お急ぎの方へ
- 1歳以上のかぜに伴う夜の咳では、はちみつがつらさを和らげる助けになる[1][2]
- 1歳未満には禁止。加熱したものや、はちみつ入りの食品も与えない[3]
- 唇が紫色、呼吸がうまくできない、反応が乏しいときは119番[5]。息苦しく、咳で横になれない・歩けない・会話できないときも同じです[5]。
おはようございます。仙台空港北クリニック院長の蒲生俊一(医学博士 / 呼吸器専門医)です。
空気が乾いて、かぜや咳が増える季節です。夜中に子どもの咳が続くと、本人もご家族も眠れず、何か楽にできる方法はないかと悩むことがあると思います。
結論から申し上げると、1歳以上なら、かぜに伴う夜の咳を和らげる方法として、はちみつを試せます[1][2]。ただし、1歳未満には与えてはいけません[3]。
本記事では、子どもの咳にはちみつを使うときの注意点、市販の咳止めを使わない年齢、受診を急ぐサインを解説します。
子どもの咳に、はちみつを試してよいのはいつ?
まず、1歳以上であること、呼吸が落ち着いていること、無理なく飲み込めることを確認してください[3][2]。
- 年齢を確認する:1歳未満には、はちみつも、はちみつ入りの食品も与えない[3]
- 呼吸と顔色を見る:息が苦しい、唇が紫色などのときは、下の受診の目安を優先する[4][5]
- 飲めるかを見る:水分をとれない、ぐったりしているときは、はちみつを試すより受診を急ぐ[4]
ざっくり言うと、はちみつは「今夜のつらさを少し楽にする」ための家庭でのケアです。咳の原因を調べたり、原因に合った薬を使ったりする医療と組み合わせて考えてください。
院長蒲生夜中の咳は、聞いているご家族もつらいものです。まずは年齢と呼吸、そして飲めているかを確認しましょう。
子どもの夜の咳に、はちみつはどのくらい役立つ?
はちみつを使った翌朝に、咳や眠りの改善を保護者が感じやすかったという研究があります[1]。
イスラエルの地域の小児科6施設で、かぜと夜の咳がある1〜5歳の子ども300人を対象とした研究です[1]。病気の期間は7日以内でした[1]。この研究は2012年に発表されました[1]。
参加者をくじ引きのように分け、3種類のはちみつのどれか、または比較用のナツメヤシの抽出物を使いました[1]。保護者と評価する側の双方が、どちらを使ったか分からない方法で比べています[1]。
研究では、就寝30分前に10gを1回与え、翌日に保護者が咳や睡眠を評価しました[1]。3種類のはちみつ群と比較用抽出物群のすべてで前夜より改善しましたが、はちみつ群で改善が大きいという結果でした[1]。
つまり、「咳を少し和らげ、眠りやすくする助け」になる可能性があります。ただし、主に一晩の変化を保護者が評価した結果です。長引く咳の原因や、病気そのものが治るかまで確かめた研究ではありません。
研究で使った10gを、そのままご家庭での標準量にする必要はありません。家庭で試す量は、次の米国小児科学会の案内を参考にできます[2]。



「咳を完全に止める」ことより、少し楽になって休めるかが大切です。眠り方や呼吸の様子も一緒に見てあげてください。
子どもの咳に、はちみつをどう使う?
米国小児科学会は、1歳以上を対象に、はちみつ2〜5mLを必要に応じて使う方法を案内しています[2]。
少量を量って使ってください。これは米国の家庭向けの目安で、日本の薬の用法・用量ではありません。国や医療機関によって方針が異なります。
- 起きていて、落ち着いて飲み込めるときに、少量を量って与える
- むせる、嫌がる、息が苦しそうなときは、無理に口へ入れない
- 寝る前に与えたあとは、口の中に残らないように、歯みがきやうがいをする
- 飲める水分も少しずつこまめに。咳が強くなる、眠れないときは家庭のケアだけで引き延ばさない[4]
はちみつを食べてアレルギー症状が出たことがあるお子さんには、使わないでください。食べ物としての安全性も確認しながら、できるケアを選べばOKです。



「食べさせなきゃ」と頑張りすぎなくて大丈夫です。嫌がるときは無理をせず、飲める水分を少しずつにしましょう。
1歳未満の子どもに、はちみつはなぜ禁止?
