたずさわる。

所属学会・認定資格
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本呼吸器学会呼吸器専門医
日本アレルギー学会アレルギー専門医
日本抗加齢医学会専門医
医学博士(東北大学)

目次

【結論】とびひが心配なとき、まず何を見ればいい?

お子さんのとびひが心配なとき、まず次の3つを見てください。

  • 【治す】
    とびひは細菌による皮膚の感染症で、必要なときは抗菌薬(塗り薬・飲み薬)を医師の指示どおりに、早めに始めて最後まで使い切る
  • 【119番】
    意識がおかしい、けいれんしている、息が苦しい、ぐったりしているときは119番
  • 【受診】
    病巣が広がる、赤みが広がる、熱が出るときは、その日のうちに受診する

3つめの受診の線引きは、下の「受診を急ぐのはどんなとき?」の章にまとめました。

とびひとはどんな病気?

とびひは民間で言われる俗名で、皮膚科の正式な病名は伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)といい、細菌による皮膚の感染症です[1]。

原因となる菌は、主として黄色ブドウ球菌やA群溶血性レンサ球菌(溶連菌)です[1][3]。接触によってうつり、あせも・虫刺され・湿疹などをひっかいたり、転んでできた傷に細菌が入ったりして起こります[1]。鼻の入り口にはもともと細菌がいるため、鼻を触るくせがあると鼻の周囲から始まることもあります[1]。

潜伏期間は2〜10日で、長くなることもあります[3][4]。夏に多く、乳幼児に多い病気です[3][4]。

院長蒲生

あっという間に数が増えるのが「とびひ(飛び火)」の名前の由来です。早めの受診が広がりを防ぎます。

とびひにはどんなタイプがある?

とびひは、水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)と痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)の2つに大きく分けられます[1]。

タイプ主な原因菌見た目・特徴
水疱性膿痂疹主に黄色ブドウ球菌水ぶくれ(水疱)ができ、破れて皮膚がむける。乳幼児・小児に多く、初夏から真夏に多い[1]
痂皮性膿痂疹主にA群溶血性レンサ球菌(溶連菌)赤く腫れて厚いかさぶた(痂皮)ができる。炎症が強く痛みを伴う。季節にあまり関係なく、小児より成人に多い[1]

とびひの多くは水疱性です[1]。水疱性は、黄色ブドウ球菌がつくる毒素(表皮剥脱毒素)が皮膚を侵しておこります[1]。

痂皮性はアトピー性皮膚炎に合併することが多く、急速に発症します[1]。発熱、リンパ節の腫れ、のどの痛みなどの全身症状を伴うこともあります[1]。

院長蒲生

見た目である程度タイプは分かりますが、原因菌によって使う薬が変わります。自己判断せず、受診してください。

とびひはどうやってうつる?夏に増えるのはなぜ?

とびひは、患部に触れることでうつる接触感染です[3]。

  • 水ぶくれの中の液や、びらんからしみ出る液、かさぶたにも感染する力が残っています[1][3]
  • かいた手で別の場所を触ると、数日から10日後に、隣の皮膚や離れた皮膚に新しい病変ができます[5]
  • あせも・虫刺され・アトピー性皮膚炎をかいた傷は、細菌が入りやすい入口になります[5]
  • 夏に多い病気ですが、他の季節にも発生します[5]。水疱性は特に初夏から真夏に多いです[1]

かゆみが強いときは、抗ヒスタミン薬の内服でかきむしるのを抑え、病変が広がるのを防ぐこともあります[1]。

とびひの治療は?抗菌薬はどんなときに使う?

とびひはありふれた皮膚の感染症で、世界中で、ある時点に約1億6200万人の子どもが罹患(りかん:病気にかかること)していると推定されています[6]。細菌の感染症ですから、必要なときは抗菌薬(塗り薬・飲み薬)でしっかり治します[1][3]。

病巣が広がると、外用薬(塗り薬)だけでなく、内服や点滴による抗菌薬投与が必要になることがあります[3][4][5]。早めに受診して、広がる前に治療を始めましょう。

皮膚科学会のQ&Aでは、水疱性には抗菌薬の軟膏を塗り、全体をガーゼで覆って1日に1〜2回取り替えるとされています[1]。ごく軽い場合は外用だけで済みますが、通常は抗菌薬の内服を併用します[1]。溶連菌による場合は、ペニシリン系またはセフェム系の抗菌薬を使います[1]。

なかなか治らないときは、抗菌薬が効きにくい耐性菌の場合があります。前もって、できれば最初に細菌培養をして、原因菌と薬の効き方を調べることもあります[1]。保育所のガイドラインでも、原因菌の耐性菌(MRSA)が増えていることが指摘されています[5]。

