お急ぎの方へ
- 続く期間には個人差があるため、日常生活に困ったら、かかりつけ医や内科へ相談
- 急な息切れ・強い胸痛・意識の異常は、後遺症と考えて待たず119番
- 咳や息切れ、だるさは、症状に合わせて心臓・肺などの病気も確認
こんばんは。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。
冬に向けて仕事や家の用事が増える時期です。コロナの熱は下がったのに、咳が残る、階段がつらい、以前のように動けないことがあります。予定どおりの生活に戻れず、不安になる方もいらっしゃると思います。
結論から申し上げると、コロナのあとの不調は、長引く症状を和らげながら、ほかの病気がないか確かめることが大切です。気合いで元に戻そうと、無理を重ねる必要はありません。
本記事では、コロナ後遺症の続く期間、受診と検査の目安、咳・息切れ・だるさへの対応を解説します。味覚(みかく:味を感じる働き)や嗅覚(きゅうかく:においを感じる働き)の変化も扱います。無理をしない回復の進め方も、ざっくり整理します。
コロナ後遺症とは?咳やだるさだけですか?
感染後に続く、または新たに現れる不調は、咳やだるさ以外の症状も含みます。医学的には罹患後症状(りかんごしょうじょう:感染したあとの長引く不調)と呼ばれます[1][2]。
咳や息切れ、疲労感に加えて、においや味の変化、眠りにくさ、集中しづらさなどが起こります。症状がよくなったり悪くなったりすることもあります[2][3]。
| 困りごと | 診察で伝えたい具体例 |
|---|---|
| 咳・息切れ | 会話中に咳が出る/以前は平気だった階段で休む |
| だるさ | 買い物のあとに横になる/家事をした翌日につらくなる |
| 味覚・嗅覚の変化 | 食事の風味がしない/いつものにおいが不快に感じる |
| 集中・睡眠の問題 | 文章を読み続けられない/眠っても休まった感じがしない |
感染時に軽症だった方にも、長引く不調は起こります[2][3]。検査結果に異常が出ない場合もあるため、生活のどこで困るかを伝えることが役立ちます[2]。
院長蒲生「だるい」だけでも大事な情報です。「買い物のあとに横になる」と添えると、困りごとが具体的に伝わります。
コロナ後遺症はいつまで続く?受診は待つべき?
回復までの期間は人によって異なり、数か月で改善する方も、年単位で症状が残る方もいます[2][4]。生活に支障があるなら、定義の日数が過ぎるまで受診を待つ必要はありません。
厚生労働省(厚労省)が紹介する世界保健機関の定義では、通常は発症から3か月の時点で症状があり、少なくとも2か月続きます[1]。ほかの病気で説明できないことも条件です。これは病状を整理する定義で、受診を控える期限ではありません。
回復の研究は「誰を調べた数字か」が大事です
2023年発表のスイス・チューリヒ州の追跡(同じ人の経過を継続して調べる方法)による研究です。感染前にワクチンを受けていなかった感染者の成人1,106人を調べました[4]。
「完全には回復していない」と答えた割合は、感染6か月後22.9%、12か月後18.5%、24か月後17.2%でした[4]。
6か月後の値の95%信頼区間(しんらいくかん:推定の不確かさを示す幅)は20.4〜25.6%でした[4]。
時間とともに回復する方が増える一方、長く支援が必要な方もいる、という結果です。この数字は本人の回答に基づき、現在の日本の感染者全体にそのまま当てはめられません。自分の回復期限を決める数字にも使わないでください。
まずはかかりつけ医や内科に相談し、咳・息切れが中心なら呼吸器内科も相談先になります。受診後も改善しない、あるいは新しい症状が加わるときは再診し、必要な専門科につないでもらいましょう[1][2]。