乳児ボツリヌス症(にゅうじボツリヌスしょう:菌が腸で増え、毒素で筋肉の力が弱くなる病気)を防ぐためです[3]。
赤ちゃんの腸内環境はまだ十分に整っておらず、はちみつに混じったボツリヌス菌が増えることがあります。便秘、飲む力の低下、元気がない、泣き声の変化などの症状が出ます[3]。多くは適切な治療で治りますが、まれに命に関わります[3]。
「加熱したから大丈夫」「少しだけなら大丈夫」と考えて与えないでください[3]。菌の芽胞(がほう:熱などに強い、菌の休眠状態)は、通常の加熱や調理では死滅しません[3]。
はちみつ入りの飲み物やお菓子も対象です。赤ちゃんのお世話をする家族みんなで、食品の原材料表示を確認しましょう[3]。
もし、1歳未満で食べてしまったら
食べたことだけで発症が決まるわけではありません。追加では与えず、何を・いつ・どのくらい食べたかを控え、小児科に相談してください。夜間・休日に子どもの症状への対応に迷うときは、#8000(子ども医療電話相談)で相談できます[6]。
飲む力や泣き声が弱い、ぐったりするなどの変化があれば、夜間でもすぐ受診してください[3][4]。呼吸が弱い、唇が紫色、反応が乏しいときは119番です[5]。



家族の誰かが良かれと思って与えないように、はちみつ入りの食品も含めて、同じルールを共有しておくと安心です。
子どもの咳に、市販の咳止めを使わない年齢は?
年齢と成分によって、市販薬の使用制限は異なります。日本では、市販のかぜ薬を2歳未満に使う前に、医師の診療を優先します[7]。
「子ども用」と書かれていても、どの年齢にも使えるという意味ではありません。買う前に年齢と症状を薬剤師へ伝え、製品の説明書を確認してください。
また、コデイン類(コデイン、ジヒドロコデイン:咳の反射を抑える成分)を含む市販の咳止めは、日本では12歳未満に使えません[7][8]。
| 地域・対象 | 確認すること |
|---|---|
| 日本:2歳未満の市販のかぜ薬 | 医師の診療を優先。市販薬を自己判断で先に飲ませず相談する[7] |
| 日本:12歳未満 | コデイン類入りの咳止めは使わない[7][8] |
| 日本:それ以外の年齢 | 製品ごとの対象年齢と量を守る。12歳になればどの製品でもよい、とは考えない[8] |
| 米国小児科学会の案内 | 4歳未満に市販の咳・かぜ薬は勧めない。4〜6歳も医師が勧めた場合だけ[2] |
市販のかぜ薬に関する2歳未満の注意は、「すべての薬が一律に禁止」という意味ではありません。医師の診療を優先し、やむを得ない場合のみ服用させるという扱いです[7]。
一方、コデイン類の12歳未満への制限は、成分に対する明確な使用制限です[7][8]。米国の4歳という区切りを、日本の市販薬すべての基準に置き換えないようにしてください。
大人用を減らして使ったり、きょうだいの薬を分けたりするのも避けましょう。処方された薬がある場合は、お薬手帳と市販薬の箱を見せ、重ねてよいか確認してください。



年齢の数字がいくつも出てきますが、まず「誰が飲む薬か」が大事です。薬の名前とお子さんの年齢をセットで確認しましょう。
子どもの咳で、はちみつより受診を優先するのは?
