こんにちは。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。
朝晩が冷えてきて、かぜで咳が出る方が増える季節になりました。ドラッグストアの咳止めの棚の前で、どれを選べばいいのか迷った経験のある方は多いと思います。
「痰がからむ咳と乾いた咳、同じ咳止めでいいんですか?」
というのは、とても大事な疑問です。市販の咳止めには、咳をしずめる成分、痰を出しやすくする成分など、働きの違う成分がまざっています[1]。
結論から申し上げると、市販の咳止めは「咳のタイプで成分を選び、使ってはいけない人を先に確かめる」のが基本です。また2026年5月からは、乱用を防ぐため、一部の成分を含む市販薬の売り方が変わりました[2]。
本記事では、市販の咳止め・去痰薬の成分の違いと、痰がからむ咳・乾いた咳での選び方を解説します。あわせて、コデイン類の年齢制限と乱用の問題、眠気と運転、持病のある方の注意、受診の目安を、呼吸器・アレルギー専門医の立場からざっくり整理します。
市販の咳止めに入っている成分は?4つの種類と働き
市販の咳止めに入っている成分は、大きく「咳をしずめる」「痰を出しやすくする」「気管支を広げる」「アレルギーをおさえる」の4種類です[1]。1つの製品に、いくつかの種類が組み合わされていることもよくあります。
| 種類 | 主な成分(一般名) | 働き |
|---|---|---|
| 中枢性鎮咳薬(ちゅうすうせいちんがいやく) | ジヒドロコデイン、コデイン、デキストロメトルファン、ノスカピン | 脳の咳中枢(せきちゅうすう:咳の反射を起こす脳の部分)に働いて、咳そのものをしずめる |
| 去痰薬(きょたんやく) | L-カルボシステイン、ブロムヘキシン、アンブロキソール、グアイフェネシン | 痰をうすめたり、気道(きどう:のどから肺までの空気の通り道)の表面を整えたりして、痰を出しやすくする |
| 気管支拡張成分 | dl-メチルエフェドリン | 気管支(きかんし:肺の中で枝分かれした空気の通り道)を広げて、咳をやわらげる |
| 抗ヒスタミン成分 | クロルフェニラミン、d-クロルフェニラミン | アレルギー反応をおさえて、アレルギー性の咳をやわらげる |
中枢性鎮咳薬は、咳の反射のスイッチがある脳の部分に働いて、咳を出にくくする薬です[1]。このうちコデインとジヒドロコデインはまとめて「コデイン類」と呼ばれ、注意点が多い成分です[3]。
去痰薬のうち、L-カルボシステインは痰のねばりを整え、線毛(せんもう:気道の表面で痰を外へ運ぶ細かい毛)の働きを助けます[1]。アンブロキソールも気道の分泌をうながして痰を出しやすくする去痰成分で[3]、市販のかぜ薬に配合されている製品もあります[1]。
こうした成分名は、箱や説明文書の「成分」の欄に書かれています。説明文書(添付文書:てんぷぶんしょ)は、薬の使い方や注意を公式にまとめた文書のことです。
院長蒲生商品名より「成分の欄」を見るのが近道です。成分名が分かれば、どんな働きの薬かがざっくりつかめます。
痰がからむ咳に強い咳止めを使うと、痰が出にくくなる?
痰を外へ出すための咳まで強くおさえると、痰が気道にたまって、出にくくなるおそれがあります。
咳は、気道にたまった痰や異物を外へ押し出そうとして起こる反射です[4]。厚生労働省の資料でも、咳はむやみにおさえこむべきではない、と説明されています[4]。コデインの医療用の添付文書では、ぜんそく発作中の人には「気道分泌を妨げる」ため使わないと定められています[3]。
抗ヒスタミン成分も、気道の分泌をおさえて痰を出にくくすることがあるとされています[4]。このため、痰がからむ咳では、咳をしずめる成分だけに頼らず、去痰成分を含む薬を候補にすると考えると分かりやすいでしょう。
L-カルボシステインとブロムヘキシンを配合した市販薬の説明文書には、飲むと一時的に痰の量が増えることがある、とも書かれています[1]。痰が出やすくなったサインなので、慌てなくてOKです。



痰がからむときは、「咳を止める」より「痰を出しやすくする」と考えます。ここを押さえるだけで、薬選びがぐっと楽になります。
乾いた咳と痰がからむ咳、市販の咳止めの選び方は?