昨日できたことが今日はつらい、という波もあります。周りの回復の速さと比べず、自分の生活の変化を目安にしましょう。
コロナ後遺症と思っていても119番が必要な症状は?
急な息切れや強い胸痛、意識の異常は119番が必要な症状です[5]。いつもの不調として待たず、夜間・休日でも迷わず119番へ連絡してください。
- 突然の息切れや呼吸困難:急に息が苦しくなった
- 突然の強い胸・背中の痛み:胸の圧迫感が続く、冷や汗を伴う
- 意識の異常:呼びかけに返事がない、もうろうとしている
消防庁が示す救急のサインをもとにしています[5]。胸の痛みでは、心筋梗塞(しんきんこうそく:心臓の血管が詰まる病気)など、心臓の病気も考えます。肺の血管が詰まる病気も含め、医療機関で急いで判断する必要があります[2]。
それに当てはまらなくても、以前より息切れが増えた、胸の痛みが新しく出た場合は、その時点で医療機関に連絡してください。救急車を呼ぶか判断に迷うときは、宮城県のおとな救急電話相談「#7119」に相談できます[5]。



「前からある不調」と「急に変わった症状」は分けて考えることが大切です。急な変化まで後遺症のせいにしないでおきましょう。
コロナ後遺症の検査では、何を確かめますか?
症状の原因と、ほかの治療が必要な病気を確かめます。後遺症を一度の採血で判定するのではなく、経過と診察をもとに必要な検査を選びます[2]。
| 主な症状 | 確かめる病気の例 | 医療機関で検討する検査の例 |
|---|---|---|
| 咳・息切れ | 肺炎、ぜんそく、心臓の働きの低下など | 胸のレントゲン、血液中の酸素の測定、呼吸機能検査(こきゅうきのうけんさ:息を吐く力や量を調べる検査) |
| 胸痛・動悸(どうき:心臓の鼓動を強く、速く感じること) | 心臓や肺の血管の病気など | 心電図、症状に応じた血液検査や画像検査 |
| だるさ | 貧血(ひんけつ:血液が酸素を運ぶ力の低下)、甲状腺(こうじょうせん:代謝を調整する臓器)の病気など | 血液検査、睡眠や服薬の確認 |
| 味覚・嗅覚の変化 | 鼻の病気、栄養の不足、薬の影響など | 鼻や口の診察、必要に応じて味やにおいの検査 |
表は厚労省の手引きに基づく一般的な例です[2]。全員にすべての検査をするという意味ではありません。検査の種類と実施先は診察で決まり、必要なら専門の医療機関で詳しく調べます。
検査が正常でも、つらさを「気のせい」で片付けないことが大切です。一方で、前の検査が正常でも、新しい症状や悪化があれば見直しが必要です[2]。



検査の目的は、つらさに点数をつけることではありません。治療につながる原因がないかを確かめるためのものです。
コロナ後遺症の咳・息切れは治療できますか?
原因に合った治療と生活の調整で、症状を和らげることを目指します。ぜんそくなどが見つかった場合は、その病気の治療も大切です[2]。
医療機関では、咳を抑える薬や痰を出しやすくする薬などを検討し、効果のない薬を漫然と続けないようにします[2]。ぜんそくなどが見つかれば、吸入薬(息と一緒に吸い込んで使う薬)など、その病気の治療薬を使います。以前の薬や他人の吸入薬を流用せず、処方された使い方を確認してください。
息切れがある方は、まず心臓や肺の状態を確認します。運動で体力を戻すか、休息を優先するかは、活動のあとに悪化するかどうかも含めて判断します。自己判断で息が上がる運動を続けないようにしましょう[2][3]。
夜の咳で眠れない、着替えや入浴で息切れするなど、具体的な困りごとを伝えてください。前回の薬で何が楽になり、何が残ったかも、治療を調整する手がかりになります。