息苦しさや顔色の変化があるときは、はちみつの効果を待たず、以下の目安で対応してください[4][5]。
唇が紫色、呼吸が弱い・うまくできない、呼びかけへの反応が乏しい場合は119番です[5]。息苦しさがあり、咳がひどく横になれない、歩けない、会話できない場合も119番です[5]。顔色や反応に変化が出るまで待たないでください。
上の119番のサインがない場合も、次の目安で受診してください[4]。
- 夜間でもすぐ受診:息苦しい、呼吸が速い、ゼーゼーする、ぐったりしている、水分をとりたがらない・とれない、のどれかがある場合です[4]。
- 夜間でもすぐ受診:声がかれて犬の遠吠えのように咳き込む、または声がかれて聞こえなくなるほどひどい場合です[4]。
- 急に始まった咳:食事中や物を口に入れた直後から咳き込み、息苦しい、または呼吸ができない場合は119番です[5]。食事中や物を口に入れた直後から咳き込みが続く場合は、119番のサインがなくても受診してください[4]。
119番の条件に当てはまらず、夜間でもすぐ受診するサインがある場合は、夜間・休日に診療可能な医療機関へ連絡して受診してください。
呼吸・顔色が普段どおりで、水分がとれ、上のサインがなければ、様子を見ながら診療時間内にかかりつけで相談できます[4]。咳で寝つきにくい、繰り返す、長引く場合も、この条件を満たしていれば日中のうちに相談しましょう。
夜の受診判断に迷うときは、#8000で受診の目安を相談できます[6]。受付時間は都道府県で異なり、宮城県は19時から翌朝8時までです[6]。明らかな救急サインがあるときは、電話相談の順番を待たず119番です。



はちみつで少し咳が減っても、息苦しさや顔色の悪さは別に見てください。「咳の回数だけ」で安心を決めないことが大切です。
熱を伴う子どもの咳で、当院の発熱外来を受診するとき
熱を伴う咳のお子さんは、発熱外来(0歳から対応)でご相談いただけます。始まった時期、夜の眠り方、飲めた量、使った薬をお伝えください。
夜間に危険なサインがある場合は、当院の診療開始を待たず救急外来を利用してください。
| 曜日 | 時間 |
|---|---|
| 月・火・水・金・土 | 9:00〜12:00/14:00〜18:00 |
| 日曜・祝日(2026年10月4日から) | 10:00〜15:00(昼休みなし・発熱外来のみ) |
| 木曜 | 休診 |
日曜・祝日は発熱外来のみで、一般外来と点滴は行っていません。日曜・祝日に発熱外来を実施するかどうかも含め、診療日と休診日はカレンダーでご確認ください。予約不要・当日チェックインです。
日程は日曜・祝日の発熱外来のお知らせ、受付方法は事前問診・当日チェックインの案内をご確認ください。




発熱外来は、受診をお断りしない方針です。
- 咳が始まった日、急に始まったか、夜や食事中に強くなるか
- 熱、ゼーゼーする音、呼吸や顔色の変化、眠れているか
- 水分や食事の量、おしっこの出方
- 使った薬の名前・量・時刻、はちみつを与えた場合は年齢・量・時刻
子どもの咳とはちみつのよくある質問
年齢、使い方、受診の判断で迷いやすい点をまとめます。
- 1歳直前なら、少量のはちみつを使ってよいですか?
-
1歳の誕生日を迎える前は使わないでください。少量でも、家庭で加熱しても安全にできるとは考えません。はちみつ入りの飲み物やお菓子も避け、咳のケアは小児科に相談しましょう[3]。
- 研究と同じ10gを食べさせたほうがよいですか?
-
10gは紹介した研究で使った量で、家庭で必ず与える量ではありません[1]。米国小児科学会では1歳以上に2〜5mLを案内しています[2]。嫌がる、むせる、飲み込みづらいときは、無理に与えないでください。
- はちみつで咳が減ったら、受診しなくてよいですか?