まず、目の前の咳が乾いた咳か、痰がからむ咳かを見分けます。そのうえで、成分の欄で確かめるポイントを変えるのが基本です。
| 咳のタイプ | 成分の欄で確かめたいこと | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 痰がからむ湿った咳 | 去痰成分(L-カルボシステイン、ブロムヘキシン、アンブロキソールなど)が入っているか | 咳をしずめる成分や抗ヒスタミン成分で、痰を出す咳までおさえすぎない |
| 乾いた咳で眠れない・つらい | 咳をしずめる成分(デキストロメトルファンなど)が入っているか | 眠気が出る成分が多い。運転や年齢の欄を確かめる |
| くしゃみ・鼻水も一緒に出る | 抗ヒスタミン成分が入っているか | 眠気が出やすい。ほかの鼻炎薬・かぜ薬と重ねない |
ただし、市販の咳止めの効き目について、研究の結果ははっきりしていません。かぜなどの急な咳に市販の咳止めを使った29件の試験、4,835人を調べた研究があります[5]。対象は大人3,799人と子ども1,036人で、これは系統的レビュー(けいとうてきレビュー:同じテーマの研究を決まった手順で集めて評価した研究)です[5]。
このレビューに集められた試験は、すべて偽薬(ぎやく/プラセボ:有効成分の入っていない見た目が同じ薬)と比べたものでした[5]。子どもを対象にした試験では、咳をしずめる成分や抗ヒスタミン成分が、偽薬より効くとは言えなかったとされています[5]。また、国によって手に入る薬や飲む量・期間が大きく違うことも指摘されています[5]。
このレビューでは、市販の咳止めが急な咳に効くとも効かないとも言える、しっかりした根拠はないと結論づけています[5]。副作用は、抗ヒスタミン成分やデキストロメトルファンを含む薬を飲んだ人で多く報告されていました[5]。
つまり市販の咳止めは、つらい咳を一時的にやわらげる助けとして、短い期間だけ上手に使うものと考えてください。痰のない乾いた咳が続くときは、ぜんそくや間質性肺炎(かんしつせいはいえん:肺の壁に炎症が起きて硬くなる病気)の始まり、薬の副作用のこともあります[4]。こうした咳は、原因を確かめて、それに合わせた治療で楽にすることができます。
- 咳のタイプ(乾いた咳か、痰がからむか)と、痰の色
- 飲む人の年齢(子どもか、高齢か)
- 持病(ぜんそく、緑内障、前立腺肥大、心臓病、高血圧、糖尿病など)と、妊娠・授乳中かどうか
- 車の運転や、機械を使う仕事をするかどうか
- いま飲んでいる薬(かぜ薬、鼻炎薬、アレルギーの薬、心の病気の薬など)
市販薬を買うときは、上のことを薬剤師か登録販売者に伝えると、合った成分を選んでもらいやすくなります。



「どれが効きますか」より「こんな咳です」と伝えるほうが、ぴったりの薬にたどり着きやすいものです。
コデイン類の咳止めは12歳未満に使える?年齢制限の理由
コデイン類(コデイン・ジヒドロコデイン)を含む咳止めは、12歳未満の子どもには使えません[1][3]。市販薬の説明文書でも、「してはいけないこと」の欄に「12歳未満の小児」と書かれています[1]。
理由は、コデイン類に、呼吸が浅く弱くなる呼吸抑制(こきゅうよくせい)という重い副作用があるためです[3]。医療用の添付文書には、海外で12歳未満の子どもに死亡を含む重い呼吸抑制が起こりやすいという報告がある、と書かれています[3]。