治療の効果については、塗り薬の抗菌薬は何も塗らない場合(プラセボ)より治りやすいという結果があります(6研究・575人、リスク比2.24)[2]。限局したとびひでは、塗り薬は飲み薬と同等に効くとされています[2]。広範囲のとびひで飲み薬が優るかはまだ十分には分かっておらず、医師が状態を見て判断します[2]。

どの薬を、どれくらいの期間使うかは、原因菌や重症度によって医師が選びます。指示どおりに使い、症状が良くなっても最後まで使い切ってください。以前に処方されて余った薬を自己判断で使うのはやめましょう。

院長蒲生

「もう良さそう」と思っても、途中でやめるとぶり返すことがあります。出された分は最後まで使い切るのが基本です。

なお、消毒薬でとびひを治すことを支持する十分な根拠はないとされています[2]。まずは石けんを使って、やさしく洗うことが大切です。

家でのケアはどうすればいい?

家でのケアの基本は、患部を清潔にして、ガーゼなどで覆い、かきむしらないことです[1][5]。

  • 夏は入浴し、皮膚を清潔に保ちます[1]
  • 1日1回以上、全身をシャワーでよく洗います[5]
  • 石けんは泡立てて、患部をそっと丁寧に洗い、よくすすぐ[1][5]
  • 湯ぶねには入らず、シャワーにします[1]
  • 兄弟姉妹がいる場合は、ほかの子どものあとで入浴させます[1]
  • 入浴後は、軟膏を塗ってガーゼなどで保護します[1]
  • 爪は短く切り、皮膚をかきむしらないようにします[1][5]
  • 鼻をいじらないようにします[1]
  • タオルや寝具は共用せず、別々にします[5]

発熱などの全身症状がない限り、入浴させて大丈夫です[1]。ただし、びらんや水ぶくれからの浸出液(しんしゅつえき:患部からしみ出る液)が周りに付かないように、患部を覆ってください[1]。

学校・保育園・プールはどうする?

とびひは学校保健安全法で「第三種(その他の感染症)」として扱われ、出席停止の必要はない病気です[7][1]。

法律では、とびひの名前は施行規則に挙がっておらず、「その他の感染症」に含まれます[7]。日本学校保健会の解説では、「出席停止の必要はないが、炎症症状の強い場合や、化膿した部位が広い場合は、傷に直接触らないように指導する」とされています[3]。日本小児科学会の一覧でも、登校(園)基準は「制限はない」です[4]。

保育所のガイドラインでは、病変部を外用薬で処置し、浸出液がしみ出ないようにガーゼ等で覆ってあれば、通園が可能とされています[5]。病変が多発していたり広範囲の場合は、休ませる方がよいこともあります[1]。

場面基本の考え方
登園・登校出席停止の必要はない。病変部をガーゼなどで覆う[1][3][5]
プール・水遊びプールの水ではうつらないが、かいて悪化したりほかの子に触れたりするため、治るまで控える[1][5]
家庭内タオルや寝具は共用しない。患部を覆い、手洗いを徹底する[5]

プールについては、プールの水を介して感染することはないとされています[1][5]。しかし、患部をかくことで病変が悪化したり、ほかの人に触れてうつしたりするおそれがあるため、完全に治るまでプールや水泳は控えてください[1][5]。

受診を急ぐのはどんなとき?

病巣が広がる、赤みが広がる、熱が出るときは、早めに受診してください[1][3]。病巣が広がると、外用薬から内服や点滴による抗菌薬投与が必要になることがあります[3][4]。

その日のうちに受診

次のようなときは、様子を見すぎず、その日のうちに受診してください。

  • 病巣(患部)や赤みが広がっている
  • 発熱、リンパ節の腫れ、のどの痛みなど全身の症状がある[1]
  • 水ぶくれやかさぶたが広範囲に及んでいる[1]
  • 治療してもなかなか良くならない、くりかえす[1]

すぐ119番

次のどれか1つでもあれば、迷わず119番に電話してください。夜間・休日でも同じです。

  • 呼びかけに反応が弱い、意識がおかしい
  • 息が苦しそう、肩で息をしている
  • ぐったりしている、顔色が悪い
  • けいれんしている

夜間に判断に迷うときは、お住まいの地域の小児救急電話相談(#8000)や救急相談も利用できます。ただし、明らかに危ないサインがあるときは、相談をはさまず119番です。

まれに起きる重い合併症

通常のとびひは、病変のある部位だけの病気です[1]。ただし、まれに次のような全身の状態になることがあります[1]。

  • SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群):全身に皮膚の症状が広がる病気です。早期に発見して治療を始めれば、よく効く抗菌薬があり、重症にならずにすみます[1]
  • 菌が血液中に入り、高熱が出たり重い状態になったりすることがあります[1]
  • 溶連菌による場合は、治ったあとも数週間、尿の蛋白を調べてもらうことがあります[1]