-
咳が減っても、呼吸・顔色・反応の異常は上の「受診を優先する」節の基準で判断してください[4][5]。食事中や物を口に入れた直後の咳は、息苦しければ119番、119番のサインがなくても咳き込みが続けば受診してください[4][5]。
- 市販の咳止めは4歳になれば使えますか?
-
4歳という区切りは米国の案内であり、そこでも4〜6歳は医師が勧めた場合だけです[2]。日本では製品の対象年齢と成分を確認します。コデイン類は12歳未満に使わず、迷う場合は薬剤師に相談してください[7][8]。
- 夜だけ咳が出るときも、はちみつで様子を見てよいですか?
-
夜の咳を繰り返したり、眠れなかったりするときは、まず受診を急ぐサインがないか確認してください。呼吸・顔色が普段どおりで、水分がとれ、上の受診を急ぐサインがなければ、日中のうちに相談しましょう[4]。声がかれて聞こえなくなるほどひどい場合は、夜間でも受診してください[4]。はちみつは家庭でのケアとして考え、処方薬の代わりに自己判断で置き換えないでください。
まとめ:子どもの咳とはちみつは年齢から確認
子どもの咳にはちみつを使う前に、年齢と、呼吸・水分・顔色を確認しましょう。
- 1歳以上のかぜに伴う夜の咳では、はちみつがつらさを和らげる助けになる[1][2]
- 1歳未満には禁止。加熱したものや、はちみつ入りの食品も与えない[3]
- 日本では2歳未満に市販のかぜ薬を使う前に診療を優先し、コデイン類は12歳未満に使わない[7][8]
- 唇が紫色、呼吸がうまくできない、反応が乏しいときは119番[5]。息苦しく、咳で横になれない・歩けない・会話できないときも同じです[5]。
- 食事中や物を口に入れた直後の咳は、息苦しければ119番。119番のサインがなくても、咳き込みが続けば受診してください[4][5]。
- 119番の条件がなくても、息苦しい・呼吸が速い・ゼーゼーする・飲めない・ぐったりする、または声のかれがひどいときは夜間でも受診[4]。
家庭でできるケアと、原因に合った治療を組み合わせると、お子さんもご家族も休みやすくなります。気になる咳は、経過をメモしておくと受診のときに伝えやすくなります。熱を伴うときは、当院の発熱外来でご相談いただけます。
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。記載内容は公開時点の医学的知見に基づいていますが、お一人おひとりの状態によって適切な対応は異なります。症状にご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
以上
参考文献
- Cohen HA, Rozen J, Kristal H, et al. Effect of honey on nocturnal cough and sleep quality: a double-blind, randomized, placebo-controlled study. Pediatrics. 2012. doi:10.1542/peds.2011-3075 PMID: 22869830
- American Academy of Pediatrics. Coughs and Colds: Medicines or Home Remedies? HealthyChildren.org. 参照2026年10月28日. https://www.healthychildren.org/English/health-issues/conditions/chest-lungs/Pages/Coughs-and-Colds-Medicines-or-Home-Remedies.aspx
- 厚生労働省. ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。 厚生労働省ウェブサイト. 参照2026年10月28日. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html
- 宮城県. みやぎけんこどもの救急ガイドブック:せき(ゼェゼェする). 宮城県ウェブサイト. 参照2026年10月28日. https://www.pref.miyagi.jp/documents/11413/279886.pdf
- 尼崎市消防局. 息が苦しい(こども49). 尼崎市公式ホームページ. 参照2026年10月28日. https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/kurashi/syobo/kyukyutaio/1011866/1010593.html
- 厚生労働省. 子ども医療電話相談事業(♯8000)について. 厚生労働省ウェブサイト. 参照2026年10月28日. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/newpage_55223.html
- 厚生労働省. 試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月一部改訂). 厚生労働省公開資料. 参照2026年10月28日. https://www.mhlw.go.jp/content/001692424.pdf
- 厚生労働省. 鎮咳去痰薬の製造販売承認基準について. 通知・現行掲載本文. 参照2026年10月28日. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc0820&dataType=1&pageNo=1
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