日本では国の専門家の会議で検討され、呼吸抑制のリスクを減らす予防的な措置として、準備期間をおいて制限が進められました[6]。そして2019年7月、医療用では12歳未満が禁忌(きんき:使ってはいけないこと)になりました[6]。市販薬でも同じときに、「してはいけないこと」に12歳未満の小児が加えられています[6]。
- 12歳未満の子どもには使わない(市販薬の「してはいけないこと」)[1]
- 18歳未満で、肥満、睡眠時無呼吸症候群、重い肺の病気がある人には使わない(医療用の添付文書)[3]
- 授乳中は飲まないか、飲むなら授乳を避ける。母乳を通じて赤ちゃんに影響が出た報告がある[1][3]
- 高齢の方は呼吸抑制が起こりやすいので、飲む前に相談する[1][3]
なお、デキストロメトルファンを1つだけ含む市販薬では、8歳未満は飲まないと定められている製品もあります[1]。飲める年齢は製品ごとに違うので、子どもに使う前には必ず「用法・用量」の年齢の欄を確かめてください。大人用の咳止めを、量を減らして子どもに飲ませるのはやめましょう。
子どもの咳で受診を迷うときは、子どもの咳の受診目安の記事もご覧ください。



子どもの咳が続くと、夜も眠れず本当に心配になると思います。年齢の欄をひと目確かめる習慣が、いちばんの安全策です。
市販の咳止めの乱用(オーバードーズ)はなぜ問題?
市販の咳止めの乱用が問題なのは、急性中毒や薬物依存につながるおそれがあるためです[4]。オーバードーズとは、決められた量を大きく超えて薬を飲むことです。
コデイン類は、続けて使うと薬物依存(やめたくてもやめられない状態)を起こすことがあります[3]。このため市販薬の説明文書にも、「過量服用・長期連用しないこと」と書かれています[1]。
大量に飲んだり、お酒と一緒に飲んだりして、急性中毒から転倒や昏睡(こんすい:呼びかけても目を覚まさない状態)、死亡にいたった例も報告されています[4]。特に若い人は、身近で手に入る薬を興味本位で乱用することがあり、注意が必要とされています[4]。
こうした状況を受けて、コデイン、ジヒドロコデイン、デキストロメトルファン、メチルエフェドリンなど8成分を含む飲み薬が、2026年5月1日から「指定濫用防止医薬品」になりました[2]。指定濫用防止医薬品とは、乱用のおそれがあるため、国が販売の方法を定めた医薬品のことです。これらの薬を買うときは、年齢や、ほかのお店での購入状況などを確認されます[4]。18歳未満の人が買えるのは、決められた日数分以内の小さな包装1つだけです[4]。
デキストロメトルファンは、うつ病などに使う一部の薬と一緒に飲むと、セロトニン症候群(脳の中のセロトニンという物質の働きが強くなりすぎて起こる副作用)を起こすことがあります[3]。心の病気の薬を飲んでいる方は、咳止めを買う前に必ず薬剤師に伝えてください。
ご家族の薬の減り方が早い、同じ咳止めを何箱も持っている、といった様子に気づいたら、責めずに話を聞いてあげてください。薬物依存は、自分の努力だけではやめるのが難しく、医療機関での治療が必要な病気とされています[4]。ひとりで抱え込まず、医療機関に相談してください。



薬を多く飲んでしまう背景には、つらい気持ちが隠れていることもあります。責めるより、まず「どうしたの」と声をかけてみてください。
咳止めの眠気と車の運転はどう考える?