「眠れるようになったけれど、階段はまだつらい」という伝え方もできます。楽になった点と残った点を分けると、経過が伝わりやすくなります。
コロナ後遺症のだるさには、どんな休み方がよい?
悪化を招く活動量を避け、休息を先に組み込む休み方が役立ちます。家事や仕事だけでなく、集中する作業の負担にも目を向けましょう[2][3]。
労作後増悪(ろうさごぞうあく:体や頭を使ったあとに症状が強くなること)が起こる方もいます。その場では平気でも、あとからつらくなる場合があるため、活動した日だけでなく翌日以降の体調も記録します[2][3]。
疲れ切ってから休むより、疲れ切る前に区切るのがコツです。体調の変化を見ながら、活動と休息の配分を調整してみましょう。
- 家事をまとめて終わらせず、作業を分けて間に休息を入れる
- 立ち続ける作業は、座ってできる形に変える
- 調子のよい日に予定を詰め込まず、翌日以降の体調も確かめる
- 悪化したら活動量を減らし、元の量に急いで戻さず主治医と調整する
労作後増悪がある間は、歩数や運動時間を機械的に増やす方法は避け、症状が落ち着く範囲を探します。回復の状況に応じて、医療者と相談しながら無理のない活動へ戻していきましょう[2][3]。



休む予定も、予定の一つです。家事を小分けにして、できた量より「あとでつらくならなかったか」を見てみましょう。
コロナ後遺症で味やにおいが変わったら?
耳鼻咽喉科(じびいんこうか)などで原因と対応を相談します。食事への影響も伝えてください。鼻の病気や薬、栄養の不足などが関係する場合もあります[2]。
嗅覚が弱ると、味覚だけの問題と思っていても、食べ物の風味が分かりにくくなります。いつものにおいが別の不快なにおいに感じられることもあります[2]。
厚労省の手引きでは、嗅覚の異常が発症後1か月以上続く場合、耳鼻咽喉科への紹介が目安です[2]。食べられない、体重が減る場合は、その期間を待たずに相談してください。
においを頼りに食品の傷みやガス漏れを判断しないようにしましょう。食品は期限や保存状態を確認し、火災・ガスの警報器も点検します。食事は食べやすい温度や食材を試し、塩や砂糖を増やしすぎない工夫をします。
治療は原因に応じて選びます。サプリメントを自己判断で大量に飲まず、鼻や口の状態に合わせた対応を専門医と相談しましょう。食べられるものを確保することも、大切な回復支援です。



「味がしない」と「においが違ってつらい」は、どちらも伝えてOKです。食べやすい温度や食材を探すことも助けになります。
コロナ後遺症から仕事や家事へ戻るには?
症状と作業の負担に合わせて、時間と内容を調整します。一律の復帰日を決めず、主治医や職場と相談して進めましょう[2]。
短時間勤務、在宅勤務、休憩の確保、重い物を持つ作業の変更などが考えられます。通勤だけで疲れ切る場合や、集中力が必要な業務がつらい場合も、その内容を具体的に伝えてください[2]。
受診時は、ここをメモしておけばOKです
- 感染した時期と、咳・息切れ・だるさなどが始まった時期
- よくなっている点、悪くなっている点、新しく加わった症状
- 活動した内容と、その日・翌日以降の体調の変化
- できなくなった家事や仕事、睡眠と食事の状況
- 持病、服用中の薬、すでに受けた検査と治療
ご家族も「休めば戻るはず」と急がせず、負担の大きい家事を分担してください。私達医療者には、症状と暮らしの両方を伝えていただければと思います。



復帰は「全部できるか、全部休むか」だけではありません。時間と作業を分けて相談する方法があります。
当院への受診案内【コロナ後遺症の相談先】
長引く不調の相談であれば、一般外来の診療日をご確認のうえお越しください。仙台空港北クリニックの院長、蒲生俊一は、日本呼吸器学会 呼吸器専門医・日本アレルギー学会 アレルギー専門医です。
| 曜日 | 時間 |
|---|---|
| 月・火・水・金・土(祝日を除く) | 9:00〜12:00/14:00〜18:00 |
| 日曜・祝日(2026年10月4日から・診療日はカレンダー参照) | 10:00〜15:00(昼休みなし・発熱外来のみ) |
| 木曜 | 休診 |
一般外来の診療日は祝日を除く月・火・水・金・土で、木曜・日曜・祝日は一般外来休診です。日曜・祝日は発熱外来のみとなり、長引く不調の一般外来とは異なります。
2026年10月4日から、日曜・祝日に発熱外来のみ10:00〜15:00で診療しています。診療日と休診日はカレンダーでご確認ください。当日チェックイン制で、点滴は行いません。詳しくは日曜・祝日の発熱外来のお知らせと当日チェックインの案内をご覧ください。