いずれもまれですが、ぐったりしているときは119番です。

受診のときに伝えてほしいこと

  • いつから、どのあたりに発疹が出たか(発症日と広がりの経過)
  • かゆみや痛みの有無、触った感じ
  • 熱やのどの痛みなど全身の症状の有無
  • アトピー性皮膚炎やあせもなど、皮膚の状態
  • 周り(家庭・園・学校)で同じような皮膚の症状が出ている人がいるか

よくある質問(FAQ)

とびひは、しばらく様子を見ていてもいいですか?

とびひは細菌による感染症で、必要なときは抗菌薬で治します。放っておくと病巣が広がり、内服や点滴が必要になることがあります[3][4][5]。早めに受診して、医師に相談してください。

登園・登校はできますか?

出席停止の必要はありません。病変部を外用薬で処置して、ガーゼなどで覆ってあれば通園・通学が可能です[3][5]。ただし、病変が多発していたり広範囲のときは、休ませる方がよいこともあります[1]。

プールにはいつから入れますか?

プールの水を介しては感染しませんが、患部をかくと悪化したり、ほかの人に触れてうつしたりするおそれがあります。完全に治るまでプールや水泳は控えてください[1][5]。

お風呂に入ってもいいですか?

発熱などの全身症状がなければ入れます。湯ぶねには入らずシャワーにし、石けんを泡立てて患部をそっと洗ってください[1]。兄弟姉妹がいる場合は、ほかの子どものあとで入浴させるのがよいです[1]。

熱が出たらどうすればいいですか?

発熱などの全身症状があると、入浴や治療方針が変わることがあります。早めに受診してください[1]。呼びかけへの反応が弱い、けいれんしている、息が苦しそう、ぐったりしているときは119番です。

家族にうつさないためにどうすればいいですか?

タオルや寝具を共用せず、患部をガーゼなどで覆い、爪を短く切って手洗いを徹底します[1][5]。鼻をいじらないようにすることも大切です[1]。

まとめ【とびひは早めに治す、広がる前に受診を】

  • とびひは細菌による皮膚の感染症で、必要なときは抗菌薬(塗り薬・飲み薬)を医師の指示どおりに、早めに始めて最後まで使い切る
  • 意識がおかしい、けいれんしている、息が苦しい、ぐったりしているときは119番
  • 病巣が広がる、赤みが広がる、熱が出るときは、その日のうちに受診する
  • 家では、泡立てた石けんとシャワーで洗い、患部をガーゼで覆い、爪を短く切る
  • 登園・登校は出席停止の必要はない。病変を覆えば通えるが、プール・水泳は治るまで控える

とびひは、早めに気づいて正しく治せば、ほとんどは皮膚の一部だけで済む病気です[1]。お子さんの皮膚の変化に気づいたら、どうぞ早めに私達にご相談ください。医療は私達におまかせください。

以上

免責事項

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

参考文献

  1. 公益社団法人日本皮膚科学会. とびひ(Q1〜Q18). 皮膚科Q&A. 参照 2026年10月. https://www.dermatol.or.jp/qa/qa13/index.html
  2. Koning S, van der Sande R, Verhagen AP, van Suijlekom-Smit LW, Morris AD, Butler CC, et al. Interventions for impetigo. Cochrane Database Syst Rev. 2012 Jan;1(1):CD003261. doi:10.1002/14651858.CD003261.pub3 PMID: 22258953
  3. 公益財団法人日本学校保健会. 学校において予防すべき感染症の解説〈令和5年度改訂〉. 日本学校保健会ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.gakkohoken.jp/book/ebook/ebook_R050080/data/670/src/670.pdf
  4. 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会. 学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説 2025年4月改訂版. 日本小児科学会ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20250430_yobo_kansensho.pdf
  5. こども家庭庁. 保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版). こども家庭庁ウェブサイト. 参照 2026年10月. https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/c60bb9fc/20230720_policies_hoiku_25.pdf
  6. Gahlawat G, Tesfaye W, Bushell M, Abrha S, Peterson GM, Mathew C, et al. Emerging Treatment Strategies for Impetigo in Endemic and Nonendemic Settings: A Systematic Review. Clin Ther. 2021 Jun;43(6):986-1006. doi:10.1016/j.clinthera.2021.04.013 PMID: 34053699
  7. 文部省. 学校保健安全法施行規則(昭和三十三年文部省令第十八号). e-Gov法令検索. 参照 2026年10月. https://laws.e-gov.go.jp/law/333M50000080018

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