咳止めの多くは、説明文書に「服用後、乗物または機械類の運転操作をしないこと」と書かれています[1]。コデイン類やデキストロメトルファン、抗ヒスタミン成分を含む製品は、眠気が出ることがあるためです[1][3]。
運転の注意は、咳止め成分だけの製品にも、いろいろな成分を組み合わせた製品にも書かれています[1]。一方、L-カルボシステインとブロムヘキシンだけを含む去痰薬には、運転の注意が書かれていない製品もあります[1]。
- 運転する日は、説明文書の「してはいけないこと」の欄を先に読む
- かぜ薬、鼻炎薬、乗物酔い薬、アレルギーの薬と一緒に飲まない(成分が重なり、眠気が強くなる)[1]
- 病院で薬をもらっているときは、お薬手帳を見せて市販薬との重なりを確かめてもらう
- 飲んだあと、ぼんやりする・ふらつくときは運転しない
アレルギーの飲み薬と眠気の関係は、抗ヒスタミン成分の性質によるものです。咳止めでも同じ成分が入っていれば同じ注意が必要、と覚えておくと分かりやすいと思います。



通勤や送り迎えで毎日運転する方は、「運転します」とひとこと添えて薬を選んでもらうと安心です。
ぜんそく・緑内障・前立腺肥大の人は市販の咳止めを使ってもいい?
ぜんそく・緑内障・前立腺肥大などの持病がある人は、市販の咳止めを飲む前に、医師か薬剤師・登録販売者に相談してください[1]。説明文書の「相談すること」の欄に、こうした持病が並んでいるためです[1]。
| 持病・状態 | 説明文書・添付文書に書かれていること |
|---|---|
| ぜんそく・呼吸の病気 | コデイン類を含む市販薬では「呼吸機能障害」の人は相談[1]。医療用のコデインはぜんそく発作中は禁忌[3] |
| 緑内障 | コデイン類・気管支を広げる成分・抗ヒスタミン成分を組み合わせた咳止めで、相談が必要な病気として記載[1] |
| 前立腺肥大・排尿困難 | 同じ組み合わせの咳止めで「排尿困難」の人は相談[1]。コデインは排尿障害を悪くすることがある[3] |
| 心臓病・高血圧・糖尿病・甲状腺の病気 | 気管支を広げる成分などを含む咳止めで、相談が必要な病気として記載[1] |
| 睡眠時無呼吸症候群・肥満 | コデイン類を含む咳止めで、相談が必要な状態として記載[1] |
| 高齢の方・妊娠中の方 | 飲む前に相談する[1] |
特にぜんそくの方は、咳が増えたときに市販の咳止めでおさえこまず、ぜんそくの治療を見直すことが大切です。ぜんそくは、市販の咳止めで一時的におさえても発作がくり返しやすく、早めに医療機関で診療を受けることが必要とされています[4]。咳やゼーゼーが増えてきたら、その日のうちに相談しましょう。ぜんそくや咳喘息(せきぜんそく:咳だけが続くぜんそくの仲間)の咳は、気道の炎症をおさえる吸入薬などの治療で、しっかり楽にすることができます。
子どものぜんそくについては、子どもの喘息とかぜの記事でくわしく解説しています。



持病の薬と市販薬の組み合わせは、自分では判断しにくいものです。お薬手帳を持って薬局で相談するのがいちばん確実です。
市販の咳止めは何回飲んで良くならなければ受診?