お薬手帳、過去の検査結果、症状の経過が分かるメモをお持ちください。救急のサインがあるときは当院の診療開始を待たず、119番へ連絡してください。
コロナ後遺症のよくある質問
受診の迷いや生活上の疑問も、コロナ後遺症を診てもらう際に相談してよい内容です。
- コロナ後遺症か分からなくても受診できますか?
-
はい。診断名が分かってから受診する必要はありません。かかりつけ医や内科に、感染した時期と今困っている症状を伝えてください。日常生活に支障があれば、定義の日数まで待たずに相談しましょう。
- 検査が正常なら、だるさは気のせいですか?
-
検査が正常でも、つらい症状が続くことはあります。睡眠、仕事や家事の負担、活動後の変化も含めて相談してください。症状が変わったり悪化したりする場合は、原因の見直しも大切です。
- 体力をつけるため、頑張って運動したほうがよいですか?
-
活動のあとに症状が悪化する方は、無理な運動で調子を崩すことがあります。先に休息と活動量を調整し、心臓や肺の状態も確かめましょう。運動の再開は、その日だけでなく翌日以降の体調を見ながら医療者と相談します。
- 咳が残っていたら、人にコロナをうつしますか?
-
厚労省のQ&Aでは、一般に発症2日前から発症後7〜10日がウイルスを出す期間とされています[1]。その後に続く後遺症の咳で、人にうつすことはないとされています[1]。ただしコロナに再び感染することはあり、熱やのどの痛みが新たに出たときは、後遺症と決めつけず医療機関に連絡してください[2]。
- 味やにおいが戻らないときは、何科に相談しますか?
-
耳鼻咽喉科が相談先になります。鼻の状態や嗅覚、必要に応じて味覚を調べます。においの変化で食べられない、体重が減るときは早めに相談し、食事を保つ工夫も一緒に考えてもらいましょう。
まとめ【コロナ後遺症は無理をせず、検査と回復支援を】
ほかの病気を確かめながら、症状と生活の負担を軽くする支援につなげることが大切です。
- 続く期間には個人差があるため、日常生活に困ったら、かかりつけ医や内科へ相談
- 急な息切れ・強い胸痛・意識の異常は、後遺症と考えて待たず119番
- 咳や息切れ、だるさは、症状に合わせて心臓・肺などの病気も確認
- 活動後に悪化する場合は、休息を先に入れて負担を調整
- 味覚・嗅覚の変化は食事への影響も伝え、耳鼻咽喉科へ相談
回復を急いで、つらさを一人で抱え込まなくて大丈夫です。治療と暮らしの工夫を組み合わせて、今できることを一緒に探していきましょう。
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
以上
参考文献
- 厚生労働省. 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A. 厚生労働省ウェブサイト. 参照2026年10月28日. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kouisyou_qa.html
- 厚生労働省. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント 第3.1版. 厚生労働省. 2025. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001422904.pdf
- World Health Organization. Post COVID-19 condition (long COVID). WHO Fact sheets. 2025. https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/post-covid-19-condition-(long-covid)
- Ballouz T, Menges D, Anagnostopoulos A, et al. Recovery and symptom trajectories up to two years after SARS-CoV-2 infection: population based, longitudinal cohort study. BMJ. 2023. doi:10.1136/bmj-2022-074425 PMID: 37257891
- 総務省消防庁. 救急車を上手に使いましょう~救急車 必要なのはどんなとき?~. 総務省消防庁. 2025年10月. https://www.fdma.go.jp/publication/portal/items/portal002_japanese.pdf
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