市販の咳止めは、5〜6回飲んでも良くならなければ、飲むのをやめて医師・薬剤師・登録販売者に相談してください[1]。これは、咳止めや去痰薬の説明文書に共通して書かれている目安です[1]。
日本呼吸器学会は、2週間以上咳が続く場合や血痰(けったん:血のまじった痰)がある場合は、胸部エックス線検査を受けるよう呼びかけています[7]。受診の急ぎ具合は、次の3段階で考えてください。
今すぐ119番
次のどれか1つでもあれば、夜間・休日でも待たずに119番に連絡してください[8]。
- 急な息切れ、息が苦しい
- 胸の真ん中が締めつけられる・圧迫されるような痛みが続く(心臓の病気のこともあります)
- 顔色が明らかに悪い
- 意識がない、もうろうとしている、呼びかけへの反応がおかしい
- 咳と一緒に、まとまった量の血を吐いた
- 薬を飲んだ直後に、じんましん、のどのかゆみ、声のかすれとともに、息苦しさが出た
最後の項目は、アナフィラキシー(急に起こる強いアレルギー反応)のおそれがあり、説明文書でも直ちに医師の診療を受けるよう書かれています[1]。119番を呼ぶか迷ったときは、お住まいの地域で使える場合、救急相談窓口(#7119)に相談できます[8]。
その日のうちに受診・相談
- 咳止めを飲んだあとに、発疹・赤み・かゆみ、吐き気、めまいが出た(息苦しさはない)。すぐに飲むのをやめる[1]
- ぜんそくの持病があり、咳やゼーゼーが増えている(息苦しさが強ければ119番)[4]
飲んだあとの発疹などは副作用の可能性があるため、説明文書では直ちに飲むのをやめて相談するよう書かれています[1]。相談するときは、その薬の箱か説明文書を持っていきましょう。
数日以内に外来を受診
- 血痰が出た(少量でも、すじ状でも)[4][7]
- 黄色や緑色の痰が出る[4]
- 咳が2週間以上続いている[7]
- 痰のない乾いた咳が続いている[4]
- 市販の咳止めを5〜6回飲んでも良くならない[1]
厚生労働省の資料でも、すじ状の血がまじる痰や、黄色・緑色の痰が出るときは、市販薬で対処せず早めに受診するよう書かれています[4]。受診して、胸部エックス線などで原因を確かめましょう。咳が長引くときの病気は、百日咳の記事やマイコプラズマの記事も参考にしてください。



「市販薬でなんとかしよう」と頑張りすぎず、5〜6回で区切りをつけるのがコツです。咳の原因が分かれば、治療で楽にできます。
当院の受診案内【咳・痰の相談】
咳・痰で当院の受診を考えるときは、下の診療時間をご確認ください。長引く咳や痰、市販薬を飲んでも良くならない咳は、診療時間内にご相談ください。院長は呼吸器・アレルギー専門医です。
| 曜日 | 時間 |
|---|---|
| 月・火・水・金・土 | 9:00〜12:00/14:00〜18:00 |
| 日曜・祝日(2026年10月4日から) | 10:00〜15:00(昼休みなし・発熱外来のみ) |
| 木曜 | 休診 |
日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来は行っていません。10月25日(日)は休診で、11月からは原則として毎週日曜日と祝日に発熱外来を行います。熱を伴う咳のときは、予約不要・当日チェックインの発熱外来をご利用ください。くわしくは日曜・祝日の発熱外来のお知らせと発熱外来の事前問診・当日チェックインについてをご覧ください。
受診のときは、飲んだ市販薬の箱か成分が分かる写真、お薬手帳をお持ちください。飲み始めた日と、最後に飲んだ時刻も教えていただけると助かります。
よくある質問(FAQ)
- 痰がからむ咳に、咳止めを飲んでもいいですか?
-
痰がからむ咳では、痰を出すための咳までおさえないよう、去痰成分を含む薬を候補にすると考えましょう。コデイン類や抗ヒスタミン成分は、痰を出しにくくすることがあります。咳のタイプを薬剤師や登録販売者に伝えて選んでもらってください。
- 子どもに大人用の咳止めを、量を減らして飲ませてもいいですか?
-
やめてください。コデイン類を含む咳止めは12歳未満には使えず、ほかの成分でも飲める年齢が製品ごとに決まっています。必ず「用法・用量」の年齢の欄を確かめ、迷うときは受診するか、薬剤師に相談してください。
- 咳止めを飲んだあと、車の運転はできますか?
-
多くの咳止めの説明文書には、服用後に乗物や機械類の運転操作をしないよう書かれています。運転する日は「してはいけないこと」の欄を先に読み、運転の注意がある薬を飲んだら運転を控えてください。
- 市販の咳止めは、何日くらい飲み続けてもいいですか?
-
説明文書では、5〜6回飲んでも良くならなければ飲むのをやめて相談するよう定められています。コデイン類を含む咳止めは「長期連用しないこと」とされています。咳が2週間以上続くときや血痰があるときは、数日以内に外来を受診してください。
- かぜ薬と咳止めを一緒に飲んでもいいですか?
-
自己判断で一緒に飲まないでください。多くの咳止めの説明文書には、ほかの咳止めやかぜ薬、鼻炎薬などと併用しないよう書かれています。同じ働きの成分が重なり、眠気などの副作用が強くなるおそれがあります。
まとめ【市販の咳止めは「咳のタイプ」と「使ってはいけない人」で選ぶ】
- 市販の咳止めには、咳をしずめる・痰を出しやすくする・気管支を広げる・アレルギーをおさえる成分がある
- 痰がからむ咳では、咳をしずめる成分だけに頼らず、去痰成分を含む薬を候補にする
- コデイン類(コデイン・ジヒドロコデイン)は12歳未満には使えない。授乳中も避ける
- 2026年5月1日から、咳止め成分を含む一部の市販薬は「指定濫用防止医薬品」になり、販売時に年齢などを確認される
- 多くの咳止めは眠気が出るので、飲んだら運転しない。かぜ薬・鼻炎薬と重ねない
- ぜんそく・緑内障・前立腺肥大・高齢・妊娠中の人は、飲む前に相談する
- 急な息切れ・胸の締めつけられる痛み・意識の異常・まとまった量の血を吐いた・薬を飲んだ直後の息苦しさは、今すぐ119番
- 飲んだあとの発疹やかゆみ(息苦しさはない)、ぜんそくの悪化は、その日のうちに受診・相談
- 5〜6回で良くならない、咳が2週間以上続く、血痰や黄色・緑色の痰があるときは、数日以内に外来を受診
つらい咳は、原因に合った治療でしっかり楽にすることができます。市販薬は上手に短く使い、長引くときは早めに相談してください。医療は私達におまかせください。
以上
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
参考文献
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA). 一般用医薬品・要指導医薬品 情報検索(鎮咳去痰薬の添付文書:ジヒドロコデイン配合剤、デキストロメトルファン単剤、L-カルボシステイン・ブロムヘキシン配合剤ほか). PMDAウェブサイト. 参照 2026年10月22日. https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/otcSearch/
- 厚生労働省医薬局長. 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第三十六条の十一第一項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する医薬品(告示)の適用について(医薬発0213第1号). 厚生労働省. 2026. https://www.mhlw.go.jp/content/001654675.pdf
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA). 医療用医薬品 情報検索(コデインリン酸塩散1%、メジコン錠15mg、アンブロキソール塩酸塩内用液0.3%の電子添文). PMDAウェブサイト. 参照 2026年10月22日. https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
- 厚生労働省. 試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月一部改訂). 厚生労働省. 2026. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082537.html
- Smith SM, Schroeder K, Fahey T. Over-the-counter (OTC) medications for acute cough in children and adults in community settings. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2014. doi:10.1002/14651858.CD001831.pub5 PMID: 25420096
- 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長. コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩又はトラマドール塩酸塩を含む医薬品の「使用上の注意」改訂の周知について(依頼)(薬生安発0709第11号). 厚生労働省. 2019. https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000527209.pdf
- 日本呼吸器学会. 呼吸器の病気 A-07 肺結核. 日本呼吸器学会ウェブサイト. 参照 2026年10月22日. https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/a/a-07.html
- 総務省消防庁. 救急車利用リーフレット(おとな). 総務省消防庁ウェブサイト. 参照 2026年10月22日. https://www.fdma.go.jp/publication/portal/post9.html
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